最近観た映画(2012年3月#2:ヒューゴの不思議な発明)
マーティン・スコセッシ監督が12歳の愛娘のために創った3D映画らしいです。したがって、バイオレンス・アクション路線から転換し、児童文学風の作品になっています。正直に言って、3D映画というものはこういう風に創ればいいのかと感心いたしました。奇をてらわず、普通の物語を、1930年代のパリの雰囲気をよく再現した美しい3D作品としています。パリの街並、駅の内部、時計塔の内部構造、塔の最上部から望むエッフェル塔の夜景等、精密で緻密な、素晴らしいものでした。一方で、超大規模な屋外セットを使ったロケや派手なアクションは使っておらず、これが若干評価が分かれるゆえんになっているのかもしれません。本作は、今年の第84回アカデミー賞作品賞は逃したものの、技術系の撮影賞、美術賞、視覚効果賞、音響編集賞そして録音賞の5部門を獲得しました。
原作は、世界的なベストセラーになったブライアン・セルズニックの小説「ユゴーの不思議な発明(The Invention of Hugo Cabret)」とのことです。"Hugo"は仏語読みをすると「ユゴー」、英語読みをすると「ヒューゴ」なのでしょう。映画の原題は「ヒューゴ(Hugo)」に縮められたそうです。ところで、「戦火の馬」も児童小説が原作でしたが、これはただの偶然でしょうか。
パリのリヨン駅の時計塔に住む孤児ヒューゴ(エイサ・バターフィールド)と駅構内の玩具屋の主人ジョルジュ(ベン・キングズレー)との関係が、作品全編のキーになります。後半に、実はジョルジュは仏国の大映画監督のジョルジュ・メリエスだったことが分かります。メリエスは、パリ出身で、特撮(SFX)の創始者であり、最初の職業映画監督といわれているそうです。本作は無声映画の草創期に活躍したメリエスへのオマージュにもなっているようです。当時の特撮の現場と完成した映画が再現されており、とても面白く感じました。
筆者の視力は、左が0.3程度、右が0.7程度で、左右不均衡ですが、遠くのスライドを見る時意外は、普段は余り眼鏡を必要としません。したがって、2D映画を前列の方で鑑賞するのには何の問題もありません。しかし、3D眼鏡をかけて3D映画を観ると左右のピントが合わないため、全体の画像がとてもぼけてしまいます。仕方なく余り使わない眼鏡を取り出して、3D眼鏡とともに、二つの眼鏡をかけて鑑賞することになります。これがとても煩わしいのです。
- 3Dの 意義を教える ヒューゴかな
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