カテゴリー「映画・テレビ(2012年)」の105件の記事

2012年12月26日 (水)

最近観た映画(2012年12月#10:おだやかな日常)

 東京郊外の街で、東日本大震災による福島第一原発事故後、目に見えない放射能の恐怖への対応を巡って考え、行動する二人の若い女性の姿を描いています。何も考えなければ真におだやかな日常なのですが、政府発表の情報が信用できるのか、インターネットに溢れる情報はどこまでが真実か、等々を考え出すと眠れなくなりそうです。二人の行動が周囲の人々の困惑も生み、大人のイジメのような現象も起きます。少々誇張はあると思いますが、実際にあっても不思議ではないことのようにも感じました。

 一児の少女の母親サエコを演じている、主役の杉野希妃(きき)は映画プロデューサーでもあり、「アジア・インディーズ映画のミューズ(女神)」とも呼ばれているそうです。ロッテルダム映画祭で知り合った内田伸輝監督から、震災後の2011年6月に本作の企画を持ちかけられ、プロデューサーと主演を兼ねました。イラン出身で最近は日本でも活動しているアミール・ナデリ監督がスペシャル・アドバイザーを務めていることが特筆すべきことでしょうか。本作は日米合作となっています。

 震災後に突然離婚を迫るサエコの夫、夫に西への転勤を迫る隣人のユカコ(篠原友紀子)、その夫の雇用主である妙に自信満々な若手起業家社長、マスク着用と屋外活動禁止を幼稚園に迫るサエコ、それに困惑する幼稚園職員達、不安を煽るとサエコを責める同じ幼稚園の母親(夫が電力関係者)、またそれに面と向かって反論できない他の母親、結構現実味がありました。

  • 危機の時 自分を信じて 生きられるか

是非 人気blogランキング へ

是非 ブログランキング【くつろぐ】へ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年12月22日 (土)

最近観た映画(2012年12月#9:レ・ミゼラブル)

 一年分位の感動をいただきました。劇場でのミュージカルに映画の良さを加えた、真の大作であると言わずにおれません。2時間半を超す作品ですが、全く厭きることなく終盤を迎え、裏の主役コゼット(アマンダ・セイフライド)が登場するあたりからは、感激の涙、涙でどうしようもありませんでした。

 20年余り前にミュージカルの本場ニューヨークの劇場にて「レ・ミゼラブル」を観ましたが、ドラマなので英語の歌詞が完全に分からなければ感動することができませんでした。今回の映画では当然ながら日本語の字幕が付いておりますので、翻訳の質はともかくとして内容は充分理解することができました。

 思い返せば、劇場では冒頭のシーンは円形の回転舞台の上で汚い男達がロープを曳いて歩くシーンでした。その時は何のことかよく分かりませんでした。映画では嵐の中上空からの俯瞰で破損した巨大木造船が登場し、実はそれをドックの中に曳き込んでいるのが、ジャン・バルジャン(ヒュー・ジャックマン)を含む服役囚達でした。冒頭から映画ならではのVFXの効果が抜群でした。

 聞くところによると、歌唱は俳優の演技と一緒に録音されたそうです。録音に使ったマイクはCGで消したとのことです。それにより、映画と観客の距離が一気に近くなり、映画ではあるがノンストップでやり直しのきかない舞台の雰囲気も再現することができております。したがって、ジャックマン、ラッセル・クロウ(シャベール役)、アン・ハサウェイ(ファンテーヌ役)、セイフライド、エディ・レッドメイソン(マリウス役)等、ヴォイストレーニングを積んだ歌唱力のある俳優を起用しております。私にとっては、ジャックマンは「リアル・スティール」での元ボクサー役が忘れられないし、レッドメイソンは「マリリン 7日間の恋」の若者役を思い出します。

 原作は、言うまでもありませんが、仏国文豪ヴィクトル・ユゴーの小説「Les Miserables(邦題:ああ無情)」です。本源作を27年前にロンドンでミュージカル劇に仕立てたキャメロン・マッキントッシュが本作製作に加わり、「英国王のスピーチ」でアカデミー賞を受賞したトム・フーパーが監督をしています。英国の映画です。

  • リアリティ すべてに勝る 感動を

是非 人気blogランキング へ

是非 ブログランキング【くつろぐ】へ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年12月15日 (土)

最近観た映画(2012年12月#5:砂漠でサーモン・フィッシング)

 私の見立てですが、実にユニークで秀逸な作品でした。英国BBCの製作ということで、英国流ユーモアにあふれていますが、厳密なサイエンスの裏付けらしい議論もあったりして、実に多彩で意味深長な映画でした。

 しかし、メインラインは家庭、夫婦生活、恋愛等の物語でもあります。それに、政治的なことも絡めるのも英国流と思えます。首相、広報官、外務大臣達が登場しますし、さらにアフガニスタンでの戦争、アラブ諸国との外交関係等が背景に織り込んであります。また、サーモン・フィッシング(鮭釣り)の愛好家が2百万人もいることを政治的に利用しようとしたり、また彼らが天然鮭の国外持出しに反対したりと、ややドタバタでもあります。

 ストーリーは実に荒唐無稽です。サーモン・フィッシングが好きで、スコットランドにも城を所有するイエメンの大富豪(アマール・ワケド)が、5千万ポンド(約68億円)を出してイエメンでサーモン・フィッシングをできる場所を作るというのです。自分の名前が付けられたベイト(疑似餌)があるジョーンズ博士(ユアン・マグレガー)と富豪の資産管理をするハリエット(エミリー・ブラント)が組んで、火星に人を送り込むことと同様に理論的には可能なこのプロジェクトに取り組むことになります。

 ジョーンズ博士はキャリア外交官の妻との関係に悩み、ハリエットは恋人の軍人がアフガニスタンに派遣され行方不明になってしまいます。二人の関係はパートナーとして活動を続ける内に、必然的に変貌していきます。

 2007年に英国でベストセラーとなったポール・トーディの小説「イエメンで鮭釣りを(Salmon Fishing in the Yemen)」を、「フル・モンティ」や「スラムドッグ$ミリオネア」を担当したサイモン・ビューフォイが脚色し、スウェーデン出身のラッセ・ハルストレムが監督しました。原題は小説と同じですが、日本ではイエメンは余りなじみがないと思ったのでしょうか、邦題では変更されています。

  • ユーモアに あふれる流れ サーモンと

是非 人気blogランキング へ

是非 ブログランキング【くつろぐ】へ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年11月28日 (水)

最近観た映画(2012年11月#12:人生の特等席)

 82歳のクリント・イーストウッドが久々に主演した作品でした。いまや米国文化の主要な要素になっているメジャーリーグベースボールをテーマとした映画ですが、少し日が当たらないスカウトという職業を前面に出しています。ハリウッド映画らしく、明るく、ユーモアにあふれ、苦しくても容易には投げ出さず、とにかく前向きな作品でした。ヘマをやったやつが簡単に首になって、うまくやったやつがすぐに昇進するという、いかにも米国的なエンディングで、久しぶりに米国にいるようなすっきりした気分になりました。

 老いて視力に問題が生じ、聴覚だけで勝負しようとするアトランタ・ブレーブスのスカウト・ガスに扮したイーストウッドは、老人になったダメ親父のいい味を出していました。何となく捨てられたと思っていた娘ミッキー(男の名前ですよね)(エイミー・アダムズ)が弁護士の仕事を休んで、父親に同行し、彼の眼の代わりになろうとします。その陰には、ガスの親友ピート・クライン(ジョン・グッドマン)のアドバイスがありました。ガスが昔スカウトしたピッチャーだが、肩を壊しために今はボストン・レッドソックスのスカウトをしているジョニー(ジャスティン・ティンバーレイク)とミッキーとの交流もさわやかな後味を残していました。

 イーストウッドと一緒に映画製作をしていたロバート・ロレンツが監督・製作をしています。今秋開催された第25回東京国際映画祭の特別招待作品で、公式エンディングとして上映されました。原題は、"Trouble with the Curve"で、直訳すると「(ピッチャーの投げる)カーブボールに対応できない(を打てない)」という感じでしょうか。原題は余りに情緒がないので、エイミーが映画中盤で使った台詞を邦題にしたものと思われます。

  • 米国の スポーツビジネス 文化にも

是非 人気blogランキング へ

是非 ブログランキング【くつろぐ】へ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年11月19日 (月)

最近観た映画(2012年11月#6:ふがいない僕は空を見た)

 R18+、つまり18歳以上指定の成人映画ですが、そういう感じは余りせず、性と生を中心に、いろいろと日常で簡単に解決しない問題に取り組んだ真面目な映画だと思いました。

 冒頭からあんず(田畑智子)とむらまさ(永山絢斗)のコスプレ同士のセックスシーンで始まるので、成人映画の雰囲気が余りなかったのかもしれません。あんずこと岡本里美は専業主婦ですが、不妊問題を抱えており、それについて義母から手強い要求を受けています。むらまさこと斉藤卓巳は高校生で、母子家庭の母親寿美子(原田美枝子)は助産院を経営していて、家からセックス中のような産婦の声が響いていることに戸惑っています。

 卓巳の学校の友人、福田良太(窪田正孝)は母親が家から出ており、アルバイトをしながら一人で認知症の祖母の面倒を見ています。卓巳は学校で可愛い女子同級生から告白を受けますが、里美にだんだん本当に惹かれていきます。里美の夫が盗撮した、二人のセックス写真が出回り、卓巳は不登校になってしまいます。終始助産師の寿美子がとても明るく、前向きなのが救いで、そこから生きるための一筋の光も見えてくるように思います。

 第24回山本周五郎賞(2011年)を受賞した窪美澄の同名の小説を、タナダ ユキ女流監督が映画化した作品です。

  • 性と生 どちらも大事 気持ちいい

是非 人気blogランキング へ

是非 ブログランキング【くつろぐ】へ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年11月 9日 (金)

最近観た映画(2012年11月#4:シルク・ドゥ・ソレイユ3D 彼方からの物語)

 いわゆるサーカス団のパフォーマンスを映画にしたものです。しかし、元オリンピック選手も含めた公演者のレベルが尋常ではありません。また小型カメラも駆使して、至近距離からまた空中から撮影した、徹底的に美を追求した3D映像には、真に目を見張るものがありました。

 本作品は、ラスベガスでしか観ることのできない、シルク・ドゥ・ソレイユの7つの公演を、少女と青年団員との恋の物語に組み上げたものです。製作総指揮があのジェームス・キャメロンであり、監督がアンドリュー・アダムソンです。3D映画も進化しているようで、今回の3Dメガネで観た立体映像はとても自然で観やすく感心しました。以前に購入させられて、持ち歩いてた3Dメガネを試しに使ってみたら、うまく観ることができませんでした。

 終盤には、ザ・ビートルズの名曲を使ったショーが連続して繰り広げられます。「オクトパス・ガーデン」、「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」、「ゲット・バック」そして「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」と続きます。フィナーレがまた「愛こそすべて(オール・ユー・ニード・イズ・ラブ)」でビートルズファンにはたまりませんでした。

 本作は先月末に開催された第25回東京国際映画祭の特別招待作品で、公式オープニングとして上映されました。

  • 空中の 見事なショーに 引き込まれ

是非 人気blogランキング へ

是非 ブログランキング【くつろぐ】へ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年10月25日 (木)

最近観た映画(2012年10月#15:アウトレイジ・ビヨンド)

 現代のやる気のなさそうなヤクザをやらせたら、北野武の右に出る者はいないと思われます。暴力団の縄張りを巡っての抗争が映画のテーマですが、凝ったストーリーと意表を付く演出により観客を飽きさせません。北野作品だからでしょうか、三浦友和、加瀬亮、中尾彬、西田敏行ら、いわゆるトップクラスの男優が勢揃いしています。このヤクザらしくないキャスティングは、時代に合ったものを考えていたのではないかと思われます。しかし、どう観ても中尾彬や西田敏行は端役であり、ヒットマンの高橋克也に至っては台詞がないという、さすがは北野監督という使い方でした。賞は受賞するがヒットしないといわれていた北野作品、今回は賞は逃したが大ヒットしているようです。

 前作で死んだはずの大友(ビートたけし)が本当は刑務所で生きていて、出所後警視庁の暴力団担当の刑事片岡(小日向文世)にそそのかされて、大友との抗争の後規模を拡大させた山王会と戦うことになるというのが主題です。片岡刑事が、大友とは犬猿の仲だった木村(中野秀雄) を大友と組ませるように仕組み、暴力団同士を争わせて勢力をそぐという、さもありそうな話であることが面白いと感じました。いずれにしても、怒鳴り合いの段階から本格抗争の段階の入った途端に、殺し合いが始まりほとんどの登場人物が死んでいくというスピード感溢れる構成でした。終わり方がまた少し外れているような感じで、それがまた続編を予感させてく れるものでした。

 以前、北野監督が金熊賞か金獅子賞を受賞して成田空港に意気揚々と帰国しました。その彼に、女性のテレビレポーターが近づいて「たけしさん、これからはどのあたりに力を入れていきますか」と質問しました。すると彼は何と「ポコチン」と一言発したのを記憶しています。テレビニュースでこのシーンを何度か観ましたので、「ポコチン」は放送禁止用語ではありませんね。

  • やるきない ヤクザもヤクザ 今気質(かたぎ)

是非 人気blogランキング へ

是非 ブログランキング【くつろぐ】へ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年10月20日 (土)

最近観た映画(2012年10月#11:ミステリーズ 運命のリスボン)

 約4時間半の2部形式の長編ですが、長時間にもかかわらず画面から目を離せない、とても秀逸な仏映画でした。ナポレオンが活躍していた後の19世紀の欧州が舞台です。ポルトガルのリスボンが主な舞台ですが、話の進行に応じてイタリア、フランス、スペインにも展開されます。

 まだ電燈のない時代ですが、欧州貴族のきらびやかな生活、修道院における宗教の世界、欧州の美しい自然、ナポレオン軍の行動等が、次々と展開されます。物語の区切りに現れる紙芝居、様々なナレーション、手紙を朗読する際のボイスオーバー等が駆使され、観客を飽きさせません。また、ストリングスを主とした音楽も良く、当時の雰囲気をよく醸し出していました。

 15歳の主人公ジョアンと神父ディニス(アドリアーヌ・ルーシュ)を中心にストーリーは展開されます。不思議なことにいずれの母親もミステリアスな背景を持つ美女として描かれています。いずれも大恋愛の末に子供を設けます。謎が一つずつ解けていき、それらが複雑に関係し合い、重なり合う様がとても面白いと思いました。最後のシーンでは、照明がロウソクではなく電燈になっていたような気がしましたが、時代の流れを示しているのでしょうか。

 昨年70歳で亡くなったラウル・ルイス監督が最後に創った大作で、ポルトガルの文豪カミロ・カステロ・ブランコの小説を映画化したものだそうです。原題はポルトガル語で"Misterios de Lisboa"で、直訳すると「リスボンの謎」でしょうか。

  • めくるめく 謎から謎へ 美しく

是非 人気blogランキング へ

是非 ブログランキング【くつろぐ】へ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年10月12日 (金)

最近観た映画(2012年10月#7:最終目的地)

 人生の最終目的地はどこでしょうか。そう考えさせられる映画でした。2008年製作の米国映画ですが、やっと今日本で公開されています。アンソニー・ホプキンスと真田広之が共演している話題の作品です。

 一作だけ有名な著作を残し自殺したユルス・グントの伝記を書く許可をもらうために、青年オマー・ラザキ(オマー・メトワリー)がウルグアイに住むグントの家族を訪れることから物語が展開していきます。ドイツから逃れてきたユダヤ人であるグントの広大な邸宅には、妻キャロライン(ローラ・リニー)、愛人アーデン(シャルロット・ゲンズブール)とその娘が同居しています。少し離れた家には、兄アダム(アンソニー・ホプキンス)とそのパートナのピート(真田広之)が住んでいます。オマー、そしてその恋人が、これらの世を捨てて暮らしていたような人々と関わることにより、それぞれがそれぞれの人生の最終目的地に向かって再び歩み出していきます。

 米国の現代作家ピーター・キャメロンの原作を名匠ジェームス・アイヴォリー監督が映画化したものだそうです。原作では、ピートはタイ人であったが、真田の起用により、脚本では日本人に変えられたそうです。原題は"The City of Your Final Destination"です。

  • 人生は どこまで往けど 未開の地

是非 人気blogランキング へ

是非 ブログランキング【くつろぐ】へ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年10月 2日 (火)

最近観た映画(2012年10月#1:エージェント・マロリー)

 名匠スティーヴン・ソダーバーグが、ムエタイそして総合格闘技の本物の選手であるジーナ・カラーノを起用して製作したスパイ・アクション映画です。ジーナ(エージェントのマロリー・ケイン役)の体を張ったアクションが見物です。

 ストーリーは、時間的にも前後し、場所がニューヨーク州北部⇒バルセロナ⇒サン・ディエゴ⇒ダブリン⇒ニューヨーク州北部⇒ニューメキシコ⇒某海岸⇒スペイン語圏のリゾートと転々とするので、若干分かりにくさがあります。

 しかし、ハリウッドを代表する男優陣、ユアン・マグレガー(ケネス役)、マイケル・ファスベンダー(ポール役)、マイケル・ダグラス(コブレンツ役)、チャニング・テイタム(アーロン役)、アントニオ・バンデラス(ロドリゴ役)等が脇を固めており、アクションには隙がなく、映像を堪能できると思います。

  • 強すぎる 女にも また 色気あり

是非 人気blogランキング へ

是非 ブログランキング【くつろぐ】へ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧