最近観た映画(2013年2月#3:ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日)
動物の描写、特に水中の人間や動物の動きに3Dを応用するとどうなるかという問いに、この映画は答えていると思います。水中での3Dを駆使した人間、虎、魚たちの動き・姿にはとても感動しました。また、朝昼夜いろいろな光の中、上空や海中から漂流するボートの姿を映した美しい映像には真に感心しました。
そもそも映画になりそうもない、カナダ人作家ヤン・マーテルのベストセラー小説「パイの物語"Life of Pi"」(2001年)を3Dにできたのは、アン・リー監督の執念が実ったものと考えられます。アジア出身監督で初めてアカデミー賞監督賞を獲得しただけのことはあります。VFXには相当なリソースが注ぎ込まれたと思われます。エンドロールの最後に表示されましたが、本作の制作に係わった人数が1万4千人、そ して費やした人的リソースが60万人時というのも妙に納得させられました。
父親が創業したインドの動物園で生まれた主人公パイが、なぜ円周率πを意味する名前を名乗るようになったかから物語は始まります。時代の流れで動物園が行き詰まり、動物をカナダで売却するために、一家と動物たちは日本の船に乗船します。途中マリアナ海溝の辺りで遭難し、パイは結局ベンガルトラのリチャード・パーカーと長く漂流することになります。これからの映画では、話題豊富なインドとインド人の存在が大きくなるのではないかと感じました。
撮影は元フランス領のインド・ポンディシェリとリー監督の故郷台湾で主に行われたそうです。台中の飛行場跡に世界最大級のタンクを作り、そこを撮影に最大限に活用したとのことです。映画の原題は小説と同じですが、邦題は小説の翻訳版とは異なり英語のカタカナ読みになり、やや長い説明文が付けられました。本作は、今年の第85回アカデミー賞の作品賞を始めとした主要11部門にノミネートされています。
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