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2016年9月の4件の記事

2016年9月30日 (金)

9月下旬(21日~30日)に観た劇場映画

9月下旬(21日~30日)は、10本の劇場映画を観ました。最近は作品の質が上がっているように思えます。「ハドソン川の奇跡」は再掲です。

・はじまりはヒップホップ(ニュージーランド・米) ⇒90歳代のおばあちゃんのダンサーがこんなにいるなんて、それだけで驚き 原題は"Hip Hop-eration" これは何だろう "Hip Hop Generation"=「ヒップホップ・ジェネレーション(世代)」か?
・コロニア(独・ルクセンブルグ・仏) ⇒「チリの闘い」において1973年9月11日のクーデターが登場するが、その後のピノチェト将軍の率いる軍事政権下でこんなことが起きていたなんて 原題も"Colonia"(西)="Colony"=「植民地」
・きみがくれた物語 ⇒米国ノースカロライナ州の海岸線の美しさは素晴らしかった とても感動的なストーリーではあるのだが、話が進む速度がやや遅いのでイライラも 原題は"The Choice"=「選択」で、作中に訪れるいくつかの選択の機会を示唆 もっとも人生は選択の積重ねだが…
▼怒り ⇒実力派の役者が勢揃いし、それぞれが熱演し見応えはあった ただ、千葉、東京そして沖縄と舞台が巡り、オブニバス風に話が続くのだが、それがどうしたのかが分かりにくい 得られる智見はないようにも思える
★★ハドソン川の奇跡 ⇒文句なく最高評価 クリント・イーストウッド監督の構成・展開力、トム・ハンクスの相変わらずの演技力、2009年1月15日に起きた実話であること、フライト・クライシスであること、舞台がニューヨーク・シティであること、とても現実味のあるVFXの使い方、米国らしく公聴会で是非が審議されること、公聴会での副操縦士のウイットに富んだ最後の台詞(これがラストシーン)、集中力が途切れない100分を切る長さであること、米国映画を余りほめない中条省平氏が日経で絶賛していること、等々根拠は沢山 原題は、機長のニックネームである"Sully"=「サリー」

・ある天文学者の恋文(伊) ⇒ジュゼッペ・トルナトーレ監督とエンニオ・モリコーネ音楽担当の名コンビの作品 同コンビの「鑑定士と顔のない依頼人」(2013年)はとても良かった イタリア製だが言語は英語で舞台もかなりの部分英国か オルガ・キュリレンコは注目している女優の一人だが、今回はとても東洋的 ほぼ永遠の天文学と現代の通信・メディア技術を融合させた作品だけに、物語も含め謎だらけになり少し分かりにくさも ところで孤島のリゾート「ボルゴヴェントーゾ」とはどこにあるのだろうか 原題は"La corrispondenza"(伊)="correspondence"=「通信、文通、交信、メール交換、…」
・神様の思し召し(伊) ⇒イタリア製コメディだが、余り覚えていない 原題も"Se Dio vuole"(伊)="If God want"
・レッド・タートル ある島の物語(仏・日) ⇒映像も音楽も心地良いが、展開がゆっくりしているので、瞼が重くなる 原題も"La tortue rouge"(仏)="The red turtle"=「赤い亀」
▼闇金ウシジマくん Part3 ⇒ご存じ、山田孝之の当たり役 現実離れしていてバカバカしいとは思うが、反面教師としていろいろ知見はありそう Superflyの歌々もいい
・メカニック ワールド・ミッション ⇒ジェイソン・ステイサム好きなら 1972年のチャールズ・ブロンソン主演同名作品のリメイクらしい 原題は"Mechanic: Resurrection"=「職人:復活」

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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2016年9月24日 (土)

9月に観た劇場映画「ハドソン川の奇跡」(特別編)

320_2 「ハドソン川の奇跡」を日本公開初日、9月24日(土曜)に劇場で観て参りました。

文句なく最高評価です。クリント・イーストウッド監督の構成・展開力、トム・ハンクスの相変わらずの演技力、2009年1月15日に起きた実話であること、フライト・クライシスであること、舞台がニューヨーク・シティであること、とても現実味のあるVFXの使い方、米国らしく公聴会で是非が審議されること、公聴会での副操縦士のウイットに富んだ最後の台詞(これがラストシーン)、集中力が途切れない、100分を切る長さであること、米国映画を余りほめない中条省平氏が日経で絶賛していること、等々根拠は沢山あります。

原題は、機長のニックネームである"Sully"=「サリー」です。

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2016年9月20日 (火)

9月中旬(11日~20日)に観た劇場映画

9月中旬(11日~20日)は、11本の劇場映画を観ました。音楽をメインテーマにした良い作品に出合いました。

・セルフレス 覚醒した記憶 ⇒脳科学が発展し、人工知能が高度化する現在、脳の再生や記憶の再現をテーマにした映画作品が増加中 本作もその一環か 米国で人気上昇中のライアン・レイノルズが主演 原題は"Self/Less" 途中に入っているスラッシュを解読すると「"Self"(私利私欲、利己的)と"Selfless"(無私無欲、献身的)とのはざまで」という感じか
★ハートビート(米・ルーマニア) ⇒ニューヨークは芸術の都 一流のダンサーと音楽家が集まって本作を製作 学校での厳しい練習からコンテストまでを、いろいろなニューヨークらしいエピソードを交えて描く 終盤のコンテストの場面が最高潮 主役達の曲は新曲らしいが、ライバルの曲はヴィットーリオ・モンティ作曲の「チャルダッシュ」だった 原題は"High Strung" あえて和訳すると「極度に緊張している、興奮している」らしいが、楽器の弦(string)に関連した言葉を使っている
・グッバイ、サマー(仏) ⇒夏休みに14歳の少年二人が手作りの家型の車で冒険旅行に出る物語 その過程でイジメに遭っていた少年が成長する フランス・ベルサイユ出身のミシェル・ゴンドリーの思い出の作品か 原題は"Microbe et Gasoil"(仏)で、少年二人のあだ名 直訳すると「微生物・細菌とガス・油」か
★ソング・オブ・ラホール ⇒パキスタンのラホールは、ムガル帝国時代には芸術の都で、音楽が盛んだったとは知らなかった イスラム原理主義の軍政とタリバンにより音楽が禁止され、消滅しようとしていた2000年代初期に、パキスタン音楽再興を目指し、ジャズ・ナンバーの「テイク・ファイブ」までにもトライし、ついにはニューヨークのリンカーン・センターでの共演に漕ぎ着けるまでを感動的に描く 特に終盤の演奏の場面は文句なく素晴らしい 原題も"Song of Lahore"
・マイマイ新子と千年の魔法 ⇒山口県防府市出身の作家・高樹のぶ子の幼少期の自伝的小説「マイマイ新子」を片渕須直監督がアニメ映画化(2009年) 片渕須直監督の新作「この世界の片隅に」が11月12日に公開されるのを控えてのリバイバル上映 千年前には清少納言が防府にいたのだろうか

・ジャニス リトル・ガール・ブルー ⇒1970年に27歳の若さで亡くなった、米国の伝説的ブルース・ロック歌手ジャニス・ジョプリンのドキュメンタリー 声量豊かなハスキー・ヴォイスに圧倒された 彼女をモデルにした、ベッド・ミドラー主演の作品"The Rose"(1979年)を米国の田舎の劇場で観たのを思い出した 原題も"Janis: Little Girl Blue"
・人間爆弾「桜花」 特攻を命じた兵士の遺言(仏) ⇒昨年93歳で亡くなった元海軍大尉の林冨士夫さんの独白ドキュメンタリー 彼は人間爆弾「桜花」の特攻兵に志願したが、送り出す仲間を指名するだけで自分は特攻しなかった 官僚組織に埋没・安住すると、日本人は誰も自分のこととして考えない習性があるのかもしれないと感じた 同様に東京都政にも注目したい
・アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲(プレリュード)(仏) ⇒クロード・ルルーシュ監督お得意の大人の恋愛作品 名コンビのフランシス・レイが音楽を担当 今回は舞台がインドで、ニューデリー→ムンバイ(ボンベイ)→ケーララ州と鉄道旅行をし、聖女アンマに会う インドは本当に別世界 全編にわたり会話が魅力的であり、終盤にはかなりの仕掛けが 原題は"Un + une"(仏)で、1966年の出世作「男と女」="Un homme et une femm"(仏)の仏題の冠詞だけ残したものか
▼イングリッド・バーグマン 愛に生きた女優(スウェーデン) ⇒本人が残した日記、写真から動画までの膨大な資料を基に構成したドキュメンタリー 意外にも計5人もの子供をもうけた肝っ玉母さんであり、その子供達が本作にも登場 36歳年上の大女優の印象は、小学校の先生に体育館で観せてもらった「誰が為に鐘は鳴る」(1943年)のものしかない ただお蔭で後程ヘミングウェイの同名長編小説を完読 原題は"Jag ar Ingrid"(スウェーデン語)="I'm Ingrid"=「私はイングリッド」
▼オーバー・フェンス ⇒1990年に41歳で自死した、函館市出身の小説家・佐藤泰志の同名原作の映画化 「海炭市叙景」(2011年)、「そこのみにて光輝く」(2014年)に続く映画化三作目 失業中で職業訓練校に通う若者達(シニアも若干)の生活を、不思議な女との交流を含めて描く オダギリジョー、蒼井優、松田翔太らの有力俳優が共演 蒼井優の演技力を再評価 また、主要ロケ地として使った函館公園・こどものくにはアタリだった

・エル・クラン(アルゼンチン) ⇒表と裏のある世界はいろいろあるのだろうが、1980年代のアルゼンチンの実話を基にした本作もその典型的なものか しかし周囲はこんなにも気が付かないものなのだろうか 原題も"El Clan"(西)="The Clan"=「一族、一門、一味、…」

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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2016年9月10日 (土)

9月上旬(1日~10日)に観た劇場映画

9月上旬(1日~10日)は、13本の劇場映画を観ました。三部構成の作品が1本ありますので、実質は15本でしょうか。また、少し★が多過ぎでしょうか。学校の夏休みが終了しましたが、シネコンは若い人でとても賑わっています。今後やや長期の映画ブームが続くような予感がします。

・ゆずの葉ゆれて ⇒佐々木ひとみの小説「ぼくとあいつのラストラン」の実写映画化 鹿児島の美しい大自然の中でロケ 祖父母、父母、そして主人公・武の三世代の生活を描く ローカルだが波乱に満ちた人生をファンタジックに観せてくれる
・アスファルト(仏) ⇒フランスの団地映画が、日本の団地映画(坂本順治監督の「団地」と是枝裕和監督の「海よりもまだ深く」)ブームに加わった 原題も"Asphalte"(仏)="Asphalt"(英)
★ゴーストバスターズ ⇒女性達を主役にしてリニューアルしたコメディ・アクション作品 コメディだけあって、漫才のような小気味よい、下ネタも沢山捻り込んだ会話は秀逸 エンドロールも背景がブレークダンスで最後まで楽しませてくれる エンドロール後のラストシーンは続編を匂わせる
★後妻業の女 ⇒水の都・大阪を舞台に、テンポの良い、大阪漫才風な会話とストーリーでめちゃ面白い 大阪のえげつない商売話は魅力的 ただし、金持ちはケチだから、現実はこんなに簡単には騙されないとは思うが… 内容が内容だけに、割と高齢の観客が多かったように思う
・太陽のめざめ ⇒反抗的で暴力的な少年の更生に挑む判事(カトリーヌ・ドヌーブ)を描く 多分こういう少年は統合失調症でもあるから、愛だけでは問題は解決しないと思うが… 原題は"La tete haute"(仏)="Heads up"、本来「警告、注意」の意味らしいが「頭を上げて前向きに」という意味も込められているかもしれない

・火 Hee ⇒桃井かおりの独演劇のような作品 芥川賞作家・中村文則の短編小説「火」を桃井が監督兼主演で映画化 精神分析医の役割や限界にも言及か
・フォトグラファーズ・イン・ニューヨーク ⇒人種のルツボであり、先進カルチャーが発生しまた世界中から集まる大都会・ニューヨークの人々と街は、やはり写真の絶好の被写体か 原題は"Everybody Street"で、和訳すると「皆(人々)がいる通り」か
・グランド・イルージョン 見破られたトリック ⇒米国のショー会場から突然中国のマカオにワープするところが前半の見所 そのトリックが種明かしされるが、今一つピンとこない その後は緊張が続かなかった 原題は"Now You See Me 2"で、和訳すると「さあ私をご覧下さい 第二部」の感じか
・ディアスポリス DIRTY YELLOW BOYS ⇒在東京の不法在日外国人たちのための秘密組織「裏都庁」があり、そして銀行、病院や警察も存在するという発想は面白い 東映作品らしくアクション満載
・君の名は。 ⇒若い観客(男性が多いらしい)でいつも満員でなかなか鑑賞できなかった 新海誠監督のオリジナル作品の映像は美しい 神木隆之介と上白石萌音の声優陣もいい 原作小説も漫画もありマルチ・チャネル

▼キング・オブ・エジプト ⇒古代エジプトを舞台にした神話的超アクション大作 エジプトの支配者・神はすべて金の血が流れる超能力者という設定 話は宇宙まで広がるが、超能力者(ミュータント)と巨大建造物に代表されるエジプト文明は、VFXを介して相性が良さそうだ 原題は、邦題と微妙に異なり、"Gods of Egypt"=「ゴッド・オブ・エジプト、エジプトの神々」
★エミアビのはじまりとはじまり ⇒いかにも、いかにもと笑って観ているいるうちに、しんみり泣かせるという、見応えのある手練手管 濃いメイクをしたマネジャー・高橋夏海(黒木華)が意外に美人 先輩芸人の黒沢拓馬(新井浩文)とともに、若手主役二人を見事に支える 「エミアビ」とは果たしてどういう意味か 「舟を編む」で第37回日本アカデミー賞最優秀脚本賞(2014年)を受賞した渡辺謙作監督のオリジナル作品
★チリの闘い 第一部:ブルジョワジーの叛乱 第二部:クーデター 第三部:民衆の力(チリ・仏・キューバ) ⇒チリのクーデターや軍事政権の話は聞いたことはあったが、こんなことがあったのかという気がした 米ソ冷戦下での代理闘争でもあったようだ 1970年にマルクス主義を掲げて民主的選挙で世界史上初めて成立した社会主義政権、サルバドール・アジェンデ大統領が率いる人民連合政権(1970~1973)の最後の動乱に満ちた数か月を追ったドキュメンタリー(三部合計約4時間半の長尺) 社会主義政権成立の陰にはソ連がいたのだろうが、その政権を転覆させるために米国(CIAが主役)が右派に資金援助して実行させた、デモ、スト、クーデター等が描かれている パトリシオ・グスマン監督は公正で、分析的な記録を目指したのだろうが、主に労働者側を取材しているので(武器を持たない)左派側に同情的な論調になっている アジェンデ政権が米国の後援するピノチェト将軍が率いる軍のクーデターにより最後を迎えるのが1973年9月11日(これが元祖9.11) グスマン監督らは何とか国外に逃れることに成功し、フィルムも秘密裡に国外に持ち出されたようだ フィルム提供にフランスが、ポスプロにキューバが係わったので製作国に名を連ねる 昨年日本でも公開されたグスマン監督の最新作「真珠のボタン」と「光のノスタルジア」も印象的だった 原題も"La batalla de Chile"(西)="The Battle of Chile"

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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