北海道にボランティア精神活かした介護・医療を(2008.5.23付け札幌タイムス・コラム記事)
巷では後期高齢者医療制度のことが盛んに議論されております。名称が良くない、75歳以上を区別して差別だ、姥捨山だ、あるいは病気に罹りやすい高齢者だけをひとくくりにした保険制度は持たない等々、いろいろ批判されております。正直申し上げて、私には制度そのものが良いものかどうか、あるいは国民全体の福祉、公共の福祉に添ったものなのかどうかは分かりません。ただ自己の権利を主張する場合に、前提としてそれまでに充分な義務を果たしてきているのか、またいわゆるボランティアの活動等を通じて社会に貢献してきているのかがとても気になります。
今月厚生労働省が発表した「社会保証の給付と負担の見通し」によれば、2006年度で介護が7兆円、医療が28兆円の給付になっております。今後両者合わせて毎年1兆円以上も増えていくとの見通しです。何かメディアの報道を聞いていると、介護や医療を受ける権利ばかりに光が当てられているように思えます。介護や医療をなるべく受けないように、つまり動ける間は何かのボランティア活動を行うようにする等の議論はなぜ余り出てこないのでしょうか。高齢者でも動ける方は、たとえ自分自身の家族ではなくても、介護や医療が必要な方々の手助けをすることが必ずできると思います。
裁判員として司法に参加することもとても大事なことだと思いますが、ヘルパーとしてこれからますます需要が拡大する介護・医療の現場に参加することも大事ではないでしょうか。ボランティアとして介護ヘルパーを務めることを新たに道民の義務とする政策(徴へ制度)もあってもいいと考えます。これらボランティア活動により、介護や医療の社会的費用や負担を間違いなく減らすことが可能になると思います。
北海道は江戸時代末期以降、特に明治時代に何もないところから、開拓民がお互いに本当に助け合って開拓・開墾してきた土地です。映画「北の零年」を見て、祖先の苦労に涙したのは私だけではなかったと思います。是非北海道に初めから備わっている助け合いの精神、ボランティア精神を活かして、介護・医療費の急激な増加と闘う日本先進の地域を目指してほしいと思います。
(注)本記事は、筆者が2008年5月23日付け週刊札幌タイムスのコラム「がんばれ北海道」#149に寄稿したものです。
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