最近観た映画(2012年5月#17:相馬看花-第一部、奪われた土地の記憶-)
東日本大震災と大津波、そしてとりわけ福島第一原発の事故に見舞われた南相馬市原町区江井(えねい)地区の被災者達を追った、渾身の力を込めたドキュメンタリー映画です。若手の松林要樹監督が、避難所で一緒に寝食を共にしながら撮影しました。
映画は、昨年3月11日に監督が三畳間のアパートで地震の大きな揺れに遭うところから始まります。3週間後の4月3日に支援物資を運ぶ友人のトラックに乗って、監督は南相馬市に向かいそこで市議会議員の田中京子さんと出会います。田中さんとの出会いが本作を完成させるためには絶対的な条件であり、幸運でもありました。
田中さんの自宅は第一原発から20km以内の警戒区域内にあり、田中さんに同行することにより監督は警戒区域内に立ち入ることができました。田中さんが仲間達と経営する直売所の様子、自宅周辺の家が空巣に入られていること、また妻の脚が悪いことから避難せずに警戒区域内で暮らす夫婦がいること等、ありのままの姿を伝えています。
避難所に暮す被災者達は、決して悲しみに明け暮れている訳ではなく、地域住民同士が明るく仲良く生活し、原発に対する自分たちのこれまでの姿勢に反省の弁も述べながらも、前向きに生きていたことが分かりました。TVや新聞の報道は官製であり、いつも一方向的ですが、本作には真実の姿が描かれているように思えました。
映画のタイトル「相馬看花」は、中国の故事「走馬看花」からとられているそうです。本作にも、警戒区域内の相馬小高神社ではできなかった、相馬野馬追の仮神事の模様が映されています。次作の第二部はこの馬をテーマにしたものらしいですが、期待しています。
- 本当の 姿を映す ドキュメント
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