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2013年3月 3日 (日)

最近観た映画(2013年3月#1:ジャンゴ 繋がれざる者)

 クエンティン・タランティーノ監督による真に痛快なマカロニ・ウエスタン・コメディでした。今年一番の傑作といってもいいと思いました。米国の恥部の一つである奴隷制度への強烈なアンチテーゼ、馬に乗るガンマンの黒人が主人公というとても特別な設定、米国南部ではありえないドイツ系歯科医の賞金稼ぎ等々、新鮮でユニークで面白い場面の連続に胸がわくわくしました。スピルバーグ監督のやはり反奴隷制度の映画「リンカーン」とともに、今年の第85回アカデミー賞の2冠ずつを獲得しました。

 ストーリーはとにかく荒唐無稽でした。アカデミー賞助演男優賞を獲得したクリストフ・ヴァルツがドイツ系歯科医の賞金稼ぎDr.キング・シュルツを演じます。映画は、彼が賞金稼ぎの情報獲得のために奴隷のジャンゴ(ジェイミー・フォックス)を救い出すところから始まります。Dr.シュルツの指導・教育により、ジャンゴは馬に乗る黒人のガンマンで賞金稼ぎに成長します。ジャンゴが指名手配犯の白人たちを痛めつけるシーンでは、米国の黒人観客達が拍手喝采を送ったそうです。二人はジャンゴの妻を捜すためにミシシッピ州南部の大プランテーションにたどり着きます。そこのオーナーがムッシュ・キャンディで、レオナルド・ディカプリオが初の悪役を熱演しています。黒人の執事スティーブン(サミュエル・L・ジャクソン)は実は黒人の最大の敵でした。

 終盤はタランティーノ監督らしい撃合い、殺し合いの激しいアクション、しかし少し人が死に過ぎる感じがしました。主人公ジャンゴが不死身に観えてくるのは、ブルース・ウィリスかリーアム・ニーソンかジェイソン・ステイサムのようにも思えました。エンドロールの後に3人の自由な黒人たちが登場しますが、これこそ繋がれざる者(Unchained)でしょうか。原題は"Django Unchained"で、私なら「ジャンゴ 鎖から放たれて」と訳します。2時間45分の長尺ですが、最後まで興味は尽きませんでした。

  • 奴隷制 今でも続く 痛みかな

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