1月13日~1月19日の週に観た劇場映画
1月13日(日曜)~1月19日(土曜)の週は、11本の劇場映画を観ました。今回は鑑賞本数が少々多くなり、またやや芸術的で難解な作品があったので、記事レポートのアップに苦労しました。
・未来を乗り換えた男(独・仏) ⇒原題は"Transit"=「乗換え」か ドイツの女性作家アンナ・ゼーガース(1900~1983)の同名原作小説(1943)の映画化 第二次世界大戦時のドイツによるユダヤ人抹殺(ホロコースト)を、現代のフランスのパリとマルセイユに置き換えて演出 現代欧州に影を差す難民問題とナショナリズム高揚とダブらせたようだ したがって、課題は分かるが内容に追随しずらくなったかも… ラストの展開は意味深
★蜘蛛の巣を払う女(英・独・スウェーデン・加・米) ⇒「ドラゴンタトゥーの女」(2011)の続編 前作と同様に、黑づくめ女性ライダーが乗る単車が針葉樹林の中の雪道を走り抜ける格好良く、颯爽としたイメージは素晴らしい 前作が3部作の予定だったのが第1部の製作費が膨らんで1作で製作中止になったらしいが、今作もソニーは結構費用をかけているようで、ハッキング、カーチェイス、格闘アクション、そして終盤の意表を突く屋敷内ハッキングの映像には驚く エンドクレジットにはポスプロ担当者が百数十名と意外に少な目 舞台は一部米国ワシントンD.C.も登場するがほぼ全編スウェーデンの首都ストックホルム 今回ヒロインのリスベット役がルーニー・マーラ(米NY州出身・1985~)からクレア・フォイ(英・1984~)に、記者ミカエル役がダニエル・クレイグ(英・1968~)からスベリル・グドナソン(スウェーデン・1978~)に、監督がデビッド・フィンチャー(米コロラド州デンバー出身・1962~)からフェデ・アルバレス(ウルグアイ出身・1978~)にそれぞれ交代 グドナソンは昨年日本公開の作品「ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男」(スウェーデン・デンマーク・フィンランド・2017)でボルグそっくりな演技 アルバレス監督は前作が結構怖かったホラー作品「ドント・ブリーズ」(2016) 本作の原作はスウェーデンの作家スティーグ・ラーソン(1954~2004)の「ミレニアム」3部作、つまり「ドラゴン・タトゥーの女」(2005)、「火と戯れる女」(2006)そして「眠れる女と狂卓の騎士」(2007) 第4部は未完の遺作があったようだが、出版社はダヴィド・ラーゲルクランツ(スウェーデン・1962~)に依頼して第4部「蜘蛛の巣を払う女」(2015)を出版 本作は実はこの第4部の映画化 すでにラーゲルクランツによる第5部「復讐の炎を吐く女」(2017)も完成しているが、この映画化はいかに 原題は"The Girl in the Spider's Web"で邦題どおりか
・ゴールデン・スランバー(韓) ⇒原題は"Golden Slumber"=「黄金の睡眠」か 千葉県松戸市出身の作家・伊坂幸太郎(1971~)の同名原作小説(2007)の映画化 原作小説は本屋大賞(2008年)を受賞しており、日本でも2010年に映画化されているので、本作は韓国でのリメイクになる 国家によりテロ殺人犯にされた善良な若者市民が、友人たちの助けを借りながら国家の追手から逃げる 「ゴールデン・スランバー」はビートルズ最終版の楽曲らしい
・MOST BEAUTIFUL ISLAND モースト・ビューティフル・アイランド ⇒原題も"Most Beautiful Island"=「最も美しい島」 「最も美しい島」とは米国ニューヨーク市のマンハッタン島らしい ここに移民してきた若い美女たちが、底辺で暮らす中、一獲千金の仕事に喰らいつく 現実とも幻想とも知れない世界 スペイン出身のアナ・アセンシオ(1978~)が監督・脚本・主演の主要3役
・マチルド、翼を広げ(仏) ⇒パリでアルツハイマー的な母親と2人で暮らす9歳の少女が主役 少女だけと言葉を交わせるフクロウと離れて暮らす父親の助けを借りて生き延びる 少女が学校教材の骸骨見本を埋葬すること、言葉を話せるフクロウ、水中の少女など、幻想的で黙示的なシーンが多い フランスの映画監督ノミエ・ルヴォヴスキ(1964~)が脚本も母親役も兼ねる 原題は"Demain
et tous les autres jours"(仏)="Tomorrow and every other
day"=「明日と隔日(1日おき)」だが、どういう意味だろう
・この道 ⇒詩人・北原白秋(熊本県生まれ・福岡県育ち・1885~1942)と作曲家・山田耕筰(東京都・1886~1965)の長年にわたる友情を描く 白秋役は演技に定評のある大森南朋(なお)(東京都・1972~)が演じる 「この道」は2人が作詞作曲した日本の代表的童謡で、本作の主題歌でもありEXILEのATSUSHI(埼玉県出身・1980~)が歌う 撮影は主に東映京都撮影所(太秦映画村)で行われたが、一部神奈川県箱根町の富士屋ホテルなどでもロケされた模様
▼レッスル!(韓) ⇒主演のユ・ヘンジ(韓・1970~)がとにかく面白い 2017年に日本公開された「LUCK-KEY ラッキー」(韓・2016)で筆者は彼に注目したが、韓国の渥美清(東京都・1928~1996)と言って差し支えないだろう ユはその後「コンフィデンシャル 共助」(韓・2017)、「タクシー運転手 約束は海を越えて」(韓・2017)そして「1987、ある闘いの真実」(韓・2017)の韓国主要ヒット作品にバイプレーヤーとしてことごとく出演している 本作では、妻を亡くした元レスリング代表選手の主人公ギボに扮し、何でも人のせいにする大人になれない息子を金メダリストにすることに全身全霊を尽くす しかし、母親から次々と再婚相手を紹介されたり、家族ぐるみの付き合いの他家族の娘から強い恋心を寄せられたり、さまざま恋愛トラブルに巻き込まれる 目標を達成しその後は、世の男たちが羨(うらや)む展開に 原題は"Love+Sling"で、和訳すると「愛+(レスリング・ユニフォームの肩にかける)つり帯」か
・君から目が離せない Eyes on you ⇒主演の秋沢健太郎(秋田県出身・1988~)に当て書きした脚本で、篠原哲雄監督(東京都・1962~)が製作 夢と恋愛の狭間で揺れ動く若者を描く 演劇中心で活動してきた秋沢に合わせた劇中劇のスタイルで最初の冬の部は東京都世田谷区下北沢が舞台 夏の部は篠原監督の作品「月とキャベツ」(1996)のオマージュでもあり、群馬県中之条町や四万温泉にも展開 秋の部では武家屋敷の紅葉が美しい秋田県仙北市角館へ 写真は上映後のトークショーでのワン・ショット 向かって左から篠原哲雄監督、主演の秋沢健太朗、そして助演で秋沢の友人の中村優一(神奈川県出身・1987~) 元ジャニーズの中村は喋りまくっていた 観客はほとんど女性で筆者は肩身が狭かった
・サイドマン スターを輝かせた男たち ⇒米国のブルース・シンガーで、「シカゴ・ブルースの父」と称されるマディ・ウォーターズ(米ミシシッピ州出身・1913~1983)のサイド・マン、いわゆるバック・ミュージシャンとして長年活躍した3人に焦点を当てたドキュメンタリー 3人とは、ピアニストのパイントップ・パーキンス(米ミシシッピ州出身・1913~2011)、ドラマーのウィリー・”ビッグ・アイズ”・スミス(米アーカンソー州出身・1936~2011)、そしてギタリストのヒューバート・サムリン(米ミシシッピ州出身・1931~2011) なお、米国ブルース・ミュージックはロックンロール・ミュージックの生みの親だそうだ 原題は"Sidemen:
Long Road to Glory"=「サイド・メン:栄光への長い道」か
・LOVEHOTELに於ける情事とPLANの涯て ⇒ラブ・ホテルの1室のワン・シーンで、超長回しの撮影で、舞台劇のような展開 主人公がカバンの中に仕込んだカメラがカバンごと動いて視野が変化する凝った創り 場面は変わらないのに、話が次々と展開・変化する考え抜かれた内容 エンド・クレジットにも映像があり、そこも見物 俳優でもある宅間孝行(東京都・1970~)が監督(兼脚本)し、歌手でもある三上博史(東京都生まれ・神奈川県横浜市育ち・生年不詳)が主演
・マイル22 ⇒「テッド」シリーズ(2012・2015)で世界的に有名になった俳優・歌手のマーク・ウォールバーグ(米マサチューセッツ州ボストン出身・1971~)が主演し、俳優・脚本家でもあるピーター・バーグ(米ニューヨーク出身・1962~)が監督 2人は4回目の組合せらしい 本作では、超危険物質盗難の犯罪に対処するため米国政府の高度機密組織が編成され、最強の部隊と完璧な頭脳の組合せで重要参考人を空港までの22マイルを護送しようとする 完璧な頭脳チームが率いているからか、話の展開が速く筆者が付いていけないところもあった ロケは米国ジョージア州アトランタとコロンビアの首都ボゴタで行われ、ボゴタには多種大量の本物の銃器を移送 撮影には多数の小型カメラが使用され、緊迫した映像も結構取り入れられている 原題も"Mile 22"
(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品
| 固定リンク
「映画(2019年)」カテゴリの記事
- 12月26日~12月29日の4日間に観た劇場映画(2019.12.30)
- 12月22日~12月25日の4日間に観た劇場映画(2019.12.26)
- 12月15日~12月21日の週に観た劇場映画(2019.12.22)
- 12月8日~12月14日の週に観た劇場映画(2019.12.15)
- 12月1日~12月7日の週に観た劇場映画(2019.12.08)
コメント