最近観た映画(2012年4月#13:生きているものはいないのか)
本作は、不条理演劇を映画化したものだけあって、何か不思議な映画でした。しかし、後味の悪さは余りなく、人々が死に直面した時には、それぞれが徐々にどういう死に方がいいのか考えようになるという様子を観ていると、何かスッキリした感覚が残ったのは意外でした。
前田司郎が同名の戯曲を著し、2007年に京都で著者自身の演出で初演し、翌年第52回岸田國士戯曲賞を受賞しました。それを石井岳龍監督が劇場向け映画に創り直したものです。映画ですから、屋外のロケが当然ありますが、やはり全体的に舞台演劇を観てるような雰囲気がありました。
神戸の大学と付属病院らしい設定で、18人の主要登場人物がおり、当初は列車事故以外は日常の生活の様子が描写されます。都市伝説クラブの活動、友人の結婚披露宴への出し物を考えるグループ、三角関係で言い争う男一人と女二人、アイドルグループの一員の現役学生、病院の女子職員に会いにきた刑務所帰りの義兄等のストーリーが語られます。突然一人の女子学生が死んでから情況が一変し、皆が死に直面します。人々は、途中から死を恐れるのではなく、どういう風に死を迎えようかと考え始めます。最後に残るのは、「ヒミズ」に出演していた染谷将太(ウェイターのケイスケ役)です。
不条理演劇だからどうでもいいのかも知れませんが、明らかに舞台は神戸・関西だと思うのですが、言葉は一切関西弁ではなく共通語だったのが奇妙でした。明らかに須磨・明石の海岸に歩いていくのが、最後のシーンですのに…。
- 不条理でも 歩いていくのが 人生か
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