最近観た映画(2012年3月#15:僕達急行 A列車で行こう)
昨年2011年12月20日に61歳で亡くなった森田芳光監督の遺作になってしまった映画です。エンドロールの最後には「脚本・監督 森田芳光」とあるのですが、次のカットでは手書きで「ありがとう 森田芳光」となりました。何かを予感させるような終り方でした。森田監督は、「の・ようなもの」(1981年)でデビューし、「家族ゲーム」(1983年)や「失楽園」(1997年)等の話題作を手掛け、昨年は「武士の家計簿」(2010年)がヒットしました。
本作は鉄道マニア3人を中心に据え、ユーモアとペーソスにあふれる展開で、ほのぼのとした後味を遺してくれる、娯楽性の高いコメディだと思いました。若い鉄道オタクで不動産会社社員の小町圭にNHK大河ドラマ「平清盛」の清盛役の松山ケンイチ(小雪の旦那さんの方が有名か)を、もう一人の若い鉄道オタクで鉄工所の跡取息子・小玉健太にNHKドラマ「篤姫」の小松帯刀(たてわき)役の瑛太を、それぞれ配しております。
この2人の若手人気俳優に加えて、3人目の鉄道オタクとして、九州地元の食品会社社長の筑後雅也役をピエール瀧が好演していました。他の脇役として、笹野高史、伊武雅刀、西岡德馬、松坂慶子、貫地谷しおり、村川絵梨等がしっかりと固めていました。映画のスピード感は余り感じられないのですが、ストーリーには隙がなく、随所に込み上げてくる笑いも事欠かず、全編最後まで楽しめること請合いです。
ところで、タイトル「僕達急行 A列車で行こう」の「急行」の真意は何なのでしょうか。映画の中では、冒頭のわたらせ渓谷鐵道を始めとして、2人が乗っているのは鈍行各駅停車が多いのです。せいぜい物語展開が急行並みということかとしか考えられません。「A列車で行こう」はデューク・エリントン楽団が演奏するジャズのスタンダード・ナンバーのことだと思います。A列車はニューヨーク市地下鉄のA 8番街急行線のことだそうです(そうだ、ここに「急行」の2文字がありますね)。小町は鉄道に乗りながら音楽を聴くのが趣味という設定でした。
- 鉄道に 日々癒される ことも善し
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