9月中旬(11日~20日)に観た劇場映画
9月中旬(11日~20日)は、11本の劇場映画を観ました。音楽をメインテーマにした良い作品に出合いました。
・セルフレス 覚醒した記憶 ⇒脳科学が発展し、人工知能が高度化する現在、脳の再生や記憶の再現をテーマにした映画作品が増加中 本作もその一環か 米国で人気上昇中のライアン・レイノルズが主演 原題は"Self/Less" 途中に入っているスラッシュを解読すると「"Self"(私利私欲、利己的)と"Selfless"(無私無欲、献身的)とのはざまで」という感じか
★ハートビート(米・ルーマニア) ⇒ニューヨークは芸術の都 一流のダンサーと音楽家が集まって本作を製作 学校での厳しい練習からコンテストまでを、いろいろなニューヨークらしいエピソードを交えて描く 終盤のコンテストの場面が最高潮 主役達の曲は新曲らしいが、ライバルの曲はヴィットーリオ・モンティ作曲の「チャルダッシュ」だった 原題は"High Strung" あえて和訳すると「極度に緊張している、興奮している」らしいが、楽器の弦(string)に関連した言葉を使っている
・グッバイ、サマー(仏) ⇒夏休みに14歳の少年二人が手作りの家型の車で冒険旅行に出る物語 その過程でイジメに遭っていた少年が成長する フランス・ベルサイユ出身のミシェル・ゴンドリーの思い出の作品か 原題は"Microbe et Gasoil"(仏)で、少年二人のあだ名 直訳すると「微生物・細菌とガス・油」か
★ソング・オブ・ラホール ⇒パキスタンのラホールは、ムガル帝国時代には芸術の都で、音楽が盛んだったとは知らなかった イスラム原理主義の軍政とタリバンにより音楽が禁止され、消滅しようとしていた2000年代初期に、パキスタン音楽再興を目指し、ジャズ・ナンバーの「テイク・ファイブ」までにもトライし、ついにはニューヨークのリンカーン・センターでの共演に漕ぎ着けるまでを感動的に描く 特に終盤の演奏の場面は文句なく素晴らしい 原題も"Song of Lahore"
・マイマイ新子と千年の魔法 ⇒山口県防府市出身の作家・高樹のぶ子の幼少期の自伝的小説「マイマイ新子」を片渕須直監督がアニメ映画化(2009年) 片渕須直監督の新作「この世界の片隅に」が11月12日に公開されるのを控えてのリバイバル上映 千年前には清少納言が防府にいたのだろうか
・ジャニス リトル・ガール・ブルー ⇒1970年に27歳の若さで亡くなった、米国の伝説的ブルース・ロック歌手ジャニス・ジョプリンのドキュメンタリー 声量豊かなハスキー・ヴォイスに圧倒された 彼女をモデルにした、ベッド・ミドラー主演の作品"The Rose"(1979年)を米国の田舎の劇場で観たのを思い出した 原題も"Janis: Little Girl Blue"
・人間爆弾「桜花」 特攻を命じた兵士の遺言(仏) ⇒昨年93歳で亡くなった元海軍大尉の林冨士夫さんの独白ドキュメンタリー 彼は人間爆弾「桜花」の特攻兵に志願したが、送り出す仲間を指名するだけで自分は特攻しなかった 官僚組織に埋没・安住すると、日本人は誰も自分のこととして考えない習性があるのかもしれないと感じた 同様に東京都政にも注目したい
・アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲(プレリュード)(仏) ⇒クロード・ルルーシュ監督お得意の大人の恋愛作品 名コンビのフランシス・レイが音楽を担当 今回は舞台がインドで、ニューデリー→ムンバイ(ボンベイ)→ケーララ州と鉄道旅行をし、聖女アンマに会う インドは本当に別世界 全編にわたり会話が魅力的であり、終盤にはかなりの仕掛けが 原題は"Un + une"(仏)で、1966年の出世作「男と女」="Un homme et une femm"(仏)の仏題の冠詞だけ残したものか
▼イングリッド・バーグマン 愛に生きた女優(スウェーデン) ⇒本人が残した日記、写真から動画までの膨大な資料を基に構成したドキュメンタリー 意外にも計5人もの子供をもうけた肝っ玉母さんであり、その子供達が本作にも登場 36歳年上の大女優の印象は、小学校の先生に体育館で観せてもらった「誰が為に鐘は鳴る」(1943年)のものしかない ただお蔭で後程ヘミングウェイの同名長編小説を完読 原題は"Jag ar Ingrid"(スウェーデン語)="I'm Ingrid"=「私はイングリッド」
▼オーバー・フェンス ⇒1990年に41歳で自死した、函館市出身の小説家・佐藤泰志の同名原作の映画化 「海炭市叙景」(2011年)、「そこのみにて光輝く」(2014年)に続く映画化三作目 失業中で職業訓練校に通う若者達(シニアも若干)の生活を、不思議な女との交流を含めて描く オダギリジョー、蒼井優、松田翔太らの有力俳優が共演 蒼井優の演技力を再評価 また、主要ロケ地として使った函館公園・こどものくにはアタリだった
・エル・クラン(アルゼンチン) ⇒表と裏のある世界はいろいろあるのだろうが、1980年代のアルゼンチンの実話を基にした本作もその典型的なものか しかし周囲はこんなにも気が付かないものなのだろうか 原題も"El Clan"(西)="The Clan"=「一族、一門、一味、…」
(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品
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