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2006年5月17日 (水)

藤田嗣治展を観て

 藤田嗣治展を、北の丸公園にある東京国立近代美術館に観に参りました。この間、天皇・皇后両陛下が皇居を乾門からお出ましになって北の丸公園を散策されたというテレビ報道がなされました。その中の映像に信号待ちをしているシーンがありましたが、この美術館はその近辺にあります。
 美術館内は、昨年観に行ったゴッホ展と同じ位混んでいて、藤田嗣治の人気の高さがよく分かりました。私は説明展示を読むのがわずらわしいことと、視力が余りよくないことから、いつも美術館に行くと音声ガイドがあればそれを必ず借りるようにしています。今回も準備されていて、早速500円で借用しました。音声ガイドを聞きながら主要な絵画を鑑賞して行くと、とても効率よく会場を回ることができます。この音声ガイドも進化していて、確か最初のころはヘッドホンの付いた磁気テープ的なものではなかったかと思いますが、次にヘッドホンの付いたICメモリー的なものになり、今はヘッドホン一体型つまり電話のハンドセット(送受話器)にICメモリーが付いたようなものになっておりました。
 さて、本題の藤田嗣治の絵画ですが、時代別の次のように分類されておりました。

  • エコール・ド・パリ時代
    • パリとの出会い
    • 裸婦の世界
  • 中南米そして日本
    • 色彩の開花
    • 日本回帰
    • 戦時下で
  • ふたたびパリへ
    • 夢と日常
    • 神への祈り

 エコール・ド・パリ時代は、1924年に描いた《巴里城門》でようやく自分だけの様式を探り当て、次に《五人の裸婦》等の「すばらしき乳白色」を使った裸婦の絵に進みます。乳白色の原料は不明だそうですし、日本画のように墨ではっきりした輪郭を描いています。中南米そして日本では、鮮やかな色彩が初めて登場し、日本に帰国してすっかり日本様式に回帰したような絵を残しています。最後は第二次世界大戦が始まり、自ら進んで描いたとは思えませんが、西洋の古典絵画等から構図を学んで、戦争画を描いています。ふたたびパリへでは、独特の顔をした子供達の絵が沢山描かれており、そして最後はキリスト教の洗礼も受け宗教画の世界に到達します。よく藤田の絵画に出てくる猫たちとともに、彼はここに至り心の平安を得たのではないかと想像されます。

  • パリと江戸 文化の出会い 乳白色

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