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2017年8月の3件の記事

2017年8月21日 (月)

8月中旬(11日~20日)に観た劇場映画

8月中旬(11日~20日)は、13本の劇場映画を観ました。過去の優秀作品のリバイバル上映や初上映等にもトライできました。また、B級作品にも出会いました。

・ローサは密告された(比) ⇒フィリピン・マニラのスラム街で子供3人を育てながら必死に暮らす肝っ玉母さんを描く 麻薬密売の容疑で勾留された母のために保釈金をかき集める子供達が健気 同時に金次第のフィリピン警察の腐敗も暗示 原題は"Ma' Rosa"で、多分「ローザお母さん」
▼天使の入江(仏) ⇒仏ヌーベルバーグの映画監督ジャック・ドゥミが1963年に製作 日本では今年初公開 ヒロインの金髪美女ジャッキー(ジャンヌ・モロー)が魅惑的だが、少々メイクアップが強いか 作品中の台詞にもあるが、彼女はだんだんマリリン・モンローのようにも見えてくる 日本ではこれから経験するかもしれないカジノ中毒を先取りしたような作品だが、フランスのように無闇に他人に迷惑をかけず、大きな社会問題化にならずに収束できるだろうか 原題も邦題どおり"La baie des anges"(仏)="The Bay of Angels"で、南仏ニースの海岸のこと(砂利の海岸なのは驚いた)
・スパイダーマン ホームカミング ⇒思春期の学園ものとしてみればそれなりに面白いか ラストのVFX駆使の闘いは凄く、マーベル・コミックのアベンジャーズの世界に合流 続編は確約 原題も"Spider-Man: Homecoming"=「スパイダーマン 高校始業」か
・トランスフォーマー 最後の騎士王 ⇒誰が味方で、誰が敵かが分かりにくいのが難 また尺が長過ぎる ただクライマックスのVFXはまさに凄い ポスプロが大変だろうな 原題も邦題どおり"Transformers: The Last Knight"
・ブランカとギター弾き(伊) ⇒ベネチア・ビエンナーレとベネチア国際映画祭からの資金で日本人監督がフィリピンで製作した作品 したがって、イタリア作品として分類 マニラのスラム街の日常を切り取っている 原題は単にヒロインの少女の名の"Blanka"

★ビニー 信じる男 ⇒「セッション」で好演したマイルズ・テラーが頸椎骨折を克服するプロボクサーを熱演 これも実話とは、にわかに信じられなかった トレーニングやボクシング・ファイトのシーンはかなり現実味がある 原題は"Bleed for This"、和訳すると「このために出血」あるいは「いくら出血しようと」的な感じか
★ロスト・イン・パリ(仏・ベルギー) ⇒チャールズ・チャップリンの喜劇映画にも通ずるような面白さ全開 それもそのはず、ベルギーの道化師夫妻が製作・脚本・監督・主演すべてを兼ねた セーヌ川の中島・白鳥の島に架かるグルネル橋の南西横にも「自由の女神」像があり、本作では重要なロケ地 ここからは川沿い北東方向にエッフェル塔も望める 「自由の女神」像のオリジナルはリュクサンブール公園にあり、フランスは米国に独立記念としてこれをモデルにした巨大立像を贈った その像は現在ニューヨーク市マンハッタン島の南方海上に設置されているが、アメリカ人が返礼にフランス革命100周年記念として寄贈したのが白鳥の島南西端にある立像らしい 原題は"Paris pieds nus"(仏)="Barefoot Paris"=「裸足のパリ」か
・東京喰種 トーキョーグール ⇒人気コミックの実写映画化らしいが、喰種(グール)が人肉とコーヒーしか摂取できないというレトリックが腑に落ちない ヒロインの清水富美加がこの作品の撮影が大変だったと引退したようだが、確かに腕立伏せやワイヤアクション等々を観るとそう思った 話が完結したのかしなかったのか分からないのがまたいいのかも
▼デス・レース2000年 ⇒B級映画作品の帝王ロジャー・コーマンが1975年に製作 日本公開が1977年だったため、今年40周年記念で再上映 40年前の映画としては先進的で面白い 「ロッキー」(1976)で有名になる前のシルベスター・スタローンもレーサーの一員として出演 原題も"Death Race 2000"
・海底47m(英) ⇒メキシコ海岸でシャーク・ケージ・ダイビングに挑戦した姉妹がワイヤ切断のトラブルのために海底47mに落下するパニック作品 トラブル多発等腑に落ちないところも多いが、やや気弱な姉が自立する姿もうかがえる 窒素酔いについては余り知らなかった 原題は"47 Meters Down"=「47メートル下」

・バウンド ⇒「マトリックス」3部作で知られるウォシャウスキー兄弟(今は両人とも性転換して、姉妹)が初監督・脚本を担当した作品 1996年製作で日本公開は1997年 狂暴なマフィアの連中を相手に、女2人が大金を横取りして新生活を始める話 舞台演劇のような構成 原題も"Bound"だが、あえて和訳すると「飛躍、高飛び」的な感じか
・闇金ドッグス6 ⇒初めて観たが、もう6作目 7作目も来月公開 それなりに面白いが、世の中に闇金はどこまで浸透しているのだろうか
★少女ファニーと運命の旅(仏・ベルギー) ⇒毎年夏になるとナチスドイツのユダヤ人迫害に関する映画作品が上映される 本作は1943年時点で13歳だった、実在の少女ファニーによる最近の自伝を基に製作されたもの フランスの傀儡政権はドイツの指示に従って在仏ユダヤ人を迫害したが、ユダヤ人をかくまい、保護したフランス人も多くいた事実には勇気付けられる 終盤は子供達の生きる勇気に感涙させられる 原題は"Le voyage de Fanny"(仏)="Fanny's Journey"=「ファニーの旅」

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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2017年8月11日 (金)

8月上旬(1日~10日)に観た劇場映画

8月上旬(1日~10日)は、11本の劇場映画を観ました。北海道旅行をはさみながらも、ペースを落とさずにすみました。

▼海辺の生と死 ⇒太平洋戦争末期1944年(昭和19年)冬に奄美群島加計呂麻島で出会った島尾ミホと島尾敏雄の作家夫妻の実話に基づいた作品 ミホの同名小説と敏夫の短編小説「島の果て」等が原作 加計呂麻島で実際にロケを敢行した、島の美しい映像も見物 ヒロイン(満島ひかり)は学校の先生 駐屯してきた海軍震洋特攻隊隊長(永山絢斗)と知り合う 終盤ヒロインが母の形見の喪服を着、短刀を懐に海に浸かりながら砂浜までたどり着くところがクライマックス その前に上半身裸で自宅の井戸水で禊(みそぎ)をするシーンも見逃せない
▼▼獣道(注:けものみち)(日・英) ⇒地方都市における愛と新興宗教をテーマに、ヴァイオレンスも満載の超マニアックなドタバタ喜劇怪作 一応実話をいくつかまとめて創作したものらしいが、とにかくビックリさせられるばかりで常識破りの作品 「下衆の愛」で話題になった内田英治監督のオリジナル作品 内田監督はリオデジャネイロ生まれで、テレビのアシスタント・ディレクターや雑誌記者を経て、脚本家そして映画監督に 終映後のトークショーがとても面白く、ゲストの山本政志監督と行定勲監督が絶賛 行定監督は「どうなるか全く先が読めない 最後まで飽きさせない それでいて破綻しない」とコメント また両監督とも主演の伊藤紗莉のアルトでハスキーな声を評価 正式サブタイトルではないが、ポスターには"LOVE AND OTHER CULTS"と「THIS IS 地方」とある ロケは山梨県内各地で行われた模様
・怪盗グルーのミニオン大脱走 ⇒ユニバーサル・スタジオ傘下のイルミネーション・エンターテインメントの「怪盗グルー」シリーズの3作目 結構大人向けのギャグも多かったと思うが、劇場には子供達が多数 原題は3作目なので"Despicable Me 3"=「卑劣な私3、嫌な私3」か
・ザ・マミー 呪われた砂漠の女王 ⇒主演トム・クルーズはゾンビ作品には向かないか アクション俳優らしかったのは、輸送機が墜落するシーン 音楽の使い方やカットの仕方によると思うが、余り怖くないホラー作品になっていた またゾンビの水中シーンは珍しいが、いかんせんゾンビの泳ぎが上手過ぎると感じた 続編の計画もあると聞いたが、不要では 原題は単に"The Mummy"=「ミイラ」
▼夜明けの祈り(仏・ポーランド) ⇒第二次世界大戦後のポーランドで発生した、ソ連兵の蛮行・凌辱により妊娠した修道女達を救った実在の仏人女医の実話に基づく作品 ポーランド人のロシア嫌いの理由がよく分かる 原題は"Les innocentes"(仏)="The innocents"=「無実の者達、無辜の者達」

・ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章 ⇒荒木飛呂彦のベストセラー・コミック「ジョジョの奇妙な冒険」の第4部の実写映画化らしい 筆者は原作については全く知識がないが、シリーズ全8部累計発行部数が1億部というのは物凄い 三池崇史が監督を務め、山崎賢人、神木隆之介、小松菜奈、岡田将生、山田孝之、伊勢谷友介、國村隼など錚々たるメンバーが出演 その上にロケ地がスペイン・カタルーニャ地方バルセロナ県のシッチェスというのも特筆もの 原作のM県S市杜王町は宮城県仙台市内のことのようだが… スペインには約70人の日本人スタッフ・キャストが乗り込んだという 映画中盤からはスタンドと呼ばれる超能力の応酬で、ミュータント作品化するが、それはそれなりに面白かった 見えないスタンド前提に演技する俳優達も大変だったと思うが、VFX等のポスプロの仕事もよくやり遂げたと思う
・銀魂 ⇒これも同名人気コミック(空知英秋作)の実写映画化らしい 幕末の江戸時代をSF化、寓話化しているので、歴史の事実と紛らわしい 途中で訳が分からなくなったら、最後まで集中力が続かなかった 最近訪れた東映太秦映画村(撮影所)でかなりの部分がセット撮影されたことが分かった 他にロケは福山市、栃木市、成田市、つくば市、大垣市、藤枝市、島田市、伊豆の国市等、江戸時代風の街並、建物、橋等が残ったところで行われた模様
▼TAP THE LAST SHOW ⇒製作会社の東映が余り宣伝しないので入りは不充分ではないかと思われるが、作品自体は結構面白かった 水谷豊が40年来の構想を企画化し、監督と主演を兼ねた ショーに参加する全員の気持ちが一つになって、ショーを成功に導いていく筋はまさに王道 最後のタップダンスのショーは圧巻 作品中のタップの殿堂「THE TOPS」としては東京・鶯谷の「ダンスホール新世界」がロケに使われたとの説がある
▼君の膵臓をたべたい ⇒住野よるの同名人気小説の映画化 病気もので、日記や手紙など書いたものが後から登場すると、涙を誘い、やはり強力 ヒロインの山内桜良(浜辺美波)のアルトでハスキーな声がまたいい 原作にはない12年後の僕(小栗旬)はナレーションもこなし、回想に良いアクセント タイトルの意味は判明するが、なぜそうでなければいけないのだろう ロケは滋賀県内彦根市を中心に、豊郷町、大津市、そして京都市、敦賀市、福岡市、太宰府市、常滑市、岐阜県北方町等で行われた模様
・歓びのトスカーナ(伊・仏) ⇒本作はイタリア・トスカーナ地方の精神病収容施設から一時逃避行した女性2人を描くロードムービー しかしイタリアでは1998年に人権問題からすべての精神科病院が閉鎖され、患者は地域で共生することになった 一方翻って日本では世界一精神科病床数が多く、未だ虐待事件が発生しているらしい 原題は"La pazza gioia"(伊)="The crazy joy"=「狂喜」か

・ボンジュール、アン ⇒フランシス・フォード・コッポラ監督の妻エレノアが、自身の体験を基に製作・脚本・監督を務めた作品 映画製作で忙しくプライベート・ジェットでプラハに飛ぶ夫と、強い耳痛のためカンヌで別れ先にパリ向かうことになったヒロイン・アン(ダイアン・レイン) 夫の知人のフランス人映画製作関係者がパリまで車で送って行くことになったことから始まるロードムービー プロヴァンス地方のサント・ヴィクトワール山や古城・水道橋、ローヌ河畔でのピクニック、映画の父リュミエール兄弟を記念したリュミエール研究所・美術館(@リヨン)、サント・マドレーヌ大聖堂(@ヴェズレー)等の見所や人気レストランが登場 「家族も大事だが、人間の自然な感情も大事」というフランス流恋愛哲学も披露される 原題は邦題とは全く異なり、"Paris Can Wait"で和訳すると「パリは待っている」あるいは「パリは遠からじ」か

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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2017年8月 1日 (火)

7月下旬②(26日~31日)に観た劇場映画

7月下旬②(26日~31日)には、11本の劇場映画を観ました。7月下旬2回目のエントリーです。

・結婚 ⇒「結婚」というタイトルの「結婚詐欺師」の話 直木賞受賞した井上荒野が書いた同名小説の映画化とのこと 詐欺師の動機等結構ミステリアスで、主人公の苦悩の種明しは終盤まで引っ張っていく 結婚願望が強いとはいえ、なぜしっかりしているように見える女性達が簡単に詐欺話に引っかかるのかは理解できない ロケは首都圏各地で行われた模様だが、横浜みなとみらいの大さん橋と横浜八景島シーバラダイスのシーンは容易に見分けが付いた
・ダイ・ビューティフル(比) ⇒ここまでの世界があるのかと改めて思い知らされた オカマのミスコンもあって、賞金まで出るのか どこまでが本当なのかは分からないが、フィリピンの社会はよっぽどオープンのように思える 原題も"Die Beautiful"=「美しく死ぬ」か
・ウィッチ ⇒米国ニューイングランド地方の各種伝承民話を基に製作されたホラー作品 映像や音もそれなりに恐ろしいが、家族それぞれの心理的な変貌も怖い もっともそもそもの発端は家長の短気でこの一家が村人達と共生できなくなったことだが… 原題は"The VVitch"(綴りが工夫されている)=「魔女」
・メアリを魔法の花 ⇒ジブリ直系のアニメ作品だということは理解できたが、やや盛り上がりが少ないまま終わったように感じた 映像は綺麗だったが…
・君はひとりじゃない(ポーランド) ⇒筆者の集中力が持たず、最初から最後までよく分からなかった 原題は"Body/Cialo"(スラッシュの後はポーランド)=「身体」か

・ハートストーン(アイスランド・デンマーク) ⇒思春期の少年少女の成長を夏から冬にかけて描く アイスランドの荒涼とした風景の中で、男同士の友情(愛情?)と異性への興味にまつわる葛藤がテーマ 原題は"Hjartasteinn"(アイスランド)="Heart of Stones"=「石の心」だが、何だろう
▼アリーキャット ⇒元ボクサー、アルバイト警備員、ストーカー、母子家庭、デリヘリ、悪徳政治家、銃を携行したシークレット・サービス、ブラック・コンサルタント、ボクシングジムの会長等々、これだけの材料があれば大体の粗筋は想像できるだろう 2人の主役が猫で出会い、騒動に巻き込まれることになるのだが、面白かった タイトルの「アリーキャット」は"Alley Cat"のことらしく、ならば「路地の猫、野良猫」となる
★ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ ⇒アメリカのビジネスそしてアメリカン・ドリームを理解するのにとても役立つ、きわめて面白い作品 チェコ系移民の子孫であるレイ・クロックが、どのようにしてマクドナルド・ハンバーガー店に出会い、それをフランチャイズチェーンとして発展させたかを描く レイは1954年52歳の時に、マクドナルド流生産方式ともいえる調理方法のハンバーガー店と出会い、最終的には店舗用地を所有する方式のフランチャイズチェーンとして大企業を作り上げた レイが挙げるビジネス成功の最大の鍵は"persisitent"(根気、しつこさ)であり、ビジネスの世界では当然のことでもある レイがやや詐欺的な方法でマクドナルド兄弟から商標権まで奪取した事実も登場する そのためか本作には現在のマクドナルド社からの後援はないらしい ロケはジョージア州アトランタに昔のマクドナルド店舗のセットを造って行ったようだ
・裁き(印) ⇒人種差別や階級差別等の人権問題がまだ色濃く残るインド社会の実相を垣間見せてくれる作品 ただ話は単純ではなく、いろいろな側面のシーンが登場するので、筆者には分かりにくかった
▼ダンサー、セルゲイ・ポールニン 世界一優雅な野獣(英・米) ⇒1989年11月にウクライナの黒海に近い街へルソンに生まれた天才バレエ・ダンサーのセルゲイ・ポールニンを追ったドキュメンタリー 彼がどのようにして19歳で英国ロイヤル・バレエ団の史上最年少のプリンシパルになったのか、しかしその2年後に電撃退団し、新たな道を探る中で米国のミュージック・ビデオに登場し注目を浴び、バレエを再開するまでを映像にしている 場所はへルソン→キエフ→ロンドン→へルソン→米国カリフォルニア・ハワイ→モスクワと展開する セルゲイが簡単に何度も行うジャンプ、スムーズな回転、そして容易に見える空中2回転を観ていて、素人の筆者でもこれは凄いと思った 原題は単に"Dancer"

・ハローグッバイ ⇒かなり違う境遇にいる目立つ女子高生2人が、認知症のおばあさんと係わることによって共感を強めていく過程を描く ロケには桐朋学園が使われたようだ

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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