カテゴリー「映画(2017年)」の39件の記事

2018年1月 1日 (月)

12月下旬(21日~31日)に観た劇場映画

12月下旬(21日~31日)は、12本の劇場映画を観ました。年末はやはりいろいろ忙しいですね。2017年最後の報告なので大盤振舞いになりました。

・フラットライナーズ ⇒1990年製作の同名米国作品のリメイクらしい 7分以内の心停止・臨死状態を若い医学生達が次々と体験し、それに伴い起こる恐ろしい出来事を描く 米国作品だが、カナダのトロントでロケ 原題も"Flatliners"だが、意味は多分「心停止の患者」
▼オレの獲物はビンラディン ⇒ニコラス・ケイジが演じるのは、愛国心が旺盛で、思い込みが超強く、猪突猛進な実在の米国人・ゲイリー・フォークナー 2001年の9.11同時多発テロの首謀者とされるオサマ・ビンラディンを捕まえるためにパキスタンまで独力で辿り着く、奇想天外のコメディ 原題は"Army of One"=「一人軍隊」か
▼カンフー・ヨガ(中・印) ⇒ジャッキー・チェンのカンフー・アクションとインド映画のヨガ・ダンス・アクションが融合 中・印を合計した観客市場規模は莫大 カンフー・アクションに、ヨガ・アクション、ドバイを貸切った超高級車によるカー・チェイス、実物のトラやゾウの登場、インド流の統一された集団ダンス、北京郊外のインド僧院巨大セットなどサービス満点 原題も「功夫瑜伽 Kung Fu Yoga」
▼ダンシング・ベートーヴェン(スイス・西) ⇒フランスの天才バレエ振付師故モーリス・ベジャールの代表作「(ベートーヴェン)第9交響曲」を、スイス・ローザンヌにあるぺジャール・バレエ団と東京バレエ団がイスラエル・フィルハーモニー交響楽団とともに2014年に東京で再演するまでを追ったドキュメンタリー 厳しいレッスンとソリストの選択、そしてリハーサルを経て到達する本番は素晴らしい 原題は"Beethoven par Béjart"(仏)="Beethoven by Béjart"=「ベジャールによるベートーヴェン」
▼勝手にふるえてろ ⇒芥川賞作家綿矢りさの同名小説の実写映画化 ぶっ飛んだ女性の独白(モノローグ)は、原作がそうなのだろうが、とても面白い SNSを活用した話の展開等今の時代にマッチ 主演の松岡茉優は「ちはやふる」の時とは全く違った喜劇役者の顔を見せた ロケ地は千葉県の木更津市立太田中学校と船橋日大前駅、東京都の町田駅南口付近のラブホ街と江東区有明のマンション「オリゾンマーレ」などらしい

・女の一生(仏) ⇒ご存じフランスの文豪ギイ・ド・モーパッサンの同名名作小説(1883年)の何度目かの実写映画化 日本では明治初期のフランス、貴族の家系の話だが、親が決めた結婚、夫の度重なる不倫、子供の強烈な脛かじり、貴族の没落等々、現代にも通じる物事も多い 原題は原作と同じ"Une vie"で、厳密には「ある人生」か
▼ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命(チェコ・英・米) ⇒ホロコーストからユダヤ人を救った実話はまだまだ掘り起こされるのではないか 1939年からワルシャワの動物園で300人ものユダヤ人を地下室に匿い、ドイツ軍から守り抜いた実話 地下活動に重点を置く動物園長ヤンに代わり妻のアントニーナが孤軍奮闘 主役のジェシカ・シャスティンは製作陣にも加わった 原題は"The Zookeeper's Wife"=「動物園長の妻」か
▼否定と肯定(英・米) ⇒ホロコーストを否定する英国人歴史学者から英国で名誉棄損を提訴された裁判を、被告側の米国人女性歴史学者が英国人大弁護団を編成してホロコーストの実在を立証する裁判劇 これも実話に基づいており、英国では名誉棄損裁判は被告側に立証責任があるらしい 日本では原告側にあるとのこと 原題は"Denial"=「否定、拒否、否認」
▼MR. LONG ミスター・ロン(日・香・台・独) ⇒超絶技巧のナイフ格闘アクションが売り 監督が日本で、主役が台湾、そしてポスプロがドイツ 日本語の分からない台湾人と日本人との人情ものでもある ロケ地は主に栃木県足利市 足利をロケに使う作品は増えている
★花筐 HANAGATAMI ⇒単館上映ではあるが、いろいろな意味で話題の多い作品 大林宣彦監督が肺ガンで余命半年の宣言を受けながら製作した3時間弱の長尺 監督が40数年前に最初の作品として書き下ろしていた脚本の映画化 檀一雄の同名短編小説(1936年)が原作 三島由紀夫が同作も収録した短編集「花筐」(1937年)を読んで小説家を志したとか言われる 出来上がった作品は幻想的で色彩豊か 桜の花吹雪で始まり、蛍が飛交い、唐津くんちの赤、そして最後は雪になる 「この空の花」「野のなななのか」に続く戦争(反戦)3部作 ロケはほぼ佐賀県唐津市で行われ、唐津くんちが全面協力した模様 なお、「花筐」は能の演目でもある

▼未成年だけどコドモじゃない ⇒本作も水波風南による同名コミックの実写映画化 筆者とは年代が違いすぎるかと心配したが、作品は極めてドタバタ喜劇で面白かった ロケ地は、学校が東京渋谷の実践女子大キャンパス、その他埼玉の駿河台大学サッカー場と県営みさと公園、そして東京の日の出桟橋や神奈川の江の島などらしい
・二十六夜待ち ⇒震災後何もかも失った東北を舞台にしたラブストーリー 長いラブシーンがあったらしいが、残念ながら見逃した ロケ地は福島県いわき市が主体で、他に神奈川県相模原市や東京都台東区・江東区

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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2017年12月21日 (木)

12月中旬(11日~20日)に観た劇場映画

12月中旬(11日~20日)は、7本の劇場映画を観ました。12月はイベントが多くなり、映画鑑賞の時間が減少します。

▼希望のかなた(フィンランド) ⇒現在ヨーロッパ中で最重要課題になっているシリア難民受入問題に取り組んだ、アキ・カウリスマキ監督の作品 舞台はフィンランドの首都ヘルシンキ 受入れを支援し仕事を提供する人も、難民受入れに反対し暴行する人も登場 日本の音楽や日本料理など監督の日本趣味もコメディックに演出 今年2017年のベルリン国際映画祭で銀熊賞(監督賞)を受賞 原題は"Toivon tuolla puolen"(フィンランド)="I hope beyond that"=「私はそれ以上を望む」だが…
・DISTINY 鎌倉ものがたり ⇒西岸良平の同名原作コミックを山崎貴監督が実写映画化 「ALWAYS 三丁目の夕日」と同じコンビらしい 豪華キャストが終結した作品だが、筆者にはやや時間の経つのが遅く感じた
・永遠のジャンゴ(仏) ⇒ロマ(ジプシー)のジャズ・ギタリスト、ジャンゴ・ラインハルトの知らぜらるストーリーを紹介 ドイツ占領下のフランスでも、大人気のジャンゴはパリで満員のミュージック・ホールに出演 徐々にドイツ傀儡のヴィシー政権に迫害されるジャンゴ 最後に演奏された「迫害されたジプシーのためのレクイエム」は良かった 原題も"Django"
・オリエント急行殺人事件 ⇒ご存じアガサ・クリスティの名作ミステリーの2度目の実写映画化 VFXが進化しているので映像は格段に美しく ユーゴスラヴィアのヴィンコヴツィ(現在はクロアチア領)とブロド(現在はボスニアヘルツェゴビナ領)間で、雪のため脱線した急行の中での殺人事件を名探偵ポアロが解決 基本的な筋立ては基本的には大きな変更はないと思うが、なぜポアロは登場人物の背景情報を容易に入手できるのだろうか 原題は"Murder on the Orient Express"=「オリエント急行での殺人」
▼はじまりのボーイミーツガール(仏) ⇒思春期の少年たちが頑張る作品には泣かされる フランスの大ヒット青春小説の実写映画化らしい 実生活でも一流ヴァイオリニストの卵が演ずるチェリスト志望の少女に半分利用されるが、少年たちは分かっていても少女の夢を叶えようとする フランス独特の複雑な家庭事情もいろいろ登場 原題は"Le coeur en braille"(仏)="Braille heart"=「点字の心」だが…

・猫が教えてくれたこと(米) ⇒東ヨーロッパの古都、トルコのイスタンブールに暮らす野良猫たちの生態を、超ローアングルからの撮影で紹介 監督はイスタンブール生まれだが、現在は米国在住なので製作国は米国になっている 原題は単に"Kedi"(土)="Cat"=「猫」
・ヒトラーに屈しなかった国王(ノルウェー) ⇒立憲君主制の下での国王の役割、つまり民主主義の原則を描いている ナチス・ドイツがノルウェーの首都オスロに侵攻した1940年4月9日からの3日間の交戦・交渉を描く ノルウェーでは大ヒットしたようだが、宣伝映画のようにも思えた ノルウェー国王と皇太子は英国に亡命し、皇太子家族は米国に避難し、そして結局ノルウェーはドイツに降伏したのだから、結果は余り変わらないようにも… 原題は"Kongens nei"(ノルウェー)="The king's no"=「国王のノー」

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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2017年12月11日 (月)

12月上旬(1日~10日)に観た劇場映画

12月上旬(1日~10日)は、10本の劇場映画を観ました。途中で東宝シネマズの無料券から解放されたので、少しマイナーな作品にも向き合いました。

・パーティで女の子に話しかけるには(英・米) ⇒ハードロック、ヘビーメタルに続くパンクロックの時代(1970年代後半)のロンドン郊外が舞台 強烈な音楽の中、48時間だけ地球に滞在する宇宙人の女の子との恋愛がテーマ 日常からしばらく逃避するが、また戻る 原題も邦題どおり"How to Talk to Girls at Parties"
▼探偵はBARにいる3 ⇒おなじみ札幌ススキノが舞台のアクション探偵もの 東直己の「ススキノ探偵シリーズ」が原作でその映画化第3弾 大泉洋と松田龍平のコンビも今や息がピッタリ 主演の大泉洋が3作目では終了にしたくないと、2作目から3作目までには、1作目から2作目までの倍の準備期間4年間をかけて内容を詰めたそうだ やはり北海道らしい冬のロケが行われ、札幌市ではススキノ、北海道庁旧本庁舎(赤レンガ庁舎)、北大総合博物館、サッポロファクトリー等が使われた その他小樽市(船上)や江別市(酪農学園大学)でもロケをしたようだ サッポロファクトリーで撮影された終盤のクライマックスでは、日本ハム・ファイターズの栗山監督と秋元札幌市長も出演 酪農学園大学でのオチも良かった
・鋼の錬金術師 ⇒荒川弘(男性ペンネームだが実際は女性)の同名原作漫画を、曽利文彦監督がVFXを駆使して実写映画化 原作漫画を読んでいないので、本作を観てもにわかには訳が分からない部分もあった エド(エドワード)の弟アル(アルフォンス)の鎧の身体は完全なCGで、格闘シーンではモーション・キャプチャーを使ったらしい 欧州風の街の雰囲気を出すために、イタリアのヴォルテッラでロケをし、前半の格闘・破壊シーンはハリウッド並のVFXを駆使した最先端映像のようだ ロケ地は、イタリア以外には、東京都、和歌山市(和歌山マリーナシティ)、神戸市(王子動物園)も使われたとのこと
・最低。 ⇒AV出演に踏み切る、生立ち・立場の異なる3人の女性を描く 生きることの一部は性欲で、AVもそれに関連したビジネスだが、最近は抵抗なくAV女優になる若い女性も多いという ロケ地は千葉県、東京都、神奈川県の各地らしい
▼ドクター・エクソシスト ⇒半分時間調整で観た作品だが、怖さに慣れたと思っている筆者にも意外にも怖く、面白かった 超能力に医学的・科学的な味付けをしたエクソシズム(悪魔祓い)を創り出して、教会から離れたエクソシスト(祓魔師[ふつまし])の活動を描く 相変わらずなぜ部屋に灯りを点けないかという疑問は残るが、新次元の怖さを垣間見た 憑依するものは完全に消えていないので、本作の興行成績次第では次も 原題は"Incarnate"で、「化身、憑依」か

・悪魔祓い、聖なる儀式(伊・仏) ⇒イタリア・シチリア島で、エクソシズム(悪魔祓い)を実践するエクソシスト(祓魔師)の神父たちのドキュメンタリー 一種のよろず相談所のような話だが、そもそも教会はそのようなものか 原題は"Liberami"(伊)="Set me free"=「解放」か
▼YARN 人生を彩る糸(アイスランド・ポーランド) ⇒欧州北部では、人類がいかに羊たちと共生してきたかがよく分かった 羊毛を始めとして、肉、皮、内臓等捨てる部分はないようだ その毛糸に代表される糸を使った芸術が世界中でこんなに盛んで、美しく、面白く、子供から大人まで楽しめることが描かれている ロケでは、アイスランド、ポーランド、デンマーク、米国(ニューヨーク・シティ、ハワイ)、日本、スペイン(バルセロナ)、ドイツ(ベルリン)、カナダ(ノヴァ・スコシア)、キューバ(ハバナ)、イタリア等、本当に世界を巡っている 原題も"Yarn"で、「糸」以外に「ありそうにない話」という意味があるようだ
・プラハのモーツァルト 誘惑のマスカレード(チェコ・英) ⇒プラハにおいてオペラ「フィガロの結婚」から「ドン・ジョバンニ」につながるストーリーを展開 当時のオペラ舞台を模した音楽とアリアのシーンは圧巻 ただし、当時女性歌手はあのようなピエロのような化粧をしていたのだろうか プラハの無数の尖塔の風景も登場
▼光 ⇒大森立嗣監督が三浦しおんの同名原作小説を映画化 大森監督は三浦の「まほろ駅前」シリーズを手掛けた そのシリーズに主演していた瑛太が本作でも力の抜けたダメ男を演じている 最近彼はそういう役が多いがよく合っていると思う 話はそれるが永山絢斗は瑛太の弟だそうだ 本作は、強烈なビートの音楽の中で、重要なストーリーが展開 離島で津波の被害を受けた離島の生き残りが、25年後に都会で遭遇し過去の犯罪を巡り暴力的に 原作どおりなのかもしれないが、終盤の15分間位は不要では… サッポロ黒生のアルミ缶がよく登場するので、これはプロダクト・プレイスメントか ロケは伊豆諸島の利島、川崎市、千葉県木更津市等で行われたようだ
・ビジランテ ⇒「SR サイタマノラッパー」(2009年)の入江悠監督がオリジナル脚本で、同じ埼玉県深谷市を舞台に繰り広げる政治家家系3兄弟のドロドロの関係を描く 大森南朋のどうしようもないぐうたらさが目立つ 本作では現地と横浜のヤクザ連中が多く登場するので、「SR サイタマノラッパー」に比べて時代の旧さを感じる 「ビジランテ」とはスペイン語起源の"vigilante"という語で、「自警団」という意味らしい ロケはほぼ深谷市で行われたが、所沢市議会本会議場や熊谷市のホテルも使われたようだ

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2017年12月 1日 (金)

11月下旬(21日~30日)に観た劇場映画

11月下旬(21日~30日)は、12本の劇場映画を観ました。この間に、京都・奈良への紅葉狩りも敢行しました。

・不都合な真実2 放置された地球 ⇒2006年製作の「不都合な真実」の続編 前作同様、元米国副大統領でノーベル平和賞受賞のアル・ゴアが出演とナレーション 前作の10年後の地球の様子をルポ 温暖化ガスの増加と地球温暖化には間違いなく相関関係があるが、本当に因果関係があるのかに疑問を持っている人々も少なからず存在 原題は"An Inconvenient Sequel: Truth to Power"=「不都合な続編:(対策運動の)力になる真実」か
・火花 ⇒又吉直樹の芥川賞受賞同名小説の映画化 主題歌の「浅草キッド」(ビートたけし作詞・作曲)どおりの内容だと思う よしもとのドキュメンタリー風作品でもある 板尾創路監督だけあって漫才の演出は巧み 菅田将暉と桐谷健太両名とも大阪出身なので言葉の問題もない ロケ地は、主人公たちの生活の場である東京・吉祥寺が中心で、花火大会と演芸会で熱海(静岡県)も登場
・gifted ギフテッド ⇒天才は創られるものか、自然に育つものかを考えた 普通の人生も幸福だと思うが… トム・フリンのオリジナル脚本で、本作登場の猫のモデルとなった片目の猫フレッドとフロリダで暮らしているそうだ 原題も"Gifted"=「天才」
▼泥棒役者 ⇒全くの舞台演劇だと思ったら、元々そうだったものを映画化したものらしい ストーリーはよく練られており、スリルもサスペンスも笑いもある 少々話が出来すぎているところも多いが、舞台の好きな人には評判が良さそう 観客には若い舞台関係者が多いとみた ロケは、東京都町田市や埼玉県川口市あたりで行われたようだ
▼リュミエール(仏) ⇒映画の父と呼ばれるフランスのリュミエール兄弟の作品を紹介 彼らが1895年から1905年までの10年間に製作した1,422本の白黒作品から108本を取り上げた 当然ながら定点固定カメラによる撮影が中心だが、現在にも通じるテクニックが垣間見える 米国公開ではエジソンとの確執もあったようだ 原題も"Lumière!"(仏)=「リュミエール!」(普通名詞としては、「ライト、光」の意味)

▼Ryuichi Sakamoto: CODA(米・日) ⇒世界的な音楽家・坂本龍一に関するドキュメンタリー YMO時代から一連の映画音楽、そして最新アルバムまでを追う NYC・3.11テロ、東日本大震災、反原発活動、ガン闘病等も経て、音にこだわる姿を描く 映画音楽には「戦場のメリークリスマス」(1983)、「ラストエンペラー」(1988)、「レヴェナント 蘇えりし者」(2015)等を含む
▼まともな男(スイス) ⇒妻が作家である以外は普通のサラリーマン家庭が、冬のバカンスでスキー場に出かける話だが、少しずつ歯車が狂い始め、最後は相乗的になっていくスリルとサスペンスが味わえる ドイツのミヒャ・レビンスキー監督の脚本がよく出来ており、それぞれの登場人物の苦悩がよく分かる スイスのラントクワルトからダヴォス至る谷の途中の街プレッティガウが舞台 原題は"Nichts passiert"(独)="Nothing happens"=「何も起こらない」で、邦題はやや意味不明
・南瓜とマヨネーズ ⇒魚喃(なななん)キリコの同名原作漫画(1999)の映画化 売れないバンド・マン、歌手、俳優、又は芸人と彼を支える彼女のストーリーは今やありふれたもの ロケ地は題材に適した、東京の渋谷、下北沢、高円寺、荻窪等各地の模様
・ジャスティス・リーグ ⇒DCコミックスの映画らしく、期待に違わずどうでもいい感じ 死んだはずのスーパーマンが蘇るのか 原題も"Justice League"
▼KUBO クボ 二本の弦の秘密(米・日) ⇒3Dプリンターで人形を作り、ストップ・モーションで映像化したという、気が遠くなるような製作過程のアニメ・ファンタジー作品 サムライ、三味線、折り紙、刀、鎧(よろい)、兜(かぶと)、獅子舞い、盆踊り等々、徹底した日本趣味 ストーリーも音楽も良い 原題は"Kubo and the Two Strings"=「クボと二本の弦」

・全員死刑 ⇒これが実話を基にした作品か?!という感じ 2004年9月に起こった「大牟田一家4人殺人事件」がベース 全く先の見えない一家の行く末を描く 4人殺害して一家4人全員死刑になったらしい
・動くな、死ね、甦れ!(露) ⇒1995年製作のロシア作品 白黒作品で、貧しい街での子供たちの生態を描く フィナーレでは全裸の女が走り回る映像が 原題は"Zamri, umri, voskresni!(Замри, умри, воскресни!)"(露)="Freeze, die, rise again!"で、直訳すると「止まれ、死ね、再び立ち上がれ」か

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2017年11月21日 (火)

11月中旬(11日~20日)に観た劇場映画

11月中旬(11日~20日)は、17本の劇場映画を観ました。東宝シネマズの月間フリーパスを活用したため、鑑賞数が多くなりました。

・ロダン カミーユと永遠のアトリエ(仏) ⇒19世紀最高のフランス人彫刻家オーギュスト・ロダンの没後100年を記念して製作された作品らしい ロダンのアトリエは沢山のスタッフがおり、まるで工場のよう だから世界中に彼の作品が存在しているのか 芸術家はやはり女性が好きだ 原題は単に"Rodin"
★ノクターナル・アニマルズ ⇒まず冒頭の超太目フルヌードの、腹の肉襞がこぼれ落ちそうな女性たちのダンス・シーンに圧倒された それもそう著名ファッション・デザイナーのトム・フォード監督の作品 現在、叶わなかった20年前の青春の日々、そして小説の中の世界が入り乱れ、少々めまいがしそう ジェイク・ギレンホールが2役を演じているからなおさらか 車によるあおり、カー・チェイス、そして追い越して前方に出ての急ブレーキと最近日本で話題になった危険運転が一つのテーマなのはタイムリー ヒロイン(エイミー・アダムズ)の反省、そして捨てられた男のささやかな仕返しがオチ 原題も"Nocturnal Animals"=「夜行性動物」
・ジグソウ ソウ・レガシー ⇒相当な量のVFX資源が投入されている 普通ならかなり怖いのだろうが、舞台裏を知り、ホラー慣れした筆者にはそうでもなかった ただレーザー・メスのトリックは斬新だった 「ソウ(Saw)」シリーズ8作目とは知らず、そういう意味ではまだまだ新鮮 原題は単に"Jigsaw"で、これは「ジグソーパズル」のことらしいが…
・ザ・サークル ⇒ソーシャル・ネットワークの時代、人々のつながりが強まり、情報公開が進み、バラ色の世界にも見えるが、一方でプライバシーの課題が浮き上がる この課題は欧米では早くから意識されており、日本でも理解が進んでいる そういう意味でもうひとひねりがほしかったかもしれない また、いつも企業繁栄の陰には腐敗ありか 原題も"The Circle"
▼人生はシネマティック!(英) ⇒映画の創り方がよく分かった 企画・アイデア、そしてそれらをストーリと台詞に落としていく 脚本が重要で、いろいろな社会の要請を受け容れていく、すべては脚色次第だとも思う 英国製らしい結構生真面目な作品 クリストファー・ノーラン監督の今年の作品「ダンケルク」も思い出しながら、このテーマは欧州、特に英仏では欠かせないものだと知った 原題は"Their Finest"=「最高の作品を求めて」か

▼ポリーナ、私を踊る(仏) ⇒ジョージア(グルジア)の貧しい家庭出身の天才バレエ少女ポリーナが、ボリショイ・バレエ団に入団するまでに成長するが、突然コンテンポラリー・ダンスに目覚め、南仏、パリ、ベルギーを放浪 最後に男女2人で踊るコンテンポラリー・ダンスは最高 原題は"Polina, danser sa vie"(仏)="Polina, dancing her life"=「ポリーナ、人生を懸けた踊り」か
・おじいちゃん、死んじゃったって ⇒田舎で認知症の祖母と暮らす祖父が亡くなった時、一家一族が集合するが、その時に表面化する反目や個別の事情 しかし、大家族は和解し未来に向かい歩み始める ロケ地は熊本県人吉市
・ネルーダ 大いなる愛の逃亡者(チリ・アルゼンチン・仏・西) ⇒筆者は全く知らなかったが、チリでは詩人、国会議員、民衆に寄添う共産党政治家、ノーベル文学賞受賞者として有名なパブロ・ネルーダの逃亡時代を扱った作品 ナレーションや彼自身の詩による物語展開の多用も無声映画風で面白い 原題は単に"Neruda"
★セブン・シスターズ(英・米・仏・ベルギー) ⇒とても意表を突いた展開で、余り先を読めず結構ハラハラし、充分に楽しめた ノオミ・ラパスが1人7役を演じているが、俳優もポスプロ職人も大変だったろうと想像 地球への警鐘として温暖化、人口爆発そして食糧危機の課題が提起され、その解決策として過去の中国並みの一人っ子政策が導入された世界の話 7つ子が7つの曜日を命名され、該当の曜日を分担して同一人物として外出するというトリックが秀逸だが、すぐに皆その隘路(あいろ)に気が付く 権力は腐敗し、後半はアクション映画に変身 原題は"What Happened to Monday?"=「月曜日に何が起きた?」
▼セントラル・インテリジェンス ⇒B級作品だと思うが、筆者の大好きな米国学園青春ハチャメチャ映画の一種 高校卒業とその後20年目のリ・ユニオン(同窓会)を巡るドタバタを、CIAエージェントと会計士を絡めて展開 「ワイルド・スピード」シリーズのドゥエイン・ジョンソンと人気コメディアンのケヴィン・ハートがバディ(相棒)を組んだ ドゥエインは高校・大学のアメフト実力選手そしてWWEの人気プロレスラーを経て映画俳優に 原題も"Central Intelligence"

▼密偵(韓) ⇒日本統治時代の朝鮮・韓国が舞台 実際に存在した、武装独立組織「義烈団」と日本警察との闘いを描く 中国・安東(現在は丹東)から京城(ソウル)までの列車内での出来事がクライマックス 日本警察に奉職した朝鮮人憲兵が主役で結果的に二重スパイになる 原題は"The Age of Shadows"=「暗黒時代」で、邦題とは全く違い日本統治の暗黒時代を指しているものと思われる 本作で描写されていることは半分は本当の話だと思うし、今から考えれば日本は一体何のために1910年から1945年まで韓国併合していたのだろうか
・グッド・タイム ⇒ニューヨーク・シティ(NYC)のアウトロー兄弟の話 弟(監督が演技)は知的障碍があるのか 同日3本目の鑑賞は疲れた
▼GODZILLA 怪獣惑星 ⇒望外にも面白かった ゴジラの長編アニメ作品3部作の第1部らしい ただ意味のない台詞をさも意味ありげに言うので、訳が分からなかった しかし、冒頭のつかみから、エンディングでの次作へのつなぎは良かった
▼斉木楠雄のΨ難 ⇒原作漫画がバカバカしいのだろうが、本作も全編漫画風で徹底していて面白い 40歳に近い新井浩文が高校の同級生だったり、ヒロインの橋本環奈に(背が低いのを逆用して)クラスで厚底靴やハイヒールを履かせたりしたのは、ブラック・ジョークか ロケ地は栃木県足利市、特に廃校の旧足利西高校はよく使われている
▼マイティ・ソー バトルロイヤル ⇒飛び回る派手なアクションばかりが目立つマーヴェル・コミックとDCコミックスの作品はもう観るのをやめようと思ったが、本作はストーリーが結構しっかりしており、ジョークも多かったので合格点か 「ドクター・ストレンジ」のベネディクト・カンパーバッチも出演し花を添えた 原題は"Thor: Ragnarok"=「ソー:ラグナロク、雷神:善悪の最終決戦」か

▼ローガン・ラッキー ⇒ジョン・デンバーが「故郷に帰りたい(Take Me Home, Country Roads)」で歌った、米国ウエスト・ヴァージニア州を舞台に繰り広げられる、米国版鼠小僧ストーリー 結局損をするのはウォール・ストリートだけという、今の米国社会底辺の忘れ去られた労働者たちにとっては実に痛快な話か 原題も"Logan Lucky"
・エンドレス・ポエトリー(仏・チリ・日) ⇒分かる人には分かる、分からない人には分からないという典型的な作品 筆者はその中間か 人生はいろいろ、人生は繰り返し、生きることが人生などの言葉を想い出す 原題"Poesía Sin Fin"(西)="Poésie sans fin"(仏)="Endless poetry"=「終わりのない、無限の詩」どおりのテーマか

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2017年11月11日 (土)

11月上旬(1日~10日)に観た劇場映画

11月上旬(1日~10日)は、12本の劇場映画を観ました。1ヶ月間TOHOシネマズで映画無料観放題のチケット(フリーパスポート)を入手しました。予約ができないので、平日せっせと通うことになります。

・彼女がその名を知らない鳥たち ⇒1ヶ月前に公開された「ユリゴゴロ」に続く、沼田まほかるのミステリー小説の映画化 「ユリゴゴロ」でもそうだったが、とても一筋縄ではいかない、ややサイコパス的な人物達が登場 良い男と悪い男、あるいは良い女と悪い女の見分けは難しい しかし誰しも生きていかなくてはならない ラストシーンのヒロインの追想は何を意味するのか 原作舞台も大阪らしいが、ロケ地は大阪市内淡路駅、天満駅、玉造駅、鴫野駅、そして神戸市三ノ宮駅、北野あたりだそうだ 大阪弁はあんな感じでいいのだろうか
▼ブレードランナー 2049 ⇒前作から35年振りに製作された続編 前作のリドリー・スコット監督が製作総指揮に回り、後をドゥニ・ヴィルヌーブ監督が引き継いだ 前作は2019年を舞台にしているが、2017年を迎えてイメージが異なるところも多い そのあたりを少しは修正しながら、本作はさらに30年後の2049年を舞台にしている 火を噴く火力発電所が太陽光発電パネルに代わり、地上車はなくなり飛行車が増え、広告は3Dホログラムになり、雪も降る、云々 VFXを駆使した映像は凄い 本作におけるブレードランナーはレプリカントのK(ライアン・ゴズリング)、そのパートナーは3Dホログラム・イメージ 前作の残課題の秘密を追って老いたデッカード(ハリソン・フォード)を捜す 原題も"Blade Runner 2049" 「ブレードランナー」は「刃のようなランナー」なのか「刃の上を走るランナー」なのか
・エタニティ 永遠の花たちへ(仏・ベルギー) ⇒光にあふれた美しい映像が、台詞がほとんどない中、ナレーションの誘導により流れる 一連のピアノ曲の選曲も良く、ドビュッシーの「月の光」は最高 昔のフランス貴族階級の女性達の話で、多産多死の世界か ベトナムからフランスへ移住し、映画製作を学んだトラン・アン・ユンが脚本兼監督 原題も"Éternité"(仏)="Eternity"=「永遠、生涯」
▼バリー・シール アメリカをはめた男 ⇒トム・クルーズのあっけからんとした悪人振りは良かった 実話に基づく作品らしいが、米ソ冷戦時代、本作では1970年代後半からベルリンの壁崩壊(1989年)までの間の話 米国CIAが冷戦という秘密のベールに守られて中米でいかに勝手に無茶苦茶なことをやっていたかを改めて感じた ニカラグアのサンディニスタとコントラ、CIAのオリバー・ノース大佐、そしてイラン・コントラ事件等々、いろいろ話題になったがすべては明らかにされていない 原題は"American Made"で、直訳は「米国製」だが意訳すると「米国発の悪事」というところか
・ラストレシピ 麒麟の舌の記憶 ⇒二宮和也主演というよりは、西島秀俊と宮崎あおいのダブル主演という感じだった 結構ひっかけた後だったので、記憶が途切れた

・IT “それ”が見えたら終わり ⇒ホラー作品に慣れすぎてしまったせいか、筆者には余り怖くなかった いつも怖がらせの要素を分析しているために、直観的に怖く感じることがなくなったせいかもしれない スティーヴン・キング原作の映画化で、舞台は彼の出身地である米国メイン州の田舎町 原題は単に"It"
▼ミックス。 ⇒不完全な(人間は皆そうか)登場人物たちが織り成す、卓球・スポコン・コメディ・人情ラブストーリー 脚本が脚光を浴びるのは珍しいが、「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズや「探偵はBARにいる」シリーズの脚本を担当している古沢良太脚本 新垣結衣も演技巧者だが、後出「リングサイド・ストーリー」にも出演している瑛太のヒューマンなダメ人間振りもいい 出番は少ないが、吉田鋼太郎は面白い 余り気が付かなかったが、現役の卓球選手も多数出演していたようだ 作品中では神奈川の卓球大会であったと思うが、ロケ地は千葉、埼玉、群馬の3県だったらしい ローカル鉄道は千葉の小湊鉄道、卓球大会会場は高崎アリーナとのこと
・ゴッホ 最後の手紙(英・ポーランド) ⇒まるでゴッホの絵が動いているような不思議な作品だった クロマキーで俳優による実写映像を撮ってから、100人以上が画家たちが人物もゴッホ風の絵に変換したそうだ 製作陣のこだわりが感じられる ストーリーはフィンセント・ファン・ゴッホの死後(1890年)の手紙から始まるが、同日3本目だったので緊張が続かず 原題は"Loving Vincent"=「愛するフィンセント」
・氷菓 ⇒同名の青春学園ミステリー原作小説の映画化らしい 高校の古典部の復活と部にまつわる謎解きがメイン・ライン 山崎健人、広瀬アリス等いずれも大卒後にあたる年代が高校生を演じるには少しトウ(薹)がたってはいないか ロケ地は、原作の聖地でもある岐阜県高山市内の高校などのようだが、一部群馬県の廃高校も使ったらしい
★★ゲット・アウト ⇒正直やられた 人種問題、ラブ・ストーリー、コメディ、ホラー、サイコ、サスペンス、ファンタジー、クライム、アクション等、映画製作で考えられる要素をすべて盛り込んだ作品を初めて観たような気がする 怖がらせの小道具を多用しないにもかかわらず、怖いのは不思議 最初は人種を超えた恋愛話かと思っていたら、どんどんストーリーと場面が転換、反転していき、最後は予想もしない話に 黒人の友人の最後の台詞も気が利いている コメディアンのジョーダン・ビール(黒人)が脚本を書き初監督したなんて驚きだ 原題も"Get Out"

▼ポンチョに夜明けの風はらませて ⇒低予算作品だと思うが、東京芸大も後援に入っていて、なかなかの出来栄え 高校卒業を控えて、子供から大人になるタイミングで皆現実から抜け出したくなるものかもしれない 青春のエネルギーを発散させるロードムービーで、音楽と映像で魅せてくれる ロケ地はよく分からないが、エンドロールによれば東京・八王子市、茨城・行方市、埼玉・狭山市等らしい
▼リングサイド・ストーリー ⇒前述「ミックス。」でもそうだったが、瑛太はダメ人間を演じさせるといい 本作ではリアルな人物がそのままの役で沢山登場 映画監督の岩井俊二、プロレス団体WRESTLE-1の武藤敬司、K-1の武尊(タケル)たちだ 武正晴監督が「百円の恋」製作時と同じスタッフで製作 彼らは格闘技が好きなようだ ロケ地は、主役たちが暮らす街は東京・中野区、実在WRESTLE-1道場は新宿区百人町(JR大久保駅付近)、K-1試合会場はつくば市役所体育館、屋外トレーニング・シーンは世田谷区駒沢公園のようだ

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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2017年11月 7日 (火)

11月に観た劇場映画「ゲット・アウト」(特別編)

320 劇場映画作品「ゲット・アウト」を観て参りました。大絶賛したいと思います。

正直やられた 人種問題、ラブ・ストーリー、コメディ、ホラー、サイコ、サスペンス、ファンタジー、クライム、アクション等、映画製作で考えられる要素をすべて盛り込んだ作品を初めて観たような気がする 怖がらせの小道具を多用しないにもかかわらず、怖いのは不思議 最初は人種を超えた恋愛話かと思っていたら、どんどんストーリーと場面が転換、反転していき、最後は予想もしない話に 黒人の友人の最後の台詞も気が利いている コメディアンのジョーダン・ビール(黒人)が脚本を書き初監督したなんて驚きだ 原題も"Get Out"

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2017年11月 1日 (水)

10月下旬(21日~31日)に観た劇場映画

10月下旬(21日~31日)は、11本の劇場映画を観ました。10月末には札幌の小学校のクラス会に出席し、札幌と小樽の紅葉も楽しみました。

・ロキシー ⇒米国がいかに暴力にむしばまれているかを再認識させるクライム・バイオレンス・ラブストーリー 最初はヒーロー・ヴィンセントが強いが、最後はヒロイン・ロキシーが強い 原題は"Vincent N Roxxy"=「ヴィンセントとロキシー」で、邦題はなぜかヒロインの名前だけになっている
・アンダー・ハー・マウス(加) ⇒監督を含めほとんど女性のスタッフ陣が製作 女性の同性愛がテーマ 何となくテクニック指南映像にもなっている 原題は"Below Her Mouth"=「彼女の口(を使ったテクニック)で慰められて」か 邦題の「アンダー(Under)」は「離れて下」だが、「ビロウ(Below)」は「接触して下」
・婚約者の友人(仏・独) ⇒フランスのフランソワ・オゾン監督が仏・独の俳優を起用して製作 舞台は第一次世界大戦の後遺症に苦しむ、1919年のドイツ モノクロとカラーの映像そして仏語と独語が入り交じり、音楽、絵画、手紙等いろいろ気の利いた小道具も登場 仏・独の興味深い関係もうかがえる いろいろ謎があるミステリー仕立てだが、皆相手を想うがために嘘をつくのか… 原題は"Frantz"=「フランツ」で、戦争で亡くなった、ヒロインの婚約者(独)の名前
▼ブレードランナー ファイナル・カット(2007年) ⇒「ブレードランナー」はフィリップ・K・ディックの原作SF小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」(1968年)を1982年に映画化したもの それをリドリー・スコット監督自身が35年目(2007年)に再編集・デジタル修復したものが本作 「ブレードランナー」は当時余りに先進的だったためにわかには受け入れられなかったが、時間の経過とともにファンを獲得 2019年の酸性雨が降り注ぐロサンゼルスが舞台で、反乱を起こしたレプリカント(人造人間)4人をブレードランナー(レプリカント追跡専門の刑事)のリック・デッカード(ハリソン・フォード)が追うのがメイン・ストーリー 4年間というレプリカントの寿命、人間と見分けるための専用の検査方法、空飛ぶ自動車(スピナー)等がユニークだが、製作過程でいろいろな変更があったため誤謬や矛盾点も少なくない デッカードの相棒レイチェル(人間に近いレプリカント)が妊娠したことが今後のテーマとして残される 製作前に日本を訪問したスコット監督のイメージで新宿歌舞伎町を彷彿とさせる映像と日本語があふれる 製作年の習慣からか登場人物はとにかくよく煙草を吸うが、米国の現実は禁煙が拡がっているのは誤算か 撮影はワーナー・ブラザーズのバーバンク・スタジオ(カリフォルニア州)とロサンゼルス市内各所にて行われたようだ 原題も"Blade Runner: The Final Cut" ところで本作は爆音上映で観たが、聴覚も馴れが速くすぐに気にならなくなった
▼あゝ、荒野 後篇 ⇒前10日間に観た「前篇」に続き「後篇」を鑑賞 「前篇」の1年後の2022年の姿を描くが、ボクシングは青春の炎を燃やすにはやはり最適なスポーツの一つだと確信 今回も菅田将暉とヤン・イクチュンが薄幸な生立ちを背負ってボクシングに邁進 二人ともトレーニングで西新宿、歌舞伎町等新宿の街を走り回る 前篇と違い後篇はボクシング中心なので、盛上りが周期的に来て好ましい 断たれていた親子の絆も少し… ところで、2022年でも理髪店ではまだ手動バリカンを使っているのか

・アナベル 死霊人形の誕生 ⇒欧米は悪魔話が本当に好きだと思う 話の展開は想定内だが、場面の突然変換、音楽と効果音、そして灯りの点滅と消滅による怖がらせは健在 悪魔が生き延びたのは困る なお、不思議に思ったのは米国では睡眠時部屋のドアを開けておくのが普通だったかなということ 原題は"Annabelle: Creation"=「アナベル: 創造、創始」か
・我は神なり(韓) ⇒宗教に胡散臭さを突き、哭きがとても多い韓国アニメ なぜかとても心地好く時間を忘れた 原題は"The Fake"=「まやかし、でっちあげ」
・ル・コルビジェとアイリーン 追憶のヴィラ(ベルギー・アイルランド) ⇒邦題にかかわらず本作はアイルランド出身のインテリア・デザイナー、アイリーン・グレイに関するもの 特に彼女が恋人の建築評論家ジャン・バドヴィッチと一緒に設計し、インテリアも含め1929年に南仏カップ・マルタンに完成させたヴィラE.1027が主題 E.がアイリーン、10がジャン、2がバドヴィッチ、そして7がグレイを表している 日本でもよく知れられているル・コルビュジエは彼女の才能に結局のところ嫉妬し、1938年に無断でヴィラの壁にフレスコ画を描く そして第二次世界大戦後彼は最終的にヴィラを所有するに至るが、1965年に77歳でヴィラ前の海で溺死 アイリーン・グレイはパリに店舗を構え、女性歌手の恋人もいたが、視力悪化で引退し、1976年にパリで98歳で亡くなった 戦時中ドイツ占領下でヴェズレーに疎開する悲惨な姿も描かれる 原題は"The Price of Desire"=「欲望の代価、代償」か
▼女神の見えざる手(仏・米) ⇒ワシントンD.C.で働いたことのある人、あるいは米国政治に興味がある人には必見 ただし台詞が多く速いので、よくよく注意して観ていないと何を言っているのか分からないことも多い 何度か観る必要があるかもしれない 監督は「恋におちたシェイクスピア」(1998年)でアカデミー賞作品賞(1999年)を受賞したジョン・マッデン ヒロインは「ゼロ・ダーク・サーティ」(2012年)でもヒロインを演じたジェシカ・チャステイン 脚本は初脚本ながら完成後約1年で映画化されたジョナサン・ペレラ ペレラは英国の弁護士だったが、クリエイティブな仕事がしたいと韓国で英語教師をしながら本作脚本を執筆したという変わり者 チャステインが、事務所を移籍してまで銃規制法案を推進する側を応援する鉄の女ロビイストのエリザベス・スローンを熱演 しかし、夜はエスコート・サービスで寂しさを紛らすのも現代風なのか、ガラスの天井を破る方法なのか ストーリーは権謀術数の極みであり、盗撮、盗聴、プライバシー侵害等、一線を越えかねないようなところまで至る そういう意味では誰も死なないが、まるでスパイ・サスペンス作品のよう 米国らしく議会上院委員会の聴聞会(ヒアリング)でクライマックスを迎え、そこで気持ちいいどんでん返し 鍵になるのがサイバネティック・ロボ・ローチというゴキブリ・ロボットによる盗聴というのはファンタジーだろう 原題は"Miss Sloane"でヒロインの姓「スローン女史」
・猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー) ⇒「猿の惑星」リブート・シリーズの第3作目 チャールトン・ヘストンが主演したオリジナル版「猿の惑星」(1968年)に話がつながるようになっているようだ 旧作5作品では特殊メイクで極めて人間臭い猿たちだったが、新作3作品では俳優の動作・表情をパフォーマンス(モーション)・キャプチャーでコンピューターに取り込み、CGで作成された猿のビジュアルに組み込んだので極めてリアルな猿たちに進化 しかしどれがどの猿か分かりにくいのが難 猿の世界にはメスも登場するが、人間の世界には猿のウィルスで聾になった少女以外は女性が登場しないのはなぜだろうか 撮影は米国カリフォルニア州とカナダ・アルバータ州の山間で行われたようだ なお、ポスプロのVFXで15,000人の仕事を創ったとしている 原題は"War for the Planet of the Apes"=「猿の惑星になるための戦争」か

▼先生!、、、 好きになってもいいですか? ⇒広瀬すずちゃんは相変わらず走り回っていた 映画「海街Diary」(2015年)で初めてお目にかかったが、また格段に演技が上手くなったように感じる でもまだ半分は天然で演じているような気もする なぜかすずちゃんの姿に引き込まれ共感してしまうので、昔を想い出して涙する女性も多そうだ 「ナラタージュ」も先生と生徒の恋愛を扱っているが、有村架純よりすずちゃんの方が演技上手だし、可愛い ただ、すずちゃんは19歳でまだしも、あとは皆20歳以上の俳優が高校生役を演じているのがちょっと… ロケ地は主に岡山市内だが、一部旧足利西高校(栃木県足利市)等も使われたようだ 橋上の名シーンは岡山市の旭川に架かる京橋を貸切りで撮影した模様

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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2017年10月21日 (土)

10月中旬(11日~20日)に観た劇場映画

10月中旬(11日~20日)は、13本の劇場映画を観ました。好作品が多かったように思います。今週末は台風21号の影響で映画鑑賞はお休みです。

・あさひなぐ ⇒同名原作漫画を乃木坂46のメンバー主演で映画化 女子スポコンの青春ドラマ なぎなた部が高校の部活動として結構定着していることは知らなかった ロケ地は栃木県佐野市の旧県立田沼高校(閉校)、八王子市南大沢のスポーツクラブとアウトレット、山梨県南巨摩郡南部町の内船寺など、首都圏各地
・ソウル・ステーション パンデミック(韓) ⇒「新感染 ファイナル・エクスプレス」(韓)の前日譚のアニメ作品らしい やはり観る順番が逆のようで、「新感染 ファイナル・エクスプレス」に比べて物足りなさも
▼愛を綴る女(仏・ベルギー・加) ⇒フランスのベストセラー原作小説の映画化らしい 舞台はラベンダー畑の拡がるプロヴァンスで、リヨンの病院も主要な場所 手紙がやはり重要な役割を果たすが、ファンタジーの要素もあるので惑わされる部分も 欧州作品には精神的に問題のある女性をヒロインとするものが結構多い 原題は"Mal de pierres"="Stone sickness"=「石病、結石」でヒロインが入院する原因となった病気か
▼望郷 ⇒湊かなえの短編集「望郷」の中の「夢の国」と「光の航路」が原作 前半は姑(夫の母、「しゅうとめ」とも読む)の嫁いびりがテーマで、後半は中学校の女子生徒間のいじめがテーマ いずれも過去を清算し、未来に向かって生きようとする若者達の姿が救い ロケ地は湊かなえの故郷・因島(広島県尾道市)、尾道市そして福山市らしい
▼アウトレイジ 最終章 ⇒北野武監督のアウトレイジ3部作の最終作 北野監督が脚本・編集も兼ね、ビートたけし(大友)としても主演 さすがに手慣れたもので、ストーリー展開も、役者達の演技も、適当な長さの編集技術も見事 アクションのない西田敏行と塩見三省は顔演技で魅せる ロケは韓国済州(チェジュ)島、横浜、東京・新大久保、神戸等で行われたようだ

▼あゝ、荒野 前篇 ⇒ボクシング映画はとにかく一所懸命に努力するところと自分に勝ち、更生し自己実現するところに感情移入しやすい 寺山修二の唯一の同名長編小説の映画化 原作は前の東京オリンピック後の1966年に設定してあるが、本作は次の東京オリンピック後の2021年に設定変更 作品中に登場する自殺防止安全云々というのはどう関係するのか ロケは主に新宿歌舞伎町と新大久保の辺りで行われようだが、一部高崎市と足利市の店舗も使われたらしい
・亜人 ⇒原作コミックがあり、アニメ映画化もテレビアニメ化もされたものの実写映画化 漫画の発想は本当に自由でいいと思う その分実写映画版のCGやVFXは実に大変だったのではないか 特に、黒い粒子やIBM(コンピューターではなく、インビジブル・ブラック・マターのことらしい)の映像製作は大変だったろう ロケ地は神戸市、滋賀県米原市、東京・品川と木場、千葉市幕張等で、NTT幕張ビルも使われたらしい
▼あさがくるまえに(仏・ベルギー) ⇒邦題が訳の分からないものになっているので、作品内容を予想しにくいが、本作のテーマは心臓移植 心臓摘出と移植の手術の映像はとてもリアルで、手術の様子がよく分かった 未邦訳の仏語原作小説があるようだが、心臓のドナーの家族と心臓のレシピエント本人の苦悩、そして関わる医師、看護師達の専門性と献身がよく描かれている 大きなクライマックスはなく静かな作品だが、いろいろ考えさせるには好都合か 原題は"Réparer les vivants"(仏)="Repairing the living"=「生き物の修復・補修、命を救うこと」か
▼立ち去った女(比) ⇒白黒で約4時間の長尺だが、昨年の第73回ヴェネチア国際映画祭(2016)で金獅子賞を受賞 フィリピンのラヴ・ディアス監督が脚本、撮影そして編集も兼ねる 監督が撮影・編集も兼ねるので、撮ったものをなるべく活かすために長尺になったとも考えられる しかし、ワンカットの1シーン、1シーン毎が結構長いことで、実舞台の場面が展開しているようにも観え、結構心地よく面白い ストーリー展開は貧富の差の大きいフィリピンらしく予想の範囲 使用言語はほぼタガログ語でたまに英語 ロケ地はディアス監督の出身地、フィリピン・ミンダナオ島のコタバトらしい 原題はやはりタガログ語で、"Ang babaeng humayo"="The woman went" グーグルの英訳どおりだと和訳は「その女は立ち去った」か
・静かなふたり(仏) ⇒パリのカルチェ・ラタンにある古書店を軸に、静かに展開する若い女性と初老の男性の交流 息の詰まる田舎からパリに移住してきたヒロインは、イザベル・ユペールの娘が演じているらしいが余り似てはいない 日常生活で巡るパリの昼夜の風景も見物 あからさまな激しい男女の性愛と静かなふたりの交流も対比か 地面に突然落下す鳥の死骸とほとんど働かない男の関係は何か 原題は"Drôles d'oiseaux"(仏)="Funny birds"=「面白い鳥、面妖な鳥」で、邦題とは眼の付け所が全く違う

・ナラタージュ ⇒ナラタージュとは「映画などで、ある人物の語りや回想によって過去を再現する手法」らしい 本作のヒロイン工藤泉(有村架純)のナレーションで話が展開 彼女は高校の教師・葉山貴司(松本潤)と同じ大学の学生・小野怜二(坂口健太郎)の間で揺れ動く 泉が「小野くん」と呼ぶ度に、筆者・小野もややドキドキ 行定勲監督らしい丁寧な作りだが、原作小説が長編なためかやや冗長 ロケはほぼ富山県で行われたらしく、富山市、高岡市、射水市等の各地で目撃されている エンドロールの協力項には千葉県松戸高校の名もあった
・エルネスト もう一人のゲバラ(日・キューバ) ⇒キューバで、しかも全編スペイン語で撮影した坂本順治監督(兼脚本)と主演のオダギリ・ジョーに感心 日系ボリビア人の「坂の上の雲」風の物語かと思ったが、やや飽きがきた
★アトミック・ブロンド ⇒スパイ・アクション映画好みには絶好の一品 シャーリーズ・セロンが007を超える女スパイを超熱演 舞台が東西冷戦終了間際の1989年の東西ベルリンというのはやや旧いが、二転三転四転のストーリーとアクションからは眼が離せない ヒロインの回想形式で場面が展開するが、米国作品だからか結局は米国一人勝ちか 最初のキーワードが"cock sucker"=「コック・サッカー、ポコチン吸い」で、最後のキーワードもそうなのは気が利いている 原題も"Atomic Blonde"

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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2017年10月11日 (水)

10月上旬(1日~10日)に観た劇場映画

10月上旬(1日~10日)は、16本の劇場映画を観ました。今回は、少しマニアックなB級作品を追ってしまったかなという感じです。

★ドリーム ⇒米国バージニア州ハンプトンにあるNASAラングレー研究所で、黒人と女性という2つの差別と闘った3人の黒人女性職員の実話を描く 原作小説がありその映画化だが、話は1960年代のことであり、たった50数年前のこと 当時は、トイレ、食堂、電車・バス、そして学校もすべて黒人用は区別されていた 原題は"Hidden Figures"=「知られざる人物達」か
・ナミヤ雑貨店の奇蹟 ⇒東野圭吾の同名小説の映画化 正直に言って、前半のヒロイン・セリ(門脇麦)が主題歌REBORNをステージで歌うシーンで終映で良かった 後半のヒロイン田村晴美(尾野真千子)に関する話は、展開が森田芳光監督の「未来の想い出 Last Christmas」(1992、藤子・F・不二雄原作)にそっくり ロケは大分県豊後高田市で行われ、ナミヤ雑貨店と丸光園(児童養護施設)のオープンセットが造られた
・アフターマス ⇒太ったアーノルド・シュワルツェネッガーが主演 ドイツ上空での航空機空中衝突事故の実話に基づく作品 復讐話の展開の発想が米国らしい ただ、復讐の連鎖がないのが救い 原題も"Aftermath"=「余波」
▼オペレーション・クロマイト(韓) ⇒第二次世界大戦後1950年に金日成率いる北朝鮮軍に攻め入られ、朝鮮半島南東部に追い詰められた独立軍(韓国軍) 劣勢打開のために日本駐在の連合国軍総司令官ダグラス・マッカーサー(リーアム・ニーソン)が計画した仁川上陸作戦(クロマイト作戦) その成功の陰には北朝軍に紛れ込んだ独立軍諜報員達の、死をもいとわない活躍があったことを初めて知った 韓国の若者はこのことを知っているのだろうか やはり対日ではなく対北が韓国の永遠の優先課題だろう 韓国で反日運動が進む背景には、反北をカモフラージュする北朝のスパイ達の活動があるのだろう 朝鮮戦争は3年続き、300万人が死亡したらしい 原題も"Operation Chromite"=「クロマイト作戦」 クロマイトは金属クロムの原鉱石
▼AMY SAID エイミーセッド ⇒大学のシネマ研究会の仲間8人が20年振りに再会し、当時自死したマドンナ・エミを巡り、今だからこその話を交わす その合間に各自の現在の境遇が見えてくる まるで舞台のような作品で、いさかいもあるが皆未来に向かっていく

・奥田民生になりたいボーイと出会う男すべてを狂わせるガール ⇒原作漫画があるようだから自由にはならないかもしれないが、大根仁監督の作品としては「モテキ」(2011年)の方が断然面白かった 今や嫉妬をコントロールできるようになった筆者としては、この作品中の男達の感情は少々理解できない 女性も同時に複数の男をセフレにすることは余りないと思うが、このように男を手玉に取れれば楽しいかもしれない ロケ地は東京都内で、上野、五反田、西新橋、中目黒方面らしい
・ブラッド・スローン ⇒米国の刑務所はこのような感じなのかと思わせる 家族を守るためにはここまでやるか、そして最終的に刑務所内から指揮する悪事のボスになるという逆転の発想が凄い 原題は"Shot Caller"で、違っているかもしれないが、和訳すると「武器取引の電話発信」か
・プールサイドマン ⇒同じようなシーンの連続が5回登場 これはちょうど1週間かもしれないし、退屈な日常からの脱出を描いているのかもしれない 栃木県大田原市のチームが同市でロケし製作
・ユリゴコロ ⇒原作ミステリー小説があるようだ 勘違いで開映にかなり遅れたしまったが、話の筋は充分想像できる範囲だった 現在と20年前を往きつ戻りつストーリーが展開するが、原作小説がそうなのだろうが、かなり無理がありそう 主人公が書いたノートが重要な役割を果たす ロケは栃木県、群馬県、東京等各地で
・三つの光 ⇒よく分からないまま終わってしまった 休息になってしまった

・スクランブル(仏) ⇒ワイルド・スピードのフランス版か フランス・コート・ダ・ジュール(マルセイユ)の海岸風景は最高だった ストーリーと映像はそれなりに面白かった 主演はクリント・イーストウッドの息子スコットで、結構好演 原題は"Overdrive"=「オーバードライブ」
・わたしたち(韓) ⇒いじめられる女の子とはどういう子供かということを考えた 体格とか家庭の事情とかだろうか いじめる側はどういう子供だろう 多分ボスがいると思うが、そういうボスをクラスリーダーにしてはどうだろうか 英語原題は"The World of Us"=「私達の世界」
・軽蔑(1963)(仏・伊・米) ⇒ジャン=リュック・ゴダール監督が1963年に製作した作品のデジタル・リマスター版 舞台はイタリアで、ブリジット・バルドーが主演 彼女はフランス人だと思うが、こんな禅問答のような会話しかできない人とは絶対に付き合いたくないなと感じた 原作小説があるようだから、彼女やフランス女性が必ずしもそうだという訳ではなさそうだが… 一体本作の言語は何だったのだろう、英語は聴き取れるが、仏語と伊語が分からなかった 原題は"Le mépris"(仏)="Contempt"=「軽蔑、侮辱、侮蔑」
・セザンヌと過ごした時間(仏) ⇒ポール・セザンヌとエミール・ゾラが幼馴染みだったとは知らなかった 地中海に近いエクサンプロバンスで共に育ち、共に芸術家を夢見てパリに向かう ゾラは作家として早く成功するが、セザンヌは芽が出ず再び故郷に戻り孤独に絵を製作 セザンヌは晩年そして死後に評価が高まる 文芸の方が絵画より早く名声を得られやすいのかもしれない エクサンプロバンスとはセザンヌの絵によく登場するサント・ヴィクトワール山が観えるところ 原題は"Cézanne et moi"(仏)="Cézanne and I"=「セザンヌと私」
・ブルーム・オブ・イエスタディ(独・墺) ⇒ホロコーストの研究に関して、加害者と被害者の孫同士が出会い、反発しながらも惹かれ合う2人を描く ラストのニューヨークのシーンは気が利いている 原題は"Die Blumen von Gestern"(独)="The flowers of yesterday"=「昨日の花々」だが、どういう意味だろう

▼パーフェクト・レボリューション ⇒出生時から脳性麻痺による四肢の痙性麻痺(けいせいまひ)がある熊篠慶彦氏(1969年生まれ、48歳)は身体障碍者の性に関する啓蒙活動をしている 彼自身の生活を基に、ともに友人の松本准平が監督・脚本、リリー・フランキーが主演・クマで、半分ラブストーリー仕立てにして本作を製作 ヒロイン・ミツ(清野菜名)の台詞「障害は私たちのためにある 私たちが愛し合うために 私たちが生まれ変わるために 私たちが不可能を可能にするために」が本作のテーマ ぶっ飛んだ恋愛喜劇として観れば結構面白かった ただし、身障者の性をこんなにあからさまに描写していいのかと思う人もあろう 熊篠氏のNPO活動をTENGAが支援しており、本作にもプロダクト・プレイスメントとしてTENGAが登場 ロケ地は横浜、南浦和、川崎、有明、新宿等首都圏各地 終映後のトークショーで水道橋博士とともにリリー・フランキー、そして熊篠氏本人まで登場 作品中にも台詞があるが、リリーさんが本物のクマさんに「人生の一番の夢はタッチバック」と言わせた 「立ちバック」らしい

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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