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2018年7月の5件の記事

2018年7月29日 (日)

7月22日~7月28日の週に観た劇場映画

7月22日(日曜)~7月28日(土曜)の週は、10本の劇場映画を観ました。見所のある作品が多かったように思います。

320_45 ▼菊とギロチン ⇒「64 ロクヨン」の瀬々敬久(ぜぜたかひさ・1960~)監督がオリジナル企画で製作 「64 ロクヨン」も前・後編で長かったが、本作は3時間を超える長尺 菊は今風にいうとDVに耐えかねて家出し女相撲に加わった花菊を、ギロチンは憲兵隊に殺された、労働者運動を率いた大杉栄の仇を討とうとするギロチン社を指すものと思われる 1923~24年(大正12~13年)頃を描いている本作は、明治維新後の中央集権体制国家において、女性や労働者・小作人の人権が全く認められない社会を炙り出す 中・高校の日本史の授業では、時間不足という妙な理由によってほとんど学習していない戦前の時代が、現代の中国や北朝鮮にも似た人権無視の社会であったことをうかがわせる ロケ地は滋賀県と京都府だったらしい
・スウィンダラーズ(韓) ⇒韓国で実際にあったマルチ商法詐欺事件を題材に、詐欺師たちが躍動するコメディ金庫破り作品 検事までが詐欺師なので、何が何だが分からないスピーディな展開が面白い 原題はずばり"The Swindlers"=「詐欺師たち」 発音は「スウィンドゥラーズ」の方が近いと思う
・スカブロ ⇒「スカブロ」とは「横須賀(ヨコスカ)」の「スカ」と「brothers(ブラザーズ)」の「bro(ブロ)」の合成語らしい したがって、本作は神奈川県、特に横須賀市生まれや在住のキャスト・スタッフらにより製作 ほぼ全編横須賀市でロケ撮影されており、ドブ板通りを主体に軍港、クラブ、トンネルなどの映像が オリジナル企画による脚本で、米国海軍基地の街らしく怪しい米国人たちやスカジャン(ヨコスカ+ジャンパー)も登場 地元衆議院議員の小泉進次郎代議士(1981~)も終盤にチョイ役で顔を出す もし横須賀に行ったことがなければ、是非「横須賀軍港めぐり」に乗船して、その後ドブ板通りを歩いてほしい
・エヴァ(仏) ⇒英国ロンドン生まれの作家ジェイムズ・ハドリー・チェイス(1906~1985)の原作小説「悪女イヴ」(1945)の2度目の映画化 チェイスは英国人ではあるが、英国の気候を嫌ってフランスに移住し、最後にはパリに住んだためか、フランスで人気がある 1度目の映画化はジャンヌ・モローが主演した「エヴァの匂い」(1962) 本作の主演のイザベル・ユペールよりジャンヌ・モローの方がもっと妖艶だと思う 原題も"Eva"=「エヴァ」
320_46 ▼志乃ちゃんは自分の名前が言えない ⇒吃音(きつおん)症・どもり症をテーマにした作品は初めて観たような気がする 主人公は特に母音から始まる単語がスムーズに言えない高校1年生の女生徒 そして音楽が好きでギターを弾くが音痴なクラスメート少女との間に奇妙な友情が 両者とも撮影時(2017年4月)の実年齢が14歳の少女たちが演じているのでリアリティ満載 これに実年齢18歳のお調子者でKYだが孤独な男子生徒が絡む 吃音症の彼女が友人のギター伴奏で歌う「あの素晴らしい愛をもう一度」「翼をください」「世界のおわり」そして「青空」も初々しくていい 押見修造(1981~)の同名原作コミックの映画化 ロケは主に静岡県沼津市で行われ、旧静浦中学校(廃校)、沼津駅前、静浦漁港、内浦漁協などが使われたようだ

・BLEACH ⇒広島県府中町出身の漫画家・久保帯人(くぼたいと・1977~)の同名コミック作品を実写映画化 ラストのオープン・セットを使った激しい殺陣が見物 リギングも使ったCGによるVFXも結構なもの 本作は死神代行編とあるので続編も企画か ロケ地は埼玉県三郷市、神奈川県相模大野市・横浜市などのようだが、オープン・セットがどこに造られたかは不明
・悲しみに、こんにちは(西) ⇒スペイン・カタルーニャ州のバルセロナで生まれた女性監督カルラ・シモン(1986~)の初長編作品 両親を亡くした少女がバルセロナからカタルーニャ州の田舎に引越し、田舎の美しい自然の中で叔父家族3人と一緒に暮らし始める シモン監督自身がエイズで両親を亡くした実話に基づいた作品 原題は"Estiu 1993"(カタルーニャ)="Summer 1993"=「1993年夏」で、監督のその不運な時期を示すようだ
・未来のミライ ⇒細田守監督の「バケモノの子」(2015)に続くアニメ作品 4歳の男の子が妹が生まれたことにより、赤ちゃん返りしていろいろ騒動を起こすことがテーマ 筆者にも2人の孫が誕生したが、少し違うような気もする
・ブリグスビー・ベア ⇒誘拐されて25歳まで隔離されて偽両親と暮らしていた青年が、初めて外の世界に踏み出した時のいろいろな出来事を描く 新しい本当の家族との関係、社会適応のためのコンサルタントとの応対、等々新たな課題が 少し話の展開に無理があるような気もするが… 原題も"Brigsby Bear"で、偽両親が制作し観せていた教育番組のこと ソニーの作品
320_47 ▼ゲッペルスと私(墺) ⇒8月3日上映終了だが、結構な数の観客が ホロコーストはまだまだ終わっていないと感じた 新しい発見を含む他の作品も必ず登場するだろう ちょうど1911年1月11日ドイツ・ベルリン生まれで、撮影当時103歳のブルンヒルデ・ポムゼル(1911~2017) 彼女は1942年から1945年のドイツ敗戦までナチス宣伝大臣のヨーゼフ・ゲッペルス(1897~1945)の秘書として働いた 本作はその彼女が初めてその時代の出来事を語ったドキュメンタリー 衝撃的なアーカイヴ・フィルムとともに語られる内容は真実に近いもののように聴こえる ただナチス党員で、ナチス幹部たちと毎日接していた彼女が何も知らなかったというのもやや信じがたい 特に、彼女の親友のユダヤ人エヴァにはもっと何かしてあげられたのではとも思う 原題は"A German Life"=「ドイツ人の人生」か 日本も中国でそして朝鮮半島で何をしたのか、善も悪も真実に近い内容を紹介するドキュメンタリーをもっと製作して勉強させてほしい

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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2018年7月22日 (日)

7月15日~7月21日の週に観た劇場映画

7月15日(日曜)~7月21日(土曜)の週は、7本の劇場映画を観ました。朝鮮半島に関した作品を3本観ました。

・グッバイ・ゴダール!(仏) ⇒ジャン=リュック・ゴダールはフランスの映画監督 なぜかスイス国籍も所有している二重国籍者らしい 1930年パリ生まれでヌーヴェルバーグの旗手 日本で言うと大島渚(1932~2013)に相当するのか フランスでは熱狂的なファンも多く、その意味では黒澤明(1910~1998)的かもしれない ゴダールの2人目の夫人・アンヌ・ヴィアゼムスキー(1947~2017、ドイツ・ベルリン出身、女優・作家)の、ゴダールとの係わりを書いた2冊の手記本が原作 それをフランス人監督ミシェル・アザナビシウスが映画化 アザナビシウス監督は「アーティスト」(2011・仏)で第84回アカデミー賞(2012)作品賞・監督賞を、フランス作品として初めて獲得 「アーティスト」にも出演していた妻のベレニス・ベジョも本作にも登場 フランス5月革命(世界の学生運動の先駆けとなった、1968年のパリにおける学生・労働者のゼネスト活動)への参加、1968年のカンヌ国際映画祭を中止させたことなど、ゴダールの奇行も描かれている 原題は"Le Redoutable"(仏)="The Formidable"=「手に負えない人、手ごわい人」か
320_42 ▼ジュラシック・ワールド 炎の王国 ⇒スティーヴン・スピルバーグ(1946~)が製作する、5作目の「ジュラシック・パーク/ジュラシック・ワールド」作品(パークが3作、ワールドが2作) 原作は米国の作家・マイケル・クライトン(1942~2008)の「ジュラシック・パーク」シリーズ(1990~)3作だが、「ジュラシック・ワールド」からはオリジナル脚本のよう 蘇った恐竜たちがリアルに動き回ることに毎回感動するが、本作では人間と直に触れ合うシーンが目立つ これには恐竜のリアルな模型セットも使われたらしい 今回も舞台は、恐竜が蘇り、自然繁殖したコスタリカ西方沖の架空の島、イスラ・ヌブラル島 この島のロケはやはり米国ハワイ州オアフ島北東部にあるクアロア・ランチで行われたようで、この場所は今はテーマ・パークにもなっている 原題は"Jurassic World: Fallen Kingdom"=「ジュラ紀の世界:死滅の王国」か 続編製作はすでに進行しているようだ
・天命の城(韓) ⇒中国が明から清の時代に移行する際の朝鮮半島の様態が良く分かる作品 女真族(満州族)により建国された後金が清と改称した1636年に清は李氏朝鮮に侵攻(丙子の乱) 清の12万の大軍に対し、朝鮮王仁祖は1万3千の家臣・兵とともに南韓山城に籠城 徹底抗戦か和睦かで城内は割れる 韓国の作家キム・フン(1948~)の小説を、「怪しい彼女」(2014・韓)、「トガニ 幼き瞳の告発」(2011・韓)のファン・ドンヒョク監督(1971~)が映画化 イ・ビョンホン(1970~)が主演し、坂本龍一(1952~)が韓国映画では初めて音楽を担当しているなど、韓国では大作 今年冬季オリンピックが開催されたピョンチャン(平昌)に南韓山城などのオープン・セットを造り、11月からの厳寒の時季5ヶ月間にわたり撮影 1637年に朝鮮は清を宗主国とする冊封体制に組み入れられるが、明が宗主国だった時よりもはるかに厳しい朝貢国としての義務が課された これは日清戦争(1895)で清が日本に敗戦するまで続いた これらのことから朝鮮半島がいかに大陸の強国との外交交渉に苦労していたか、その結果いかに外交上手かが推測される 原題は"The Fortress"=「要塞」
・虹色デイズ ⇒北海道出身の水野美波原作の同名少女コミックの実写映画化 4人の男子高校生の友情、勉学、恋愛、進学などの青春の悩みにあふれた高校2年生の1年間を描く 20歳台の俳優が高校生を演じるのはやはり若干違和感があるが、前向きな姿勢は好ましい ロケ地は主に栃木県足利市で、足利短期大学附属高校、旧足利西高校(廃校)、足利織姫神社などが使われた 一部群馬県前橋市でもロケされている
・北朝鮮をロックした日 ライバッハ・デイ(ラトビア・ノルウェー・スロベニア) ⇒ライバッハ(LAIBACH)というスロベニア(旧ユーゴスラビアの一部)出身の6人組バンドのことは全く知らなかった カバー曲を独特の解釈でアレンジした「インダストリアル・ロック」というサウンド ナチス風の制服を着て世界中で行っている、映像と音楽を組み合わせたライヴはカルト的人気があるようだ 本作は、2015年に北朝鮮祖国解放70周年記念日に招かれたライバッハが、北朝鮮当局とのとても困難な交渉を乗り越えてライヴ公演に至るまでを描く 北朝鮮の監視そして公演内容への介入・指導が一筋縄ではないことを示す ライバッハは北朝鮮でライヴを行った最初の海外ミュージシャンらしい 原題は"Liberation Day"=「解放の日」

320_43 ▼ワンダーランド北朝鮮(独・北朝) ⇒韓国プサン(釜山)出身の映画監督チョ・ソンヒョン(1966~)があえて韓国からドイツへ国籍を変え、北朝鮮に入国し普通の人々の暮しを追おうとしたドキュメンタリー 慎ましく、素朴な生活をしている北朝鮮の人々は、皆幸せそうで前向きな姿勢を示す また、絵画、裁縫などの手先の器用さはもちろん、自然エネルギーを活用した循環型の暮しなどが紹介される 原題は"Meine Bruder und Schwestern im Norden"(独)="My Brothers and Sisters in the North"=「北にいる私の兄弟・姉妹」 筆者は映画としての本作に高評価を与えるものではないが、「天命の城」「北朝鮮をロックした日 ライバッハ・デイ」そして本作を連続して観て、ある感想を持った それは現在の北朝鮮は戦前の日本によく似ているのではないかということ 両者とも大国と対峙した経験が豊富で交渉上手なこと 北朝鮮のペクトゥサン(白頭山)信仰と日本の皇国史観 北朝鮮ではキム(金)将軍、日本では天皇という絶対元首への尊敬・敬愛・絶対服従 国民は国のため、元首のため頑張り、命を懸けること 人権が制限されており、遊んでいる人や反政府運動をする人は少なく、ここからは全くの想像ではあるが、障碍者が少ないのではないか 結論としては、人口の割には統一的で効率的な国家運営ができているので、簡単には国家破綻しないのではないかと思われる
320_44 ▼ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス(英) ⇒1997年にリリースされたアルバム「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」が大ヒットし、1999年の同名映画作品(独・米・仏)も一世を風靡した それから28年後、アディオス(さようなら)公演として世界を回る、平均年齢90歳以上の同バンドを追ったドキュメンタリー 「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」とはバンドが演奏していたクラブの名前だったが、バンド名にもなった 1999年の映画が大ヒットした後、世界中で同名のクラブや飲食店が雨後の筍のように増えた 映画原題は"Buena Vista Social Club: Adios"(西)="Buena Vista Social Club: Goodbye"=「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ:さようなら」

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2018年7月15日 (日)

7月8日~7月14日の週に観た劇場映画

7月8日(日曜)~7月14日(土曜)の週は、4本の劇場映画を観ました。暑さとイベントに押されて、鑑賞時間が減りました。

・セラヴィ!(仏) ⇒パリ郊外にある17世紀に建設された古城でのウェディング・パーティにまつわるフランス流コメディ さすがフランスという立派な古城の会場で、引退を控えた一流で有能なウェディング・プランナーが、自己中で出来の悪いスタッフたちに振り回されながらも、何とか大団円を迎える 原題は"Le sens de la fête"(仏)="The meaning of the party"=「パーティの意義」で、この方が作品の真意を伝えていると思う なぜ邦題を「セラヴィ!」="C'est la vie!"(仏)="It's life!"=「それが人生!」という平凡なものにしたのだろうか
320_41 ★バトル・オブ・ザ・セクシーズ ⇒1973年に米国で実際に興行された女子テニス世界チャンピオンのビリー・ジーン・キングと元男子テニス世界チャンピオンのボビー・リッグスの、性別を超えたテニス・マッチが主題 キング夫人は1972年の全米女子テニス大会の賞金総額が10万ドル(当時の為替で多分3,000万円位)で男子の1/8に過ぎなかったことに憤り、既存の男子中心のテニス協会を脱退し、仲間とともに自ら「女子テニス協会」を設立しスポンサーを探す 一方リッグスはギャンブル漬けで金欠に陥り、夫婦関係も悪化していたため、一獲千金を狙っていた 女子テニス協会の最初の大スポンサーがスポーツ選手の健康には余り良くないタバコ会社だという皮肉があったり、キング夫人は優しい夫がありながら美人美容師のファンと親密な関係になったりと、話は複雑な様相を示しながらも最終バトルに向かっていく これは女性の地位向上を目的としたウーマン・リブの闘争の一部でもあったようだ 1960年代に米国で公民権運動を主導したのがやはりキング牧師(マーチン・ルーサー・キング)だったのは歴史の偶然か キング夫人役は「ラ・ラ・ランド」(2016)で第89回アカデミー賞(2017)主演女優賞を獲得したエマ・ストーンで、眼鏡をかけ、テニスも特訓して熱演 原題は"Battle of the Sexes"=「性、性別、あるいは男女の闘い」で、具体的に言うと「ウーマン・リブの闘い」でもある 邦題は原題の読みをカタカナで表記する方法をとっているが、ならば本来「バトル・オブ・ザ・セックスィズ」だろう 何を遠慮したのか分からないが、英語では"sex"は第一義的には「男女の性別」の意味 「セクシーズ」なら"sexy"の複数形"sexies"になると思われ、その意味は「セクシーな、色っぽい人たち」だろう
・ルームロンダリング ⇒自殺や殺人事件などがあった、訳ありの賃貸住宅物件を、一度誰かが住むことにより普通の物件に変える仕事があるのかどうか分からないが、本作はそれに関するもの 訳ありの部屋には当然幽霊などが出没するのだが、それの相手をして住む主人公女性には霊能力がある 意外なテーマを面白く演出 ロケ地はエンド・クレジットによれば東京都武蔵野市を中心とした東京西部のようだ
・インサイド(西・米) ⇒はっきり言ってB級サスペンス・ホラー作品 ここまで異常な動機は理解できないし、襲う女はまるで不死身のようだし、警官の対応も間抜けているなど、変なところも多い 舞台は米国シカゴ市らしい 原題も"Inside"で、あえて和訳すると「内部、内側のもの」か

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2018年7月 8日 (日)

7月1日~7月7日の週に観た劇場映画

7月1日(日曜)~7月7日(土曜)の週は、9本の劇場映画を観ました。6月公開の映画作品は、週末が5回あったこともあって、とても多く100本近くに登りました。先週観た作品は結構秀作でした。

・ルイ14世の死(仏・葡・西) ⇒1975年スペイン・カタルーニャ州生まれのアルベルト・セラ監督(兼脚本)が「ライオンは今夜死ぬ」(2017)のフランス人ヌーベルバーグ俳優・ジャン=ピエール・レオ(74歳)を起用して製作したユニークな作品 フランス太陽王と呼ばれるルイ14世について綴った側近らの回想録・日記を基に、ルイ14世(1638~1715)が死に至る1715年8月の数週間だけに焦点を当てる 糖尿病が原因で心不整脈と左足の壊疽を発症 撮影はフランス南東部にある、20年前に火事により廃墟となっていた城に5週間をかけて制作したセットにて行われた 当然電気照明のない時代の話なので、暗い照明で映像は薄暗い 原題は"La mort de Louis XIV"(仏)="The death of Louis XIV"で、邦題どおり
・いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち(伊) ⇒イタリア製のクライム・ドタバタ・コメディ 「いつだってやめられる 7人の危ない教授たち」(2014)の続編 前作では犯罪者になったが、今回は警察のおとり捜査に協力させられる 原題は"Smetto quando voglio: Masterclass"(伊)="I stop when I want: Masterclass"=「いつでも止められる:マスタークラス」 マスタークラスとは親方級・上級・指導者級のことか
・猫は抱くもの ⇒大山淳子の同名原作小説(2015)を沢尻エリカ主演で映画化 猫を擬人化し、かなりの部分が舞台の演技で進行していくというユニークな試みをしている ロケ地は、神奈川県秦野市、静岡県御殿場市など
320_38 ▼焼肉ドラゴン ⇒1957年7月生まれで兵庫県姫路市出身の鄭義信(チョン・ウィシン/てい よしのぶ)の初監督映画作品 鄭は在日3世の劇作家・脚本家・演出家で、本作は2008年に日韓で公演された彼の作による同名演劇作品の映画化 演劇は、大阪万博の頃在日の普通の人々がどう暮らしていたかに正面から取り組み、日韓で公演され好評を得、その後三演までされた 舞台の場所は、万博等の開発により消滅していった集落の一つである、大阪国際空港(伊丹空港)と猪名川に挟まれた大阪府伊丹市中村地区としている 映画も演劇の内容を忠実に倣っているようだ 物語は昭和44年(1969年)春から始まり、昭和45年(1970年)の大阪万博を経て、翌年昭和46年(1976年)春に集落取り壊しのため家族全員が引越し、旅立つまでの2年間を描く ラストシーンでは在日1世の親父は再婚の妻と(死んだその長男の遺骨と)ともに戦中から27年間住んだ土地を離れ、長女は北朝鮮へまた次女は韓国へそれぞれ伴侶とともに渡り、そして三女は日本人と結婚し日本に残る 家族がバラバラになるという、在日という不安定な立場を象徴するような終わり方ではあるが、国境を越えた新しい国際的な家族像をも前向きに示しているようにも思う 本作ロケ撮影は上記猪名川沿いの伊丹市中村地区、尼崎市立文化財収蔵庫など、大阪府・兵庫県で行われた模様 セット撮影はどこで行われたか不明 本作がそうかどうかは分からないが、地理的な関係もあり元々在日の人々は韓国済州島出身が多かったようだ 1948年4月3日から1954年にかけて米軍管理下の南朝鮮(大韓民国)の体制派が済州島民約6万人を粛清・虐殺したという「済州島四・三事件」により、20万人以上の島民が在日の済州島出身者を頼って日本に脱出したとも言われる これらの在日コミュニティは主に大阪府にあったようだ また脇役だが、宇野祥平君も頑張っていた
・ウィンチェスター・ハウス アメリカで最も呪われた屋敷(豪・米) ⇒米国カリフォルニア州サンノゼに実在する幽霊屋敷ウィンチェスター・ハウスについて、米国制作の脚本を基にオーストラリアのスピエリック兄弟監督(生まれはドイツの一卵性双生児、脚本も兼ねる)が製作した作品 筆者の私見だがB級ホラー映画作品 ウィンチェスター家は銃の開発・販売で財を成したが、その銃で死んだ者たちの亡霊に悩まされる 亡霊からの指示で主人公サラ・ウィンチェスター(ヘレン・ミレン)は屋敷の部屋を増設し続ける サンフランシスコ大地震が起きた1906年の出来事を描く 一部本物の屋敷でもロケ撮影が行われたようだが、オーストラリア・メルボルンのスタジオに何部屋かのセットを制作して撮影 原題は単に"Winchester"=「ウィンチェスター」

320_40 ▼アメリカン・アサシン ⇒原題は邦題どおり"American Assassin"=「アメリカの刺客、殺し屋、暗殺者」 米国の著名スパイ・小説家ヴィンス・フリン(1966~2013)の全米ベストセラー小説「ミッチ・ラップ」シリーズのうち、ミッチがなぜCIAスパイになったかを明かす本作と同名の原作小説(和訳版は今年6月に出版)を映画化 ミッチには「メイズ・ランナー」シリーズのディラン・オブライエンを起用し、CIAスパイキャンプの鬼教官スタン・ハーリーに「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」(2014)や「ファウンダー ハンバーガー帝国の秘密」(2016)のマイケル・キートンを充てた 2人は格闘技、諜報活動、武器訓練などの事前集中訓練を数か月間も受けたようで、さずがに演技のスピードが感じられ、またリアリティ感も高かったと思った 話の舞台はスペイン・イビザ島から始まり、米国ロード・アイランド州プロヴィデンス、リビア・トリポリ、英国ロンドン、ポーランド・ワルシャワ、トルコ・イスタンブール、ルーマニアそしてイタリア・ローマと変遷する ロケ地は米国、英国、イタリア、マルタ島およびタイのようだ ローマのシーンが多いが、普通は眼にしないような場所が使われている 終盤に海中でプルトニウム爆弾が爆発するが、地中海で展開している空母を中心とする米国第6艦隊がそれにより被害を受ける様をVFXで観せてくれたのはとても目新しかった
320_39 ★ワンダー 君は太陽 ⇒原題は単に"Wonder"=「奇跡、奇蹟、驚異、不思議」か 米国ニューヨーク市に夫、2人の息子、2匹の犬と暮らすR.J.パラシオが初めて書いた同名原作小説(2013)を映画化 処女小説でありながら、いきなりニューヨーク・タイムズ紙ベスト・セラー・リストの第1位を獲得したとのこと 同小説は日本語版もあり、全世界で800万部以上を販売 遺伝子疾患により普通とは大いに異なる顔で生まれ、27回も整形手術を受けた少年オギー(オーガスト・プルマン)が主役 オギーに「ルーム」(2015)のジェイコム・トレンブレイを、その母親にジュリア・ロバーツを、父親に「ミッドナイト・イン・パリ」のオーウェン・ウィルソンをそれぞれ起用 オギーが5年生の新学期から初めて登校するところから翌年の終業式までの期間が扱われる 父母そして姉の愛・配慮・支援、学校の協力・正しい指導、イジメられながらもその知性で周りを味方にしていく様子を、一人ひとりに焦点を当てながら丹念に描写 ロケ地はニューヨーク市のマンハッタン区とブルックリン区のコニー・アイランド、それにペンシルベニア州の自然保護区などのようだ 学校名などはすべて架空のものと思われる またミドル・スクールの黒人教諭のprecept(行動・考え方の指針・規範、格言、教訓)に関する授業は印象的で、パラシオの後の著作物のテーマにもなっている すべて少し話が出来過ぎているようにも感じるが…
・母という名の女(墨) ⇒珍しいメキシコ製の作品 カンヌ国際映画祭で評価の高い、メキシコのミッシェル・フランコ監督(兼脚本)の作品 メキシコ・ユカタン半島のリゾート地バジャイルとメキシコ・シティーを舞台に母娘の確執を描く 筆者は娘と孫娘に対する母親の感覚・感情には付いていけないが、ラスト・シーンには何となくホッとした 原題は"Las hijas de Abril"(西)="The daughters of April"=「4月の娘たち」
320_37 ▼ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー ⇒「スター・ウォーズ」シリーズの補足版であるアナザー・ストーリーの第2弾 若き日の無鉄砲なハン・ソロを描き、ノンストップSFスーパー・アクション・ムービー SWファンには申し訳ないが、余りSWシリーズを評価していない筆者にも、本作は筋がしっかりしており、人間味があり、見応えのあるアクションが連続していた 原題は"Solo: A Star Wars Story"=「ソロ:スター・ウォーズ・ストーリー(銀河戦闘物語か)」

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2018年7月 1日 (日)

6月24日~6月30日の週に観た劇場映画

6月24日(日曜)~6月30日(土曜)の週は、12本の劇場映画を観ました。最近は鑑賞数が減っていたので頑張りました。

・終わった人 ⇒内館牧子の同名原作小説(2015年、文庫本は2018年)の映画化 「リング」(1998)などのホラー作品を多数製作している中田秀夫監督の初コメディ作品らしい 筆者にはひと昔前の話に感じた 最近は情報が行き渡っているので、筆者の周囲の人たちは皆準備をしているように思う 布袋寅泰が作詞作曲し、今井美樹が歌う主題歌「あなたはあなたのままでいい」は映画に合っていていい セット撮影は東映東京撮影所(練馬区東大泉)で行われたようだ ロケ地は東京都内各地と岩手県盛岡市内各地らしいが、桜花のラストシーンは昨年4月に盛岡市高松公園で最初に撮影されたようだ
・女と男の観覧車 ⇒1935年12月生れのウッディ・アレン監督は80歳を過ぎた今も一年一作を続けている 本作は2017年の作品で、当然のように脚本も担当 1950年代の米国ニューヨーク市ブルックリン区の遊園地コニー・アイランドを見事に再現 主演にケイト・ウィンスレットを迎えて、中年女性の揺れる心を描写 ケイト・ウィンスレットは体重が増えすぎで、本作のように余りもてるような気がしない 本作も最近増えているアマゾン・スタジオの作品 原題は"Wonder Wheel"=「不思議な、驚きの観覧車」で観覧車の愛称だと思う
・それから(韓) ⇒韓国のホン・サンス監督の最新作の1つで、脚本も兼ねる 男女関係を扱った白黒作品だが、緊張が続かなかった 原題は"The Day After"=「翌日」
・告白小説、その結末(仏・ベルギー・ポーランド) ⇒原題は"D'après une histoire vraie"(仏)="From a true story"=「ある本当の話から」 仏女流作家デルフィーヌ・ド・ヴィガン(Delphine de Vigan)の映画原題と同名の小説(2015)をロマン・ポランスキー監督が映画化し、共同脚本も務める いろいろと不自然なところも多いのだが、ポランスキー魔術でハラハラ・ドキドキで眼が離せない 原作小説の和訳本は「デルフィーヌの友情(フィクションの楽しみ)」(2017)
・男と女、モントーク岬で(独・仏・アイルランド) ⇒男の妄想に近い作品と感じた 外国人キャストとスタッフが米国ニューヨーク市、ロングアイランドのモントーク岬などで撮影 原題は"Return to Montauk"=「モントーク岬に戻って」

・ガザの美容室(パレスチナ・仏・カタール) ⇒中東イスラエルに隣接したガザのパレスチナ自治区にある美容室 そこに結婚式を控えた女性とその母親、臨月の女性、ヒジャブを絶対に外さない厳格なイスラム教徒女性、薬物中毒の女性などが、まるで人生の縮図のように集う その内屋外で戦闘が始まり、屋内に籠城 誰が誰と戦っているのか分からない混乱に ミサイルか対戦車砲か分からないが、その擬音は凄まじい 今の情況を示しているのだろうか 原題は"Degrade"=「劣化、退化」か
・ALONE アローン(米・西・伊) ⇒ベルベル人が登場するから多分北アフリカ某国の沙漠地帯 そのどこかの地雷原で地雷を踏んでしまい動けなくなった兵士の話 「君の名前で僕を呼んで」(2016)のアーミー・ハマーが主演 地雷原に迷い込む前に結婚式のためにテロリスト狙撃をためらった末の出来事 同僚は地雷で爆死し、自身は左足で地雷を踏んだまま、幾度もの砂嵐に耐えながら52時間、結局は74時間を過ごすことに 死んだ同僚、ベルベル人親子、恋人とのDVも問題など、いろいろな幻影を観る これはありえないだろうという点もいくつかはあったが、エンタメとしては楽しめた 原題は"Mine"=「地雷」
320_36 ★▼カメラを止めるな! ⇒観終えた直後の感想は、実によく出来た作品だということ 冒頭に37分間のワン・カット・ゾンビ映画 これだけでも最近流行りの新しく困難な試み しかしそれからが凄い エンド・クレジットまで出てきてこれで終わりかと思ったら、そのワン・カット作品を創り出すまでのメイキング過程を描写した1時間弱の映像が続く 前半と後半はよくリンクされていて、「なるほど、なるほど」と笑いながらうなづくしかなかった 監督&俳優養成スクール「ENBUゼミナール」のワークショップ「シネマプロジェクト」の第7弾作品らしい 多分低予算ながらこれだけの作品が創られたのは、脚本も担当した上田慎一郎監督の実力だと思う 終映後上田監督と著名脚本家の柏原寛司氏が登場(2枚目の写真) 上田監督のコメントは「ワークショップで3ヶ月間一緒に過ごした気心の知れたキャスト・スタッフと製作できた 0点か200点の作品を創りたかった」 柏原氏のコメントは「とてもいい 脚本がいい 美学校役者の見せ場、スタッフの見せ場がよく考えられている 205点をあげられる 1本目が成功したら、2本目が勝負 同じものではダメ 攻めてくれ」 ロケは茨城県水戸市の浄水場跡で、今は廃工場になっているところらしい 撮影許可交渉は容易ではなかったようだ
Dsc_0379 ・可愛い悪魔 ⇒2015年8月に発生した、妻の不倫相手の国際弁護士を殴り倒し、その陰茎を枝切鋏で切り取ってトイレに流した事件を題材にしている 一部始終を見聞きしている、弁護士事務所の警備員という第三者を登場させて、彼が話を展開させる役割を与えられている
・リミット・オブ・アサシン(米・中) ⇒「幸せの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」(2016)他沢山の作品に出演しているイーサン・ホークが主演 組織の蘇生実験で24時間の命を与えられた主人公が、使い捨てにしようとした組織に1人で闘いを挑むスーパー・アクション 原題は"24 Hours to Live"=「24時間の命」 筆者は本作を京都駅近くのイオン・モールのシネコンで鑑賞 広いモールには多くの外国人旅行者の姿が

・マッド・ダディ ⇒何かを暗喩するような"Yesterday When I Was Young"の唄で映画は幕を開ける 若さあるいは無限の将来性への嫉妬からか、世の中の親たちが自身の子供たちを抹殺しようとし始める 途中からはノンストップ・アクションに ストーリーは分かるが、人間の本能に近い、子供を守るという意思がくつがえされるのはかなり不気味 原題は"Mom and Dad"=「ママとパパ」
・パンク侍、斬られて候 ⇒まずは作品の破天荒な世界に度肝を抜かれた 芥川賞作家・町田康の同名原作小説を石井岳龍監督、宮藤官九郎脚本で映画化 綾野剛が主演し、豊川悦司、染谷将太、東出昌大、浅野忠信、永瀬正敏ら錚々たる俳優たちが共演 紅一点の美女には北川景子を起用 撮影には京都太秦の東映京都撮影所のスタジオと太秦映画村が主に使われた クロマキー撮影は東京世田谷の東宝スタジオで行われ、VFXで最大3,000人の腹ふり衆と1億匹の猿を合成したようだ 冒頭シーンは京都高尾の谷山林道でロケ撮影され、斬られた老人は原作者の町田康そのものだったらしい

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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