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2006年11月 2日 (木)

東野圭吾著「手紙」を読んで

 東野圭吾著作の「手紙」を文春文庫の本で読みました。文庫本になってから話題になっていたので、何となく手に取ってしまいました。しかし、読み始めたら止まらなくなり、あっと言う間に読み上げてしまいました。後で考えると、辞書を引くような漢字もほとんどなく、とても読みやすい本でした。
 東野圭吾の作品は、基本的には推理・探偵小説だと思っていました。というのは、彼が江戸川乱歩賞からスタートしたこと、そして私が最初に読んだのが「悪意」という推理小説だったことからです。でも、テレビで見た映画「秘密」はそれとは少し違っていました。
 今回読んだ「手紙」は確かに強盗殺人事件を扱っていますが、その本質は人情話ではないでしょうか。もちろん、犯罪加害者の家族は差別されるべきという非人情の側面が多く描かれていますが、それは人情の裏返しではないでしょうか。非人情があって人情がある訳です。それも5割を超えた人情は人情ではないでしょう。1割しかないから、あるいは1パーセントしかないから泣かせる人情話になるはずだと思います。
 そう考えれば彼が今年直木賞を「容疑者Xの献身」で受賞したことが理解できます。実は今年の直木賞受賞前に5回も候補作になりながら受賞を逃し、6回目でやっと受賞できたそうです。「秘密」が最初の候補作であり、本件記事の「手紙」が4番目の候補作です。「手紙」を読みながら、ずっと浅田次郎の作品を思い浮かべていましたが、読みやすさや人情等は共通するものがあると思います。
 先程ウィキペディア・フリー百科事典で、東野圭吾浅田次郎を調べました。歳は浅田の方が7歳上ですが、作家としての本格的デビューは東野の方が10年位早いようです。そして、皮肉にも直木賞を受賞したのは、浅田の方が9年早いという関係にあります。二人とも多作で、映画化されてヒットもしております。映画化された浅田の代表作は「鉄道員(ぽっぽや)」で、現在映画「地下鉄に乗って」が公開されております。くしくも明日11月3日から映画「手紙」が公開されます。これからも二人が日本のエンターテイメント界を盛り上げてくれることを望みます。

  • 人情と 非人情の 間に涙
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容疑者Xの献身 Book 容疑者Xの献身

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書評・評論」カテゴリの記事

コメント

 福田浩司賞味大臣さん
 コメントありがとうございました。
 確かに秋葉原事件のあった時に、この本を読んでいると、ずいぶん考えさせられるでしょうね。最近の社会風潮は「力を力で制す」という感じですが、本来の人間社会は「力を愛情・絆で制す」ものなのではないでしょうか。

投稿: Kirk | 2008年6月15日 (日) 午前 06時33分

一週間かけて拝読しました。読んでる最中に秋葉原で大きな事件あっただけにより重く感じられました。理不尽と思いましたがこれが現実でイマジンの歌の方が理想なんだと言われたら実際の大人の社会はそうかもしれません。差別は寛容の度合や民意の高い低いのもよりますが。ビートルズはそういえば若いうちに成功していますからね

投稿: 福田浩司賞味大臣 | 2008年6月14日 (土) 午後 09時13分

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» (今日の一冊)手紙/東野圭吾(著) [Kozmic Blues by TM]
(あらすじ) 強盗殺人の罪で服役中の兄、剛志。弟・直貴のもとには、獄中から月に一度、手紙が届く…。しかし、進学、恋愛、就職と、直貴が幸せをつかもうとするたびに、「強盗殺人犯の弟」という運命が立ちはだかる苛酷な現実。人の絆とは何か。いつか罪は償えるのだろうか。犯罪加害者の家族を真正面から描き切り、感動を呼んだ不朽の名作。 ... [続きを読む]

受信: 2006年11月 4日 (土) 午後 07時27分

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手紙 東野 圭吾  235 ★★★★☆  【手紙】 東野 圭吾 著  毎日新聞社  《罪と償い、差別、いろいろ考えさせられた作品だ》  内容(「MARC」データベースより) 兄は強盗殺人で服役中。その時、弟は…。断ち切られた兄弟の絆。希望なき世界を彷徨う人生。いつか罪は償われ、傷は癒されていくのだろうか。『毎日新聞』日曜版連載、待望の単行本化。 昨今被害者・家族の人権が問題になって取り上げられているが、この本では、犯罪加害者の家族、ここでは弟の感情・人生を主に書い... [続きを読む]

受信: 2006年11月 4日 (土) 午後 09時48分

» 東野圭吾【手紙】 [ぱんどら日記]
山田孝之、玉山鉄二、沢尻エリカの出演で映画化された作品。 山田孝之はTBSが東野圭吾の【白夜行】をドラマ化したときも出演しており、めっきり東野圭吾づいている。本書を読みながら「なんか【白夜行】っぽい」と感じ... [続きを読む]

受信: 2006年12月 6日 (水) 午後 12時05分

» 手紙 [本を読もう]
東野 圭吾さんの小説を読むのは、これが初めてでしたが、すんなりと読むことが出来て良かったです。久しぶりに感動、というか、小説を読んで自然と涙してしまいました。 いろいろな面で直貴に向けられる差別や偏見は、読んでいてとてもつらく、犯罪者の身内というだけで世間からどのような目を向けられるのかなど、ひしひしと感じました。 最終的に直貴が下した判断については、そういうこともあるのかな、と納得し... [続きを読む]

受信: 2007年3月19日 (月) 午後 09時56分

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