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2018年10月の4件の記事

2018年10月28日 (日)

10月21日~10月27日の週に観た劇場映画

10月21日(日曜)~10月27日(土曜)の週は、7本の劇場映画を観ました。よく考えられた作品が多かったように感じました。

・マイ・プレシャス・リスト ⇒原題は"Carrie Pilby"=「キャリー・ピルビー(米国女性名)」 米国女流作家カレン・リスナー(1973~)の原題と同名のヤング・アダルト小説を、女性監督スーザン・ジョンソン(1970~)を中心とした主に女性スタッフにより映画化 天才的頭脳の持ち主だが人付合いの下手な若いヒロイン・キャリー・ビルビーが、精神科医に渡された「6つの幸せになるための行動リスト」を実行していく中で成長 キャリーの愛読書はJ・D・サリンジャー(1919~2010)著の小説「フラニーとゾーイ」(1961・和訳1976) キャリーを英国ロンドン出身のベル・パウリー(1992~)が熱演 舞台・ロケ地はすべて米国ニューヨーク市マンハッタン区であり、筆者には懐かしい風景
・ハナレイ・ベイ ⇒村上春樹(1949~)の短編小説集「東京奇譚集」(2005)に収録されている同名短編小説の一編を、「トイレのピエタ」(2015)の松永大司監督(兼脚本・編集・1974~)が映画化 ハワイの風景は美しかったが、短編小説の映画化なのでやや間延びしていて、かったるい ロケ地は主に米国ハワイ州カウアイ島でハナレイ湾の海岸・ビーチ、リフエ空港など 東京とオアフ島でも一部撮影が行われたようだ 撮影期間は昨年(2017年)8月後半から1ヶ月間で、ハワイでは2週間とのこと
・ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ(米・仏) ⇒米国ニューヨーク市クイーンズ区のジャクソン・ハイツ ここはまさにニューヨークらしい人種の坩堝(るつぼ)で167もの言語が話されているという ルーズベルト街(アヴェニュー)を中心とした街の様子を、40本以上のドキュメンタリーを製作したというフレデリック・ワイズマン監督(1930~)が撮影・編集 189分という3時間以上の長尺なので緊張を維持するのが大変 とにかく社会的課題を解決するための会合がよく開かれ、オープンに議論し前向きに進めているようだ 印象に残ったのは、タクシー運転手を教える教室で東西南北を、Nose(鼻)=North(北)、Shoes(靴)=South(南)、Eat(食べる)=East(東)、Wash(洗う)=West(西)としていたこと 鼻は上にあり北方向で靴は下にあり南方向、食べる手は右手で東方向で、大便後洗うのは左手で西方向ということらしい 社会的暗黙知がないためかとにかく議論しなければならないのは、普通の日本人には煩わしいか 原題は"In Jackson Heights"=「ジャクソン・ハイツでは」
・ここは退屈迎えに来て ⇒富山県富山市出身の作家山内マリコ(1980~)の同名処女小説(2012)の映画化 2作目の「アズミ・ハルコは行方不明」(2013)が先に映画化(2016)された 本作監督は「ナミヤ雑貨店の奇蹟」(2017)の廣木隆一(1954~) 「私」と「あたし」がいて、時代が前後するのでやや分かりにくい 何となくすべてが中途半端に終わってしまう青春の日々は理解できる ロケは昨年(2017年)6月に富山県富山市、射水市、高岡市などで
320_75 ▼search サーチ ⇒米国のクライム・サスペンス作品は素晴らしくよく考えられている 本作についてはすべてパソコン画面上の映像で構成されており、Web検索とSNSが大活躍することばかり強調されている しかし、筋立ては観客をとことん迷わすようにできており、終盤の大どんでん返しには驚く 監督はインド・ハイデラバード出身の若手アニーシュ・チャガンティ(1992~)で、主役は韓国出身の男優であるなど、東洋系のスタッフ・キャストが中心 東洋系の人々はハリウッドでも沢山働いているのだろうが、最近日本公開された「クレイジー・リッチ」(2018)など、これも最近の傾向か 原題は"Searching"=「検索」

320_76 ▼オズランド 笑顔の魔法おしえます。 ⇒遊園地の現場における仕事のあり方について、これ程丁寧に教えてくれるとは思わなかった 一般的にも現場作業の参考になる話が盛り沢山 終盤のクライマックスはやはりイルミネーションと花火 原作は佐賀県伊万里市出身の作家・小森陽一(1967~)の小説「オズの世界」(2015) ロケ撮影は昨年(2017年)8月から9月にかけて、ほぼ全編熊本県荒尾市のグリーンランドをオズランドとして行われたようだ その他JR鹿児島本線荒尾駅や荒尾市内、またJR品川駅(東京都港区)なども使われたらしい
・太陽の塔 ⇒1970年の大阪万博で芸術家・岡本太郎(1911~1996)が制作した太陽の塔 当時は異様な外観も含めてよく理解できなかったが、やっと人類・生命の進化・発展を表わしたものと分かった しかし、岡本は人類が賢くなるとは思っていなかったようだ そのせいか本作の後半では話がなぜか福島原発事故の手が付けられない情況に言及

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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2018年10月21日 (日)

10月14日~10月20日の週に観た劇場映画

10月14日(日曜)~10月20日(土曜)の週は、10本の劇場映画を観ました。今回も鑑賞数が多くなったので、コメント記述に苦労しました。

・アンダー・ザ・シルバー・レイク ⇒米国カリフォルニア州ロサンゼルス市内で、中心部から数km北西方向にあるシルバー・レイクという街の出来事 シルバー・レイクとは街にある貯水池の名前で、そのまま街の名になったらしい シルバー・レイクのすぐ西には米国映画の都ハリウッドがあり、すぐ東にはMLB(メジャー・リーグ野球)のロサンゼルス・ドジャーズのスタジアムがある 映画業界で働く夢を持ってこの街に来てやさぐれている主人公が、ある日アパートで若い美女に出会うが翌日彼女が失踪したことから物語が始まる 昼の街、夜のきらびやかな街を彷徨うが、シルバー・レイクの地下に別世界があるという不思議な話になっていく ロサンゼルス市街を一望できるグリフィス天文台でもロケをしている 監督・製作・脚本は「イット・フォローズ」(2014)のデビット・ロバート・ミッチェル(1974~)、ヒーローは「アメイジング・スパイダーマン」(2012・2014)のアンドリュー・ガーフィールド(1983~)、そしてヒロインはエルビス・プレスリーの孫のライリー・キーオ(1989~) 原題も"Under the Silver Lake"
320_72 ▼日日是好日 ⇒お茶を学ぶことが、何らかの人生の指針になることを描いている お茶(表千家)の指南映画にもなっているし、女の半生を描く作品にもなっている ヒロインには演技に定評のある黒木華(1990~)そしてお茶の先生には渋い演技派の樹木希林(1943~2018)と絶妙な組合せ 黒木は最初から映画の新人賞を総なめ(2013)したほどで、「小さいおうち」(2014)、「母と暮らせば」(2015)、「リップヴァンウィンクルの花嫁」(2016)などでの演技が筆者の記憶に残る 樹木は、残念ながら今年亡くなってしまったが、晩年にそれこそ鬼気迫る演技を観せ、「あん」(2015)、「海よりもまだ深く」(2016)、「万引き家族」(2018)などが忘れられない 森下典子(1956~)の原作小説「日日是好日 『お茶』が教えてくれた15のしあわせ」(2002)を大森立嗣監督(兼脚本・1970~)が映画化 大森監督は俳優大森南朋(1972~)の実兄で、「ぼっちゃん」(2012)、「さよなら渓谷」(2013)、「まほろ駅前狂騒曲」(2014)、「俳優 亀岡拓次」(2016)など独特の作品がある 撮影は神奈川県横浜市の大きな庭のある家に茶室のセットを造り行われたようだ 梅雨、紅葉、雪など庭の四季が本物なら撮影は結構長期間か 茶室の掛け軸も季節によって変わり、物語の重要な小道具に ロケは他に三渓園(横浜市)、片瀬東浜海水浴場(藤沢市)など神奈川県各地
・判決、ふたつの希望(レバノン・仏) ⇒本作はレバノンの国情を少しは知らないと理解が難しい 人口400万余りのうち約40%がキリスト教徒で、約55%がイスラム教徒 イスラム教徒はスンニ派とシーア派が半々 しかし、スンニ派とシーア派は対立しているので、多数派のキリスト教徒が政治を主導 また、シーア派はイランのシーア派と連携しているので反イスラエル さらに複雑にしているのは、イスラエルの弾圧によりパレスチナ難民が数10万流入 1970年代・1980年代には内戦によりパレスチナ人やキリスト教徒の虐殺が発生 こういう情況下で、首都ベイルートで起きたパレスチナ人とキリスト教徒との口論が、親の世代の闘いを背景に世論を動かす裁判に発展 原題は"L'insulte"(仏)="The insult"=「侮辱」
320_73 ▼あの頃、君を追いかけた ⇒2011年に台湾で製作された同名作品を2013年に日本で観てとても面白かったので、それを日本でリメークした本作も若者映画だが鑑賞 台湾作品はギデンズ・コー(台湾・1978~)自身の自伝的小説を、自分で監督(兼脚本)し映画化 原題は「那些年、我們一起追的女孩」(中)="Those years, we are chasing girls together"=「その頃、我々は一緒に女の子を追いかけていた」で台湾と香港で大ヒット 今回の日本作品も基本的には台湾作品を踏襲している 幼稚にふざけていた若者たちも大人になり、それぞれの夢・恋はあるもののスムーズには叶わないから美しいのかもしれない ラストシーンは相変わらず意表を突いていて、少しドッキリする オリジナルでは主人公(山田裕貴・1990~)の大学寮での日本製AV鑑賞があったことなど若干違うことはあった 最も違和感があったのは、願いを書いた天燈(スカイ・ランタン)を日本で揚げたことか ヒロインは乃木坂46の齋藤飛鳥(1998~) お母さんはミヤンマー人らしく、ミヤンマー人は、もちろん人によって異なるが、一番よく日本人に似ていると思う ロケ地は長野県松本市、塩尻市、岡谷市、下諏訪町、富士見町、伊那市の各地と埼玉県熊谷市など 高校生たちが通った学校は長野県立田川高校(塩尻市)が、主人公が通った大学は埼玉工業大学(熊谷市)が使われたようだ
・デス・ウイッシュ ⇒米国の作家ブライアン・ガーフィールド(1939~)の小説「狼よさらば(原題:Death Wish)」(1972)の2度目の映画化 1度目はチャールズ・ブロンソン(1921~2003)主演の「狼よさらば」(1974) 今回はブルース・ウィリス(1955~)が主演 今でもそうなのかどうか知らないが、犯罪頻発都市米国イリノイ州シカゴの医者が警察に代わり犯罪者を私刑 現代風に今回はスマホとSNSを登場させ重要な小道具に 原題も"Death Wish"

・億男 ⇒「電車男」(2005)、「告白」(2010)、「悪人」(2010)、「モテキ」(2011)、「君の名は。」(アニメ・2016)と立続けにヒット作を企画・プロデュースした川村元気(1979~)の同名原作小説(2014)の映画化 佐藤健(1989~)と高橋一生(1980~)が共演し、「るろうに剣心」シリーズ(2012・2014・2014)の大友啓史(1966~)が監督 北村一輝(1969~)も絶対に本人とは思えない扮装・演技で登場 ロケは今年1月にまずモロッコで行われ、日本では3~5月に埼玉、東京、神奈川、千葉の首都圏各地で 高級マンションでのパーティ場面は東宝スタジオ(東京都世田谷区)内のセットで撮影されたらしい
・ピッチ・パーフェクト ラストステージ ⇒「ピッチ・パーフェクト」シリーズ3作目 アカペラ・グループ「バーデン・ベラーズ」の快進撃は続く センターのベッカ役のアナ・ケンドリック(1985~)の歌声は相変わらず素晴らしく、ファット・エイミーことレベル・ウィルソン(豪・1986~)の喜劇役者振りもいい 今回はファット・エイミーの父親が悪役として登場 原題は"Pitch Perfect 3"=「ピッチ・パーフェクト3」={完璧な調子3」か
・エンジェル、見えない恋人(ベルギー) ⇒透明人間の少年・青年と盲目の少女・乙女との組合せという、世にも不思議な初めての経験 この組合せなら何となく上手くいきそうな感じがする しかし、乙女が視力を回復する手術を受けることに 乙女が見えるようになるとどうなるのかが本作の見所 少年・青年のナレーションは入るものの、必然的に少女・乙女の一人芝居のように ヒロインのフルール・ジフリエ(仏)のヌードは美しかった 原題は"Mon ange"(仏)="My angel"=「私の天使」
320_74 ▼恋のしずく ⇒背も少し足りないし、超美人とも言えないが、キャラが立ち面白く、何か雰囲気がある川栄李奈(1995~)が主演 2014年5月岩手県のAKB48の握手会で切られた時はもう終わりかと思ったが、舞台で訓練してしっかり映画初主演まで辿り着いた 普段は結構物静かだが、演技に入ると豹変するらしい 樹木希林(1943~2018)に似ていなくもない 本作は大学の実習でワイン実習希望の女子学生が広島県東広島市西条の日本酒酒蔵実習に来てしまった話 本作では酒造りの工程を酒米の稲刈りから結構上手く教えてくれる 上述の「日日是好日」でもそうだったが、最近の映画は結構具体的 大杉漣(1951~2018)が最後の映画出演になり、本作中でも心臓発作で死んでしまうのは何かの因縁か 大杉の訃報は本作撮影後3ヶ月後の話だったらしい ロケ地は当然東広島市西条と広島市内各地など 広島弁の「かばち」が登場
・テルマ(ノルウェー・仏・デンマーク・スウェーデン) ⇒ノルウェーのヨアキム・トリアー監督(1974~)の野心作 心因性非癲癇(てんかん)の発作と超能力を結び付けたホラー・サスペンス・ファンタジー ノルウェーの田舎の自然が美しい 原題も"Thelma"

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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2018年10月14日 (日)

10月7日~10月13日の週に観た劇場映画

10月7日(日曜)~10月13日(土曜)の週は、10本の劇場映画を観ました。多数の公開中作品から観るものを選ぶのか結構難しいです。

・イコライザー2 ⇒アカデミー賞俳優デンゼル・ワシントン(1954~)が「イコライザー」(2014)の続編である本作にも主演 彼はシリーズものに出演するのは初めてであるが、アントン・フークワ監督(1966~)との相性がいいのだろう 超能力で不死身振りは変わらない 舞台はイスタンブール(トルコ)の鉄道からボストン(米国マサチューセッツ州)、ブリュッセル(ベルギー)と移り、最後は主人公の故郷マサチューセッツ州の海岸の街マーシュフィールドへ ここで元CIAエージェント同士の過酷な戦闘に 原題も"The Equalizer 2" 「イコライザー」とは「均等化・同等化すること」であり「相手の意図、攻撃などをすべて相殺してしまうこと」か
320_69 ★チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛(米・英) ⇒17世紀のオランダを舞台にした、まるでウィリアム・シェイクスピア(1654~1616・英)の戯曲の世界 英国の人気作家デボラ・モガー(1948~)の原作小説「チューリップ・フィーバー」(2018)/「チューリップ熱」(2001)の映画化 彼女は本作では脚本にも係わり、またヒットした「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」(2011)の原作者でもある 17世紀はオランダがネーデルランド連邦共和国として独立し、海運・通商が盛んになり、レンブラント・ファン・レイン(1606~1669)やヨハネス・フェルメール(1632~1675)などの画家・芸術家が活躍 1636年から翌年にかけてオランダで実際にあったチューリップ・バブル(投機バブル)をベースに、モガーはフェルメールの絵画の世界のような物語を目指したらしいが、本作もまさしくそのような映像になっている 修道院兼孤児院の院長、そこから嫁ぐ美しい娘、妻子を亡くした豪商、家政婦、画家、医者などが、当時の世相を反映するであろう主な登場人物 ヒロインは「リリーのすべて」(2015・英・米・独)でアカデミー助演女優賞を獲得したアリシア・ヴィキャンデル(1988~・スウェーデン)で、ジュディ・デンチ(1934~・英)やクリストフ・ヴァルツ(1956~・墺)が脇を固める 原題は単に"Tulip Fever"=「チューリップ熱」 意訳すると「チューリップ取引の熱狂」か
320_70_2 ▼LBJ ケネディの意志を継いだ男 ⇒LBJとは米国の第36代大統領のリンドン・ベインズ・ジョンソン(1908~1973)のこと 米国南部テキサス州出身の彼は下院議員を経て上院議員に当選した後、辣腕の上院民主党院内総務(民主党上院議員を取りまとめるリーダー的役割)として各種連邦法案成立のための最終調整を担当 1960年の大統領選挙の民主党予備選挙で北部マサチューセッツ州出身のジョン・フィッツジェラルド・ケネディ(JFK・1917~1963)に負け副大統領候補として選挙に臨み、1961年にケネディ第35代大統領・ジョンソン副大統領が誕生 ケネディ行政府政権ではジョンソン副大統領は議会対策に優れているにも係わらず何もさせてもらえず、さらに大統領の実弟のロバート・ケネディ司法長官(1925~1968)の露骨な妨害にもあう 1963年11月にテキサス州ダラスでケネディ大統領が暗殺された後、ジョンソンは大統領に昇格 ケネディの遺志を継いで政権幹部を留任させ、1964年11月に黒人差別を撤廃する歴史的な公民権法を議会で成立させた 同年大統領に再選されるも、ケネディが始めたベトナム戦争を拡大させ多数の米国の若者を死なせた責任をとって、1968年の大統領選には出馬せず引退 本作では、LBJを「スリー・ビルボード」(2017・英)で地元警察署長を好演したウッディ・ハレルソン(1961~)が演じている 筆者は米国政府(米国の場合は行政府・議会府・司法府の3府すべてを指す)を研究したことがあって、本作を非常に興味深く鑑賞
・コーヒーが冷めないうちに ⇒大阪府茨木市出身で、劇団の脚本家兼演出家として活動してきた川口俊和(1971~)の同名原作処女小説(2015)と次の小説「この嘘がばれないうちに」の映画化 有村架純(1993~)がヒロインで、喫茶店「フニクリフニクラ」で起きる4話の過去への短いタイム・トリップを描く 過去を再確認して未来に向かうという前向きな話が多い 撮影は8割が東宝スタジオ(東京都世田谷区成城)の「フニクリフニクラ」のセットで行われたらしい 他のロケ地は神奈川県横浜市など 主要出演者は全員水中ダイブをしたようだ
・教誨師 ⇒今年(2018年)2月に急逝した大杉漣(1951~2018)が初の製作・主演で、結果的に遺作となった 昔の映画画面サイズ(4:3)で撮影されている 場面はほぼ拘置所の面会室で、牧師の教誨師が月2回訪れ、6人の死刑囚と面会・会話 それぞれの死刑囚そして教誨師自身の人生が少しずつ浮かび上がる 教誨師という仕事については全く知らなかった ロケ地は所沢市、飯能市など主に埼玉県内か

・純平、考え直せ ⇒直木賞作家・奥田英朗(1959~)の同名原作小説の映画化 新宿歌舞伎町ヤクザの鉄砲玉の苦悩と不動産屋の元女子社員との交流を描く 筆者がいつも通りすがる歌舞伎町の映像と疾走する若者の姿は好ましい ロケ地は当然ながら東京都新宿区の新宿歌舞伎町と埼玉県越谷市、川口市などの首都圏各地
・ルイスと不思議の時計 ⇒魔法の驚異、面白さ、そして楽しさは伝わってきたが、感動は今一つ ポスプロ・VFXは大量の作業で大変だっただろう 米国ミシガン州出身のジョン・べレアーズ(1938~1991)の子供向けファンタジー小説"The House with a Clock in Its Walls"(1973・「壁に時計がある家」)の映画化 原題は原作小説と同じ
・音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!! ⇒大音量ロックの宗教映画のようだった 韓国プサン(釜山)の技術による声帯ドーピングという、やや荒唐無稽なアイデアを膨らませている ロケは主に栃木県足利市で行われたようだが、東京都武蔵野市吉祥寺など首都圏各地も使われている
320_71 ▼止められるか、俺たちを ⇒1969年から1971年頃にかけての若松プロダクションの映画創造活動を描く群像劇 少しでも係わった人たちにとってはとても懐かしく、もう一度心に点火されるかもしれない 若松プロとは1965年に映画監督の若松孝二(本名:伊藤孝・1936~2012)が創設したもの 当時の若い才能が集まり、金集めのためのピンク映画中心に常識にとらわれない映画創りをした 若松監督は2012年10月に東京都新宿区内藤町の道路でタクシーにはねられ死亡 本作では、新人助監督として加わった、実在の人物吉積めぐみに門脇麦(1992~)を充て、若松監督を若松プロ所属だった井浦新(1974~)が演じている 監督はやはり若松プロの一員だった、「日本で一番悪い奴ら」(2016)や「彼女がその名を知らない鳥たち」(2017)の白石和彌(1974~) 若松監督と交流のあった大島渚監督(1932~2013)、漫画家の赤塚不二夫(1935~2008)、そして作家・三島由紀夫(1925~1970)も登場 ロケ地はよく分からないが、新宿歌舞伎町や高崎市らしい
・負け犬の美学(仏) ⇒本作ではほとんど負け続けているボクサー、フランスには何人かいるようだが、その選手に焦点を当て、普段は表に出てこない家族やマネジャーとの関係、本人の苦悩などを描く 主人公は娘のピアノ購入と音楽学校進学のために、連日殴りまくられるためとても危険な、世界チャンピオンとのスパーリング相手の仕事を引き受ける 気になるのは、主人公の自宅はフランスのイギリス海峡に面したル・アーブルにあるが、立派過ぎないかということ 原題は"Sparring"=「スパーリング」で、試合をする本物のボクサーの練習台となって殴り合う役目

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2018年10月 7日 (日)

9月30日~10月6日の週に観た劇場映画

9月30日(日曜)~10月6日(土曜)の週は、7本の劇場映画を観ました。10月は東京国際映画祭があるせいか、新作映画作品の公開が加速してきたように感じられる。

320_67 ▼散り椿 ⇒久々に本格的時代劇を観たような気がする 筆者の好きな麻生久美子(1978~)が出演していたし、岡田准一(1980~)、西島秀俊(1971~)、黒木華(1990~)、池松壮亮(1990~)など主要キャストも豪華 直木賞作家・葉室麟(1951~)の同名原作小説を、元々は撮影監督だった木村大作(1939~)監督(兼撮影)が映画化 木村監督にとっては3作目で、初の時代劇 殺陣も機敏で良かったが、富山県を中心とした日本の美しい自然の映像は最高 撮影はオール・ロケーションで行われたようで、ロケ地は富山市、高岡市、氷見市、小矢部市、上市町など富山県各地、そして滋賀県彦根市の彦根城と長野県長野市松代町など エンドクレジットなどで手書きの名前が登場するが、それらはすべてキャスト・スタッフの自署だろうか
・バッド・ジーニアス 危険な天才たち(タイ) ⇒タイ発のモダンでスピーディで斬新な、学園カンニング物語 中国の実話を基にしているようだが、スマホ時代の新しいカンニング・テクニックとそれをビジネスに仕立てるところが面白い 東アジアと東南アジアで大ヒットしたようだ 主要な高校生4人を演じたのはすべて20歳以上のタイ人俳優だが、中華系・外国系に観える 原題は単に"Bad Genius"=「悪(ワル)の天才」
・スカイスクレイパー ⇒元WWE(プロレス)チャンピオンのザ・ロックだった俳優ドウェイン・ジョンソン(1972~)が左脚義足という特殊な設定ながら大ジャンプなどのアクションに挑む 米国ミネソタ州アッシュ・レイクで話は始まるが、すぐに舞台は10年後の香港へ 高さ1km以上で240階建てという奇想天外なビルで発生する火災テロと闘う 屋上のパネルの世界でのアクションはブルース・リー(1940~1973)の鏡の部屋でのアクションを彷彿とさせる 話は面白いが余りに奇天烈(きてれつ) ポスプロ・VFXは大変だったろう 原題も"Skyscraper"=「超高層ビル」
・運命は踊る(イスラエル・独・仏・スイス) ⇒ユダヤ人には全員兵役義務があり、国内あるいはパレスチナ自治区でテロ攻撃も発生する、未だ戦時下体制のようなイスラエル そこで繰り広げられる兵士の死亡通知に関する政府・軍の形式的な対応、戦争とはいえないようなのどかな軍隊での勤務、二転三転する運命などが描かれる 原題は"Foxtrot"=「フォックストロット」 フォックストロットとは19世紀末に米国で誕生した社交ダンス 意味は邦題どおりと思うが、「禍福は糾(あざな)える縄の如し」ということか
・クワイエット・プレイス ⇒目は見えないが、耳は超高感度な、不思議なエイリアン(宇宙人、異星人)が登場 終盤に実物が現れるが、やはり奇怪で超醜い姿形(すがたかたち) ポスプロ・VFX、特にデザイナーが大変だったろうと思う このエイリアンの群れに気付かれないように、米国ニューヨーク州リトル・フォールズ付近で生き残った家族は極力音を立てずに暮らす 彼らは靴を履かずに砂の上を裸足で歩き、手話で会話する ジョン・クラシンスキー(1979~)が監督・脚本・製作総指揮・主演のマルチな活躍で、実生活でも彼の妻であるエミリー・ブラント(1983~)が妻役 したがって低予算の作品だが、米国では大ヒットしたらしい 原題は"A Quiet Place"=「ある静謐な場所」か

320_68 ▼愛と法(日・英・仏) ⇒大阪にはやはり想像を超える世界があるようだ ゲイ夫夫の弁護士2人、南和行(1976~)と吉田昌史(1978~)のドキュメンタリー 両者とも大阪出身で京大に進学するほど優秀 大阪の地下鉄南森町駅至近のビルに「なんもり法律事務所」を開業 彼らの広い心・大きな愛から、LGBTQ、孤児、無戸籍者など少数派からの相談を多く受けている 彼らは里親になることを決心し、里親研修を受け認定されたそうなので、今頃は子供を育てているかもしれない 行定勲監督(1968~)の「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004)で映画の仕事に初めて参加した戸田ひかるが本作の監督
・黙ってピアノを弾いてくれ(独・仏・英) ⇒カナダ・モントリオール出身のマルチで奇想天外な音楽家チリー・ゴンザレス(本名:ジェイソン・チャールズ・ベック、1972~)のことは全く知らなかった 内気なピアニストがカナダからドイツに渡り、ラップ・パフォーマンスからウィーン放送交響楽団との破天荒な共演までを追ったドキュメンタリー 原題は"Shut Up and Play the Piano"で邦題どおりか

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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