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2018年4月の4件の記事

2018年4月29日 (日)

4月22日~28日の週に観た劇場映画

4月22日(日曜)~28日(土曜)の週は、11本の劇場映画を観ました。前半は巷の評価が高いが、まだ未鑑賞の作品を拾いました。

・アンロック 陰謀のコード(英) ⇒ノオミ・ラパス主演のスパイ・サスペンス・アクション作品 冷戦時代と異なり敵はテロリストのようだが、頭が疲れていた筆者には筋が込み入っていて理解不能 英米の諜報機関には二重スパイが結構いるようだが、本作のような致命的な裏切り者もいるのだろうか 原題は"Unlocked"=「ロック解除」か
・娼年 ⇒直木賞作家の石田衣良の小説で、最初の直木賞候補作にもなった同名原作を松坂桃李主演で映画化 下北沢のバーでアルバイトする学生が高級男娼になり、いろいろな性的サービスを提供 映像は18歳以上指定の成人向き 男娼の仕事で出没した東京の街は、麹町、渋谷道玄坂・円山町、表参道、高田馬場、池袋、六本木、鶯谷(?)、新宿など 東京以外では熱海が舞台
・リズと青い鳥 ⇒吹奏楽(ブラスバンド)のクラブ活動を中心に、友情、音楽、楽器演奏、進学などの高校生活の悩みを描くアニメ 武田綾乃の小説「響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章」を原作に、オーボエとフルートの掛合いに焦点を当てた
・港町(日・米) ⇒舞台は瀬戸内海での漁業が主要産業の岡山県牛窓町 この小さな港町の過去からつながる現在を切り取ったドキュメンタリー
・泳ぎすぎた夜(仏・日) ⇒弘前水産卸売市場へ早朝に出勤する父親の長男が、寝不足のまま登校するが、通学路の途中で抜け出して小冒険の旅に出る話 「泳ぎすぎた夜」「魚市場」そして「永い眠り」の3章になっており、すべて弘前市で撮影 画面は昔のスタンダード・サイズ(4:3)か 原題は"La nuit où j'ai nage"(仏)="The night I swam"=「私が泳いだ夜」

・ベルリン・シンドローム(豪) ⇒オーストラリア・メルボルンに住む、ソーシャル・ワーカーで作家のメラニー・ジョーステンの同名小説を女性監督が映画化 オーストラリアからドイツのベルリンへ自分探しの旅に出てきた若手女流写真家が、ベルリンで壮絶な監禁事件に遭遇 世界各地で女性監禁事件は発生しているが、きっかけはこういうものなのだろうか 他に誰も住んでいない集合住宅1室だけのために電気・ガス・水道が通っているのか、街で普通に人体を燃やしたら臭気が酷いのではないかなど、不可解な点もある 原題も"Berlin Syndrome"=「ベルリン症候群」
・リアル(韓) ⇒二重人格あるいはドッペルゲンガーなのか、同一人物らしい人間が二人登場 個々のプロットや映像は面白いが、話は少々凝りすぎか ただし、ラスト・シーンは、水面に街のシルエットが映ってとても美しい 原題も"Real"
▼レディ・プレーヤー1 ⇒スティーブン・スピルバーグ監督がVR(ヴァーチャル・リアリティ)のゲーム世界を描き切った VFXの作業量は凄まじく、エンド・クレジットに登場する関係者の名前は1,000人くらい 原作があるようで、アーネスト・クラインのSF小説「ゲーム・ウォーズ」を映画化 2045年の米国オハイオ州コロンバスは貧富の格差が拡大し荒廃 2025年に誕生したVRゲーム「オアシス」に人々は逃避し、2027年生まれの主人公もその一人 ゲームの世界でもすべてを支配しようとする大企業と庶民との闘いが発生 過去の作品へのオマージュ・リスペクトが無数に スタンリー・キューブリック監督の「シャイニング」(1980)を初めとして、キングコング、エイリアン、スーパーマン、サタデー・ナイト・フィーバー、メガゴジラ、ガンダム等々 原題も"Ready Player One"だが、意訳すると「第1プレーヤーのゲーム開始準備完了」か
320_7_2 ▼いぬやしき ⇒日本のVFXもここまで来たかという作品だった 主演の善玉ジジイ・犬屋敷壱郎(木梨憲武)も助演の善悪玉高校生・獅子神晧(佐藤健)も半人半ロボットなので、腕や背中が機械的に変身 それらをCGで製作するため、デジタルヒューマンという技術を使うこととし、米国と台湾にしかないライトステージという機材を使用 木梨は台湾に派遣され、メイクした上半身を上下左右、360度からスキャンし、人間のデータを採取したらしい その結果出来上がった映像は生々しい 前半は父親が疎外されている家庭の様子やイジメで登校拒否の生徒がいる高校など日常を描いているが、後半は東京新宿を舞台にした派手なアクション、空中戦になる ロケ地は東京都新宿区の西新宿と歌舞伎町、静岡県富士市の市立高校などのようだが、西武新宿駅正面口前などはCGで映像を創ったとのこと 空中戦を表現するために新宿のビル街をドローン撮影したらしい 原作は奥浩哉の同名コミック
・オー・ルーシー!(日・米) ⇒米国人イケメン英会話講師を巡る43歳の独身女性節子(寺島しのぶ)と姉とその娘(姪)の恋のさや当てをコミカルに描く 役所広司が重要な一味を添えている 平柳敦子監督のオリジナル短編作品の長編化 ロケ地は東京・池袋駅西口、秋葉原、千葉県八千代市の村上駅(京葉高速鉄道)などから、米国ロサンゼルスへ

320_6 ▼犯罪都市(韓) ⇒2004年韓国ソウル南部のクムチョン(衿川)区で実際にあった、クムチョン警察署の対ヤクザ死闘を描く 腕っぷしの超強い警察強力班副班長(マ・ドンソク)を中心とした警察が、元々存在する韓国ヤクザ同士、そして中国から密入国してきた超凶暴な中国朝鮮族マフィアがからんで超過激になった抗争に対処する 刃物に素手で立ち向かう、力のこもったアクション・シーンを繰り返しながら、ついに20数人を逮捕するに至る どちらがヤクザか分からないような副班長を演ずるのは、「新感染 ファイナル・エクスプレス」(2016)でゾンビに素手で立ち向かい一躍有名になった、力道山のような体格のマ・ドンソク 厳しい指導・指示の合間に人情も見せる 原題は"The Outlaws"=「無法者たち」か

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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2018年4月22日 (日)

4月15日~21日の週に観た劇場映画

4月15日(日曜)~21日(土曜)の週は、8本の劇場映画を観ました。日米以外の作品に優れたものが多かったように思います。

320_5 ▼ダンガル きっと、つよくなる(印) ⇒インド初の女子レスリング国際大会チャンピオンとなった実子姉妹を育てた元インド・レスリング・チャンピオンの親父を、実話を基にコメディ・タッチで描く いわゆるスポコンものであるが、スピードある展開で、トレーニングは過酷 終盤のレスリングの試合もかなりリアル 日本の女子レスリング界にもよく似ている感じがするし、事実とは異なるかもしれないがパワハラ的な場面も登場 インドの名優アミール・カーンが主演しているが、97キロの太った鬼レスリング親父と70キロの強いインド元チャンピオンを実際に体重を増減して演じ分けているのは驚異 本作は中国でも大ヒットしたらしい 原題は"Dangal"(ヒンディー)だが、英語にすると"Riot, Athletics, Cirque, Cockpit"らしく和訳すると「暴動、運動競技、競技場」、意訳すると多分「レスリング」か
・私は絶対許さない ⇒雪村葉子の自伝的同名原作を映画化 東北の田舎町で集団レイプされた中3の少女 封建的な家で居場所のない中、犯人の1人の義父と援助交際 貯めた金で高卒後上京してから全身整形し、風俗嬢をしながら勉強し看護師に 男から金をもらい、男の面倒を見るのは、すべて男に復讐していることになるのかもしれない エンド・クレジットによれば、ロケ地は石川県七尾市、和倉温泉、そして東京新宿歌舞伎町 東京では歌舞伎町に最寄りの劇場で単館上映
・馬を放つ(キルギス・仏・独・蘭・日) ⇒キルギスの美しい草原の映像を背景に、神話の世界での馬の扱いと現代産業としての馬の扱いとの格差を暗示する 作風はやはり欧州風か 原題は"Centaur"=「ケンタウルス」
▼ヴァレリアン 千の惑星の救世主(仏) ⇒1967年に誕生したフランスの漫画(バンド・デシネ)「ヴァレリアン」の実写映画化 映画化したのはフランスのリュック・ベンソン監督 まもなく上映終了ということで押っ取り刀で出かけたが、劇場は女性で一杯 とても華やかな空想の世界を、素晴らしいVFX映像で堪能 原題は"Valerian and the City of a Thousand Planets"=「ヴァレリアンと千惑星の都市」 本作の撮影はすべてパリ郊外にあるベッソン監督のスタジオ「シテ・ドゥ・シネマ」(フランス最大のスタジオ)にて行われたそうだ
・さよなら、僕のマンハッタン ⇒サイモンとガーファンクルの名曲「ニューヨークの少年」が耳に響き、頭に残る 大卒後ニューヨーク・シティで働きだした青年が、都会の男女関係に揉まれながら成長する話 静かな展開なので緊張が続かなかった 原題はサイモンとガーファンクルの名曲そのもののタイトル"The Only Living Boy in New York"

・パシフィック・リム アップライジング ⇒VFXの量にとにかく感動 黒人男優が新世代イェーガーに乗り操縦する主役なのもよく、義姉が日本人菊池凛子 中国資本が入っているらしく、中国企業や中国人たちが準主役 地球の裂目から再出現したKAIJU(怪獣)と最終決戦する場は東京そして富士山 原題も"Pacific Rim: Uprising"だが、あえて和訳すると「環太平洋地域:蜂起」か
・きみへの距離、1万キロ(加) ⇒米国デトロイトからクモ型ロボットを使って北アフリカの石油パイプラインを監視する仕事の最中に、イスラム教的封建的な世界から脱出したい少女と遭遇・接触 事実に基づく話かと思ったが、全くの空想らしい 原題は"Eye on Juliet"=「ジュリエットの目」 ジュリエットとはクモ型監視ロボットの名前
320_4 ▼タクシー運転手 約束は海を越えて(韓) ⇒1980年5月の韓国光州事件を題材に、命懸けで光州の実情を報道しようとしたドイツ人記者とそれを助けた韓国人タクシー運転手との友情を描く感動作 全体的にコメディ・タッチで構成されているので2時間以上の長さを感じない 単館上映なのに劇場は盛況 ソウルのタクシー運転手に「密偵」(2016)「弁護人」(2013)のソン・ガンホを、光州の運転手に「コンフィデンシャル/共助」(2017)「LUCK-KEY/ラッキー」(2016)のユ・ヘンジを起用 両者とも演技派だが、表情は似ておりこれが韓国男性の代表的な顔なのだろうか 終盤における、数台の緑色のタクシーと数台の軍用車とのカーチェイスは見物 原題も"A Taxi Driver"

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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2018年4月15日 (日)

4月8日~14日の週に観た劇場映画

4月8日(日曜)~14日(土曜)の週は、10本の劇場映画を観ました。4月上旬はほとんど映画鑑賞ができなかったので、短期集中鑑賞を試みました。

・ワンダーストラック ⇒映画「ヒューゴの不思議な発明」(2011)の原作「ユゴーの不思議な発明」の著者ブライアン・セルズニックの次のヒット作「ワンダーストラック」を映画化 監督はマーティン・スコセッシから「キャロル」(2015)のトッド・ヘインズに 1977年米国ミネソタ州ガンフリントに住む、落雷で聾になった少年 1927年ニュージャージー州ホーボーケンに住む聾唖の少女(モノクロ映像) 50年の時間を越えニューヨーク・シティで、国立自然史博物館を巡り2人の人生が交わる 原題も"Wanderstruck"
▼ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル ⇒1996年に海岸で発見された「ジュマンジ」というボードゲーム 20年後に高校の地下室で、居残り清掃をさせられていた高校生4人がそのボードゲームを発見 パッケージをPCにセットしたら、4人はゲームの世界に吸収され、それぞれ全く違った大人のキャラに 大人のキャラの中に「セントラル・インテリジェンス」(1916)で好共演していた、元WWEプロレスラーで「ワイルド・スピード」シリーズのドゥエイン・ジョンソンとケヴィン・ハートが また20年前に行方不明になった少年のキャラも加わる ドゥエインとケヴィンの2人を中心としたドタバタの掛合いを絡ませながら、巨大カバ、バイク、バギーカー、そしてヘリまで登場する超アクション・シーンへ ロケはハワイで行われたようだ 原題も"Jumanji: Welcome to the Jungle"で邦題どおり
・ラブレス(露・仏・独・ベルギー) ⇒子供がいるのに、余りにも無関心で、それぞれ別のパートナーと新しい生活を始めようとするロシア人夫婦の身勝手さを描く 欧州では評価が高いようだが、筆者にはピンとこないところも多かった ロシアでは離婚すると会社を首になることが新発見 原題は"Nelyubov"(露)="Dislike"=「嫌い、嫌いなこと」
▼ミスミソウ ⇒押切蓮介の同名学園サスペンス・コミックを映画化 東京からの転校生に対する、田舎の高校における些細なことでのかなり苛酷なイジメから話は始まる 無責任な女性教師、身代わりのいじめられっ子、放火、劇烈な報復、家庭内暴力など問題が次々拡大 ここまで徹底的にやれば充分か エンド・クレジットによれば、ロケ地は神奈川県小山町、栃木県足利市(旧足利西高)、新潟県柏崎市、南魚沼市などか 長岡市小国町の小国車庫前バス停のシーンもあった
・三十路女はロマンティックな夢をみるか? ⇒30歳を目前に控えたOLが強盗団に拉致され、車で一緒に逃亡する一種のロードムービー 独身女性の悲哀も感じられるなと思っていると、一気にやや唐突な感じの大ドンデン返し ロケ地は、エンド・クレジットによれば千葉県木更津市、静岡県小山町、御殿場市などか

・クソ野郎と美しき世界 ⇒ジャニーズ事務所から独立した元SMAPの稲垣吾郎、草薙剛及び香取慎吾が設立した事務所「新しい地図」による初企画映画作品 オムニバス作品として3人それぞれが出演 園子温監督、浅野忠信、満島真之介、尾野真千子などビッグ・ネームが揃うが、全体としてはややまとまりがない感じ ロケ地は、エンド・クレジットによれば、愛知県豊川市、埼玉県川口市、沖縄県名護市などか
▼心と体(ハンガリー) ⇒雪の降る静謐な森でのつがいの鹿、残酷で血にまみれる食牛肉処理場、左腕の不自由な孤独な独身財務担当管理者、無口で人見知りな美人食肉検査官など見慣れないシーンが 同じ夢を共有していることから男と女はより近付く 美人女優を徐々に脱がしていく楽しみもあるかも 主題歌はいい 第67回ベルリン映画祭金熊賞などを獲得 原題は"Testrol es lelekrol"(ハンガリー)="Body and spirit"=「身体と精神、体と心」か
・グレート・アドベンチャー(中) ⇒香港のアンディ・ラウとフランスのジャン・レノが初共演 欧州を股にかけた強盗団と警察との間の闘いと一種の友情を描く フランスのカンヌ、チェコのプラハ、そしてウクライナのキエフと舞台を劇的に転換 スパイダーという超小型のスパイ・ロボットが大活躍 台詞はほぼ英語で、たまに中国語 原題は「侠盗聯盟 The Adventures」で、中国語のタイトルは「豪快強盗団」的な感じか
320_3 ★女は二度決断する(独) ⇒舞台は人口の約35%が外国人か移民というドイツ北部の街ハンブルグ トルコから移民したクルド系ドイツ人と結婚し、最愛の息子1人を授かったカティヤ(ダイアン・クルーガー)がヒロイン 夫子をネオナチの爆弾により殺害された彼女は、夫の事務所前で目撃した若い女の情報を基に犯人探し 夫の過去の薬物取引犯歴、自身の一時的な麻薬使用、警察の思い込み・作り込みなどに苦しみながらも、容疑者女のボーイフレンドの父親の助けで犯人逮捕に辿り着く しかし、法廷ではギリシャの極右のアリバイ証明(この証言はもっと吟味されるべきと感じた)などがあり一審は無罪 控訴もありえる中、家族や正義への思いを抱えながら主人公は復讐の旅へ 監督・脚本はトルコ系移民の両親を持つファティ・アキンで、ドイツで起きた極右のNSU(国家社会主義地下組織)による連続テロ殺人事件(2000~07年)を題材としている ダイアン・クルーガーは本作で第70回カンヌ国際映画祭(2017)女優賞獲得 原題は"Aus dem Nichts"(独)="From nothing"=「無から」か
・名探偵コナン ゼロの執行人 ⇒アニメだが「名探偵コナン」シリーズは必ず見ている 劇場はほぼ満員で、首脳会談の会場が爆破されて云々だったが、1日4本の最後だったので緊張が続かなかった

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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2018年4月 1日 (日)

3月25日~31日の週に観た劇場映画

3月25日(日曜)~31日(土曜)の週は、10本の劇場映画を観ました。月末、年度末に日本公開された作品は面白いものが多いと思いました。

・おみおくり ⇒高島礼子が女性納棺師役で主演 7つのエピソードを通じて湯灌(ゆかん)・納棺という仕事振りを描き、人間の死生観(生=死)に迫る 志願の新人女性納棺師も加わり、彼女らの悲しい過去が回想される 第81回米国アカデミー賞外国語映画賞(2009)を日本初受賞した、滝田洋二郎監督・本木雅弘主演の「おくりびと」(2008)の女性版か 実在の女性納棺師の著作が原案で、彼女は監修にも携わったようだ ロケ地は富山県氷見市各地がメイン 他に立山町、富山市、南砺市、そして東京都渋谷区と新宿区 主題歌の「YOU~120歳のラブソング~」もいい
・時間回廊の殺人(韓) ⇒時空の歪んだ地下室のある家で発生した殺人事件が、謎が謎を追う展開に 同じ家に住んだ3家族が入り乱れるサスペンス・ホラー作品 日韓併合時に住んだ日本人家族も登場するのは韓国らしいか 原題は"House of the Disappeared"=「失踪者の家」か
▼ミッドナイト・ランナー(韓) ⇒韓国の「ポリス・アカデミー」的作品か 2人の凸凹親友コンビが出会う、真剣な訓練模様、休日外出の楽しみ、そして偶然遭遇した少女誘拐事件を描く 事件解決のために2人が深夜の街を走り回ることがタイトルになったと思われる 実際にそういう事件があるのかどうかは知らないが、少女からの採取した卵子を売買する闇組織の犯罪が描かれる 韓国の原題も"Midnight Runners"=「ミッドナイト・ランナーズ、真夜中のランナーたち」か
▼大英博物館プレゼンツ 北斎(英) ⇒江戸時代における浮世絵師の天才で大家の葛飾北斎の作品群を、これ程細密な映像で、また的確で造詣の深い解説とともに鑑賞したのは初めて 昨年2017年5月~8月に大英博物館で開催された展覧会「Hokusai Beyond the Great Wave」を題材に、日本画の技術・芸術性や展覧会の舞台裏を紹介するドキュメンタリー やはり北斎の作品では、富嶽三十六景の「神奈川沖浪裏(The Great Wave)」と「凱風快晴」が双璧 北斎の三女・応為(おうい)も紹介 原題も"British Museum Presents: Hokusai"で邦題どおり
▼フェリーニに恋して ⇒1993年米国オハイオ州の田舎町であった実話に基づく作品らしい 母子家庭で叔母にも見守られ、世間知らずにのびのび育った少女 自立の過程でイタリアのフェデリコ・フェリーニ監督の作品群に出会い、魅了される ついに監督本人に会うためにイタリアに旅し、ボローニャに到着 列車に乗り違えベネチアに迷い込むものの、ついにローマに辿り着き監督本人に面会 監督はその2週間後に亡くなる 美しいイタリア、イタリア男性との恋などを経て、母の病死をも乗り越えるか 原題は"In Search of Fellini"=「フェリーニを探して」か

・BPM ビート・パー・ミニット(仏) ⇒1990年代初めフランス・パリでもHIV/エイズ感染者が増加していた 本作は彼らの活動団体「ACT UP - Paris」(本家は米国に存在)についてのもの その合間にメンバー同士の友情、男同士の愛、家族愛、そして死を描く 不規則発言を禁止し、拍手の代わりに指を鳴らして賛同するなどの会議ファシリテーションは効率良い 政府関連の会議や製薬会社内で血のりをまき散らす抗議運動は相当に過激 今ではHIV/エイズは不治ではないが、当時は世間での扱いが相当に難しかったものと思う 「Action=Vie(Life、生・命)」、「Silence=Mort(Death、死)」、「セーヌ川を赤く」、「オベリスクにコンドームを」などの標語はユニーク 日本では死者の顔に白布をかけるが、フランスでは死者の両目に絆創膏を貼るのだろうか 原題は"120 battements par minute"(仏)="120 beats per minute"=「毎秒120拍」 昨年の第70回カンヌ国際映画祭でグランプリ受賞
320_1 ★ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男(英) ⇒第二次世界大戦勃発後、ヒトラーのナチス・ドイツがフランス、オランダ、そしてベルギーを席捲しようとしていた、1940年5月9日から約4週間におけるロンドンの英国政府を描く 当時のチェンバレン首相のドイツ融和策が限界を迎え、今にも英国本土にドイツが攻め込みそうな様相 またフランスのダンケルクにはドイツ軍に追い込まれた30万人の英仏連合軍が 保守党の次期首相候補のハリファックス外相が辞退したため、労働党の支援も得られる海軍大臣のウィンストン・チャーチルにお鉢が ウィンストン・チャーチル海相は相次ぐ作戦失敗で苦渋を舐めていた 酒浸りで、葉巻のヘビー・スモーカーで、文筆家・画家で、傲慢で自信家の彼が、周りに嫌われながらも妻そして若い新人秘書に励まされながら首相に、そしてヒトラーに挑む 国王ジョージ6世にも後押しされて、また議会登院途上で国民の意見を聴いて、議会での圧巻の演説へ 新首相は本土決戦も決意しながら、フランス・カレーの守備隊4千人を陽動作戦として犠牲にしながら、民間船を徴用しダンケルクの30万人の若者を救うダイナモ作戦を敢行 第83回米国アカデミー賞(2011年)で作品・監督・主演男優・脚本賞受賞の英国作品「英国王のスピーチ」(2010)とは違った観点で第二次世界大戦勃発直後の英国を描くが、英国作品はやはり脚本がしっかりしている 主演のゲイリー・オールドマンは今年の第90回米国アカデミー賞主演男優賞を獲得 また、彼の特殊メイクを担当した辻一弘が日本人初のメーキャップ&ヘアスタイリング賞を受賞 原題は"Darkest Hour"=「最も暗い時」か
▼ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書 ⇒スティーブン・スピルバーグ監督の下で、メリル・ストリープとトム・ハンクスが共演するという夢の組合せが実現 現在の米国トランプ大統領と米国メディアとの対立を彷彿とさせる、1970年初頭の米国大統領府と新聞社との情報公開を巡る闘いを描く 主人公のワシントン・ポスト社主・発行人のキャサリン・グラハム(メリル・ストリープ)の友人のマクナマラ元国務長官がランド研究所に依頼した、ベトナム戦争に関するペンタゴン・ペーパーズの機密漏洩から話は始まる ペンタゴン・ペーパースにはトルーマン、アイゼンハワー、ケネディそしてジョンソンにわたる4大統領の事実隠蔽が暴露されていた 1971年のニューヨーク・タイムズの本件スクープから始まって、ポストの全文報道までの大統領府と新聞社の法廷闘争などをリアルに描写 実力抜群のポスト編集主幹のベン・ブラッドリー(トム・ハンクス)が闘いを先導し、株式公開を控えたポストの微妙な情況にもかかわらずキャサリンは新聞掲載を決断 これが新聞社による機密漏洩を阻止しようとしたニクソン大統領の野望を挫き、続くウォーターゲート事件による大統領辞任のきっかけにもなった 原題は"The Post"=「ポスト紙」か
▼レッド・スパロー ⇒母の面倒を見ながら、ボリショイ・バレエ団でプリマとして活躍していたドミニカ・エゴロワ(ジェニファー・ローレンス) 舞台での重傷後、ロシア諜報機関の幹部である叔父によりハニー・トラップも辞さない女性諜報員レッド・スパローとして養成される ハンガリーの首都ブタベストで米国CIA諜報員に接触し、本物の二重スパイに 怪我をさせられたバレエ・ダンサーたちへの復讐、二重スパイ同士の騙し合い・協力などを主軸に、最終的なターゲットへの復讐を描く ジェニファーはバレエ・ダンサーとしては少し太めだが、アクション・シーンは秀逸 予想できない展開も2、3シーンあり、結構最後までハラハラドキドキ 33年間CIAに勤めたジェイソン・マシューズの同名小説が原作 原題も"Red Sparrow"=「赤い雀」か
320_3 ★トレイン・ミッション(米・英) ⇒舞台は米国ニューヨーク市マンハッタンのグランド・セントラル駅からハドソン川沿いに北部郊外に向かうメトロ・ノース鉄道ハドソン線の通勤電車車内 この限られた空間の中で訳の分からない謎解き・賞金稼ぎにはめられた主人公マイケル・マコーリーが良心と金儲けのはざ間で苦悩 車内外での緊迫した犯人捜しとアクションが見物 「シンドラーのリスト」(1993)で有名になったリーアム・ニーソンが主演で、彼の最近のアクション・シーンは素晴らしい 監督はシチュエーション・スリラー(限られた空間・場面でのスリラー作品のことか)の名手といわれる、スペイン出身のジャウマ・コレット=セラ この二人の組合せは4作目らしい 筆者は昔マンハッタン勤務でメトロ・ノース鉄道の他線で通勤していたことがあるので、とても懐かしい ロケは、ニューヨーク市から撮影許可が下りなかったため、英国バッキンガムシャー州にあるパインウッド・スタジオとサリー州で行われたそうだ パインウッド・スタジオは「007」シリーズの撮影で有名なところで、今回は可動部分などいろいろ工夫された列車1両分とグランド・セントラル駅などのセットを製作し、クロマキー撮影をしたらしい 原題は"The Commuter"=「通勤者、通勤客」か

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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