最近観た映画(2012年1月#1:CUT)
イラン出身で今はニューヨークで活躍しているアミール・ナデリ監督が、6年前に東京で俳優の西島秀俊に出会ったことから生まれた作品だそうです。本作は日本で撮影されており、まさに監督の映画に対する考えを、国際的に普遍な環境で訴えたものだと思いました。
「かって映画は真の芸術であり、そして真の娯楽であった。金儲け主義のクソ野郎共の手から映画を取り戻し、もう一度映画を甦らせてください!」と、主人公秀二(西島秀俊)が叫ぶところから映画は始まります。何だと、私の観ていた映画はクソみたいな大衆向けのものだったのだと言うのでしょうか。
芸術の才能のある者は、才能があることそれゆえに大衆に理解されず、集まるお金もなく発表する場もないものでしょう。秀二は映画制作のために兄がヤクザから借りた1,254万円を返すために、ボクシングジムとバーと麻雀荘を兼ねたようなヤクザのねぐらのトイレ(兄が死んだところ)で殴られ屋をやることにします。
返済期限の前日には、古今の映画名作100選の名を叫ぶことで、最後の100発のパンチを受ける決心をします。1選1発で真に凄惨な情況で進みます。ここがハイライトなんですが、何とか生き残って返済完了したところで、再度3,000万円の借金の申込みを…。何だなんだ、それは、今はもっと金をかけずにいい映画を作る方法があるのではないでしょうか。映画「サウダーヂ」を作った富田克也監督は制作費1,000万円をほとんど寄付で集めたと聞いています。
そういえばこの映画は最初白黒(モノクロ)で始まって、途中でカラー(天然色)になりました。黒澤明監督や映画「オズの魔法使(The Wizard of Oz)」(ジュディ・ガーランド主演)等が使った、映画がカラー化された時に流行った手法を取り入れたのでしょうか。それから、古今の映画名作100選の第1位は何だと思いますか。ナデリ監督によれば白黒映画の「市民ケーン」だとのことです。
- 芸術か 映画に 命 賭けるほど
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