最近観た映画(2012年12月#5:砂漠でサーモン・フィッシング)
私の見立てですが、実にユニークで秀逸な作品でした。英国BBCの製作ということで、英国流ユーモアにあふれていますが、厳密なサイエンスの裏付けらしい議論もあったりして、実に多彩で意味深長な映画でした。
しかし、メインラインは家庭、夫婦生活、恋愛等の物語でもあります。それに、政治的なことも絡めるのも英国流と思えます。首相、広報官、外務大臣達が登場しますし、さらにアフガニスタンでの戦争、アラブ諸国との外交関係等が背景に織り込んであります。また、サーモン・フィッシング(鮭釣り)の愛好家が2百万人もいることを政治的に利用しようとしたり、また彼らが天然鮭の国外持出しに反対したりと、ややドタバタでもあります。
ストーリーは実に荒唐無稽です。サーモン・フィッシングが好きで、スコットランドにも城を所有するイエメンの大富豪(アマール・ワケド)が、5千万ポンド(約68億円)を出してイエメンでサーモン・フィッシングをできる場所を作るというのです。自分の名前が付けられたベイト(疑似餌)があるジョーンズ博士(ユアン・マグレガー)と富豪の資産管理をするハリエット(エミリー・ブラント)が組んで、火星に人を送り込むことと同様に理論的には可能なこのプロジェクトに取り組むことになります。
ジョーンズ博士はキャリア外交官の妻との関係に悩み、ハリエットは恋人の軍人がアフガニスタンに派遣され行方不明になってしまいます。二人の関係はパートナーとして活動を続ける内に、必然的に変貌していきます。
2007年に英国でベストセラーとなったポール・トーディの小説「イエメンで鮭釣りを(Salmon Fishing in the Yemen)」を、「フル・モンティ」や「スラムドッグ$ミリオネア」を担当したサイモン・ビューフォイが脚色し、スウェーデン出身のラッセ・ハルストレムが監督しました。原題は小説と同じですが、日本ではイエメンは余りなじみがないと思ったのでしょうか、邦題では変更されています。
- ユーモアに あふれる流れ サーモンと
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