最近観た映画(2012年10月#15:アウトレイジ・ビヨンド)
現代のやる気のなさそうなヤクザをやらせたら、北野武の右に出る者はいないと思われます。暴力団の縄張りを巡っての抗争が映画のテーマですが、凝ったストーリーと意表を付く演出により観客を飽きさせません。北野作品だからでしょうか、三浦友和、加瀬亮、中尾彬、西田敏行ら、いわゆるトップクラスの男優が勢揃いしています。このヤクザらしくないキャスティングは、時代に合ったものを考えていたのではないかと思われます。しかし、どう観ても中尾彬や西田敏行は端役であり、ヒットマンの高橋克也に至っては台詞がないという、さすがは北野監督という使い方でした。賞は受賞するがヒットしないといわれていた北野作品、今回は賞は逃したが大ヒットしているようです。
前作で死んだはずの大友(ビートたけし)が本当は刑務所で生きていて、出所後警視庁の暴力団担当の刑事片岡(小日向文世)にそそのかされて、大友との抗争の後規模を拡大させた山王会と戦うことになるというのが主題です。片岡刑事が、大友とは犬猿の仲だった木村(中野秀雄) を大友と組ませるように仕組み、暴力団同士を争わせて勢力をそぐという、さもありそうな話であることが面白いと感じました。いずれにしても、怒鳴り合いの段階から本格抗争の段階の入った途端に、殺し合いが始まりほとんどの登場人物が死んでいくというスピード感溢れる構成でした。終わり方がまた少し外れているような感じで、それがまた続編を予感させてく れるものでした。
以前、北野監督が金熊賞か金獅子賞を受賞して成田空港に意気揚々と帰国しました。その彼に、女性のテレビレポーターが近づいて「たけしさん、これからはどのあたりに力を入れていきますか」と質問しました。すると彼は何と「ポコチン」と一言発したのを記憶しています。テレビニュースでこのシーンを何度か観ましたので、「ポコチン」は放送禁止用語ではありませんね。
- やるきない ヤクザもヤクザ 今気質(かたぎ)
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