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2017年1月10日 (火)

2016年に鑑賞し、これはと感じた劇場映画作品

2016年は337本の劇場映画を鑑賞しました。各月独善でこれはと感じた作品を以下にご紹介いたします。

1月…★フランス組曲(英・仏・ベルギー) ⇒ラスト・シーンは泣けた 戦時中人々がギリギリの状態で、ただ生きることだけを考えて行動することに、単純に心を動かされる 60年間眠っていた、アウシュビッツで亡くなったユダヤ人女性作家の小説を映画化 フランスの話なのに終始台詞が英語なのはどうかと思ったが、欧州では吹替が普通らしい 原題もそのまま"Suite Francaise"(「フランス組曲」、仏・英語共通)
2月…★ビハインド・ザ・コーヴ 捕鯨問題の謎に迫る(日) ⇒貯金をすべて使い果たして本作を製作した八木景子さん(上映後舞台挨拶された)に敬意を表する 和歌山県太地町のイルカ漁を、故意の創作も交えて批判的に描いたドキュメンタリー「ザ・コーヴ」(2009年第82回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞受賞)への反論として、英語ベースで本ドキュメンタリーを製作 シー・シェパードは太地町での活動が資金集めになるから取り組んでいる、日本人は表だって反論しないので批判しやすい、IWCは捕鯨全面禁止を議論してはいない、そもそもニクソン大統領時代にベトナム戦争を環境破壊とスウェーデンに批判された米国が反捕鯨団体に資金提供して日本をスケープゴートにした(米国公式文書発見)、ペリー来日以来米国はずっと日本に辛く当たっている、等々ときたらどう反応すればいいのだろう
3月…★リリーのすべて(英) ⇒1920年代のトランスジェンダーという難しいテーマを、よくここまで美しく深く掘り下げて映画表現できたなと感じた アカデミー賞受賞のトム・フーパー監督とエディ・レッドメインが組んだだけのことはある デンマーク(ロケはベルギー?)、パリ、ドレスデンの美しい風景も見物 主人公アイナ―・ヴェイナー(性転換手術をして、リリー・エルベ)を献身的に支える妻ゲルダを演じたアリシア・ヴィキャンデルが今年のアカデミー賞助演女優賞を受賞 原題は"The Danish Girl"=「デンマーク・ガール」

4月…★スポットライト 世紀のスクープ(米) ⇒2016年の第88回アカデミー賞作品賞と脚本賞を受賞した、実話に基づく作品 カトリック教会の神父たちが犯した少年少女達への性的虐待を、ボストン・グローブ紙のスポットライトというコラムの記者達が追い詰めていく、2001年から2002年にかけての鬼気迫る様を描く 世界中のカトリック教会で本作のような事件が頻発していたなんて 人間の本能は難しいな 原題も"Spotlight"
5月…★オマールの壁(パレスチナ) ⇒究極のフィルム・ノワールだと思った まず命がけで壁を超えなければ恋人にも会いに行けないというイスラエルのパレスチナ自治区(ヨルダン川西岸地区)の日常に驚く 次に反イスラエル分子をあぶり出すために、イスラエルの統治機構が操る協力者、密告者、スパイ等が身近に沢山存在するらしい こういうところでは何を信じて生きて行けばいいのか分からないだろう プロットも二転三転、何度も裏切られ心に刺さる ラスト・シーンも衝撃的で、パレスチナの人々の怨念がこもっているようだ 原題は単純に主人公の名前で"Omar"
6月…★シークレット・アイズ(米) ⇒相当にヒネリを効かせ、練りに練られた脚本だと思う 警察映画ではあるが、人情や組織の縛り等人間臭さを感じさせる とはいえ観ていて分かりにくくはない キウェテル・イジョフォーと2人のオスカー女優ジュリア・ロバーツ、ニコール・キッドマンの息もぴったり 第82回アカデミー外国語映画賞を受賞した2009年のアルゼンチン映画「瞳の奥の秘密」のリメイクらしいが、原題"Secret in Their Eyes"の訳としては元々の方が分かりいいのでは

7月…★日本で一番悪い奴ら(日) ⇒製作が日活で、配給が東映 警察映画だが、久々に痛快な東映ヤクザ作品を観た感じ 違法捜査に明け暮れた、元北海道警・警部の稲葉圭昭の自伝小説「恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白」が原作 これにより警察内部の裏金、違法捜査の数々が明るみに 綾野剛がとにかく熱演 そう言えば、札幌の話なのに冒頭の逮捕シーンはなぜか新宿ゴールデン街がロケ地として使われていた
8月…★トランボ ハリウッドに最も嫌われた男(米) ⇒ダルトン・トランボという米国の脚本家については何も知らなかった しかし、「ローマの休日」「スパルタカス」「栄光への脱出」「ジョニーは戦場へ行った」「パピヨン」等の作品は知っていた トランボはこれらすべての作品に関わっていた 第二次世界大戦後から1950年代にかけて米国内を席巻した赤狩り運動により投獄までされたトランボが、赤狩り勢力からの抵抗を避けるため、ゴーストライターになったりや偽名を使用したりしていたからだ トランボは1974年に真実を語り名誉を回復した しかし、「ローマの休日」の原案がトランボのものと認定され、1954年第26回アカデミー賞原案賞が彼に妻クレオに改めて授与されたのは1992年のことだった 本作はトランボの苦悩と彼を支え続けた家族の姿を感動的に描く 本作はまた民主主義国家においては大衆運動が時にはいかに誤った結果を生じるかということも示唆 そういう意味で、米国の今年の大統領選も注視したい 原題は単に"Trumbo"
9月…★★ハドソン川の奇跡(米) ⇒文句なく最高評価 クリント・イーストウッド監督の構成・展開力、トム・ハンクスの相変わらずの演技力、2009年1月15日に起きた実話であること、フライト・クライシスであること、舞台がニューヨーク・シティであること、とても現実味のあるVFXの使い方、米国らしく公聴会で是非が審議されること、公聴会での副操縦士のウイットに富んだ最後の台詞(これがラストシーン)、集中力が途切れない100分を切る長さであること、米国映画を余りほめない中条省平氏が日経で絶賛していること、等々根拠は沢山 原題は、機長のニックネームである"Sully"=「サリー」
9月(特別)…★ソング・オブ・ラホール(米) ⇒パキスタンのラホールは、ムガル帝国時代には芸術の都で、音楽が盛んだったとは知らなかった イスラム原理主義の軍政とタリバンにより音楽が禁止され、消滅しようとしていた2000年代初期に、パキスタン音楽再興を目指し、ジャズ・ナンバーの「テイク・ファイブ」までにもトライし、ついにはニューヨークのリンカーン・センターでの共演に漕ぎ着けるまでを感動的に描く 特に終盤の演奏の場面は文句なく素晴らしい 原題も"Song of Lahore"

10月…★ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK TheTouring Years(英) ⇒ザ・ビートルズ・ドキュメンタリーの集大成 とにかくジョン・レノンとポール・マッカートニーの音程が正確なのに驚いた 玉置浩二が二人いるようだった 原題も"The Beatles: Eight Days a Week - The Touring Years"
11月…★湯を沸かすほどの熱い愛(日) ⇒宮沢リエを初めていい女だと思った それにしても、こう境遇に恵まれない人たちばかりが集まったのは創作だからか しかし、女の力、母の力は感動的 女の子たち2人も力強く成長 2、3回感涙にむせんだ 栃木県足利市とそこに実在する銭湯がロケ地 タカアシガニを産地で食べるシーンもあるので、西伊豆でもロケか
12月…★海賊とよばれた男(日) ⇒ベストセラーとなった百田尚樹著の同名小説は読んでいないが、2、3年前に話題になった その映画化の本作は様々なエピソードを相当につまみ食いしているものと思うが、戦前・戦中・戦後のストーリーの流れも良く力強い モデルとなった出光興産創業者の出光佐三は明治の男 信念を強く持ったら、それを曲げず突き進む その役を岡田准一が好演 子を授からなかった最初の妻ユキ(綾瀬はるか)のその後について、最終盤に登場するその姪(黒木華)を絡ませたシーンに落涙

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