最近観た映画(2012年1月#2:風にそよぐ草)
89歳で現役を貫くフランスのアラン・レネ監督2009年に制作した作品です。同年のカンヌ国際映画祭で審査員特別賞と特別功労賞を受賞したそうです。いい歳をした大人が、押したり引いたり、恋は盲目のように惹きあう、不条理な恋愛喜劇になっています。仏語の原題は、"Les Herbes Folles"で、仏語は得意ではありませんが、想像するに「情熱的な草」もっと端的に言うと「狂った草」という意味らしいです。日本語のタイトルは意訳したものだと思いますが、立場が揺れるやや不安定な男女の関係を示唆しているものと考えられます。
映画はしっかりと創り込んでありました。冒頭はなかなかおしゃれなナレーションで始まり、途中途中大事な場面で効果的なナレーションが使われています。これは昔の映画の流儀をきちんと踏襲しているように思えました。前日観た映画「CUT」では、史上1位評価の映画は「市民ケーン(Citizen Kane)」でありましたが、確かそこでもナレーションは効果的に使われていましたよね。エンディングもユーモアあふれ、最後に一体どうなったかは観客の想像に委ねる素敵なものでした。つまり本作品は「CUT」で言うところの「真の芸術で真の娯楽」の映画となるものでしょうか。
つまらないことを2点書きます。本作品は多分50代の男女の道ならぬ恋を描いているのですが、ヒーローとヒロインがもっと年上に観えるのは少々心外でした。また、劇場で空いている中央の席に入れてもらおうと思って、「ごめんなさい」と列の端にずり落ちて座っている奴にお願いしたら、途端にとても嫌な顔をした上に少しもよけなかったのがしゃくにさわりました。心の中では、殴ってやりました。
- 恋愛は いい歳をしても 盲目か
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