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2008年3月21日 (金)

川畠成道と東京ニューシティ管弦楽団との共演を聴いて

 東京ニューシティ管弦楽団の第54回定期演奏会を聴いて参りました。西池袋にある東京芸術劇場大ホールまで出掛けました。指揮が内藤彰さん、ヴァイオリンが川畠成道さん、そしてコンサートマスターが鈴木順子さんでした。プログラムは次のとおりで、シベリウスの没後50年を記念しているとのことです。

ジャン・シベリウス(1865-1957)

交響詩「フィンランディア」(8分)
ヴァイオリン協奏曲 ニ短調Op.8(31分)
 第1楽章 アレグロ・モデラート
 第2楽章 アダージョ・ディ・モルト
 第3楽章 アレグロ、マ・ノン・トロッポ
    ―― 休 憩 ――
交響曲第2番 ニ長調「ブライトコップ新版2006」(43分)
 第1楽章 アルグレット
 第2楽章 アンダンテ・マ・ルバート
 第3楽章 ヴィヴァチッシモ
 第4楽章 アレグロ・モデラート

 次の写真は大ホール2階席後方からステージを撮ったものです。ステージ後方上部にある世界最大級のフランス/マルク・ガルニエ社製作のパイプオルガンが目立っています。合計1,999席という巨大なホールですが、3階に分かれた座席が巧みに設計・配置されており、1階席中央に座ってみるとそんなに広くは感じませんでした。3階席までは確かめられませんでしたが、1・2階席はほぼ満席でした。シベリウス作品の演奏ということで、母国フィンランドの方々らしいお客さんが来られていました。彼らは多分ご招待が多いのかもしれません。シベリウスは日本では武満徹に相当する作曲家なのではないかと思います。

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 東京ニューシティ管弦楽団は、1990年に音楽監督・常任指揮者に内藤彰さんを擁し設立された割と若い楽団です。内藤さんの指導により、「いつも なにかが あたらしい」として、いろいろ斬新な試みをしているようです。オペラでの分野では特に評価が高いようで、またオペラ歌手との共演も数多いとのことです。今回は川畠成道さんとの共演になった訳です。

 楽団は最近ピリオド奏法に取り組んでいて、本演奏会もその奏法で演奏されました。プログラムにある内藤さんの解説によれば、「ピリオド奏法は作曲家が作曲していた当時の演奏法で、20世紀初頭までの弦楽器奏法は、現在行われているようなヴィブラートによって表情をつけるのではなく、現在はほぼすたれてしまった、特有な弓使いによって曲想を豊かに表現していた」とのことです。

 何と、開演前に内藤さんがステージ上に現れピリオド奏法について注意を促して下さいました。ヴァイオリンの名手、ヨーゼフ・ヨアヒム(1831-1907)もパブロ・デ・サラサーテ(1844-1908)もピリオド奏法で演奏していたそうです。現存しているレコードを聴くと、確かにそうなのだそうです。ヴィブラート奏法で多人数が弦楽器を演奏すると、音程が少しずつずれて濁った音になるそうですが、ピリオド奏法で演奏すると澄んだ音になるそうです。

 いざ演奏が始まると、確かに弦楽器の音がとても澄んで綺麗な感じがしました。全く新しい経験と言ってもいいものでした。ヴァイオリン協奏曲では、川畠さんはもちろんヴィブラートをよく利かせて演奏するのですが、楽団がピリオド奏法で出す澄んだ音色とよく調和しておりました。ヴァイオリニストを目指していたというシベリウスのこの曲は、演奏するには優れた技巧が必要ですが、もちろん川畠さんは難なく演奏していました。前半最後にあったアンコールでは、川畠さんはヴァイオリン協奏曲の多分第1楽章を再度独奏して下さいました。

 ところでこの楽団ではとても沢山の女性が活躍しております。約20人のヴァイオリン奏者は、2、3人以外は女性のようでした。約10人のビオラ奏者は全員が女性で、8人のチェロ奏者は半分が女性でした。6台のコントラバスも2人が女性でした。

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 午後9時10分にすべての演奏が終了し、クロークに預けていた鞄とコートを受け取り、長い長いエスカレーターで1階のガラス張りの大アトリウム(上の写真)に、幸せな気持で降りて参りました。池袋駅に向かうため外に出ると、来た時にも演奏していたストリートミュージシャンの声が聞こえました。ふと声の主の上方を見上げると、十四夜の月が傘を伴って輝いておりました(下の写真)。

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  • 春の月 斬新な音 吸い込まん

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