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2019年3月10日 (日)

3月3日~3月9日の週に観た劇場映画

3月3日(日曜)~3月9日(土曜)の週は、6本の劇場映画を観ました。グリーン・ブックはさすがに見応えのある作品でした。

320_20190314t022835818 ★★★グリーン・ブック ⇒本年の第91回アカデミー賞(2019年)作品賞、脚本賞そして助演男優賞を獲得 1962年米国ニューヨーク市から始まった実話を基にしているが、さすがに最後まであきさせずに観続けられる感動作になっている もちろん白人の視点から描かれており一方的だ、米国における黒人差別の過酷さが充分に描かれていないなどの批判はある 監督はドタバタ喜劇映画作品を得意としてきたファレリー兄弟の兄ピーター・ファレリー(ペンシルベニア州出身・1956~) 主役トニー・“リップ”・バレロンガ(1930~2013)をヴィゴ・モーテンセン(ニューヨーク市出身・1958~)が、共演のドクター・ドナルド・シャーリー(1927~2013)をマハーシャラ・アリ(カリフォルニア州出身・1974~)が演じる 1962年ニューヨーク市のカーネギー・ホールの上階に住み、大活躍中の天才黒人ピアニスト・ドン・シャーリーがまだ合法的な黒人差別が残る米国南部への演奏旅行をあえて企画 ブロンクス区在住で、ナイトクラブの用心棒だったトニーを、クラブが改装のため閉鎖中の間、運転手・同行者として雇う そういう意味では、最終盤のトニーの自宅でのクリスマス・イブのシーンまで米国南部を巡るロードムービーにもなっている モーテンセンは「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ(2001・2002・2003)の出演で知られているが、前作主演の「はじまりへの旅」(2016)の破天荒で野生人的な役より、本作の少し腹がだぶついているが直情的で荒っぽい役の方がより合っている アリは第89回アカデミー賞(2017)作品賞を獲得した「ムーンライト」(2016)で同賞助演男優賞を受賞しているが、本作で再び助演男優賞を授与された トニー・バレロンガの実子ニック・バレロンガ(ニューヨーク市出身・1959~)が脚本を担当している 無学のトニーに妻への手紙の書き方を指導するところ(伏線になっている)、公民権法(1964年)前夜の南部で同法を推進していたジョン・F・ケネディ第35代大統領(1917~1963)の実弟で司法長官だったロバート・ケネディ(1925~1968)が登場するところ、南部アラバマ州バーミンガムの公演会場でレストランに入場させてくれなかった2人が黒人専用のレストラン・バー・ライヴハウスで食事をし飛入り演奏をするところなどが、特に印象に残った 原題も"Green Book"で邦題どおり グリーン・ブックとはニューヨーク市の郵便集配人だったヴィクター・H・グリーン(黒人・1892~1960)により1936年から1966年の間に毎年出版されていた黒人が利用可能な施設を記したガイドブックのこと
空の瞳とカタツムリ ⇒若者たちの友情、性、潔癖症などについて、モラトリアム的な雰囲気を描いているのかもしれない 2人の主役女優縄田かのん(大阪府・1988~)と中神円(東京都・1992~)には、先が分かっていても知らないように演技するリアリズム演技が求められたらしい 体当たり演技をした2女優は終映後のトークショーに登壇し、劇場出口でのお見送りをしてくれたが、2人とも170cm近くの長身だった 映画館のシーンは群馬県高崎市にあるところでだったそうだ
ナポリの隣人(伊) ⇒イタリア・ナポリ生れで弁護士から小説家に転身したロレンツォ・マローネ(1974~)の原作小説"La tentazione di essere felici"="The temptation to be happy"=「幸せになる誘惑」を、ジャンニ・アメリオ監督(伊・1945~)が映画化 本作の原題は"La tenerezza"(伊)="The tenderness"=「優しさ、慈愛」で少し変えられている 本作の主役は元弁護士の老人で、原作者の名前ロレンツォのまま登場 妻を亡くした老人が娘や息子との関係に悩むなか、隣家に引っ越してきた一家との関係に心の安らぎを見出すが…
移動都市 モータル・エンジン ⇒英国ブライトン出身のSF小説家フィリップ・リーヴ(1966~)の同名原作小説(2001)の映画化 最終戦争で荒廃した地球上で、巨大で強力な移動都市が弱小都市を補食するという話だが、筆者はなかなか付いていけなかった 原題は"Mortal Engines"で原作どおりだが、直訳すると「殺人・補食機関」か
320_20190314t025522331岬の兄妹 ⇒大阪府出身の片山慎三監督(1981~)の初長編作品 数々の助監督経験を基に、1人で監督、脚本、製作、編集までこなした、意欲的な作品 2人とも障碍を持つ兄妹が必死に生きる姿を執拗に追う 兄は左足が不自由で、妹は発達障碍 妹は必然的に兄が嫌う売春的行動に走るが、女としての悦びや生活の糧などの現実がちらつく 自治体からの社会福祉関係の支援業務は、意識的に物語から除外しているようだ 独立系として製作しているため、10人程度の少数チームで三浦半島突端の三崎漁港を中心に四季折々にロケ撮影を敢行 片山監督は完成までに約2年を費やしたそうだ タイトルは当初「三崎の兄妹」だったそうだが、パソコンの誤変換で「岬の兄妹」が出てきてこの方がいいとなったらしい ロケ地は神奈川県三崎市の他に横須賀市、川崎市か

デッドエンドの思い出(韓・日) ⇒東京都文京区出身の小説家・吉本ばなな(旧筆名:よしもとばなな・1964~)の同名原作小説(2003)の映画化 韓国の女流監督チェ・ヒョンヨン(1988~)の初長編作品(兼脚本) 韓国の元アイドルと日本の若手男優を主役として起用し、ぼぼ全編名古屋市内でロケ撮影 驚きと悲しみから話は始まるが、その後は終始ほのぼのとした雰囲気に 原題は"Memories of a Dead End"=「行き止まりの思い出」で、邦題どおり

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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