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2018年11月の2件の記事

2018年11月11日 (日)

11月4日~11月10日の週に観た劇場映画

11月4日(日曜)~11月10日(土曜)の週は、10本の劇場映画を観ました。特色のある作品が多かったように思います。

・バグダッド・スキャンダル(デンマーク・加・米) ⇒元国連職員のマイケル・スーサンが自身の体験を基に書いた小説"Backstabbing for Beginners"(2008・未和訳)が原作 "Backstabbing for Beginners"とは「初心者・新入職員に対し、友好関係を維持しながらも誰かを狡猾に批判すること」と思われるが、本作は国連史上最悪のスキャンダルを描いている 1996年から国連は、イラク制裁によりイラク国民が困窮し食料が不足するのを解決するため、人道支援プログラム「石油食糧交換プログラム」を立案・実施するが、その裏で事務次長も係わる賄賂・不正が横行していた 2003年のイラク戦争後にあこがれの国連職員(次長補佐)になった主人公はそれに気が付くが…
・心魔師(日・中) ⇒日中合作のクライム・サスペンス・ホラー作品 一種の不条理劇のような感じもあり、何が現実なのか、何が事実なのかがよく分からなくなる ロケ地は主に静岡県小山町で、他に御殿場市や東京都内など
・ステータス・アップデート ⇒両親が離婚したため、米国西海岸のカリフォルニア州から東海岸のコネチカット州に、母と一緒に引っ越してきた主人公の男子高校生 スケボーは元々得意だったが、希望を叶えてくれるスマホ・アプリを偶然入手し、歌唱もダンスもアイスホッケーも得意になる デートのために出現させた夜間の観覧車を印象的なシーンで活用 観覧車は、米国ではフェリス(1859~1896)が1893年に最初に構築したので「フェリス・ホイール」と呼ばれる 原題も"Status Update"だが、意訳すると「希望情報の更新」か
・十年 Ten Years Japan ⇒香港の作品「十年 Ten Years」(2015)に触発されて是枝裕和監督(1962~)が企画 若手監督5人が、それぞれのテーマで十年後の日本を描いたオムニバス作品 それぞれありそうな感じの話になっている ロケ地は千葉県流山市、茨城県高萩市、いわき市などか
・ザ・アウトロー ⇒1日平均9件の銀行強盗事件があるという米国カリフォルニア州ロサンゼルスにおける、FRBを襲う超組織的強盗団と保安局重犯罪特捜班との闘いを描く 実際の撮影はジョージア州アトランタで行われたそうで、特に終盤の自動小銃を使った過激な銃撃戦では、600mの道路を封鎖し、250台の車を使いその内50台を破壊し、約1万発の空砲を撃ったらしい

・嘘はフィクサーのはじまり(米・イスラエル) ⇒145万人のユダヤ人が住むという米国ニューヨーク市が舞台 ユダヤ人富裕層の間を泳ぎながら金儲けを図るノーマン・オッペンハイマーを「プリティ・ウーマン」(1990)や「愛と青春の旅だち」(1982)のリチャード・ギア(1949~)が演じる イスラエルの有力政治家にうまく取り入り、彼が3年後にイスラエル首相になった時には、ノーマンは一獲千金を考えるが… 原題は"Norman"=「ノーマン」で、主人公の名前
・ウスケボーイズ ⇒ノンフィクション作家・河合香織(1974~)の小説「ウスケボーイズ 日本ワインの革命児たち」(2010)の映画化 桔梗ヶ原(ききょうがはら)メルローの父・浅井宇介(あさいうすけ・1930~2002)の功績に感銘を受けた若者たち(ウスケボーイズ)がワイン造りに挑む姿を描く 桔梗ヶ原とは長野県塩尻市のことらしいが、ロケ地は主に山梨県山梨市、北杜市などだった模様
320_79 ★生きてるだけで、愛。 ⇒鑑賞後の感想はいろいろだろう よく分からないという人もいれば、まるで自分のことだと感じる人もいるのではないか 芥川賞作家にもなった石川県出身の本谷有希子(1979~)の同名小説(2006)が原作 彼女はまさにマルチ・タレントで、劇作家、小説家、演出家、女優、声優などを掛持ち 監督・脚本は今年公開されたドキュメンタリー「太陽の塔」(2018)の関根光才(1976~) 本谷は小説執筆中は小説の登場人物に成り切っているようだが、主演の趣里(1990~)もそういう役に成り切る憑依型の女優のようだ 大女優になりえる資質かもしれない 趣里は水谷豊(1952~)と伊藤蘭(1955~)の一人娘で、バレエ・ダンサーを目指し英国留学までしたが怪我のため挫折したという、苦しいが貴重な経験を有するらしい 実生活ではやや引きこもり気味か 本作でも彼女は過眠症、ウツで引きこもりのぶっ飛んだ主役を演じ、内面は熱いが表面は静かな恋人を演じる菅田将暉(1993~)と好共演 ヒロインが金もないのに結構よさそうなコートをなぜ何着も持っているのかとか、恋人はなぜいつも2種類のコンビニ弁当(一つは必ず焼きそば系)を買ってくるのかとか疑問を持つのは野暮か ロケ撮影は今年(2018年)の真冬に神奈川県横浜市の関内駅伊勢佐木町口側の吉田町と福富町で行われた模様 他に群馬県高崎市なども使われたらしい
・ビリオネア・ボーイズ・クラブ ⇒投資詐欺(出資金詐欺)は米国でも頻発しているようだ 本作は1980年代にカリフォルニア州ロサンゼルスで若者たちがビジネスとして始めたが、結果的に投資詐欺そして殺人事件になった実話を基にしたもの 本作には中国資本も参加 米国で最大の投資詐欺は2008年に発覚したバーナード・L・マドフ(1938~)による5兆円規模のもの マドフは数十年にわたり裕福な顧客を騙し、顧客の投資資金を実際に運用せず配当に回すという古典的なポンジ・スキームという詐欺を実行していた 原題も"Billionaire Boys Club"だが、「ビリオネア」はあえて訳すと「千億円長者」か
320_80 ▼ポルトの恋人たち 時の記憶(日・葡・米) ⇒欧米で実績のある舩橋淳監督(1974~)がポルトガル側からの誘いを受けて、完全オリジナルで日葡両国を舞台にした愛と復讐劇を製作 2作分あるので2時間20分程度と長尺 18世紀後半大地震と大津波で壊滅したポルトガルを舞台にした前半では、奴隷としてインドから連れてこられた2人の日本人と現地領主・メイドの愛憎を描く 東日本大震災(2011)の復興の証しともなる2020東京五輪後の日本を舞台にした後半では、減速経済の下自動車部品工場での解雇労働争議にまつわり、ポルトガル・ブラジル系労働者と日本人管理者との愛憎を描く 2作ともラストシーンは同じ場所(多分ポルトガルのペニシェか)が舞台でありヒロインは真赤な衣装 18世紀のポルトガルの場面(前半)はセットか絵か分からないがいい出来 ロウソク、木のスリッパ、椿(カメリア)などが印象的な小物 後半ではファドやインド楽器シタールのような音色を出すポルトガル・ギターが登場 ロケ地は、ポルトガルではギマランイス(世界遺産)、プラガ、ペニシェ、ポルトなどで、日本では主に静岡県浜松市 英題は"Lovers on Bordery"=「境界の恋人たち」か

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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2018年11月 4日 (日)

10月28日~11月3日の週に観た劇場映画

10月28日(日曜)~11月3日(土曜)の週は、8本の劇場映画を観ました。11月3日まで1ヶ月間有効だった東宝シネマズのフリーパスポートを利用し、結局15本の劇場映画を鑑賞することができました。

320_77 ▼ライ麦畑で出会ったら ⇒米国の作家ジェローム・デイヴィット・サリンジャー(1919~2010)とその小説「ライ麦畑でつかまえて」(1950、和訳:1964)がモチーフ ジェームズ・S・サドウィズ監督(兼製作・脚本、1952~)の実体験をほぼ忠実に映画化したらしい スポーツ系の男子高校になじめない主人公がサリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」を戯曲化し舞台公演するためにサリンジャー本人に了解を取りに行く話 舞台は大成功となり、脚本をサリンジャーに手渡しに戻るが… 感受性の強い高校時代の若々しく瑞々しい感性が表現されている 半分は米国北東部のロードムービーにもなっている 原題は"Coming Through the Rye"=「ライ麦畑を通って」か
・あいあい傘 ⇒俳優・脚本家・演出家でもある宅間孝行監督(1970~)が、自身が主宰していた劇団「東京セレソンデラックス」でペンネーム・サタケヒロユキ名で制作した同名舞台劇(2007)を映画化(兼脚本) 同時に舞台劇再演と小説化も行われた 舞台劇オリジンなので台詞が多く、やや誇張した感じもあり、話が結構複雑だが、終盤は泣ける ロケ撮影は昨年(2017年)夏に山梨県甲府市、栃木県栃木市、足利市などで行われたようだ 竹内まりや(1955~)の主題歌「小さな願い」(2018)もいい
・世界で一番ゴッホを描いた男(蘭・中) ⇒中国では画家を目指す者は必ず広東省深圳市大芬に一度集まる そこでは画家ではなく画工と呼ばれ、有名画家の作品のレプリカ製作に携わる 2015年現在でその売上げは6,500万米ドル程度らしい 中国では絵画のレプリカ製作ビジネスがこんなにも盛んに実践されていることに驚く フィンセント・ファン・ゴッホ(1853~1890)絵画のレプリカ製作中国人リーダーがゴッホの故郷オランダ・アムステルダムを訪れ、自分たちの作ったレプリカがお土産屋で原価の8倍で売られていることを発見 原題は「中国梵高」(中)="China's Van Goghs"=「中国のファン・ゴッホ」
・あのコの、トリコ。 ⇒冒頭物語がスタートする堀切学園は堀越学園のもじりか 吉沢亮(1994~)と新木優子(1993~)が共演し、かなりトウが立った高校生役から主演を目指す舞台俳優の卵までを演じる 高校からの進展が少し速いし、話がデキ過ぎているようにも感じるのは仕方ないか 原作は漫画家白石ユキの同名コミック(既刊5巻) ロケ地は武蔵野市や神奈川県横浜市、特に神奈川県藤沢市の江の島での二人のデート・シーンは見物 筆者は何度も行ったことがあるので江の島はとても懐かしい
・ビブリア古書堂の事件手帖 ⇒三上延(1971~)の同名原作小説全7巻(2011~2017)を、「幼な子われらに生まれ」(2017)や「しあわせのパン」(2012)の三島有紀子監督(1969~)が映画化 若手実力派の黒木華(1990~)がヒロイン・古書店女性店主を演じ、古本にまつわる謎解きをする 2017年10月頃茨城県常陸太田市、神奈川県鎌倉市、静岡県下田市、伊豆市、東伊豆町などでロケ撮影が行われたようだ

・スマホを落としただけなのに ⇒志賀晃(1963~)の同名原作デビュー小説を、「終わった人」(2018)や「リング」シリーズ(1998・1999・2005)の中田秀夫監督(1961~)が映画化 主演は最近よく使われている北川景子(1986~) スマホ関連なので結構バーチャルな話かと思っていたら、とても残酷でホラー的なクライム・サスペンス作品でもあった 今年(2018年)6月~7月にオール・ロケで撮影されたようで、ロケ地は東京都新宿区、武蔵野市、調布市、そして神奈川県横浜市、秦野市、さらに群馬県伊勢崎市などのようだ
320_78 ▼華氏119 ⇒米国のジャーナリストでドキュメンタリー映画監督のマイケル・F・ムーア(1954~)が制作・監督した、米国政治(民主党及び共和党両者)とドナルド・トランプ第45代大統領(共・1946~)を痛烈に批判する渾身の一作 原題は"Fahrenheit 11/9"=「華氏11/9」で、2016年の米国大統領選挙の投票日11月8日(火曜)の翌日で選挙結果が判明した日にちなむ また2001年9月11日(火曜)に発生した同時多発テロ後のジョージ・W・ブッシュ第43代大統領(共・1946~)の政策を批判したドキュメンタリー"Fahrenheit 9/11"=「華氏9/11」(2004、邦題:「華氏911」)と対を成すらしい ①米国初の女性大統領として予想されていたヒラリー・R・クリントン元国務長官(民・1947~)が得票数が多かったのに敗北したという、一般有権者の投票結果が直接反映されない米国の選挙人制度への批判、②ムーアの故郷ミシガン州フリントに住む多数の黒人少数派住民に鉛含有の水道水を飲ませている、リック・スナイダー知事(PCメーカだったゲートウェイ社の元経営者)が行った水道民営化事業への痛烈な批判(バラク・H・オバマ第44代大統領(民・1961~)もフリントを訪れながら解決しなかった)、③ウエスト・バージニア州で始まった公立学校の教師・運転手・給食係の5%昇給要求の全州ストライキの成功と他州への波及(筆者の記憶では教員の年収は200~300万円台だったと思う)、④フロリダ州パークランドでの高校銃乱射事件の被害高校生たちが主体となって、首都ワシントンD.C.で史上最大の銃規制を要求する高校生たちだけのデモを実現させたこと、⑤2016年の民主党の大統領候補予備選で余りにも社会主義的なB・バーニー・サンダース候補(上院議員・民・1941~)をいかにして巧妙に排除したか、⑥民主党ではトランプ大統領に対して何もやらないという選択はないと、政治経験はないけれども今回政治に目覚めた若く活動的な民主社会主義的候補者(バーニー・チルドレン)が続々と登場していること(民主党のカラーが青なので「ブルーウェーブ」と言われている)などを冷静に分かりやすく映像化 トランプ大統領の矛盾に満ちているが意外にも説得力のある弁舌、そしてメディアや政敵に対する容赦ない攻撃により、米国市民が少しずつ自由・人権を譲っていくならば1030年代ドイツのアドルフ・ヒトラー大統領・総統(1889~1945)の再来になるかもしれないという予言は恐ろしい 来る11月7日には明らかになる今回の米国中間選挙(投票日:11月6日)の結果はいかに
・ヴェノム ⇒マーヴェル・コミックとソニーによる米国版「寄生獣」(日本版:2014・2015)だと思われる 寄生獣が表面に現れる時の態様はさらに奇怪で、格闘シーンは何が何だか分からない これもVFX技術の進展によるものか ポスプロ、特にVFXの作業量は膨大と思われ、エンド・クレジットに登場する人名はざっと数えて1,000人程度 どうやら続編もありそうな終わり方 原題も"Venom"

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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