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2017年11月 1日 (水)

10月下旬(21日~31日)に観た劇場映画

10月下旬(21日~31日)は、11本の劇場映画を観ました。10月末には札幌の小学校のクラス会に出席し、札幌と小樽の紅葉も楽しみました。

・ロキシー ⇒米国がいかに暴力にむしばまれているかを再認識させるクライム・バイオレンス・ラブストーリー 最初はヒーロー・ヴィンセントが強いが、最後はヒロイン・ロキシーが強い 原題は"Vincent N Roxxy"=「ヴィンセントとロキシー」で、邦題はなぜかヒロインの名前だけになっている
・アンダー・ハー・マウス(加) ⇒監督を含めほとんど女性のスタッフ陣が製作 女性の同性愛がテーマ 何となくテクニック指南映像にもなっている 原題は"Below Her Mouth"=「彼女の口(を使ったテクニック)で慰められて」か 邦題の「アンダー(Under)」は「離れて下」だが、「ビロウ(Below)」は「接触して下」
・婚約者の友人(仏・独) ⇒フランスのフランソワ・オゾン監督が仏・独の俳優を起用して製作 舞台は第一次世界大戦の後遺症に苦しむ、1919年のドイツ モノクロとカラーの映像そして仏語と独語が入り交じり、音楽、絵画、手紙等いろいろ気の利いた小道具も登場 仏・独の興味深い関係もうかがえる いろいろ謎があるミステリー仕立てだが、皆相手を想うがために嘘をつくのか… 原題は"Frantz"=「フランツ」で、戦争で亡くなった、ヒロインの婚約者(独)の名前
▼ブレードランナー ファイナル・カット(2007年) ⇒「ブレードランナー」はフィリップ・K・ディックの原作SF小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」(1968年)を1982年に映画化したもの それをリドリー・スコット監督自身が35年目(2007年)に再編集・デジタル修復したものが本作 「ブレードランナー」は当時余りに先進的だったためにわかには受け入れられなかったが、時間の経過とともにファンを獲得 2019年の酸性雨が降り注ぐロサンゼルスが舞台で、反乱を起こしたレプリカント(人造人間)4人をブレードランナー(レプリカント追跡専門の刑事)のリック・デッカード(ハリソン・フォード)が追うのがメイン・ストーリー 4年間というレプリカントの寿命、人間と見分けるための専用の検査方法、空飛ぶ自動車(スピナー)等がユニークだが、製作過程でいろいろな変更があったため誤謬や矛盾点も少なくない デッカードの相棒レイチェル(人間に近いレプリカント)が妊娠したことが今後のテーマとして残される 製作前に日本を訪問したスコット監督のイメージで新宿歌舞伎町を彷彿とさせる映像と日本語があふれる 製作年の習慣からか登場人物はとにかくよく煙草を吸うが、米国の現実は禁煙が拡がっているのは誤算か 撮影はワーナー・ブラザーズのバーバンク・スタジオ(カリフォルニア州)とロサンゼルス市内各所にて行われたようだ 原題も"Blade Runner: The Final Cut" ところで本作は爆音上映で観たが、聴覚も馴れが速くすぐに気にならなくなった
▼あゝ、荒野 後篇 ⇒前10日間に観た「前篇」に続き「後篇」を鑑賞 「前篇」の1年後の2022年の姿を描くが、ボクシングは青春の炎を燃やすにはやはり最適なスポーツの一つだと確信 今回も菅田将暉とヤン・イクチュンが薄幸な生立ちを背負ってボクシングに邁進 二人ともトレーニングで西新宿、歌舞伎町等新宿の街を走り回る 前篇と違い後篇はボクシング中心なので、盛上りが周期的に来て好ましい 断たれていた親子の絆も少し… ところで、2022年でも理髪店ではまだ手動バリカンを使っているのか

・アナベル 死霊人形の誕生 ⇒欧米は悪魔話が本当に好きだと思う 話の展開は想定内だが、場面の突然変換、音楽と効果音、そして灯りの点滅と消滅による怖がらせは健在 悪魔が生き延びたのは困る なお、不思議に思ったのは米国では睡眠時部屋のドアを開けておくのが普通だったかなということ 原題は"Annabelle: Creation"=「アナベル: 創造、創始」か
・我は神なり(韓) ⇒宗教に胡散臭さを突き、哭きがとても多い韓国アニメ なぜかとても心地好く時間を忘れた 原題は"The Fake"=「まやかし、でっちあげ」
・ル・コルビジェとアイリーン 追憶のヴィラ(ベルギー・アイルランド) ⇒邦題にかかわらず本作はアイルランド出身のインテリア・デザイナー、アイリーン・グレイに関するもの 特に彼女が恋人の建築評論家ジャン・バドヴィッチと一緒に設計し、インテリアも含め1929年に南仏カップ・マルタンに完成させたヴィラE.1027が主題 E.がアイリーン、10がジャン、2がバドヴィッチ、そして7がグレイを表している 日本でもよく知れられているル・コルビュジエは彼女の才能に結局のところ嫉妬し、1938年に無断でヴィラの壁にフレスコ画を描く そして第二次世界大戦後彼は最終的にヴィラを所有するに至るが、1965年に77歳でヴィラ前の海で溺死 アイリーン・グレイはパリに店舗を構え、女性歌手の恋人もいたが、視力悪化で引退し、1976年にパリで98歳で亡くなった 戦時中ドイツ占領下でヴェズレーに疎開する悲惨な姿も描かれる 原題は"The Price of Desire"=「欲望の代価、代償」か
▼女神の見えざる手(仏・米) ⇒ワシントンD.C.で働いたことのある人、あるいは米国政治に興味がある人には必見 ただし台詞が多く速いので、よくよく注意して観ていないと何を言っているのか分からないことも多い 何度か観る必要があるかもしれない 監督は「恋におちたシェイクスピア」(1998年)でアカデミー賞作品賞(1999年)を受賞したジョン・マッデン ヒロインは「ゼロ・ダーク・サーティ」(2012年)でもヒロインを演じたジェシカ・チャステイン 脚本は初脚本ながら完成後約1年で映画化されたジョナサン・ペレラ ペレラは英国の弁護士だったが、クリエイティブな仕事がしたいと韓国で英語教師をしながら本作脚本を執筆したという変わり者 チャステインが、事務所を移籍してまで銃規制法案を推進する側を応援する鉄の女ロビイストのエリザベス・スローンを熱演 しかし、夜はエスコート・サービスで寂しさを紛らすのも現代風なのか、ガラスの天井を破る方法なのか ストーリーは権謀術数の極みであり、盗撮、盗聴、プライバシー侵害等、一線を越えかねないようなところまで至る そういう意味では誰も死なないが、まるでスパイ・サスペンス作品のよう 米国らしく議会上院委員会の聴聞会(ヒアリング)でクライマックスを迎え、そこで気持ちいいどんでん返し 鍵になるのがサイバネティック・ロボ・ローチというゴキブリ・ロボットによる盗聴というのはファンタジーだろう 原題は"Miss Sloane"でヒロインの姓「スローン女史」
・猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー) ⇒「猿の惑星」リブート・シリーズの第3作目 チャールトン・ヘストンが主演したオリジナル版「猿の惑星」(1968年)に話がつながるようになっているようだ 旧作5作品では特殊メイクで極めて人間臭い猿たちだったが、新作3作品では俳優の動作・表情をパフォーマンス(モーション)・キャプチャーでコンピューターに取り込み、CGで作成された猿のビジュアルに組み込んだので極めてリアルな猿たちに進化 しかしどれがどの猿か分かりにくいのが難 猿の世界にはメスも登場するが、人間の世界には猿のウィルスで聾になった少女以外は女性が登場しないのはなぜだろうか 撮影は米国カリフォルニア州とカナダ・アルバータ州の山間で行われたようだ なお、ポスプロのVFXで15,000人の仕事を創ったとしている 原題は"War for the Planet of the Apes"=「猿の惑星になるための戦争」か

▼先生!、、、 好きになってもいいですか? ⇒広瀬すずちゃんは相変わらず走り回っていた 映画「海街Diary」(2015年)で初めてお目にかかったが、また格段に演技が上手くなったように感じる でもまだ半分は天然で演じているような気もする なぜかすずちゃんの姿に引き込まれ共感してしまうので、昔を想い出して涙する女性も多そうだ 「ナラタージュ」も先生と生徒の恋愛を扱っているが、有村架純よりすずちゃんの方が演技上手だし、可愛い ただ、すずちゃんは19歳でまだしも、あとは皆20歳以上の俳優が高校生役を演じているのがちょっと… ロケ地は主に岡山市内だが、一部旧足利西高校(栃木県足利市)等も使われたようだ 橋上の名シーンは岡山市の旭川に架かる京橋を貸切りで撮影した模様

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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