10月28日(日曜)~11月3日(土曜)の週は、8本の劇場映画を観ました。11月3日まで1ヶ月間有効だった東宝シネマズのフリーパスポートを利用し、結局15本の劇場映画を鑑賞することができました。
▼ライ麦畑で出会ったら ⇒米国の作家ジェローム・デイヴィット・サリンジャー(1919~2010)とその小説「ライ麦畑でつかまえて」(1950、和訳:1964)がモチーフ ジェームズ・S・サドウィズ監督(兼製作・脚本、1952~)の実体験をほぼ忠実に映画化したらしい スポーツ系の男子高校になじめない主人公がサリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」を戯曲化し舞台公演するためにサリンジャー本人に了解を取りに行く話 舞台は大成功となり、脚本をサリンジャーに手渡しに戻るが… 感受性の強い高校時代の若々しく瑞々しい感性が表現されている 半分は米国北東部のロードムービーにもなっている 原題は"Coming Through the Rye"=「ライ麦畑を通って」か
・あいあい傘 ⇒俳優・脚本家・演出家でもある宅間孝行監督(1970~)が、自身が主宰していた劇団「東京セレソンデラックス」でペンネーム・サタケヒロユキ名で制作した同名舞台劇(2007)を映画化(兼脚本) 同時に舞台劇再演と小説化も行われた 舞台劇オリジンなので台詞が多く、やや誇張した感じもあり、話が結構複雑だが、終盤は泣ける ロケ撮影は昨年(2017年)夏に山梨県甲府市、栃木県栃木市、足利市などで行われたようだ 竹内まりや(1955~)の主題歌「小さな願い」(2018)もいい
・世界で一番ゴッホを描いた男(蘭・中) ⇒中国では画家を目指す者は必ず広東省深圳市大芬に一度集まる そこでは画家ではなく画工と呼ばれ、有名画家の作品のレプリカ製作に携わる 2015年現在でその売上げは6,500万米ドル程度らしい 中国では絵画のレプリカ製作ビジネスがこんなにも盛んに実践されていることに驚く フィンセント・ファン・ゴッホ(1853~1890)絵画のレプリカ製作中国人リーダーがゴッホの故郷オランダ・アムステルダムを訪れ、自分たちの作ったレプリカがお土産屋で原価の8倍で売られていることを発見 原題は「中国梵高」(中)="China's Van Goghs"=「中国のファン・ゴッホ」
・あのコの、トリコ。 ⇒冒頭物語がスタートする堀切学園は堀越学園のもじりか 吉沢亮(1994~)と新木優子(1993~)が共演し、かなりトウが立った高校生役から主演を目指す舞台俳優の卵までを演じる 高校からの進展が少し速いし、話がデキ過ぎているようにも感じるのは仕方ないか 原作は漫画家白石ユキの同名コミック(既刊5巻) ロケ地は武蔵野市や神奈川県横浜市、特に神奈川県藤沢市の江の島での二人のデート・シーンは見物 筆者は何度も行ったことがあるので江の島はとても懐かしい
・ビブリア古書堂の事件手帖 ⇒三上延(1971~)の同名原作小説全7巻(2011~2017)を、「幼な子われらに生まれ」(2017)や「しあわせのパン」(2012)の三島有紀子監督(1969~)が映画化 若手実力派の黒木華(1990~)がヒロイン・古書店女性店主を演じ、古本にまつわる謎解きをする 2017年10月頃茨城県常陸太田市、神奈川県鎌倉市、静岡県下田市、伊豆市、東伊豆町などでロケ撮影が行われたようだ
・スマホを落としただけなのに ⇒志賀晃(1963~)の同名原作デビュー小説を、「終わった人」(2018)や「リング」シリーズ(1998・1999・2005)の中田秀夫監督(1961~)が映画化 主演は最近よく使われている北川景子(1986~) スマホ関連なので結構バーチャルな話かと思っていたら、とても残酷でホラー的なクライム・サスペンス作品でもあった 今年(2018年)6月~7月にオール・ロケで撮影されたようで、ロケ地は東京都新宿区、武蔵野市、調布市、そして神奈川県横浜市、秦野市、さらに群馬県伊勢崎市などのようだ
▼華氏119 ⇒米国のジャーナリストでドキュメンタリー映画監督のマイケル・F・ムーア(1954~)が制作・監督した、米国政治(民主党及び共和党両者)とドナルド・トランプ第45代大統領(共・1946~)を痛烈に批判する渾身の一作 原題は"Fahrenheit
11/9"=「華氏11/9」で、2016年の米国大統領選挙の投票日11月8日(火曜)の翌日で選挙結果が判明した日にちなむ また2001年9月11日(火曜)に発生した同時多発テロ後のジョージ・W・ブッシュ第43代大統領(共・1946~)の政策を批判したドキュメンタリー"Fahrenheit
9/11"=「華氏9/11」(2004、邦題:「華氏911」)と対を成すらしい ①米国初の女性大統領として予想されていたヒラリー・R・クリントン元国務長官(民・1947~)が得票数が多かったのに敗北したという、一般有権者の投票結果が直接反映されない米国の選挙人制度への批判、②ムーアの故郷ミシガン州フリントに住む多数の黒人少数派住民に鉛含有の水道水を飲ませている、リック・スナイダー知事(PCメーカだったゲートウェイ社の元経営者)が行った水道民営化事業への痛烈な批判(バラク・H・オバマ第44代大統領(民・1961~)もフリントを訪れながら解決しなかった)、③ウエスト・バージニア州で始まった公立学校の教師・運転手・給食係の5%昇給要求の全州ストライキの成功と他州への波及(筆者の記憶では教員の年収は200~300万円台だったと思う)、④フロリダ州パークランドでの高校銃乱射事件の被害高校生たちが主体となって、首都ワシントンD.C.で史上最大の銃規制を要求する高校生たちだけのデモを実現させたこと、⑤2016年の民主党の大統領候補予備選で余りにも社会主義的なB・バーニー・サンダース候補(上院議員・民・1941~)をいかにして巧妙に排除したか、⑥民主党ではトランプ大統領に対して何もやらないという選択はないと、政治経験はないけれども今回政治に目覚めた若く活動的な民主社会主義的候補者(バーニー・チルドレン)が続々と登場していること(民主党のカラーが青なので「ブルーウェーブ」と言われている)などを冷静に分かりやすく映像化 トランプ大統領の矛盾に満ちているが意外にも説得力のある弁舌、そしてメディアや政敵に対する容赦ない攻撃により、米国市民が少しずつ自由・人権を譲っていくならば1030年代ドイツのアドルフ・ヒトラー大統領・総統(1889~1945)の再来になるかもしれないという予言は恐ろしい 来る11月7日には明らかになる今回の米国中間選挙(投票日:11月6日)の結果はいかに
・ヴェノム ⇒マーヴェル・コミックとソニーによる米国版「寄生獣」(日本版:2014・2015)だと思われる 寄生獣が表面に現れる時の態様はさらに奇怪で、格闘シーンは何が何だか分からない これもVFX技術の進展によるものか ポスプロ、特にVFXの作業量は膨大と思われ、エンド・クレジットに登場する人名はざっと数えて1,000人程度 どうやら続編もありそうな終わり方 原題も"Venom"
(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品
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