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2015年12月の3件の記事

2015年12月30日 (水)

12月下旬(21日~31日)に観た劇場映画

12月下旬(21日~31日)は、12本の劇場映画を観ました。いい作品が多かったように思います。これで12月の鑑賞数は33本となりました。2015年1年間では、何とか300本の劇場映画作品を観ることができました。

▼独裁者と小さな孫(ジョージア・仏・英・独) ⇒イラン人監督の作品 イランでは映画製作できないので、亡命先で製作 民主主義のない国ではこういうことになるのか エンディングには驚いた 原題は"The President"
▼マイ・ファニー・レディ ⇒舞台はニューヨーク・シティであり、ウディ・アレンの作品かと錯覚 喋くりが多く、オードリー・ヘップバーン主演の「ティファニーで朝食を」へのオマージュに溢れたドタバタ喜劇 原題は"She's Funny That Way"で、昨年の東京国際映画祭ではこのままの邦題「シーズ・ファニー・ザット・ウェイ」で上映
・ベテラン(韓) ⇒普通のTV刑事番組と余り変わらないか 韓国では、国家権力と結び付いた財閥の犯罪に警察が切り込むのが難しいらしい 原題も"Veteran"
・ハッピーエンドの選び方(イスラエル・独) ⇒イスラエルの高齢化社会問題に、コメディ調で切込む ユダヤ教では許されていないが、無駄な延命治療を嫌い尊厳死(安楽死)を望む人も多いらしい 原題は"The Farewell Party"=「送別会、お別れ会」
▼ひつじ村の兄弟(アイスランド・デンマーク) ⇒アイスランド製作の作品は初めて観たような気がする 荒涼とした風景の中で、羊達と共生する人々の暮しが印象的 英国で流行した、脳を破壊される羊の病気スクレイピーがアイスランドにも発生しているのか 隣人ながら40年間も口も利かない老兄弟の関係が、この病気の発生により変化しクライマックスに向かう 原題は"Hrutar"(アイスランド語)="Rams"(英語)=「牡羊」

▼神様なんかくそくらえ(米・仏) ⇒ニューヨーク・シティのジャンキー達の生態を、手持ちカメラを多用して撮った、延々と続く映像に圧倒された 富田勲の音楽もとても印象的 2014年の第27回東京国際映画祭コンペティション部門で最高賞にあたる東京グランプリと最優秀監督賞を受賞したらしい ヒロイン・ハーリーを演じたアリエル・ホームズの自伝を映画化 原題は"Heaven Knows What"=「天国は何を知るものぞ」?
▼レインツリーの国 ⇒人気作家有川浩の同名小説を映画化 最近彼女は出版社との関係で話題になっている さすがに泣かせるポイントをいくつも備えているが、やや作為に過ぎると感じるところも… ヒロインの西内まりあ(人見利香)がとても可愛らしく好感度が高い 博多美人か… レインツリーは南国のマメ科の大木らしく、ネムノキ(合歓木)によく似た花を沢山つけるとのこと
▼完全なるチェックメイト ⇒米国の伝説的天才チェスプレイヤーのボビー・フィッシャーの半生を映画化 ユダヤ人家庭に生まれたボビーは、共産党員とユダヤ人を嫌う等、相当に変人だったらしい 米ソ冷戦の中アイスランドで、ソ連が誇る世界チャンピオンのボリス・スパスキーに挑戦する場面がクライマックス 原題は"Pawn Sacrifice"=「ポーン犠牲戦法」 これはアイスランドの第6戦でボビーが取った新戦法のことで、これまでのチェスの最優秀棋譜と言われているそうだ
▼クリード チャンプを継ぐ男 ⇒シルベスター・スタローンの「ロッキー」シリーズを継ぐ作品 ロッキーのライバルであり盟友であったチャンピオン、アポロ・クリードの息子アドニス・ジョンソンが主人公 スタローン(ロッキー・バルボア)もセコンド役で出演 新しいシリーズ化を企画か 原題も"Creed"
・あの頃エッフェル塔の下で(仏) ⇒原題"Trois souvenirs de ma jeunesse"="Three memories of my youth"=「青春の三つの思い出」が示すように、少年時代、ソ連、エステルの3章からなるオムニバス 喋くりと手紙の多い、フランス的な作品

・禁じられた歌声(仏・モーリタニア) ⇒西アフリカ、マリ共和国の古都ティンブクトゥをイスラム過激派アルカイダが占拠し、やや気紛れなイスラム原理主義による統治・圧政に苦しむ人民の姿を描く マリでは撮影できなかったため、隣国モーリタニアでロケ 日本からは遠い国の話なので小生には実感が湧きにくかったが、近い欧州では事情が異なるのだろう 原題は"Timbuktu"
▼友だちのパパが好き ⇒話は結構凝っているが、さもありそうな感じになっており、半分笑ってみることができた やや極端な話ではあるが、日本の家族や社会の一面を的確に捉えているように思う 監督はソフトバンクのTV-CFで有名な山内ケンジとのこと

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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2015年12月20日 (日)

12月中旬(11日~20日)に観た劇場映画

12月中旬(11日~20日)は、10本の劇場映画を観ました。話題作が多かったのですが…。

・アンジェリカの微笑み(蘭・西・仏・伯) ⇒今は亡きポルトガルのオリベイラ監督が、101歳の時に製作した作品 上映前のトークイベントに登場した立川志らくによれば、本作は美術館を訪れるような作品で品があるそうだ 小生はかなりの間流れ続けているショパンのピアノ曲も好かったと思う 原題はポルトガル語で"O Estranho Caso de Angelica"、グーグルで翻訳すると「アンジェリカの奇妙なケース」だが、英語では"The Strange Case of Angelica"なので真意は「アンジェリカにまつわる不思議な出来事」位か
・orenge オレンジ ⇒若者を泣かせるツボはずっと押えていたが… 原作の漫画がそうなのだろうから仕方がないかもしれないが、10年後本人からの手紙の内容がなぜ少しずつ小出しになるのか 死亡原因が分かっているならば、それを直接防ぐ方法は沢山あったはず さらに、最初の恋のライバル・先輩女生徒は途中からどこへ消えたのか、終盤に友人の男が抱いている赤ちゃんは誰の子か、またタイトルの「orenge オレンジ」とは…
★杉原千畝 スギハラチウネ ⇒「日本のシンドラー」と言われる杉原千畝のことはかなり以前から知っていたが、改めて彼の信念の半生を学び大感動 彼はリトアニアのカウナスでユダヤ人難民に2,139枚の日本通過ビザを発行し、この「命のビザ」により少なくとも6,000人が救われたそうだ 現在彼らの子孫は4万人に達しているとのこと 杉原が英・露・独・仏等の数ヶ国語を操る一級のインテリジェンス・オフィサーであったことは知らなかった その証拠として当時のソ連からは「ペルソナ・ノン・グラータ(persona non grata):好ましからざる人物」と指定されソ連入国が許されなかった 1941年にドイツが独ソ不可侵条約を破棄しソ連侵攻を図ることも正確に調査・把握し、東京に打電していたらしい 国の外交官は、やはり国対国の関係において、外国でも充分に尊重され保護されていたことを再確認 ポーランドの名優たちも参加し、ポーランドでのオール・ロケで撮影とのこと
▼ローマに消えた男(伊) ⇒政党のリーダーを務め、選挙戦を戦うのは相当な心労があるのだろう イタリア流のユーモアでそのあたりを描き、予想外の展開で新たな生き方に想いを馳せる 原題は"Viva la liberta"で、「自由に生きる」という意か 「イタリア映画祭2014」での邦題は「自由に乾杯」
・劇場霊 ⇒音楽が恐ろしげだったが、正直に言って余り怖くはなかった 舞台をネタにしたホラー作品では、「死霊高校」の方が上か

▼海難 1890(日・土) ⇒1890年9月に和歌山県樫野崎沖で座礁・遭難した、オスマン帝国の軍艦エルトゥールル号の乗組員達を日本人が命がけで救出・看護したことは、トルコでは学校で学ぶそうだ 1985年3月にイラン・イラク戦争から逃れる在イラン日本人達を、テヘラン空港で増便されたトルコ航空機の席を譲り搭乗させた在イランのトルコ人達は、この記憶と恩を思い出したのだろうか 日・土のつながりは強い 日本でも学校でこれらを教えた方がいいのでは… 11月15・16日にトルコのアンタルヤで開催の20カ国・地域首脳会議(G20)に先駆け、現地時間の11月13日(金曜)夜にトルコ共和国・ユルドゥズ宮殿にて、プレミア上映会を開催 この上映会では、安倍首相とトルコのエルドアン大統領の二人も本作を鑑賞
・リトルプリンス 星の王子さまと私(仏) ⇒日本語吹替版で鑑賞したが、アニメだとやはり実感が湧かない 原題も"The Little Prince"
▼母と暮せば ⇒山田洋次監督はやはり喜劇製作の方が合っているのでは… 小生には、本作の主演は黒木華(佐多町子)のように感じた やはりこれから生きていく人の方が圧倒的に存在感が強い レイトショーとはいえ観客8人は寂しかった 忘年会シーズンであり、先行する「007 スペクター」と後続する「スター・ウォーズ フォースの覚醒」に挟み撃ちか
・A Film About Coffee ア・フィルム・アバウト・コーヒー ⇒コーヒー好きの小生には心地よい時間だった
▼スター・ウォーズ フォースの覚醒 ⇒100億単位の制作費をかけたらしいので、前宣伝がオーバーなのは仕方がないか 親子が不幸にも善悪の両サイドに分裂し争うのが、スター・ウォーズの底流にある思考のように思う 小生には、全く違う世界の話なので、実感が湧かない ただ、新しいドロイド"BB-8"は可愛らしかった これが三部作の開始なのだろうか 原題は"Star Wars: The Force Awakens"

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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2015年12月10日 (木)

12月上旬(1日~10日)に観た劇場映画

12月上旬(1日~10日)は、11本の劇場映画を観ました。今月は3回に分けてレポートすることにしました。

▼裁かれるは善人のみ(露) ⇒ロシアのフィルム・ノワールのような作品 ロシアでは権力に逆らうと何も思いどおりにならず、まるで専制君主時代のような世の中なのか 原題は"Leviathan"で「全体主義的国家」を意味するらしい
★黄金のアディーレ 名画の帰還(米・英) ⇒戦後はまだまだ終わっていないということを再認識させる、とても優れた作品 ナチスに奪われた名画の奪還のための法廷闘争と、ナチスによるユダヤ人迫害からの米国への脱出を、時間を前後させて描く 結局、ナチスに染まったオーストリアが自国民であるウィーン在住の裕福なユダヤ人家族を迫害・略奪したことに対する贖罪が名画の帰還か ヘレン・ミレンがオーストリアから米国に逃れた難民米国人マリア・アルトマンを熱演し、クリムトが描いた叔母のアディーレの肖像画「黄金のアディーレ」を取り戻そうとする 鑑賞後の感想としては、日本の中国や韓国への贖罪もまだ終わっていないのではないか… 原題は"Woman in Gold"で直訳すると「黄金の女性」だが、これはヒロインのマリアのことも意味しているのか
・エール!(仏) ⇒本人以外は聴覚障害者である家族で育った高校生ヒロインのポーラが歌手を目指す 原題は"La famille Belier"で「牡羊座の家族」とは何か
・ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューション ⇒確か本シリーズ4作目だったかと思うが、それらの中では一番分かりいいと感じた しかしその分、訳が分からないが作品を魅力的にしている要素は減ったか とにかくジェニファー・ローレンスのファンにはたまらない作品らしい 原題は"The Hunger Games: Mockingjay - Part 2" 映画では、"Mockingjay"は革命のシンボルであり「マネシカケス」と訳されている すぐには翻訳の意味が分からないが、「モノマネする、又はからかう(mocking)」「カケス(jay)」ということらしい
・放浪の画家ピロスマニ(グルジア:ジョージア) ⇒1969年当時ソ連の一部だったグルジア(ジョージア)の作品 グルジアを代表する画家ニコ・ピロスマニの半生を描く 「FOUJITA」でもそうだったが、芸術家は直感的で論理的ではないので、映画は論理的には分かりにくいが、単純に映像を楽しむものか また、小生にはグルジアの人々の顔を見分けるのがやや難しかった デジタルリマスター版なので映像はやや不自然に鮮やか 原題も"Pirosmani"

・さようなら ⇒本物のアンドロイドが映画出演した初めての作品か テーマは分かりやすそうで分かりにくかった どこでロケしたのか(那須高原あたりか)分からないが、枯草に覆われた荒涼とした風景の中に一軒家がある映像は終末的で美しかった
▼グリーン・インフェルノ(米・チリ) ⇒カニバリズムを追及した残酷作品だが、マニアの間ではかなり話題になっているようだ 映像的には園子温監督の「冷たい熱帯魚」を思い出した 前半は非政府活動の欺瞞を真面目に描いているが、後半はカニバリズムの映像一色になり、この落差も見物か そろそろ消化不良で食傷気味になりそうなところでエンディングになるが、最後の証言も何と欺瞞に満ちていることか…
▼007 スペクター ⇒冒頭のメキシコシティーの死の祭から始まって、次々と目が離せない展開に それにしても劇場は満員で、やはりさすが「007」か 前作からもう3年目、第24作目の「007」シリーズ いつから「007」シリーズはハリウッドの作品になったのだったか だが2時間半は長すぎないか ダニエル・クレイグとレア・セドゥーが小生の好みの役者に代わってくれたら… 原題は"Spectre"で、意味は「 幽霊, 亡霊 (ghost); こわいもの, 恐ろしいもの」らしい 映画ではSPE(特殊執行機関=Special Executive)、C(敵スパイへの防諜工作=Counter-Intelligence)、T(テロ=Terrorism)、R(復 讐=Revenge)、E(強奪=Extortion)の頭文字を合成した架空の国際犯罪組織として描かれているとのこと
・起終点駅 ターミナル ⇒北海道の釧路在住の直木賞作家桜木紫乃の小説を映画化 彼女の小説は嫌いではない しかし、本作では、主人公鷲田完治(佐藤浩市)の学生時代の恋人冴子(尾野真千子)が、なぜ完治の司法試験合格直前に去ったのか、また北海道で再会し幸せの絶頂だった時になぜ… これらが気になって後を引いた
▼愛を語れば変態ですか ⇒「浮気」を「愛」と言い換えただけでこんなに会話が弾むなんて まるで舞台の不条理劇のよう 話が進むにつれてだんだん馬鹿馬鹿しさが強烈になって、面白かった

▼コードネーム U.N.C.L.E. ⇒昔テレビの深夜放送でドキドキしながら観た「0011ナポレオン・ソロ」を思い出しながら劇場へ 昔のテレビ番組より垢抜けていてスマートだった 意外にも劇場では女性の観客が多かった 1960年代の米ソ冷戦時代の話なので、旧型の車が走り回り、携帯電話もなく、登場人物も米ソと第3極だけと、分かりやすかった 娯楽映画としては成功と思うが、イスタンブールを舞台とした続編を本当に創るつもりか 原題は"The Man from U.N.C.L.E." U.N.C.L.E.は、ナポレオン・ソロが属する組織"The United Network Command for Law and Enforcement"の略らしい

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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