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2018年3月の5件の記事

2018年3月25日 (日)

3月18日~24日の週に観た劇場映画

3月18日(日曜)~24日(土曜)の週は、9本の劇場映画を観ました。すでに忘れかかっていますが、お彼岸の中日(21日)に大雪が降りましたね。

・素敵なダイナマイトスキャンダル ⇒末井昭の同名自伝エッセイ集の映画化 母親がダイナマイトで自殺するところから始まった、ハチャメチャな人生を面白可笑しく描く 柄本佑が主人公末井昭を体当たりで熱演 上映館の近くの新宿歌舞伎町に相応しい作品
320 ★リメンバーミー(同時上映:アナと雪の女王 家族の思い出)(ポスター添付) ⇒メキシコの祝日「死者の日」から発想して、死者の世界、親子の絆、音楽ビジネスの裏切り・厳しさなどを描く ラテン感満載で、ラテン風音楽とともに骸骨姿の死者達が沢山登場 ディズニー/ピクサー作品らしく映像はカラフルで、動きも滑らかで、とことん美しい セットも使ったのではないかと思うところも オチは悲しくても楽しい 今年の米国アカデミー賞の長編アニメーション賞と主題歌賞を獲得 製造に参加した人数が膨大なのでエンド・クレジットが異常に長い 原題は"Coco"=「ココ」で主人公ミゲルの祖母の名前で、祖母は物語のキーパーソン 同時前座上映は「アナと雪の女王」(2013)のミニ続編で、原題は"Olaf's Frozen Adventure"=「オラフの氷の冒険」か
▼アイスと雨音 ⇒70分間ワンカットの作品 ワンカット映画作品のパイオニアは「ヴィクトリア」(2015・独)で、衝撃の全編133分のワンカット撮影 第87回アカデミー賞(2015)作品賞獲得の「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」(2015・米)では、ワンショット撮影(リハーサルを充分に行い撮り直しをしない)を緻密につなぎ合わせて全編ほぼワンカット化 ワンカット撮影は舞台演劇と同じで、始まったら最後まで止まらない したがって、稽古とリハーサルが重要で、撮影開始後は撮影監督(カメラマン)が現場監督で本来の監督は何もできない 「アイスと雨音」では、松居大悟監督が2週間ほど稽古を付け、塩谷大樹撮影監督が約70分間のワンカットで撮影 撮影は2日間4回行われ、最後の回のテイクが採用されたようだ ロケは東京・下北沢の本多劇場の会場・スタジオと周辺商店街で行われたが、街頭や劇場内での撮影は結構大変だったようだ 松居監督は本当に公演しようとしていた演劇が中止になり、2週間分の劇場使用料も払込済みだったので、口惜しくてこれを利用して何とかワンカット映画作品にならないかと、塩谷カメラマンに泣いて頼んだとか…
▼坂道のアポロン ⇒小玉ユキの同名コミックを映画化 1966年の佐世保を舞台に、転校生と地元の男女高校生との、音楽を通じた魂の交流を描く 本人たちが実際に演奏しているように見える、ピアノとドラムのジャズ・セッションが見物 ラストの10年後の再会が感動的 ロケ地は長崎県佐世保市・長崎市と大分県豊後高田市の各地
▼ザ・キング(韓) ⇒韓国検察の実情が少し分かったような気がした 韓国検察には派閥があり、のし上がるためには強大な権力が集中する時の大統領に徹底的におもねるとともに急所を握る 大統領には選挙戦の段階からいろいろな支援を行い、当選したら大統領の虎の威を借りて派閥の力を強める 収集した極秘情報は秘匿・熟成させ、派閥にとって最も効果のあるタイミングで使用 最近のイ・ミョンバク元大統領の逮捕を知って、本当にそうではないかと思った 司法試験に合格した、モッポ(木浦)出身の若手検察官がソウルに上り、派閥の荒波に巻き込まれながら、幼馴染みや裏社会との関係に悩む 派閥からのけ者にされ落ちぶれた主人公が乾坤一擲の勝負に出る 原題も"The King"=「帝王」か

・トゥームレイダー ファースト・ミッション ⇒日本のヒミコの墓を巡るサスペンス・アクション作品 「リリーのすべて」(2015)で米国アカデミー賞助演女優賞を獲得したアリシア・ヴィキャンデルが主演 日本の絶海の孤島が舞台 VFXの塊のようなアクション・シーンが連続 次作もありそうな感じで終わっている 原題は"Tomb Raider"=「墓暴き」か
・修道士は沈黙する(伊・仏) ⇒ドイツ・バルト海沿岸の街ハイリゲンダムで行われるG8財務相会議での思わぬ事件を描くミステリー作品 IMFの専務理事とイタリア人修道士が主役で、数式と沈黙で世界経済を救うような話 英語、仏語、伊語がチャンポンのように思えた 日本の財務相役が弱々しい感じなのが気になった 原題は"Le confessioni"(伊)="Confessions"=「告解」
・ボス・ベイビー ⇒ドリームワークスとユニバーサルが組んだ最初のアニメーションらしい キャラクターとストーリーは面白い プレ・シアターで食したカツ牛とアルコールに負けて記憶が薄れた 原題も"The Boss Baby" なお、ドリームワークス製作の短編アニメ「ビルビー」(原題"bilby")が同時前座上映 台詞なしだが結構面白かった
▼曇天に笑う ⇒唐々煙(からからけむり)の同名原作コミックの映画化 出身地の滋賀県を舞台に、明治維新直後の時代を背景にしたファンタジー・アクション作品 ファンタジー時代劇としては結構面白かった キャストたちにとってアクションと殺陣の訓練は結構大変だったと想定される ロケ地は滋賀県大津市・米原市と栃木県宇都宮市大谷資料館(大谷石の採石場跡)などらしい セットは京都市太秦の松竹撮影所も使われたと想定される

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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2018年3月21日 (水)

劇場映画作品「アイスと雨音」を観て

昨日(3月20日)渋谷で劇場映画作品「アイスと雨音」を鑑賞
70分間ワンカットの作品
ワンカット映画作品のパイオニアは「ヴィクトリア」(2015・独)で、衝撃の全編133分のワンカット撮影
第87回アカデミー賞(2015)作品賞獲得の「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」(2015・米)では、ワンショット撮影(リハーサルを充分に行い撮り直しをしない)を緻密につなぎ合わせて全編ほぼワンカット化
ワンカット撮影は舞台演劇と同じで、始まったら最後まで止まらない
したがって、稽古とリハーサルが重要で、撮影開始後は撮影監督(カメラマン)が現場監督で本来の監督は何もできない
「アイスと雨音」では、松居大悟監督が2週間ほど稽古を付け、塩谷大樹撮影監督が約70分間のワンカットで撮影
撮影は2日間4回行われ、最後の回のテイクが採用されたようだ
ロケは東京・下北沢の本多劇場の会場・スタジオと周辺商店街で行われたが、街頭や劇場内での撮影は結構大変だったようだDsc_0299
松居監督は本当に公演しようとしていた演劇が中止になり、2週間分の劇場使用料も払込済みだったので、口惜しくてこれを利用して何とかワンカット映画作品にならないかと、塩谷カメラマンに泣いて頼んだとか…
写真は終映後のトークショーに登場した、向かって左から松居監督、主演の森田想(こころ)、塩谷撮影監督

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2018年3月18日 (日)

3月11日~17日の週に観た劇場映画

3月11日(日曜)~17日(土曜)の週は、11本の劇場映画を観ました。最近の朝日新聞によれば、1年間に公開されている映画作品数は約1,200本とのことです。今回も実にいろいろな作品に出会いました。

・去年の冬、きみと別れ ⇒芥川賞作家・中村文則の同名サスペンス小説を映画化 手紙や証言が散りばめられたユニークな小説を、また独創的な解釈で映像化したようだ 三代目J Soul BrothersからEXILEを経て、最近数多くの作品で俳優にも挑戦している岩田剛典がよき共演陣を得て熱演 すべての種明かしを最終盤に持って行っているので、観客は期待を裏切られる ロケ地は茨城県守谷市、千葉県白井市、埼玉県越谷市、栃木県足利市などのようだ
・ハッピーエンド(仏・独・墺) ⇒フランス北部の街カレーに暮らす複雑な事情のある富裕な一家を描く オーストリアのミヒャエル・ハネケ監督が脚本も担当し、サスペンス要素も含む 原題も"Happy End"だが、内容は逆説的
・文豪ストレイドッグス DEAD APPLE ⇒朝霧カフカ原作で春河35作画の原作コミックをアニメ映像化 日本の文豪の名を持つ超能力者が激しい音楽に乗って戦うが、時々発せられる台詞は筆者には意味不明
320_30 ▼ダウンサイズ ⇒人類小型化の話ではあるが、人口関節など小型化に適さない人もいるため全員が小型化されるのではなく、希望者のみが小型化されるという中途半端な展開 小型化の目的は所有資産が相対的に膨らみ富裕層になることと持続可能な地球環境の維持 しかし、小型化人類の世界にも貧富格差があり、また環境カルト的なものも存在 結局人は人助けのために生きるのが幸せと教えてくれているようだ 原題は"Downsizing"で直訳すると「小型化」
320_29 ▼あなたの旅立ち、綴ります ⇒新聞・雑誌の訃報記事(obituary)を予めどう用意するかという面白い視点からの作品 米国の大女優シャーリー・マクレーンと若手女優のアマンダ・セイフライドが楽しく共演 いい訃報記事の4条件は、1)家族や友人に愛されること、2)同僚から尊敬されること、3)誰かの人生に影響を与えること、4)人々の記憶に残ること これらを満たすために2人は奮闘 人生の幸せと人生の終え方を何となく示唆 原題は"The Last Word"=「最後の言葉」

・北の桜守 ⇒吉永小百合の120作目の作品 南樺太から引き揚げた母子家族の苦難を描く 筆者の故郷北海道が舞台なので進んで観たが、やや予定調和的であった ロケ地は北海道稚内市と網走市が中心 樺太の家は稚内市で江蓮食堂は網走市で保存公開されるようだ 札幌市狸小路のホットドッグ屋は東京練馬区東大泉の東映撮影所内のセット 遠軽町の白滝駅と新栄野駅が登場したが、撮影は稚内市の抜海駅を使用したとか 一番驚いたのはせたな町にある太田山神社(太田神社)への参詣 急勾配の崖の上にある神社だが、撮影はスタント・ウーマンらしい
・ぼくの名前はズッキーニ(スイス・仏) ⇒多分粘土人形と膨大な時間を使ったストップモーション・アニメ作品 柔らかな色彩、人形の表情、美しい情景などが目に焼き付く ストーリーも心を和ませる 原題は"Ma vie de Courgette"(仏)="My life of Zucchini"=「ズッキーニとしての私の人生」か
・メイド・イン・ホンコン(香) ⇒香港返還の年、1997年に製作された作品の4Kリストア・デジタルリマスター版 素人俳優を起用した本作インディーズ作品で一躍有名になったのはフルーツ・チャン監督 危ない世界でぎりぎりで生きる若者たちの生と死を描く 原題も「香港製造 Made in Hong Kong」
・彼の見つめる先に(伯) ⇒2014年製作の珍しいブラジルからの作品 思春期の盲目の高校生を主人公に、幼馴染みの女子親友、優しい両親、学校での軽いイジメ、転校生との新しい友情、裏にあるLGBTの感情などを描く 素直な感情表現が瑞々しい 原題は"Hoje Eu Quero Voltar Sozinho"(葡)="Today I Want to Go Back Alone"=「今日は一人で帰りたい」
・ラッキー ⇒死期が近づく90歳の単身・独身の老人が、タンブルウィードが転がる米国西部の田舎町で、馴染みの人々とともに淡々とルーティンの日常をこなしていくのを描く ハリウッドの名脇役ハリー・ディーン・スタントンにあてがきされた作品で、昨年9月に91歳で亡くなった彼の最後の出演作となった やなり名脇役のジョン・キャロル・リンチが監督し、ハリーをよく起用したデイヴィッド・リンチ監督も出演 100歳のリクガメも重要な脇役か 原題も"Lucky"で主人公の名前でもあるが、その人生の在り方も示唆か

・ちはやふる 結び ⇒末次由紀原作コミックの映画化だが、「上の句」「下の句」(いずれも2016)に続く第3作目 やはり3作目はマンネリ化して少々難しい 元々2作で終わろうとしていたから余計にそう思うのかもしれない 主演の広瀬すずを始めとして、出演者は皆この作品から人気俳優に成長したと思う 皆そろそろ高校生を卒業してほしいな 前2作の時は余り注目していなかったが、松岡茉優もずっと出演していたんだ ロケ地は、クライマックスの滋賀県大津市の近江神宮・近江勤学館と龍谷大学瀬田キャンパス、そして東京の京王線沿線などらしい

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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2018年3月11日 (日)

3月4日~10日の週に観た劇場映画

3月4日(日曜)~10日(土曜)の週は、6本の劇場映画を観ました。同時期に大阪・奈良・京都へ出掛けましたので、鑑賞本数が限られました。

79b70ce561ce1761 ★★★しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス(加・アイルランド) ⇒こんなに痛い作品に出逢ったのは初めてかもしれない カナダのモード・ルイス(Maud Lewis 1903-1970)という画家のことは全く知らなかったが、最初から最後まで涙腺が緩みぱなっしだった それにしてもこのモード・ルイスを演じたサリー・ホーキンス(英)の実力は凄い 「博士と彼女のセオリー」(2014)でスティーブン・ホーキング博士(3月14日死去)を演じたエディ・レッドメインと双璧だと思う 実際に台詞で登場するのだが、「古い、気の抜けた、ソーダ(炭酸水)のような二人(a pair of old soda)」のモードとエヴェレット(イーサン・ホーク)が、カナダのノヴァ・スコーシア州ディグビー郡マーシャル・タウンにある4m四方の、電気も水道もガスもない小さな小屋で暮らしながらも、愛を育み素朴で明るい絵をあらゆるものに描いていく この小屋は現在州都ハリファックスにあるノヴァ・スコーシア美術館の屋内中央に移設され常設展示されている 元々の場所には記念モニュメントとして元の家と同サイズの家が建てられ、モード・ルイス記念公園となっているそうだ この物語を企画したアイルランドのアシュリング・ウォルシュ監督(女性)は素晴らしいと思う 登場人物はイングランドの弾圧から逃げて来たアイルランド系移民がほとんどだと想定され、皆とても我慢強い人々 脚本段階ですでにキャストやその家族たちを皆涙に暮れさせたようだ とても悲惨な情況を描いているのだが、不思議と生きることの素晴らしさ、そして単調で退屈な日々でも生き続けていくことの大切さを教えてくれる 撮影は昔の様子を偲ばせるとしたニュー・ファンドランド島セント・ジョンズ郊外に小屋のセットを建てて行われたとのこと 原題は"Maudie"で、彼女の愛称「モーディ」か 余談だが、ノヴァ・スコーシアは筆者の好きな歌手アン・マレーの出身地であり、「赤毛のアン」で知られているプリンス・エドワード島もすぐ近く (ポスター写真添付)
▼シェイプ・オブ・ウォーター ⇒ご存じ今年の第90回米国アカデミー賞作品賞受賞の作品 メキシコ出身のギレルモ・デル・トロ監督が原案・脚本・製作を兼ねている 本作脚本は主演女優のサリー・ホーキンスにあて書きされたというからサリーの凄さが伺える ミュート(耳は聴こえるが口が利けない)のヒロイン・イライザと水棲人間とのコミュニケーションと愛を描く 原題も"The Shape of Water"だが直訳すると「水の形」
・ブラックパンサー ⇒ディズニーの新ヒーロー、黒人のブラックパンサーが大活躍 全編アフリカン(黒人)音楽・文化・美術で溢れており、とても新鮮 いずれにしてもエンド・クレジットが長大で、VFX・SFXなどのポスプロがとても重要な役割を果たしている ポスプロでは米国アトランタと韓国の会社が使われているようだ アベンジャーズ・シリーズも含めて、次々と続編がありそう 原題も"Black Panther"だが、直訳すると「クロヒョウ(黒豹)」
・ヒューマン・ハンター(加) ⇒ニコラス・ケイジ主演のB級作品か 彼はとにかく休みなく沢山の作品に出演し続けている 近未来の米国の話で、設定は面白いと思うのだが、リアリティーのレベルが低そう 原題は"The Humanity Bureau"で、字幕では確か「人間局」と訳されていたが、正しくは「人道局」だろう
・聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(英・アイルランド) ⇒不条理劇作品らしく、小生の苦手としているもので、やはりよく分からなかった 米国ハワイ生まれでオーストラリア育ちのニコール・キッドマンも最近はよく映画に出演している 原題も"The Killing of a Sacred Deer"で邦題どおり

・かぞくへ ⇒単館レイト上映のインディーズ作品 養護施設で育った主人公が、結婚を急ぐ恋人と同じ境遇の親友との間で悩み、揺れるストーリー 実際に出演している主人公の実話に基づく話らしいが、女性側の急展開に少し戸惑う ロケは東京の立川市東中神駅周辺、世田谷区東松原駅周辺、青木ボクシングジム(高田馬場)などで行われたようだ

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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2018年3月 4日 (日)

2月25日~3月3日の週に観た劇場映画

2月25日(日曜)~3月3日(土曜)の週は、10本の劇場映画を観ました。感動する作品、難しい作品、怖い作品に出合いました。

▼ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ ⇒米国の現役パキスタン系コメディアンであるクメイル・ナンジアニの実話に基づく作品 彼は脚本を担当するとともに本人役で主演 彼の妻エミリー・ゴードンも脚本創りに参加 イスラム教、結婚に関するパキスタン家庭の掟、人種差別等々を笑い飛ばしてしまう迫力に感動 原題も"The Big Sick"で、素直に考えると「大病」だが、「大いなる悩み、迷惑」的な意味もあるのかもしれない
・The Beguiled ビガイルド 欲望のめざめ ⇒米国のトーマス・カリナンの小説"The Beguiled"(本映画作品公開に合わせて翻訳出版された本のタイトルは「ビガイルド 欲望のめざめ」)が原作 クリント・イーストウッド主演の「白い肌の異常な夜」として1度映画化 本作はソフィア・コッポラ監督による2度目の映画化・リメイク 1964年南北戦争時のバージニア州での話だが、当時の服装、習慣、ロウソク照明などをフィルム撮影で忠実に再現 女7人の中に魅力的な男1人を放り込むとこんなことが起きるかも 「アバウト・レイ 16歳の決断」でボーイッシュな少女だったエル・ファニングが大人の妖艶な女性に 原題も"The Beguiled"だが、意味は「魅惑された者たち」か
・空海 KU-KAI 美しき王妃の謎(中・日) ⇒本物のロケセットを多用した映像は確かに美しかった 唐の時代の都長安(現西安)を再現するために、約6年の歳月をかけて東京ドーム約8個分の広さのセットを中国湖北省襄陽市に建設 セットは保存される見込みであり、中の寺は本物の寺としてすでに使用されているそうだ 筆者は日本語版を観たのでよく分からないが、染谷将太を始めとした日本人俳優たちは中国語の台詞を一所懸命に勉強したのだろう 原題は「妖猫伝 Legend of the Demon Cat(=「悪魔猫・鬼猫の伝説)」であり、あくまでも悪魔猫・鬼猫の物語のよう 筆者は猫と対決するイメージにややピンと来なかった
▼ナチュラル・ウーマン(チリ・独・西・米) ⇒チリのセバスティアン・レリオ監督が自ら脚本にも参加し、トランスジェンダーの女性を描いた作品 チリのオペラ歌手また俳優でもある、トランスジェンダー女性のダニエラ・ヴェガが主演 ヒロインを化け物に見せるためか顔・頭をセロテープでグルグル巻きにするシーン、そして股間に鏡を置いてそこに顔を映すシーンなどはとてもユニーク ヒロインの歌手としての実力を見せるところも多い 原題は"Una Mujer Fantástica"(西)="A Fantastic Woman"=「ファンタステックな、素敵な女性」でこの方が分かりいいかも 冒頭のダイナミックなイグアスの滝のシーンは何かを予感させるが、未来に向かって生きていく勇気を与える終わり方
▼ブリムストーン(蘭・仏・独・ベルギー・スウェーデン・英・米) ⇒約2時間半の長尺ホラー・サスペンス西部劇 監督がオランダのマルティン・コールホーベンで、各国のキャスト・スタッフがいるために多国合作となっているようだ 「啓示(Revelation)」、「脱出(Exodus)」、「起源(Genesis)」そして「報復(Retribution)」の4章から構成されている それぞれ怖い短編になっており、第3章までは時間をさかのぼるが最終章で一気に決着となる かなり神や神父を冒涜しているようなシーンも多いが大丈夫なのだろうか 輪廻転生の概念も盛り込まれているように思える 原題も"Brimstone"だが、「硫黄」の意味の他に「地獄の業火」や「激しい情熱」といった意味もありそう

・ザ・シークレットマン ⇒珍しく有楽町と渋谷を取り違え、両所間を行ったり来たり したがって、冒頭を若干見逃したが、そのせいでなくても米国大統領府・司法省とFBIとの関係に関する議論は大変興味深いものの分かりにくい 元々2年間以上にわたって続いたウォーターゲート事件は特別検察官及び裁判所も巻き込んだもので複雑怪奇 当時ディープ・スロートと呼ばれていた情報源がマーク・フェルトFBI副長官だったことが約30年後に明かされる 本作はこのフェルト副長官(リーアム・ニーソン)に焦点を当て、妻や娘の家族の苦悩までも描く 原題は"Mark Felt: The Man Who Brought Down the White House"=「マーク・フェルト:ホワイト・ハウスを倒した男」
・blank13 ⇒実話に基づく齊藤工監督の初長編作品 高橋一生主演で監督自身もその兄役で出演 リリー・フランキーが喜々として、ギャンブル漬け・借金まみれの親父を演じている 葬式に有料の泣き役が登場したり、闇金・高利貸しの借金取りが弔問に来たりするが、これらも本当の話なのだろうか ロケ地は栃木県足利市(長福寺、梁田町自治会館、斎場など)、御殿場市(吉田胃腸科医院、板妻バッティングセンター)、東京渋谷区(雀荘華)などらしい
・15時17分、パリ行き ⇒クリント・イーストウッド監督が、フランスで発生したタリス銃乱射事件を基に製作した作品 この事件は2015年8月21日に乗客554人を乗せた15時17分アムステルダム発パリ行きの高速鉄道タリス車内でイスラム過激派の男が銃を乱射しようとしたもの たまたま乗り合わせた米国軍人2人と米国大学生1名が格闘の末容疑者を取り押さえ事無きを得た これら3人は幼馴染みであり、子供時代は問題児でもあったが、オランド・フランス大統領からはレジオン・ドヌール勲章を授与され、一躍故郷カリフォルニア州サクラメントの英雄になった 本作中ではこれら3人本人自身が出演しておりユニーク 原題も"The 15:17 to Paris"で邦題どおり フランスでは本件事件の前、2015年1月にパリの風刺週刊誌「シャルリ・エブド」の襲撃事件が起きており、またこの後11月にはパリ同時多発テロ事件が発生し死者130人、負傷者350人を超える惨劇となった
・ゆれる人魚(ポーランド) ⇒ポーランドの女性監督のB級作品か 女性観客が多いのも不思議だったが、一応ミュージカルのようでもある作品自体も不思議 原題は"The Lure"=「ルアー(魚釣りの一種の疑似餌)」あるいは転じて「誘惑、魅惑」
▼ロープ 戦場の生命線(西) ⇒原題は"A Perfect Day"=「ある完璧な、完結した一日」で、この方が作品の意味合いがよく分かる 本作中では「国境なき水と衛生管理団」と訳されているが、多分「国境なき医師団」に属する水・衛生管理専門家(Water and Sanitation)の活動の一日を描く 民族紛争による内戦が停戦を迎えた1995年のボスニアと思われる山岳地域での彼らの活動がテーマ 井戸に投げ込まれた人の死体を引き上げるためのロープを捜し回る一日 その中で路上の牛の死体と地雷、初参加女性隊員の初体験、国連軍との調整、女性のかたくなさ、水を売るためにロープを売らない商人、この過酷な環境下でも存在する男女関係等々、徹底したユーモアを忘れずに描き切る 冒頭シーンとラスト・シーンとの対比もとても皮肉的で見事 「国境なき医師団」の医師の原作を映画化 スペイン製であるが言語は英語

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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