最近観た映画(2012年2月#2:善き人)
ナチスによるユダヤ人迫害・虐殺に関する作品です。英独合作です。というのは英国の劇作家C.P.テイラーの遺作舞台劇を映画化したからでしょう。この"GOOD"というタイトルの舞台は日本も含め世界中で上演されているそうです。本作の原題も"GOOD"ですが、邦題を考えた人は善き「こと」よりも善き「人」に焦点を当てたかったのでしょう。原題の方が、人間の力ではどうにもならなかった「その時代時代で善きとされること」を意味しているようで的確だと思います。
1930年代後半のナチス・ドイツで、母親のため、妻子のため、妻の父のため、ユダヤ人の親友の医師モーリス(ジェイソン・アイザックス)のため、そして愛する教え子アン(ジョディ・ウィッテカー)のため、努めて善きことをしようとする大学の文学部教授ジョン・ハルダー(ヴィゴ・モーテッセン)が主人公です。しかしヒトラー率いるナチスの大きな流れの中で様々な制約が生じ、善きことをしようとしている対象の人々に結果的にとても不都合な情況を与えてしまうという、どうしようもないジレンマを描いています。
終盤のシーンでジョンが勇気を振り絞って何とかモーリスを助けようとしますが、それがアンを不都合な情況に追いやり、主人公が犯した罪の深さを知る圧巻のラストシーンにつながっていきます。ラストシーンも含め幻影のように登場するマーラーの美しい曲たちは何なのでしょうか。マーラーもユダヤ人だったそうですが、転向してドイツ人になったそうです。これもそれもその時代の善きことだったと言っているようです。
- 善きことは 平和を保ち 生きること
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