最近観た映画(2012年1月#6:ヒミズ)
映画冒頭に紹介がありますが、「ヒミズ」は漢字で「日不見」と書き、モグラのことだそうです。古谷実原作の人気コミックの題名で、園子温監督がそれを翻案して映画化したとのことです。暗い土の中で人知れず普通に、しかし明日を信じて生きることの難しさを意味しているのかもしれません。本作品により、主演の染谷将太と二階堂ふみは、第68回ヴェネチア国際映画祭で最優秀新人俳優賞にあたるマルチェロ・マストロヤンニ賞を二人同時に受賞したそうです。
自己中心的で、周りが見えず、やたらに暴力的な大人達に囲まれた二人の中学生が主人公です。住田祐一(染谷将太)と茶沢景子(二階堂ふみ)がその二人です。住田はあるきっかけで殺人を犯してしまい、その後自分の命を世直しに賭けようとします。突然表面に出る狂気と暴力と殺意、これはあきらかに最近各所で発生する無差別殺傷事件をモチーフにしているのでしょうか。
園監督の前2作品「冷たい熱帯魚」と「恋の罪」とは異なり、本作では暴力はあっても死体を切り刻むことはないので、スクリーンを正視しやすかったです。主演の二人を「冷たい熱帯魚」の主要キャストの吹越満、神楽坂恵(この二人はやはりセット)、でんでん、黒沢あすか、渡辺哲らがしっかりサポートし、それが主演の二人の熱演をさらに促したという感じがよく出ていました。
本作制作中に東日本大震災があったため、シナリオを変更して大津波被害地の映像を冒頭等に使用しております。この件については、被災者の気持ちを考えていないという批判がある一方で、被害から少しでも立ち直る夢と勇気を与えているという意見もあるようです。
- 暴力の 闇に光るか 夢と勇気
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