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2012年9月20日 (木)

最近観た映画(2012年9月#4:カルロス)

 欧州・北アフリカ・中東では伝説のテロリストとなった、カルロスの半生をドキュメンタリータッチで描いた仏作品でした。3部作で合計326分(5時間26分)の長編ですが、物語の展開はスピーディでスクリーンから目を離せませんでした。カルロスはコードネームで、本名はイリッチ・ラミレス・サンチェスでベネズエラ出身です。俳優エドガー・ラミレスが主役カルロスを演じており、彼もベネズエラ出身で西、英、伊、独、仏語を自由に操る語学の達人だそうです。仏映画の実力派監督オリヴィエ・アサイアスが脚本と監督を兼ねています。原題も"Carlos"です。

 物語(第1部)は1972年のパリから始まります。PFLP(パレスチナ解放人民戦線)の欧州のリーダーがモサドに暗殺され、その後任を務めさせろとPFLPのボスに要求することから、カルロスの活躍が一気にスタートします。フランスで逮捕された仲間を救おうと日本赤軍が企てたオランダ・ハーグの仏大使館占拠事件にも、カルロスが係わっていたらしいのです。彼らは大使と大使館員の人質と引換えに、仏政府からの仲間の釈放、30万ドルの現金、そして逃亡用の飛行機を用意してもらって逃亡しました。

 第1部には、どう全体のストーリーに関係するのか分かりませんが、シャワーを浴びた後のカルロスの全裸シーンがあります。とても大きい一物が…。革命やテロには女が付き物ですが、セックスが異常に強くなければ、革命もテロもする気力がないのでしょうか。

 第2部は、1974年2月にウィーンで開かれたOPECの会議の襲撃から始まります。サウジのヤマニ石油相を始めとした各国閣僚を人質に拘束しました。リビアの随行員を射殺したために、逃亡用のDC9はトリポリに降りられず、アルジェへ向かいました。妥協を重ね、結局2千万ドルの現金と引換えに、人質を解放し、イランに向かうことになりました。

 第3部では、ハンガリーのブタペストを拠点に、東ドイツやシリア等にネットワークを作り上げました。リビアとシリアがテロの資金援助をし、各国で暗躍するこになります。カダフィ大佐の命でエジプトのサダト大統領の暗殺を狙いますが、ムスリム同胞団に先を越されてしまいます。ハンガリーから追われ、シリアに潜伏します。その間に娘が誕生します。

 いよいよ1989年にベルリンの壁が崩壊し、東西冷戦が終了したため、シリアはテロリストが不要になり国外退去させます。結局は、イランの仲介でスーダンのハルツームに潜伏することになります。その前に、睾丸の病気による痛み、妻の子育ての不満、妻の離反等々、すっかりテロリストから普通の人間に戻ってしまいます。1994年に仏政府に確保され仏へ移送され、裁きを受けることになります。第1部で仏国から逃れる時に仏の役人を2人殺害しております。

 東西冷戦は相当過去の話ですし、テロを支援したような各国のリーダーもすでにこの世にいないような人が多いので、やや不思議な感じもします。ここ10年間問題になっているアルカイダは、カルロスの後米国のCIAが作り上げた(結果的には支援した)テロリスト集団ということになるのでしょうか。

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