最近観た映画(2012年2月#8:ドラゴン・タトゥーの女)
昨日から封切りされ、今とても話題になっている本作品を観て参りました。400人以上入る劇場なのに、最前列までほぼ満員でした。原作は、スウェーデンのジャーナリスト、スティーグ・ラーソンが書いた「ミレニアム」シリーズ三部作の第一作目です。この第一作目「ドラゴン・タトゥーの女」が2005年に上梓されますが、その前年2004年11月に著者が心筋梗塞で亡くなったことも神秘的です。三部作はスウェーデンで300万部、世界中で翻訳されてなんと6,500万部を売り上げたベストセラーです。「ドラゴン・タトゥーの女」は当初の原題は"Men Who Hate Women"でしたが、英語に翻訳される時にヒロインに焦点を当てるため"The Girl With The Dragon Tattoo"と改題されたそうです。なお、ミレニアムとは"Millennium"と書き、千年記のことだそうです。
スウェーデンでは三部作全部がすでに映画化されていますが、今回米国ハリウッドで第一作をリメークしたものです。監督に「ソーシャル・ネットワーク」のデビット・フィンチャーが起用されました。監督は、主演のジャーナリスト・ミカエル役に「007」のジェームズ・ボンド役が板に付いてきたダニエル・クレイグを充て、そして主演のドラゴン・タトゥーの女・リスベットに「ソーシャル・ネットワーク」でマーク・ザッカ-バーグの恋人役を演じた新進のルーニー・マーラに白羽の矢を立てました。リスベット役には、スカーレット・ヨハンソンやナタリー・ポートマンらも興味を示しましたが、ルーニーが選ばれたそうです。また、ルーニーは今年のアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたとのことです。
ハリウッドのリメークでもなかなか最初の作品を越えられないものが多いらしいですが、2時間半以上の本作は最初から最後まで目が離せず上出来の映画だと思いました。特に、最初の黒光りする液体とともに蠢く(うごめく)人体が何かの映像が、使われた音楽と相俟って印象的、衝撃的で続く本編の物凄さを暗示しているようでした。原作本には多分膨大な情報が書き込まれているのだと思いますが、映画では物語を損なわないように上手く展開されておりました。ただし、人間関係に記憶力がいるので、ネットで予め登場人物の関係を頭に入れておくことを奨めます。
本作を観ると、男女平等が進んでいるイメージがある北欧スウェーデンにも、女性蔑視・虐待があり、ナチスやユダヤ人迫害の歴史・現実があり、また経済界と裏社会のつながりがあることが分かります。その中で、ミカエルとリスベットが惹かれ合う、淡いロマンスをハリウッドらしく、感傷深く描いていました。第二作・第三作のリメークも期待しましょう。
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