10月7日~10月13日の週に観た劇場映画
10月7日(日曜)~10月13日(土曜)の週は、10本の劇場映画を観ました。多数の公開中作品から観るものを選ぶのか結構難しいです。
・イコライザー2 ⇒アカデミー賞俳優デンゼル・ワシントン(1954~)が「イコライザー」(2014)の続編である本作にも主演 彼はシリーズものに出演するのは初めてであるが、アントン・フークワ監督(1966~)との相性がいいのだろう 超能力で不死身振りは変わらない 舞台はイスタンブール(トルコ)の鉄道からボストン(米国マサチューセッツ州)、ブリュッセル(ベルギー)と移り、最後は主人公の故郷マサチューセッツ州の海岸の街マーシュフィールドへ ここで元CIAエージェント同士の過酷な戦闘に 原題も"The Equalizer 2" 「イコライザー」とは「均等化・同等化すること」であり「相手の意図、攻撃などをすべて相殺してしまうこと」か
★チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛(米・英) ⇒17世紀のオランダを舞台にした、まるでウィリアム・シェイクスピア(1654~1616・英)の戯曲の世界 英国の人気作家デボラ・モガー(1948~)の原作小説「チューリップ・フィーバー」(2018)/「チューリップ熱」(2001)の映画化 彼女は本作では脚本にも係わり、またヒットした「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」(2011)の原作者でもある 17世紀はオランダがネーデルランド連邦共和国として独立し、海運・通商が盛んになり、レンブラント・ファン・レイン(1606~1669)やヨハネス・フェルメール(1632~1675)などの画家・芸術家が活躍 1636年から翌年にかけてオランダで実際にあったチューリップ・バブル(投機バブル)をベースに、モガーはフェルメールの絵画の世界のような物語を目指したらしいが、本作もまさしくそのような映像になっている 修道院兼孤児院の院長、そこから嫁ぐ美しい娘、妻子を亡くした豪商、家政婦、画家、医者などが、当時の世相を反映するであろう主な登場人物 ヒロインは「リリーのすべて」(2015・英・米・独)でアカデミー助演女優賞を獲得したアリシア・ヴィキャンデル(1988~・スウェーデン)で、ジュディ・デンチ(1934~・英)やクリストフ・ヴァルツ(1956~・墺)が脇を固める 原題は単に"Tulip Fever"=「チューリップ熱」 意訳すると「チューリップ取引の熱狂」か
▼LBJ ケネディの意志を継いだ男 ⇒LBJとは米国の第36代大統領のリンドン・ベインズ・ジョンソン(1908~1973)のこと 米国南部テキサス州出身の彼は下院議員を経て上院議員に当選した後、辣腕の上院民主党院内総務(民主党上院議員を取りまとめるリーダー的役割)として各種連邦法案成立のための最終調整を担当 1960年の大統領選挙の民主党予備選挙で北部マサチューセッツ州出身のジョン・フィッツジェラルド・ケネディ(JFK・1917~1963)に負け副大統領候補として選挙に臨み、1961年にケネディ第35代大統領・ジョンソン副大統領が誕生 ケネディ行政府政権ではジョンソン副大統領は議会対策に優れているにも係わらず何もさせてもらえず、さらに大統領の実弟のロバート・ケネディ司法長官(1925~1968)の露骨な妨害にもあう 1963年11月にテキサス州ダラスでケネディ大統領が暗殺された後、ジョンソンは大統領に昇格 ケネディの遺志を継いで政権幹部を留任させ、1964年11月に黒人差別を撤廃する歴史的な公民権法を議会で成立させた 同年大統領に再選されるも、ケネディが始めたベトナム戦争を拡大させ多数の米国の若者を死なせた責任をとって、1968年の大統領選には出馬せず引退 本作では、LBJを「スリー・ビルボード」(2017・英)で地元警察署長を好演したウッディ・ハレルソン(1961~)が演じている 筆者は米国政府(米国の場合は行政府・議会府・司法府の3府すべてを指す)を研究したことがあって、本作を非常に興味深く鑑賞
・コーヒーが冷めないうちに ⇒大阪府茨木市出身で、劇団の脚本家兼演出家として活動してきた川口俊和(1971~)の同名原作処女小説(2015)と次の小説「この嘘がばれないうちに」の映画化 有村架純(1993~)がヒロインで、喫茶店「フニクリフニクラ」で起きる4話の過去への短いタイム・トリップを描く 過去を再確認して未来に向かうという前向きな話が多い 撮影は8割が東宝スタジオ(東京都世田谷区成城)の「フニクリフニクラ」のセットで行われたらしい 他のロケ地は神奈川県横浜市など 主要出演者は全員水中ダイブをしたようだ
・教誨師 ⇒今年(2018年)2月に急逝した大杉漣(1951~2018)が初の製作・主演で、結果的に遺作となった 昔の映画画面サイズ(4:3)で撮影されている 場面はほぼ拘置所の面会室で、牧師の教誨師が月2回訪れ、6人の死刑囚と面会・会話 それぞれの死刑囚そして教誨師自身の人生が少しずつ浮かび上がる 教誨師という仕事については全く知らなかった ロケ地は所沢市、飯能市など主に埼玉県内か
・純平、考え直せ ⇒直木賞作家・奥田英朗(1959~)の同名原作小説の映画化 新宿歌舞伎町ヤクザの鉄砲玉の苦悩と不動産屋の元女子社員との交流を描く 筆者がいつも通りすがる歌舞伎町の映像と疾走する若者の姿は好ましい ロケ地は当然ながら東京都新宿区の新宿歌舞伎町と埼玉県越谷市、川口市などの首都圏各地
・ルイスと不思議の時計 ⇒魔法の驚異、面白さ、そして楽しさは伝わってきたが、感動は今一つ ポスプロ・VFXは大量の作業で大変だっただろう 米国ミシガン州出身のジョン・べレアーズ(1938~1991)の子供向けファンタジー小説"The House with a Clock in Its Walls"(1973・「壁に時計がある家」)の映画化 原題は原作小説と同じ
・音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!! ⇒大音量ロックの宗教映画のようだった 韓国プサン(釜山)の技術による声帯ドーピングという、やや荒唐無稽なアイデアを膨らませている ロケは主に栃木県足利市で行われたようだが、東京都武蔵野市吉祥寺など首都圏各地も使われている
▼止められるか、俺たちを ⇒1969年から1971年頃にかけての若松プロダクションの映画創造活動を描く群像劇 少しでも係わった人たちにとってはとても懐かしく、もう一度心に点火されるかもしれない 若松プロとは1965年に映画監督の若松孝二(本名:伊藤孝・1936~2012)が創設したもの 当時の若い才能が集まり、金集めのためのピンク映画中心に常識にとらわれない映画創りをした 若松監督は2012年10月に東京都新宿区内藤町の道路でタクシーにはねられ死亡 本作では、新人助監督として加わった、実在の人物吉積めぐみに門脇麦(1992~)を充て、若松監督を若松プロ所属だった井浦新(1974~)が演じている 監督はやはり若松プロの一員だった、「日本で一番悪い奴ら」(2016)や「彼女がその名を知らない鳥たち」(2017)の白石和彌(1974~) 若松監督と交流のあった大島渚監督(1932~2013)、漫画家の赤塚不二夫(1935~2008)、そして作家・三島由紀夫(1925~1970)も登場 ロケ地はよく分からないが、新宿歌舞伎町や高崎市らしい
・負け犬の美学(仏) ⇒本作ではほとんど負け続けているボクサー、フランスには何人かいるようだが、その選手に焦点を当て、普段は表に出てこない家族やマネジャーとの関係、本人の苦悩などを描く 主人公は娘のピアノ購入と音楽学校進学のために、連日殴りまくられるためとても危険な、世界チャンピオンとのスパーリング相手の仕事を引き受ける 気になるのは、主人公の自宅はフランスのイギリス海峡に面したル・アーブルにあるが、立派過ぎないかということ 原題は"Sparring"=「スパーリング」で、試合をする本物のボクサーの練習台となって殴り合う役目
(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品
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