最近観た映画(2012年4月#11:別離)
本年の第84回アカデミー賞外国語映画賞をイラン映画として初めて受賞し、また昨年の第61回ベルリン国際映画祭で金熊賞(最高賞)と銀熊賞(男優賞・女優賞)を独占した話題の映画でした。製作・監督・脚本すべてをイランのアスガー・ファルハディ監督が担当しているが、緻密に構築されたストーリーが印象的です。
テヘランの銀行員ナデル(ペイマン・モアディ)とその妻シミン(レイラ・ハタミ)、そして11歳の娘テルメー(サリナ・ファルハディ、監督の娘)の一家に起こるトラブルがスピーディに描かれています。イランにおける教育、親の介護、離婚、貧富の格差等の問題が取り上げられますが、やはりイスラム教の存在の大きさに注目せざるをえませんでした。裁判はすべてイスラム法(シャリーア)に則って行われるし、介護でも男女隔離の問題が出てきます。それでも少し救われたのは、信心深い人々は誰しもコーランに向かっては嘘を付けないことでした。
ペルシャ語の原題は「ナデルとシミンの別れ」という意味だそうですが、映画祭では"Nader and Simin, A Separation"となり、英米では単に"A Separation"になったとのことです。
- それぞれの 訳(わけ)に流され 人生か
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