2月24日~3月2日の週に観た劇場映画
2月24日(日曜)~3月2日(土曜)の週は、8本の劇場映画を観ました。不思議な作品に出会いました。結構「春眠暁を覚えず」の状態になりました。
・ファースト・マン ⇒米国NASA(米国航空宇宙局)のアポロ計画の下、1969年7月にアポロ11号で人類最初の有人月面着陸に成功したニール・アームストロング船長(1930~2012)の半生を描く 米国の大学教授(歴史)ジェームズ・R・ハンセンの原作伝記小説「ファースト・マン:ニール・アームストロングの生涯」(2005)の映画化 「セッション」(2014)と「ラ・ラ・ランド」(2016)のデイミアン・チャゼル監督(ロードアイランド州出身・1985~)が主役に「ラ・ラ・ランド」でも組んだライアン・ゴズリングを起用して製作 アポロ計画はジョン・F・ケネディ大統領(1917~1963・任期:1961~1963)が主導したもので、1961年から1972年にかけて実施 今とは比べものにならない未熟なコンピューターや宇宙船で、宇宙飛行士の優れた操縦技術により6回の有人月面着陸を成功させた 訓練中などで様々なトラブルが発生し何人もの宇宙飛行士の命が失われた 撮影は主にジョージア州アトランタのオープン・セットで行われたが、テキサス州ヒューストンのケネディ宇宙センターとカリフォルニア州のエドワーズ空軍基地も使われた 原題も"First Man"
・THE GUILTY ギルティ(デンマーク) ⇒スウェーデンの新鋭監督グスタフ・モーラー(1988~)の初長編作品 全編ほぼ電話受付の緊急指令室(日本の110番的なものか)だけのシーンで、電話を介した会話だけで物語が展開するサスペンス作品 事情があって電話受付の仕事に回されている警官と誘拐されたとする主婦との会話から意外な事実が 原題は"Den skyldige"(デンマーク)="The guilty"=「犯人」
・十二人の死にたい子供たち ⇒「天地明察」(2009・映画:2012)の冲方丁(うぶかた・とう)(岐阜県出身・1977~)の同名原作ミステリー小説を「人魚の眠る家」(2018)の堤幸彦監督(三重県生れ・1955~)が映画化 筆者には進行が平板だったので、途中から記憶が曖昧 ロケは群馬県藤岡市にある公立藤岡総合病院の廃病院 この病院は2017年暮に移転したので、通電し設備もそろったままの幸運なロケ地で2018年冬に撮影された模様
★ビール・ストリートの恋人たち ⇒原題は"If Beale Street Could
Talk"で、邦題は意訳されているが、直訳すると「もしビール・ストリートが話せたら」か 米国の小説家ジェイムズ・ボールドウィン(ニューヨーク市ハーレム出身・1924~1987)の同名原作小説(1974・新和訳本2019出版あり)の映画化 ビール・ストリートはテネシー州メンフィス中心街にある通りで、アフリカ系米国人の音楽・ブルースの聖地 本作はニューヨーク市のハーレムが舞台で、19歳のヒロインと22歳の青年の純粋で瑞々しい恋愛を描くが、同時に当時の白人警官の黒人に対する差別的・犯罪的な扱いや、黒人がいかに住居を借りるのが難しかったかが登場する 「ムーンライト」(2016)で第89回アカデミー賞(2017)作品賞・脚本賞を獲得した黒人監督バリー・ジェンキンス(フロリダ州出身・1979~)が製作(兼脚本) 本作ではヒロインの母親役を演じたレジーナ・キング(カリフォルニア州出身・1971~)が第91回アカデミー賞(2019)助演女優賞を受賞 ボールドウィンはキング牧師ことマーティン・ルーサー・キング・ジュニア(ジョージア州出身・1929~1968)とともに公民権運動にも参加した 本作製作陣には、米国IT企業大手のオラクルの創業者ラリー・エリソン(ニューヨーク市出身・1944~)の娘で、アンナプルナ・ピクチャーズ創始者のミーガン・エリソン(カリフォルニア州出身・1986~)、そしてプランBエンターテインメントの所有者・ブラッド・ピット(オクラホマ州出身・1963~)が製作総指揮者として名を連ねている
・劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズ ⇒アニメではあるが、ランキング上位で人気があるようなので鑑賞 ストーリーは他愛ないと思うが、「もっこり」などが度々登場しかなりエッチ 2、3度缶ビールを飲むシーンがあるが、ブランドはいずれもサントリー・プレミアム・モルツ アニメにもプロダクト・プレイスメントがあるのだろうか 終盤の戦闘シーンは新宿遊園(新宿御苑のもじりか)が舞台だが、かようにも破壊していいものか…
▼▼翔んで埼玉 ⇒恐らく結構な製作費をかけたと思うが、出来上がりは壮大なB級作品 「バタリロ!」シリーズ(1978~)で有名らしい新潟市出身の漫画家・魔夜峰央(1953~)の同名原作漫画(1982・1983)の映画化 現在は神奈川県横浜市に住む魔夜が、新潟市から一時埼玉県所沢市に転居し、結果編集者の近くに住むことになり、追い詰められて制作した作品らしい 原作に現代の内容を加えて、現在の感覚に近い作品としている 埼玉県を徹底的に揶揄し罵倒する流れとなっているが、逆に自虐ネタとして面白くかえって埼玉県礼賛にもなっているか 監督は、「テルマエ・ロマエ」シリーズ(2012・2014)と「今夜、ロマンス劇場で」(2018)の武内英雄(千葉県出身・1966~) エンド・クレジットに流れる、実は埼玉県春日部市生まれのはなわ(1976~)の主題歌「埼玉県のうた」(2019)は爆笑もの 終映後若者中心の観客席からは拍手が沸き上がった ロケ撮影は、昨年2018年4月~5月に東京都、神奈川県、茨城県、群馬県、埼玉県、栃木県など広域首都圏各地でだったようだ
・あの日のオルガン ⇒久保つぎこ(神奈川県出身・1943~)の原作小説「あの日のオルガン 疎開保育園物語」(2018)を、平松恵美子監督(岡山県出身・1967~)が映画化(兼脚本) 日に日に空襲が激しくなる太平洋戦争(1941~1945)末期の1944年に、東京都品川区の戸越保育園が独自に他1ヶ所の園とともに保育士11人、未就学児童53人の集団疎開を検討 埼玉県蓮田市に無人の荒れ寺を見付け、そこに集団疎開 疎開保育園を開園し、未就学児童53人全員の命を守ったことを描く ご存じのとおり1945年3月10日に米軍爆撃機が東京を大空襲・爆撃 多数の未就学児童を含む約10万人の人々が亡くなった ロケ地は京都太秦の松竹撮影所、京都府亀岡市の丹波国分寺などのようだ
・Noise ノイズ ⇒2008年6月8日に発生した東京の秋葉原無差別殺傷事件に直接・間接に影響を受けた若者たちの苦悩と闇を描く 父子家庭における父親と娘の関係、DV、地下アイドル活動、JKリフレ(筆者はこれが何かは知らなかった)、母子家庭における青年の社会への反抗・反乱、芸能プロ・スカウトの異常さ(体の要求)など、現在の秋葉原を巡る様々な裏事情が登場 監督・脚本・編集・企画・製作を兼ねる若手の松本優作(兵庫県出身・1992~)が2015年から準備を始め、2017年に本初長編作品を完成 ロケ撮影はリアル秋葉原中心で行われた模様 聴覚障碍者に音を振動として届けるオンテナという上映方法も実施 終映後、松本監督、音楽のbenvox、撮影監督の岸健太郎(兼出演)、そして出演の來河侑希の4人がトークショーに登場
(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品
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