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2013年2月19日 (火)

最近観た映画(2013年2月#13:故郷よ)

 チェルノブイリ原発事故が起きたのが1986年4月26日、それから25年程経って立入り制限区域内で初めて撮影された映画が本作「故郷よ」です。イスラエル出身で今はフランスで暮らす女性監督ミハル・ボガニムが脚本と監督を兼ねました。彼女の母方にはチェルノブイリのあるウクライナの血が流れているそうです。立入り制限区域内での撮影許可を得るのには相当に苦労したらしく、余りいい話ではありませんが、やむを得ずダミーの脚本も用意してようやく許可されたという話もあります。

 本作品は仏・ウクライナ・ポーランド・独の4ヶ国による合作で、仏語、露語そしてウクライナ語が使われているようです。原題は仏語で"La terre outragee"、直訳すると多分「踏みにじられた(穢された)大地」という感じでしょうか。原発事故で汚染された故郷を追われた人々のつらい経験を描いております。邦題「故郷よ」は明るく、前向きでいいのですが、少し本作の狙いからはそれているかもしれません。

 主役アーニャを演じるのは、ウクライナ出身の女優オルガ・キュリレンコです。2008年の「007/慰めの報酬」ではボンドガール・カミール役に抜擢され、注目されました。本作に惚れ込んだ彼女は、自ら監督にアーニャ役の志願をしたそうです。美人過ぎるという反対意見もあったようですが、体当たりの演技で幅広い役柄を演じられることを示しています。小振りですが、魅力的なパイオツも披露してくれました。

 物語は事故直前のプリピャチの美しい自然と人々の生活から始まります。1986年4月26日にアーニャは消防士のピョートルと結婚式を挙げます。そこで加藤登紀子がカバーしていた「百万本のバラ」が歌われます。ロシア語の流行歌謡曲だったんですね。新婦も歌い始めた時に、ピョートルが森林火災の対応で駆り出されます。

 10年後母と隣町スラヴィティチに暮すアーニャは、月の半分はチェルノブイリの観光バスのガイドをしています。髪が大量に抜けるアーニャの心が、夫の同僚で、彼女を慕うセルゲイとプリピャチで暮らすか、フランス人の恋人パトリックとパリに移住するか、それとも母と住みガイドを続けるかの選択の狭間で揺れるところをとても巧く描いていました。

 私見ですが、福島原発事故に参考になるところも多かったと思います。ただ、絶対的に違うのは国土の広さです。チェルノブイリ事故では、約40万人が故郷を離れ、500万人以上が汚染地域で暮らすことを余儀なくされているそうです。チェルノブイリ事故の放射線被曝による死者数は、チェルノブイリ・フォーラムの発表では4,000人になっていますが、最終的には5~9万人になると見られているとのことです。

  • 人類の 意にならぬもの 原子力

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