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2018年7月22日 (日)

7月15日~7月21日の週に観た劇場映画

7月15日(日曜)~7月21日(土曜)の週は、7本の劇場映画を観ました。朝鮮半島に関した作品を3本観ました。

・グッバイ・ゴダール!(仏) ⇒ジャン=リュック・ゴダールはフランスの映画監督 なぜかスイス国籍も所有している二重国籍者らしい 1930年パリ生まれでヌーヴェルバーグの旗手 日本で言うと大島渚(1932~2013)に相当するのか フランスでは熱狂的なファンも多く、その意味では黒澤明(1910~1998)的かもしれない ゴダールの2人目の夫人・アンヌ・ヴィアゼムスキー(1947~2017、ドイツ・ベルリン出身、女優・作家)の、ゴダールとの係わりを書いた2冊の手記本が原作 それをフランス人監督ミシェル・アザナビシウスが映画化 アザナビシウス監督は「アーティスト」(2011・仏)で第84回アカデミー賞(2012)作品賞・監督賞を、フランス作品として初めて獲得 「アーティスト」にも出演していた妻のベレニス・ベジョも本作にも登場 フランス5月革命(世界の学生運動の先駆けとなった、1968年のパリにおける学生・労働者のゼネスト活動)への参加、1968年のカンヌ国際映画祭を中止させたことなど、ゴダールの奇行も描かれている 原題は"Le Redoutable"(仏)="The Formidable"=「手に負えない人、手ごわい人」か
320_42 ▼ジュラシック・ワールド 炎の王国 ⇒スティーヴン・スピルバーグ(1946~)が製作する、5作目の「ジュラシック・パーク/ジュラシック・ワールド」作品(パークが3作、ワールドが2作) 原作は米国の作家・マイケル・クライトン(1942~2008)の「ジュラシック・パーク」シリーズ(1990~)3作だが、「ジュラシック・ワールド」からはオリジナル脚本のよう 蘇った恐竜たちがリアルに動き回ることに毎回感動するが、本作では人間と直に触れ合うシーンが目立つ これには恐竜のリアルな模型セットも使われたらしい 今回も舞台は、恐竜が蘇り、自然繁殖したコスタリカ西方沖の架空の島、イスラ・ヌブラル島 この島のロケはやはり米国ハワイ州オアフ島北東部にあるクアロア・ランチで行われたようで、この場所は今はテーマ・パークにもなっている 原題は"Jurassic World: Fallen Kingdom"=「ジュラ紀の世界:死滅の王国」か 続編製作はすでに進行しているようだ
・天命の城(韓) ⇒中国が明から清の時代に移行する際の朝鮮半島の様態が良く分かる作品 女真族(満州族)により建国された後金が清と改称した1636年に清は李氏朝鮮に侵攻(丙子の乱) 清の12万の大軍に対し、朝鮮王仁祖は1万3千の家臣・兵とともに南韓山城に籠城 徹底抗戦か和睦かで城内は割れる 韓国の作家キム・フン(1948~)の小説を、「怪しい彼女」(2014・韓)、「トガニ 幼き瞳の告発」(2011・韓)のファン・ドンヒョク監督(1971~)が映画化 イ・ビョンホン(1970~)が主演し、坂本龍一(1952~)が韓国映画では初めて音楽を担当しているなど、韓国では大作 今年冬季オリンピックが開催されたピョンチャン(平昌)に南韓山城などのオープン・セットを造り、11月からの厳寒の時季5ヶ月間にわたり撮影 1637年に朝鮮は清を宗主国とする冊封体制に組み入れられるが、明が宗主国だった時よりもはるかに厳しい朝貢国としての義務が課された これは日清戦争(1895)で清が日本に敗戦するまで続いた これらのことから朝鮮半島がいかに大陸の強国との外交交渉に苦労していたか、その結果いかに外交上手かが推測される 原題は"The Fortress"=「要塞」
・虹色デイズ ⇒北海道出身の水野美波原作の同名少女コミックの実写映画化 4人の男子高校生の友情、勉学、恋愛、進学などの青春の悩みにあふれた高校2年生の1年間を描く 20歳台の俳優が高校生を演じるのはやはり若干違和感があるが、前向きな姿勢は好ましい ロケ地は主に栃木県足利市で、足利短期大学附属高校、旧足利西高校(廃校)、足利織姫神社などが使われた 一部群馬県前橋市でもロケされている
・北朝鮮をロックした日 ライバッハ・デイ(ラトビア・ノルウェー・スロベニア) ⇒ライバッハ(LAIBACH)というスロベニア(旧ユーゴスラビアの一部)出身の6人組バンドのことは全く知らなかった カバー曲を独特の解釈でアレンジした「インダストリアル・ロック」というサウンド ナチス風の制服を着て世界中で行っている、映像と音楽を組み合わせたライヴはカルト的人気があるようだ 本作は、2015年に北朝鮮祖国解放70周年記念日に招かれたライバッハが、北朝鮮当局とのとても困難な交渉を乗り越えてライヴ公演に至るまでを描く 北朝鮮の監視そして公演内容への介入・指導が一筋縄ではないことを示す ライバッハは北朝鮮でライヴを行った最初の海外ミュージシャンらしい 原題は"Liberation Day"=「解放の日」

320_43 ▼ワンダーランド北朝鮮(独・北朝) ⇒韓国プサン(釜山)出身の映画監督チョ・ソンヒョン(1966~)があえて韓国からドイツへ国籍を変え、北朝鮮に入国し普通の人々の暮しを追おうとしたドキュメンタリー 慎ましく、素朴な生活をしている北朝鮮の人々は、皆幸せそうで前向きな姿勢を示す また、絵画、裁縫などの手先の器用さはもちろん、自然エネルギーを活用した循環型の暮しなどが紹介される 原題は"Meine Bruder und Schwestern im Norden"(独)="My Brothers and Sisters in the North"=「北にいる私の兄弟・姉妹」 筆者は映画としての本作に高評価を与えるものではないが、「天命の城」「北朝鮮をロックした日 ライバッハ・デイ」そして本作を連続して観て、ある感想を持った それは現在の北朝鮮は戦前の日本によく似ているのではないかということ 両者とも大国と対峙した経験が豊富で交渉上手なこと 北朝鮮のペクトゥサン(白頭山)信仰と日本の皇国史観 北朝鮮ではキム(金)将軍、日本では天皇という絶対元首への尊敬・敬愛・絶対服従 国民は国のため、元首のため頑張り、命を懸けること 人権が制限されており、遊んでいる人や反政府運動をする人は少なく、ここからは全くの想像ではあるが、障碍者が少ないのではないか 結論としては、人口の割には統一的で効率的な国家運営ができているので、簡単には国家破綻しないのではないかと思われる
320_44 ▼ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス(英) ⇒1997年にリリースされたアルバム「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」が大ヒットし、1999年の同名映画作品(独・米・仏)も一世を風靡した それから28年後、アディオス(さようなら)公演として世界を回る、平均年齢90歳以上の同バンドを追ったドキュメンタリー 「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」とはバンドが演奏していたクラブの名前だったが、バンド名にもなった 1999年の映画が大ヒットした後、世界中で同名のクラブや飲食店が雨後の筍のように増えた 映画原題は"Buena Vista Social Club: Adios"(西)="Buena Vista Social Club: Goodbye"=「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ:さようなら」

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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