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2019年2月の4件の記事

2019年2月24日 (日)

2月17日~2月23日の週に観た劇場映画

2月17日(日曜)~2月23日(土曜)の週は、8本の劇場映画を観ました。とても面白く、いい作品が多かったように思います。

320_20190225t075409314 ★▼★女王陛下のお気に入り(アイルランド・英・米) ⇒英国スチュアート朝最後の君主であるアン女王(1665~1714)と彼女のまつわる2人の女官女性の実話に基づいた作品 アンはイングランド・スコットランド女王(1702~1707)を兼ね、そして最初のグレート・ブリテン(大英帝国)女王に戴冠 2人の女性はサラ・ジェニングス(サラ・チャーチル・1660~1744)とアビゲイル・ヒル(アビゲイル・メイシャム・1670~1734)で従姉妹同士 アンの側近にはもう1人エリザベス・シーモア(1667~1722)という女官女性がいたようだが登場せず 作品の主題はサラからアビゲイルへの女王の寵愛つまり権力がどう移動したかに焦点を当てる スピードと変化のある8部構成で、面白可笑しく、豪華華麗な衣装をまとい、ロウソクばかりの照明のセピア色の美しい映像、そしてパイプ・オルガンも多用した音楽で魅せる 当時の英国は第一次産業革命前夜であるが退廃した雰囲気の中で政治が行われていたことに驚く アンは実に17回妊娠したが、1人も成人していないし、代わりにウサギを飼っていたようだ また王室・貴族を含め実に多くの人々が天然痘により亡くなっている アンは常に足を揉ませており、女官たちとのレズビアンも想像させる サラの夫のジョン・チャーチル(初代マールバラ公・1650~1722)の属するホイッグ党とアビゲイルに近いロバート・ハーリー(1661~1724)のトーリー党の政争も描かれるジョン・チャーチルはフランス・スペインとの戦争を戦っていたが、トーリー党は戦争を終結させる ジョン・チャーチルつまりサラ・ジェニングスの子孫には、第二次世界大戦終了の首相ウィンストン・チャーチルや現チャールズ英国皇太子の前妻ダイアナがいる 監督は「ロブスター」(アイルランド・英・ギリシャ・仏・蘭・米・2015)のヨルゴス・ランティモス(ギリシャ・1973~) アンをオリヴィア・コールマン(英・1974~)、アビゲイルをエマ・ストーン(米・1988~)、そしてサラをレイチェル・ワイズ(英・1970~)の実力派女優がそれぞれ演じている オリヴィア・コールマンは直近の第91回アカデミー賞(2019)で主演女優賞を見事射止めた 原題は単に"The Favourite"=「お気に入り」
フォルトゥナの瞳 ⇒「永遠の0」(2006)や「海賊と呼ばれた男」(2012)の小説家・百田尚樹(大阪市・1956~)の同名原作小説(2014)を映画化したファンタジー作品 「坂道のアポロン」(2018)や「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」(2016)の三木孝浩(徳島県出身・1974~)が監督し、神木隆之介(埼玉県出身・1993~)と有村架純(兵庫県出身・1993~)が主演 いろいろ伏線が張られているが、最後に明らかになる真実に驚かされる 携帯ショップはauであり、登場する車はレクサスなので、提携するKDDIとトヨタのプロダクト・プレイスメントか また、人が死に過ぎるような気もするが… 昨年2018年5月~6月のロケ地は主に関西圏で、神戸市を中心とした兵庫県、そして大阪府、奈良県(奈良盆地南部)などか
アクアマン ⇒米国DCコミックのアクアマンを主役にした実写ファンタジー作品 海底に沈んだアトランティス帝国を巡る戦いを描く 海底世界の美しい世界をVFXで描く ポスプロ・VFXにはエンド・クレジットでは1,000人以上が参加 コスチュームとメイクアップの担当が多いのに注目
320_20190225t075450384バジュランギおじさんと、小さな迷子(印) ⇒見逃したと思っていた本作を遅ればせながら劇場鑑賞 現在もインドとパキスタンがその領有権を巡って争いを続けている、高山が美しいカシミール地方が最初と最後の舞台 そこに暮らす口の利けない少女が母親と一緒にインドのイスラム寺院にお詣りに行き口が利けるように祈る 少女は帰途に母親からはぐれ迷子になるが、それを救ったのが主人公のパワン(バジュランギおじさん) 彼は保護した少女がパキスタン人だと発見し、デリーからパキスタンのカシミール地方まで700kmの道のりを2人で旅し、パキスタンの家族に送り届けようとする 終盤はその気がないのに感涙 各地でロケ撮影をし、インド映画らしく唄と踊りにあふれる ヒンディー教とイスラム教の相違と反発、売春窟での人身売買、インド・パキスタン国境の実態、またSNS時代のニュース・報道の実態なども描かれる インドの人気俳優サルマン・カーン(1965~)がパワンを演じ、途中にパワンの半生が挿入されるがやや冗長 パワンの彼女ラスィカーを俳優一家のカリーナ・カブール(1980~)が演じるが、目の上下の黒々としたアイラインがやや不自然 彼女は最後のお涙頂戴のシーンでアイラインのない顔で登場するが、こちらの方がとても自然 原題は"Bajrangi Bhaijaan"(ヒンディー)=「バジュランギおじさん」か
320_20190225t075541082_2盆唄 ⇒2011年3月の東日本大震災、大津波そして福島第1原発事故により最大の被害を受けた福島県双葉町 その双葉町に脈々と引き継がれてきたお盆の盆唄と盆踊りを、京都市出身で沖縄県在住の中江裕司監督(1960~)が追ったドキュメンタリー作品 映像は2015年8月から始まり、2017年8月にいわき市の避難所での各地区の盆唄競演で終わる 最後の盆唄フィナーレは実に感動的 途中で100年前に福島県からハワイに移住した人々がフクシマ・オンドを歌い継いでいること、福島の盆唄のルーツは富山県南砺市にあることなどが語られる 富士山の宝永大噴火(1707)後の飢饉で相馬(福島県)の人口が9万人から3万人と3分の1になったため、相馬の藩主が加賀越中(富山県)から移民を呼んだことは全く知らなかった その時に盆唄も一緒に伝えられたきたのだろう 双葉町の盆唄にまつわる文化・芸能は確かなものであり、双葉町に帰還できる日はいつかまだまだ判然としないが、是非継続してもらいたいものだと思った

アリータ バトル・エンジェル ⇒原作は東京都出身で現在は茨城県つくば市在住の木城ゆきと(1967~)のSF漫画「銃夢(ガンム)」(1991~1995) 「アバター」(2009)と「タイタニック」(1997)で世界興行収入第1位と第2位を有するジェームズ・キャメロン監督(加出身・1954~)が脚本・製作を担当し、「シン・シティ」(2005)のメキシコ系米国人・ロバート・ロドリゲス(1968~)が監督 昨年2018年第90回アカデミー賞作品賞を獲得した「シェイプ・オブ・ウォーター」(2017)のギレルモ・デル・トロ監督(墨・1964~)は日本アニメのファンであり、彼がキャメロン監督に「銃夢」のアニメを紹介したというのは有名な話らしい 本作品は高度で完璧な映像を駆使したSFファンタジー・エンターテインメント作品として観ればいいと思う 筆者の好きな役者クリストフ・ヴァルツ(オーストリア出身・1956~)が助演で出演している エンド・クレジットを観ると、ポスプロ・VFXに千数百人の名前が挙がっているのには驚く 何となく続編がありそうな感じでは終わっている 原題も"Alita: Battle Angel"
サムライマラソン ⇒原作は、映画にもなった「超高速!参勤交代」(2013)を書いた脚本家・小説家の土橋章宏(大阪府出身・1969~)の小説「幕末まらそん侍」(2014) 江戸時代・幕末の1855年に上野(こうずけ)安中藩(今の群馬県安中市周辺)藩主の板倉勝明(1809~1857)が藩士の鍛練のために行った徒競走・安政遠足(とおあし)の史実に基づく 安政遠足とは安中城内から碓氷峠の熊野権現まで7里余りの中山道をと徒歩競争させたもので、日本史上初のマラソンといわれる 企画・プロデュースの中沢敏明(1947~)とジェレミー・トーマス(英・1949~)が組んで原作を一大国際プロジェクトに組み上げた ジェレミー・トーマスは1987年第60回アカデミー賞で作品賞以下9部門を獲得した「ラスト・エンペラー」(1987)の製作者 主役は佐藤健(埼玉県出身・1989~)でヒロインに小松菜奈(山梨県出身・1996~) 佐藤健は主演した「るろうに剣心」シリーズ(2012~2014)のように走りまくった 小松菜奈の日本髪姿はやや似合わないか ロケ撮影は2017年9月~7月に山形県鶴岡市で行われた模様 主にスタジオセディック庄内オープンセットが使用され、遠足シーンでは羽黒山と三瀬(さんぜ)海岸でも撮影されたようだ
君が君で君だ ⇒「アズミ・ハルコは行方不明」(2016)や「アイスと雨音」(2018)などの意欲作を発表したいる松井大悟(福岡県出身・1985~)監督が本作の監督・原作・脚本を担当 昨年2018年7月に公開された作品だが、何となく見逃しており、半年振りに出会って鑑賞 大人になれない、いい年をした男3人の真面目に、そして真剣に狂った生活を描く 手持ちカメラを多用して撮影 主題歌は尾崎豊(1965~1992)の「僕が僕であるために」(1983) ロケ撮影は2017年7月に神奈川県横浜市・相模原市、東京都台東区・港区などで行われた模様

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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2019年2月17日 (日)

2月10日~2月16日の週に観た劇場映画

2月10日(日曜)~2月16日(土曜)の週は、6本の劇場映画を観ました。なかなか難解な作品もありました。

ともしび(仏・伊・ベルギー) ⇒英国の大女優シャーロット・ランプリング(1946~)が主演 全体的にとても静かな進行で、まるで無声映画のよう 35mフィルムで撮影したので、画面は横が狭い4:3 ユリの花から芯(雌しべ・雄しべ)を抜くこと、雪を散らす小道具が登場すること、成犬の譲渡があること、70代のヒロインの裸身を晒すこと、地下鉄の下りエレベーターを使わずに階段を歩いて下りることなど、筆者には不思議な場面が多々ある 原題は"Hannah"(仏)=「アンナ」でヒロインの名前
バーニング 劇場版(韓) ⇒村上春樹(京都府出身・1949~)の短編小説「納屋を焼く」(1983)を韓国のイ・チャンドン監督(1954~)が翻案して製作した作品 焼くものが納屋からビニール・ハウスに変わっている 階級闘争の雰囲気も漂う 田舎の日没シーンでのヒロインの鳥の影絵、鳥の舞、乳首を晒すところが見物か 3人の会話の中に「中国人は自分が中心 儒教国ではない」というのがあって驚いた 筆者から見るとこれはそのまま韓国人にも当てはまる 原題は"Burning"=「焼くこと・燃やすこと」か
320_20190219t043329676七つの会議 ⇒岐阜県出身の直木賞作家・池井戸潤(1963~)の同名原作小説(2012)の映画化 主演が狂言師の野村萬斎(1966~)で、狂言師、歌舞伎役者、ミュージカル俳優、ミュージシャン、落語家など特色のある出演者を大物・ベテラン俳優陣に加えた豪華キャスト陣 高度成長時代にモーレツ社員が跋扈していた時には、営業部隊があのような猛烈な檄を飛ばされるのは当たり前だったかもしれない しかし、現在ではパワハラ・セクハラの概念が一般化しており、社内に110番制度もある会社も多く、こういうことは常態化していないと思う ただ、品質データや検査データの擬装・改竄・隠蔽は、人手不足からなくならないと思うし、現実社会でも結構頻繁に内部告発されているのはご存じのとおり ロケ撮影は昨年(2018年)4月~6月に東京都・神奈川県以外に、栃木県宇都宮市、埼玉県行田市・深谷市・草加市、群馬県前橋市・高崎市などで行われた模様
あまのがわ ⇒母子家庭で育つ主人公の女子高生 仕事一途だが教育熱心な母親に反発し、学校でのイジメもあって不登校に 和太鼓を教えてくれた祖母の入院で鹿児島に 屋久島や種子島の親戚や知人を訪ね、ロボットと友達に 最後には母親の理解も得て鹿児島のおはら祭りで太鼓を叩く ロケは2017年11月に鹿児島県鹿児島市・屋久島・種子島、そして東京都で行われた
ジュリアン(仏) ⇒フランスの新鋭監督・グザヴィエ・ルグラン(1979~)の初長編作品(兼脚本)で第74回ヴェネツィア国際映画祭(2017)で銀獅子賞を獲得 フランスではDVがらみの離婚の場合、子供の親権を巡る争いははこんなにも激しいのか… 原題は"Jusqu'à la garde"(仏)="Even the guard"=「ガード・護衛までも」か

320_20190219t043344585 ★半世界 ⇒稲垣吾郎(東京都・1973~)が「新しい地図」に移ってから多分初めての主演映画作品だと思う 「北のカナリアたち」(2012)の阪本順治監督(大阪府堺市・1958~)がオリジナル脚本で製作 山林の中の炭焼き窯で備長炭を黙々と生産するのが主人公 北海道の自衛隊から帰ってきた同級生と地元で中古車店を営む同級生の3人が揃ったところから物語は展開 家業の継続、子供の教育・イジメ、夫婦関係、旅館・漁業などのの地場産業等々が描かれる 日本の平和な地域社会(半世界)と日本全体そして海外の全世界が対比されているよう タイムカプセルを掘り出すが元に戻すように、生きるということは何かを問うているような気がする 白炭(備長炭)の炭焼きの仕事がどのようなものか、また火力の強い白炭の他に黒炭というものがあることを知った 全編三重県の伊勢志摩で昨年(2018年)冬にオールロケ撮影され、南伊勢町を中心に志摩市、鳥羽市などがロケ地となった模様

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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2019年2月10日 (日)

2月3日~2月9日の週に観た劇場映画

2月3日(日曜)~2月9日(土曜)の週は、10本の劇場映画を観ました。今回も鑑賞本数が多く、また連休で行事も多かったため、記事作成に苦労しました。

雪の華 ⇒鹿児島県出身の歌手・中島美嘉(1983~)の同名大ヒット曲(2003年)をモチーフにした映画化 余命を設定された病の人の話になっているので、容易に感涙 ただ見かけは元気そうなので常に違和感はある 音楽は葉加瀬太郎(大阪府・1968~)が担当しており、彼がヴァイオリンで奏でるゆっくりした「雪の華」もいい ロケ地の半分はフィンランドで、2018年の冬と夏に長期ロケを行い、ヘルシンキ大聖堂などヘルシンキ市内とオーロラの聖地フィンランド北部のレヴィで撮影した模様 国内のロケ地は江東区萬年橋や渋谷区代官山駅など東京都内各地と横浜市八景島シーパラダイスなど 企画の小笠原明男(北海道出身・1956~2018)が昨年5月に亡くなったため、彼に捧げる作品になっている
飛べない鳥と優しいキツネ(韓) ⇒原題は"Student A"=「学生A、女子中学生A」 韓国の原題と同名のWeb小説の映画化 孤独だが、ゲーム大好きな女子中学生の恋と友情を描く
ひかりの歌 ⇒1.33:1(4:3)のスタンダード・サイズの画面だった 東京都出身の杉田協士(きょうし)監督(1977~)がコンテストで選んだ4首の「光」をテーマにした短歌を原作にして企画・製作した作品 突然故郷北海道札幌の映像が流れ、小樽始発で滝川往きの電車が登場したのには驚いた
320_20190210t084216292ドキュメンタリー映画 岡本太郎の沖縄 ⇒1970年に大阪で開催された万国博覧会の会場に造られた「太陽の塔」で有名な前衛芸術家・岡本太郎(1911~1996)が1959年と1966年の2回沖縄を訪問し、惚れ込んでいる その2回の沖縄訪問時の写真と記録映像を、現代の沖縄映像・インタビューと組み合わせて、葛山喜久(かつらやま よしひさ)監督が製作したドキュメンタリー作品 沖縄本島北から南まで、そして石垣島・竹富島まで足を延ばしているが、芭蕉布の里・喜如嘉(きじょか)と久高島(くだかじま)に時間を割いている 特に、久高島は神話と信仰の島であり、風葬とイザイホーを紹介 1966年はイザイホーが12年に1回行われる午(うま)の年に当たる 残念ながら、イザイホーは1990年に終了してしまう
赤い雪 Red Snow ⇒雪国での未解決少年失踪事件が少年の兄の曖昧な記憶とともに蒸し返され、次世代の混沌とした関係に 叫びが多く、映像が暗いなというのが筆者の感想 女流若手監督甲斐さやかの初長編作品(兼脚本) ロケ撮影は2017年冬に山形県新庄市、大蔵村肘折温泉などで行われた模様

フロントランナー ⇒1988年の米国大統領選挙で、民主党の予備選挙で先頭を走っていたコロラド州選出のゲイリー・ハート上院議員(1936~)が不倫報道一発で沈む様子(事実)を描く ヒュー・ジャックマン(豪・1968~)がハート上院議員を演じるが、予備選挙戦から撤退した時の最後の演説は説得力があると感じた 選挙キャンペーン陣営の中での会話「上院議員の半数は不倫をしている」は衝撃的 原題も"The Front Runner"で邦題どおり
ヴィクトリア女王 最後の秘密(英・米) ⇒実話に基づいた映画作品「あなたを抱きしめる日まで」(英・2013)で涙と感動を呼んだスティーヴン・フリアーズ監督(英・1941~)と女優ジュディ・ディンチ(英・1934~)が再びタッグを組んだ作品 ヴィクトリア英国女王(1819~1901)が夫と従僕を亡くして元気を失っていた1887年に、在位50周年記念式典の記念金貨の贈呈役としてインドから渡ってきた若者アブドゥルとの交流を描く 原題は"Victoria and Abdul"=「ヴィクトリアとアブドゥル」
ミスター・ガラス ⇒「シックス・センス」(1999)で一流監督入りしたインド系米国人映画監督M・ナイト・シャマラン(1970~)が「アンブレイカブル」(2000)の続編として製作した作品(監督・製作・脚本の3役兼務) 3作品いずれにも出演しているドイツ系米国人俳優ブルース・ウィルス(1955~)とシャマラン監督は家族ぐるみの付合いらしい 作品のベースにあるのはスーパーヒーロー(超能力者、サイキック)の話であり、本作でも3人が登場する 原題は"Glass"=「ガラス」で、「ガラスのように脆いスーパーヒーロー」を指すのだろう
320_20190210t082829250BACK STREET GIRLS ゴクドルズ ⇒明らかにB級作品だと思われるが、東映の十八番であるヤクザ映画と近年のブームであるアイドル映画が見事に合体 アイドルに変身した3人の若者ヤクザたちが、その魂を温存したまま矛盾に満ちたアイドル活動 警察に協力して街中で「暴力団追放」のキャンペーン活動を行うなど喜劇的でもある それでも、しっかりと喧嘩・格闘のアクション・シーンは豊富 岩城滉一(東京都・1951~)が3人の親分役で、昨年亡くなった大杉漣(徳島県・1951~2018)が敵方親分役でそれぞれ登場 ロケ地は千葉県や東京都各地か また、渋谷区恵比寿にある(株)フィナンシャル・エージェンシーが、本作ロケに社長室、スカイラウンジ、エントランスなどを使用した旨ホームページで紹介
ちいさな独裁者(独・仏・ポーランド) ⇒本作が実話に基づくものだと知って驚愕 第二次世界大戦(1939~1945)でドイツの敗色が濃厚となっていた1945年4月の出来事で、ドイツ軍の脱走兵が逃走中に置き去られたドイツ軍大尉の制服を発見することから話は展開 すっかり大尉に成りすました彼は、部下を従え他の将校を納得させ、暴虐の限りを尽くす ハリウッド作品「RED レッド」(2010)や「ダイバージェント」シリーズ3作の後半2作「NEO」(2015)と「FINAL」(2016)の監督を務めた、ドイツ人のロベルト・シュヴェンゲ(1968~)が監督(兼脚本) 見せかけ、つまり制服だけで周囲を支配できるというポピュリズムの原点を風刺し、ナショナリズムや極右政党の活動が目に付く現代社会に警鐘か 原題は"Der Hauptmann"="The captain"=「大尉」

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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2019年2月 3日 (日)

1月27日~2月2日の週に観た劇場映画

1月27日(日曜)~2月2日(土曜)の週は、10本の劇場映画を観ました。1週間に鑑賞する作品数が2桁になると、コメントを考え書き上げるのに苦労します。

天才作家の妻 40年目の真実(スウェーデン・米・英) ⇒原題は"The Wife"=「妻」 米国ニューヨーク市在住の女流作家メグ・ウォリッツアー(1959~)の原題と同名の原作小説(和訳本(2019)のタイトルは邦題と同じ)を、米国の女優で脚本家のジェーン・アンダーソン(1954~)が映画化(脚本・製作総指揮) 女性が表舞台になかなか出られなかった時代から、女性も男性と同等に活躍できる時代に変化するにしたがって、天才ゴーストライターであったノーベル賞作家の妻の意識や姿勢の動揺を描く 舞台は米国ニューヨーク州・コネッチカット州とスウェーデンのストックホルムだが、撮影は英国スコットランドのグラスゴー周辺でセット撮影も含めて行われたようだ
サスペリア(伊・英) ⇒イタリアの映画監督・映画プロデューサー・脚本家のダリオ・アルジェント(1940~)が1977年に製作したホラー映画作品「サスペリア」を、「君の名前で僕を呼んで」(2017)のルカ・グァダニーノ(伊・1971~)監督がリメーク グァダニーノ監督は10歳の時にアルジェント監督の作品を観て惚れて、それ以来の念願を今回実現 1977年に米国からドイツ(今回はベルリン)のダンス・カンパニーに入団するために来た少女を中心に、6場面にわたって話が展開 女性の身体の美しさをも強調したホラー作品だが、魔女ものは筆者には余りピンとこない 原題は"Suspiria"(ラテン?)="Breathlessness"=「息切れ」か
二階堂家物語 ⇒2020東京オリンピック公式映画監督の河瀬直美(奈良県・1969~)がエグゼクティブ・プロデューサーを務め、イランの首都テヘラン出身の女流監督アイダ・パナハンデ(1979~)が監督・脚本を担当 奈良県天理市で地元の種苗会社を経営する名家二階堂家の後継者問題を描く 昨今は資本と経営の分離が当然のように進んでいることから、やや古風な課題を扱っているともいえる やたら雨のシーンが多かったのも気になる 全編作品の舞台となっている天理市にでロケ撮影された模様
320_20190203t111532728そらのレストラン ⇒筆者の故郷・北海道の話なので、ポスターを添付 北海道せたな町(人口約8千人)にある村上牧場が主な舞台のモデル この牧場は高台にあり海(日本海)の見える牧場として知られた放牧牧場で、チーズ工房も併設 本作では村上牧場は設楽牧場として登場し、農場主・亘理(わたる)を北海道出身の大泉洋(江別市・1974~)が演じる またベテラン・チーズ職人として北海道出身の小日向文世(三笠市・1954~)が出演 大泉は北海道シリーズとされる作品「しあわせのパン」(2012)と「ぶどうのなみだ」(2014)に続き第3弾の本作にも主演 小日向は年間数本以上の映画作品に助演で登場する人気者 本作はせたな町の生産者グループ「やまの会」のメンバーたちの日常を基にしており、地場産の新鮮なチーズ、野菜、肉、魚などを使って1日限りの屋外レストランを開くまでを描く 監督(兼脚本)は「サクラダリセット 前篇・後篇」(2017)の深川栄洋(よしひろ)(千葉県・1976~) ロケは、2017年9月から2018年1月にかけて主にせたな町で行われた模様
デイアンドナイト ⇒大阪府出身の俳優・阿部進之介(1982~)が企画・原案を提供し、藤井道人(みちひと)監督(東京都・1986~)に相談し、プロデューサーとして俳優の山田孝之(鹿児島県・1983~)が加わり、3人で脚本を仕上げた作品 昼と夜、善と悪の境目が見方によって変わることをテーマに、重厚なタッチで登場人物たちの苦悩を描く やや進行が遅いので、冗長な感じも ロケ地はほぼ秋田県で、秋田市、鹿角(かづの)市、由利本荘市などで撮影か

チャンブラにて(伊・米・仏・スウェーデン) ⇒長靴型をしたイタリアの長靴のつま先の方にあるレッジョ・カラブリア県に住むロマの少年と家族の日常を描く 少年の属するアマート一族が多数実名のアマートで出演しており、最近加わったアフリカ系黒人住民も含めてチャンブラというスラム地区での生活実態が分かる 原題は"A Ciambra"(伊)="In Ciambra"で、邦題どおりか
320_20190203t111335300愛唄 約束のナクヒト ⇒音楽グループGReeeeNの3枚目のシングル曲「愛唄」(2007)をモチーフにした作品 脚本にもGReeeeNが参加し、「愛唄」に込めたイメージを表現 タイトルにあるように、やはり終盤は泣けた 映像的には、ガン患者にしては余りやつれていないし、結構元気そうにしか観えないので、当初かなり違和感があったが、ストーリーの進め方が巧みで自然に涙を誘う ずいぶん前の唄になったが、今度カラオケで「愛唄」を歌ってみたくなった 主人公の実家は神奈川県横浜市保土ヶ谷区の笹山アーケードに設定されているので、ロケ撮影は昨年2018年春に横浜市、東京都江東区などで行われた模様 また病院のロケには杉並区の佼成会病院や西東京市の武蔵野徳洲会病院が使われたようだ
500年の航海(比) ⇒フェルディナンド・マゼラン(葡・1480~1521)の世界一周航海(周航)(1519~1522)について、実は世界初の周航を達成したのはフィリピン出身の奴隷・エンリケであったという説を唱える作品 エンリケがなぜスペインに売られたか、当時のポルトガルとスペイン、そして神聖ローマ帝国との関係も描かれる フィリピンのキドラッド・タヒミック監督(1942~)が1980年代から35年間にわたり撮影 オリジナルよりは短く編集されているようだが、少々長い 原題は"Balikbayan #1 Memories of Overdevelopment Redux VI"=「バリクバヤン#1過剰展開の思い出Redux VI」かだが、意味不明
かぞくわり ⇒民族学者で作家の折口信夫(しのぶ)(大阪府出身・1887~1953)の「死者の書」(1939)に発想を得て、奈良県出身の塩崎祥平監督(1979~)が製作(兼脚本) 奈良県葛城市の二上山(にじょうさん)の麓にある當麻寺(たいまでら)が主要な舞台で、大津皇子(おおつのみこ・663~686)と中将姫(747~775)に関する伝承を基にしている ロケ地は奈良盆地南部の奈良県葛城市、桜井市など
ナチス第三の男(仏・英・ベルギー) ⇒昨年日本で公開された作品「ハイドリヒを撃て!『ナチの野獣』暗殺作戦」(チェコ・英・仏・2016)と同様のテーマ フランスの小説家ローラン・ビネ(1972~)の原作小説「HHhH プラハ、1942年」(2010、和訳2013)の映画化 本作の前半ではラインハルト・ハイドリッヒ(1904~1942)が妻の力も借りながらナチ党に入党し、ハインリッヒ・ヒムラー(1900~1945)の信任を得ていかに成り上がるかを描いている 当時欧州に在住していた1,100万人のユダヤ人をクレンジングすると言っていたのが、真におぞましく悲しい 原題は"The Man with the Iron Heart"=「鉄の心を持つ男」か

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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