最近観た映画(2012年4月#3:ルート・アイリッシュ)
英国の巨匠ケン・ローチ監督の最新作です。イラクでの民間軍事会社の実態をドキュメンタリー風の映画にしました。英国の民間軍事会社と契約したコントラクター(傭兵)は殺人を犯しても罪に問われないことから、無意味な無差別殺戮等が起きるという衝撃的な内容を扱っています。終盤では、水責めの拷問から始まって、大きなどんでん返しがあり、こうするしかないのかという無力感にさいなまれました。
ルート・アイリッシュとは、イラクのバグダッド空港と市内の米軍管理地域グリーンゾーンとを結ぶ12kmの道路のことだそうです。ここではテロが頻発し世界で一番危険な道路と呼ばれているそうです。イラクで英国人の民間傭兵として働いていたファーガス(マーク・ウォーマック)は一足先に英国のリバプールに帰っています。傷害事件を起こし拘束されている間に、兄弟のように育ったフランキー(ジョン・ビショップ)がルート・アイリッシュで殺害されたことを知ります。
ファーガスは、教会での葬儀の時に民間軍事会社の経営者が言う「フランキーは、まずい時にまずい所にいた」という説明に疑問を持ちます。ファーガスは、フランキーが残したイラク人の携帯、イラクにいる同僚傭兵とのテレビ電話、携帯に残された情報の翻訳等々を積み重ねて、親友の死について真実の理由に肉薄していきます。並行して、ファーガスと死んだフランキーの妻レイチェル(アンドレア・ロウ)とのラブ・ストーリーも描かれます。
イラクでの戦争のことを扱った映画ですが、イラクの場面は少なく、ほとんどが英国(多分リバプール)でのロケで撮影されていました。主人公が刑事罰を受けてパスポートを没収されているという設定もあるのでしょうが、イラクの話を英国でするという面白い映画だと思いました。本作は英国・仏国・ベルギー・伊国・西国の5ヶ国の合作で、原題も"Route Irish"です。
- 戦場に 金儲けの論理 人殺し
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