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2017年4月の3件の記事

2017年4月30日 (日)

4月下旬(21日~30日)に観た劇場映画

4月下旬(21日~30日)は、10本の劇場映画を観ました。連休前に見逃しそうな作品に挑戦しました。

・ReLIFE リライフ ⇒これは漫画アプリの原作の映画化らしい 酷使され、パワハラされ、苦悩し、疲れた若手サラリーマンには息抜きになるファンタジー リライフ同志が邂逅してしまうとは… ロケ地は宮城県 名取市の尚絅(しょうけい)学院大、海の見える丘公園や仙台市若林区の聖和学園薬師堂キャンパスが使われたらしい
・ひるなかの流星 ⇒田舎から東京に転入した一人の女子高生を中心とした、古典的な三角関係の話 これもコミック原作があり女子中高生の恋愛のバイブルらしいが、正直2時間持たせるのは苦しい ロケ地としては吉祥寺の市街・井の頭公園を中心に藤村女子、成蹊大、東女等、そして松本深志高、旧足利西高、八景島も使われた模様 田舎の家は長野県にある古民家ゲストハウス梢乃雪らしい
▼人生タクシー(イラン) ⇒イランのジャファル・パナヒ監督自身がテヘランのタクシー運転手に扮して撮影した作品 イランではまだ大っぴらに映画ロケができないらしく、タクシー車中から街の様子を撮影し、またタクシー車内の乗合乗客・運転手間の会話を録画 出演者は皆たまたま出逢わせた乗客のように自然に振舞っているが、大半は監督自身が起用した俳優だろう これでもイラン国内での上映は許されなかったらしいが、テヘランの日常を垣間見ることができ、イラン人達は意外に日本人に似て割と大人しい性格らしいことが分かった 原題は単に"Taxi"
・スィート17モンスター ⇒10代後半、特に17歳の女子は難しい年頃なのだろう 自己中で、へそ曲りで、同調性がなく、攻撃的で、妙に自信がなく、等々… 本作ヒロインはかなりデフォルメされているが、やがて子供を卒業し大人になれる時が ヒロインは私の好きな作品「トゥルー・グリッド」(2011年)で子役を務めたヘイリー・スタインフェルドだとは気付かなかった 原題は"The Edge of Seventeen"=「17歳の壁」か
▼ハードコア(露・米) ⇒露・米のタッグ作品 最初から最後まで主人公ヘンリーの視線(眼の付近からの映像)で撮影されている ゴー・プロ的なカメラが使われているのだろうが、かなり革新的 ヘンリーもサイボーグだが、全編サイボーグ同士の格闘、銃撃、カー/単車チェイス、手榴弾攻撃、戦車、ヘリ等、あらゆるアクションが繰り出される 原題は"Hardcore Henry"=「ハードコア(核心)ヘンリー」か

・暗黒女子 ⇒原作小説のある復讐劇だが、繰り返しリベンジ的な話が出てくるので、やや複雑で食傷気味 清水富美加(千眼美子)の演技は悪くはなかった ロケ地情報は乏しいようだが、東京海洋大学越中島キャンパスは使われたようだ
▼LION ライオン 25年目のただいま(豪) ⇒インドでは毎年8万人の子供達が行方不明になるらしい その中の一人、5歳の少年がコルカタ(旧カルカッタ)から豪人夫妻に引き取られ、タスマニア島のホバートで幸せに成人する しかし、彼は故郷の母と兄への思いが断ち切れず、25年後にグーグル・アースにより故郷を発見し帰郷するという実話(原作小説あり)の映画化 ところで、故郷で再会した彼の母親と妹はその後どうしたのだろう 豪州に渡ったのだろうか 世界中の貧富の差がますます拡大している時に、その中の1人2人を養子縁組等で救うという(語弊はあるだろうが、自己満足的な)やり方は正しいのだろうかと思った 原題は単に"Lion" 主人公サルーの名前は本当は「シャルー」だったらしくその意味は「ライオン」
・パージ:大統領令 ⇒前作も相当に変わった作品だと思ったが、本作もよく分からない感じ 犯罪人や悪人の粛清よりも、パージという混乱した殺し合いそのものが目的のよう 原題は"The Purge: Election Year"=「パージ:選挙年」
▼イップ・マン 継承(中・香) ⇒正統派香港活劇・武術アクションは素晴らしい ブルース・リーの師匠として知られるイップ・マン(葉問)に関するシリーズの3作目 マイク・タイソン(役者もできるんだ!?)との3分間1ラウンドの攻防などの新機軸も 親子の愛情や夫婦間の愛と葛藤も上手く、大袈裟に描く 香港が舞台だが西洋人を悪者扱いするのは中国流か 原題は「葉問3 Ip Man 3」 「葉問」は北京語(マンダリン)では「イエ ウェン(両方とも四声)」と発音すると思うが
・フリー・ファイヤー(仏・英) ⇒悪態あるいは気の利いた台詞を吐きながら、どこから銃弾が補給されるのか分からないが、とにかく敵、味方入り交じりながら撃ちまくる 舞台は米国ボストンの廃傘工場 死にそうでもなかなか死なず、ついにはゾンビも登場 悪の取引には必ず裏切りが常習であり、だれが最後まで生き残るのか 原題もそのまま"Free Fire"

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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2017年4月20日 (木)

4月中旬(11日~20日)に観た劇場映画

4月中旬(11日~20日)は、10本の劇場映画を観ました。3月、4月と多数の作品が封切られたので、追い付くために平日2本に結構トライしました。

▼午後8時の訪問者(ベルギー・仏) ⇒ベルギーのダルデンヌ兄弟監督の作品 欧州の貧しい地域の開業医の苦悩と生きがいを描く 移民黒人の女の子、売春ブローカー、頻繁な往診、不正診断書を頼む男、離婚による母子家庭、多くの失業者等々、いろいろなトラブルに巻き込まれるが… 原題は"La fille inconnue"(仏)="The unknown girl"=「知らない女の子」
・サクラダリセット 前篇 ⇒青春SF小説の映画化らしい 3日前以内ならセットした日時にすべてを戻せる能力を持った男女の高校生 それ以外にもいろいろ超能力のルールがあって結構ややこしい タイミングとリセット後の展開によって思い通りにはならないようだ ロケ地は三重県四日市市、千葉ニュータウン、静岡県長泉町の鮎壺の滝あたりだったようだ
・ゴースト・イン・ザ・シェル ⇒原作コミックがあり、それを押井守監督がアニメ映画化した「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」(1995年)が日米で大ヒットした上での、ハリウッドでの実写映画化 ルパード・サンダース監督が日本アニメ愛で乗り切ったと思われる 一番の救いは主演のスカーレット・ヨハンソン 一児の母となった今もそのボディ・ラインは素晴らしい 彼女の美しい裸身を拝めたのは「アンダー・ザ・スキン 種の捕食」(2014年)以来 そもそも彼女はまだ33歳ながら40本以上の映画作品に出演 また声優としても活躍し、今年のヒット・アニメ作品「SING シング」でもヤマアラシのアッシュ役として、ミュージカル仕込みの美声を聴かせている 監督の日本愛が過ぎたのだろうが、ビートたけしの起用は台詞が日本語なのにいただけなかった 時々英語のサブタイトルで意味を補ったくらい 原題も"Ghost in the Shell"
・ろくでなし ⇒渋谷でロケされたインディーズ作品を渋谷で観た 大西信満、渋川清彦、大和田獏等、普段渋い脇役たちの演技を前面に出したところは見物
・タレンタイム 優しい歌(マレーシア) ⇒珍しいマレーシア発の作品 マレーシアは多民族国家だが、民族間の軋轢が余り表面化しない国 国民の65%を占めるが低所得者の多いマレー人を優先するプミプトラ政策が効果を発揮しているためか 本作でも何となくその背景を漂わせている 作品内容は高校でのタレント発掘オーディション大会に至るまでの人間模様であり、言葉も文化も音楽もすべて見事に混ざり合っている 2009年に亡くなったマレーシア女性監督ヤスミン・アフマドの遺作長編映画らしい 原題も"Talentime"だが、"talent audition time"の合成語か

▼残されし大地(ベルギー) ⇒2011年3月の福島第一原発事故後も、故郷富岡町に住み続ける人々を追ったドキュメンタリー いろいろな事情が重なって、避難しなければいけない土地に残っていることを浮き彫りにする 土地を放棄するとどうなるか、まるで異世界のようになることがよく分かり、心が痛む 本作を撮影したベルギー人映画音響技師のジル・ローラン監督が、不幸なことに完成前の今年3月に母国首都ブリュッセルでテロに遭遇し死去 日本人妻や友人達が遺志を継いで本作を完成させたといういわく付き 原題は"La terre abandonne"(仏)="The land abandons"=「土地を放棄すること」か
・夜は短し歩けよ乙女 ⇒乙女に好意を寄せる内気な大学生の物語 彼はナカメ(なるべく彼女の目に留まる)作戦を実行 京都四条先斗町界隈での一夜の出来事が主体 森見登美彦著の同名原作小説(2007年)のアニメ映画化で、主演声優は星野源
▼ジャッキー ファーストレディ 最後の使命(米・チリ・仏) ⇒1963年11月22日に米国テキサス州ダラスでジョン・F・ケネディ大統領が暗殺された直後から、大統領夫人・ファーストレディのジャッキーが葬儀の在り方、故大統領の歴史的評価、二人の遺児や引越しのこと等々について苦悩する様子を描く ワシントンD.C.の政治や街についてかなりの知識がないと、基本的な事柄や細々とした描写は分かりにくいだろう 筆者はたまたま当地で働いていたことがあったので、ジャッキーと周りの葛藤がよく理解できた 今から考えると、ダラス空港からなぜあのような防弾カバーのない無防備なオープンカーで行進したのか、的確な狙撃の腕を持った暗殺者、逮捕されたオズワルドが警察本部の中でルビーにピストルで至近距離から暗殺されたこと等々、謎ばかり… 公民権運動を支持したケネディ大統領は民主党出身だが、ジャッキーは奴隷解放を進めた共和党のリンカーン大統領をかなり尊敬・意識していたようだ 原題は単に"Jackie"
・グレート ウォール(中・米) ⇒中国資本の入ったハリウッド作品のため、完全に中国向けの内容 2008年北京五輪の演出も担当した中国のチャン・イーモウが監督で、マット・デイモンが製作にも係わり主演 欧州の元傭兵たちが火薬を求めて辿り着いた万里の長城で、士気が高く、統率のとれた中国軍の禁軍に出逢い、共に60年に一度現れる伝説の怪物・饕餮(とうてつ)の大群と戦う 大軍や大群を表現するVFXの出来は見物 原題は"The Great Wall"=「万里の長城」
・3月のライオン 前編 ⇒これも大ヒットコミックの映画化らしい 何でも真剣勝負の世界は厳しい 登場将棋棋士にはそれぞれ実在のモデル棋士がいるような気がする 本作には実力派の主役級男優が揃っている 特に染谷将太が特殊メイクで目立っている ロケは東京都中央区・文京区・新宿区を始めとして、埼玉県、兵庫県、岩手県、山形県等全国で行われたようだ

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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2017年4月10日 (月)

4月上旬(1日~10日)に観た劇場映画

4月上旬(1日~10日)は、8本の劇場映画を観ました。アカデミー賞候補作品等が多く上映されるようになり、最近は作品の質が持ち直してきたように思います。今回は少し評価が甘すぎたかもしれません。コストパフォーマンスのよい映画のブームはまだまだ健在です。

▼しゃぼん玉 ⇒乃南アサの同名小説の映画化 市原悦子が訳ありの若者を受け入れ、更生に持っていくまでの演技がとてもいい 宮崎県北西部にあり、隣の熊本県と接する椎葉村が舞台 地元の方言も駆使し、山奥の暮らし振りがよく分かる ロケも椎葉村と周りの市町村にて行われたようだ また映画「STAND BY ME ドラえもん」(2014年)の主題歌を歌った秦基博の唄もよかった
▼はじまりへの旅 ⇒これは米国西海岸カスケード山脈北端、ワシントン州とオレゴン州の州境あたりでヒッピー的な生活をしている家族の話 ヴィゴ・モーテンセンが父親役を熱演 社会と隔絶して自給自足で暮らす思想(ドイツ系に多いとも聞いたことがある)と関係ありそう 金がなくて方が、人間は幸せになれそうだ ガンジーなどインドの思想にも近いような気がする 母親の葬儀に参列するためにニューメキシコ州まで旅をするが、現代社会に初めて触れ合う6人の子供達がドタバタ喜劇を観せる 原題は" Captain Fantastic"で、敢えて和訳すれば「素敵家長」か
▼チア☆ダン 女子高生がチアダンで全米制覇しちゃったホントの話 ⇒冒頭チアリーダーとチアダンスが違うことを初めて知った 2009年3月に県立福井商業高校が全米チアダンス大会で優勝した実話(さらに3連覇している)を基にして製作された作品 高校名は福井中央高校と変えられているし、主なロケ地は昨年3月に閉校された新潟県立西川竹園高校の校舎らしい もっとも最後は米国カリフォルニア州のサンディエゴ州立大学アリーナまでロケ遠征 いわゆるスポコン的な作品だが、歌や音楽に合わせて4種類のダンスを踊るシーンは結構見応えがある
★パッセンジャー ⇒地球の危機は温暖化よりも小惑星衝突によりもたらされるらしい 宇宙の彼方にある地球に環境が良く似た惑星に、近い将来移住することありえるのかもしれない 本作はそんな将来を垣間見せてくれる 目的地は光速でも120年間冬眠しなければいけない星 原因不明のまま残り90年で目覚めてしまった男と、男が起こしてしまった女、そしてやはり原因不明で目覚めた一人の黒人クルー 主な登場人物は3人だが、宇宙船の頭脳、アンドロイドのバーテンなども登場し飽きさせない 2013年の作品「ゼロ・グラビティ」のように、VFXを駆使した宇宙船内外での無重力状態の表現は秀逸 特に、重力有り→無重力→重力有りの変遷、とりわけ水を使った表現は素晴らしい 原題は"Passengers"で複数だが邦題は単数 2009年日本公開の同名作品「パッセンジャーズ」と区別するためか
・ムーンライト ⇒何の唄かは分からないが、"Every nigger is a star"のフレーズが繰り返される音楽で導入部が始まる 米国フロリダ州マイアミの貧民街で一人の気弱な黒人少年が成長していく様を3部に分けて描く 日本と同じように、イジメ、母子家庭、ドラッグ、LGBT等の問題に直面するが、何とか生き延びる VFXは何も使われていないらしく、エンドロールがとても短いから、キャスト・スタッフの少ない低予算作品のようだ 原題も"Moonlight"=「月光」

★SING シング ⇒最初から最後まで歌とアニメキャラクターの踊りが素晴らしかった 米国の俳優達はミュージカル(舞台)にも出演していることが多いからか、皆歌が上手い 特に、ゾウのミーナとブタのロジータが優れていると思った 昨年の映画「ズートピア」でもそうだったが、米国作品は動物達を擬人化するのも上手い 時々AKB等を彷彿とさせるような5匹組が登場してきゃりーぱみゅぱみゅの歌を合唱するのは、そういうものが流行る日本への皮肉か羨望か 原題も"Sing"
・牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件(台) ⇒台湾の故エドワード・ヤン監督が1991年に製作した、彼の最高傑作と言われる青春群像劇 昨年デジタルリマスターされたが、4時間版はやはり長い 不良のボスの女を巡る話らしいが、途中で話に付いていけなくなった 暗闇に懐中電灯を使って撮影した映像は面白い 原題も「牯嶺街少年殺人事件 A Brighter Summer Day」=「… もっと明るい夏の日」 「牯嶺街」はマンダリン(北京語)読みだと「グー・リン・ジェ」(それぞれ3・1・3声)になりそう
・T2トレインスポッティング(英) ⇒英国流ポップ音楽に乗って始まり、冒頭はなかなか快適に進行 しばらくすると展開がやや唐突・曖昧になり、前作を観ていなければ分かりにくいところも登場 その内に緊張の糸が切れた ユアン・マグレガーのみがやたらに若いような気がする 原題も"T2 Trainspotting"、無理して和訳すると「T2 列車目的地:人生の行く末」か

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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