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2016年9月10日 (土)

9月上旬(1日~10日)に観た劇場映画

9月上旬(1日~10日)は、13本の劇場映画を観ました。三部構成の作品が1本ありますので、実質は15本でしょうか。また、少し★が多過ぎでしょうか。学校の夏休みが終了しましたが、シネコンは若い人でとても賑わっています。今後やや長期の映画ブームが続くような予感がします。

・ゆずの葉ゆれて ⇒佐々木ひとみの小説「ぼくとあいつのラストラン」の実写映画化 鹿児島の美しい大自然の中でロケ 祖父母、父母、そして主人公・武の三世代の生活を描く ローカルだが波乱に満ちた人生をファンタジックに観せてくれる
・アスファルト(仏) ⇒フランスの団地映画が、日本の団地映画(坂本順治監督の「団地」と是枝裕和監督の「海よりもまだ深く」)ブームに加わった 原題も"Asphalte"(仏)="Asphalt"(英)
★ゴーストバスターズ ⇒女性達を主役にしてリニューアルしたコメディ・アクション作品 コメディだけあって、漫才のような小気味よい、下ネタも沢山捻り込んだ会話は秀逸 エンドロールも背景がブレークダンスで最後まで楽しませてくれる エンドロール後のラストシーンは続編を匂わせる
★後妻業の女 ⇒水の都・大阪を舞台に、テンポの良い、大阪漫才風な会話とストーリーでめちゃ面白い 大阪のえげつない商売話は魅力的 ただし、金持ちはケチだから、現実はこんなに簡単には騙されないとは思うが… 内容が内容だけに、割と高齢の観客が多かったように思う
・太陽のめざめ ⇒反抗的で暴力的な少年の更生に挑む判事(カトリーヌ・ドヌーブ)を描く 多分こういう少年は統合失調症でもあるから、愛だけでは問題は解決しないと思うが… 原題は"La tete haute"(仏)="Heads up"、本来「警告、注意」の意味らしいが「頭を上げて前向きに」という意味も込められているかもしれない

・火 Hee ⇒桃井かおりの独演劇のような作品 芥川賞作家・中村文則の短編小説「火」を桃井が監督兼主演で映画化 精神分析医の役割や限界にも言及か
・フォトグラファーズ・イン・ニューヨーク ⇒人種のルツボであり、先進カルチャーが発生しまた世界中から集まる大都会・ニューヨークの人々と街は、やはり写真の絶好の被写体か 原題は"Everybody Street"で、和訳すると「皆(人々)がいる通り」か
・グランド・イルージョン 見破られたトリック ⇒米国のショー会場から突然中国のマカオにワープするところが前半の見所 そのトリックが種明かしされるが、今一つピンとこない その後は緊張が続かなかった 原題は"Now You See Me 2"で、和訳すると「さあ私をご覧下さい 第二部」の感じか
・ディアスポリス DIRTY YELLOW BOYS ⇒在東京の不法在日外国人たちのための秘密組織「裏都庁」があり、そして銀行、病院や警察も存在するという発想は面白い 東映作品らしくアクション満載
・君の名は。 ⇒若い観客(男性が多いらしい)でいつも満員でなかなか鑑賞できなかった 新海誠監督のオリジナル作品の映像は美しい 神木隆之介と上白石萌音の声優陣もいい 原作小説も漫画もありマルチ・チャネル

▼キング・オブ・エジプト ⇒古代エジプトを舞台にした神話的超アクション大作 エジプトの支配者・神はすべて金の血が流れる超能力者という設定 話は宇宙まで広がるが、超能力者(ミュータント)と巨大建造物に代表されるエジプト文明は、VFXを介して相性が良さそうだ 原題は、邦題と微妙に異なり、"Gods of Egypt"=「ゴッド・オブ・エジプト、エジプトの神々」
★エミアビのはじまりとはじまり ⇒いかにも、いかにもと笑って観ているいるうちに、しんみり泣かせるという、見応えのある手練手管 濃いメイクをしたマネジャー・高橋夏海(黒木華)が意外に美人 先輩芸人の黒沢拓馬(新井浩文)とともに、若手主役二人を見事に支える 「エミアビ」とは果たしてどういう意味か 「舟を編む」で第37回日本アカデミー賞最優秀脚本賞(2014年)を受賞した渡辺謙作監督のオリジナル作品
★チリの闘い 第一部:ブルジョワジーの叛乱 第二部:クーデター 第三部:民衆の力(チリ・仏・キューバ) ⇒チリのクーデターや軍事政権の話は聞いたことはあったが、こんなことがあったのかという気がした 米ソ冷戦下での代理闘争でもあったようだ 1970年にマルクス主義を掲げて民主的選挙で世界史上初めて成立した社会主義政権、サルバドール・アジェンデ大統領が率いる人民連合政権(1970~1973)の最後の動乱に満ちた数か月を追ったドキュメンタリー(三部合計約4時間半の長尺) 社会主義政権成立の陰にはソ連がいたのだろうが、その政権を転覆させるために米国(CIAが主役)が右派に資金援助して実行させた、デモ、スト、クーデター等が描かれている パトリシオ・グスマン監督は公正で、分析的な記録を目指したのだろうが、主に労働者側を取材しているので(武器を持たない)左派側に同情的な論調になっている アジェンデ政権が米国の後援するピノチェト将軍が率いる軍のクーデターにより最後を迎えるのが1973年9月11日(これが元祖9.11) グスマン監督らは何とか国外に逃れることに成功し、フィルムも秘密裡に国外に持ち出されたようだ フィルム提供にフランスが、ポスプロにキューバが係わったので製作国に名を連ねる 昨年日本でも公開されたグスマン監督の最新作「真珠のボタン」と「光のノスタルジア」も印象的だった 原題も"La batalla de Chile"(西)="The Battle of Chile"

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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