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2019年3月の5件の記事

2019年3月31日 (日)

3月24日~3月30日の週に観た劇場映画

3月24日(日曜)~3月30日(土曜)の週は、7本の劇場映画を観ました。議論百出のテーマが多かったような気がします。

まく子 ⇒直木賞小説家・西加奈子(1977~)の児童向け同名原作小説を長野県上田市出身の若手女流監督の鶴岡慧子(1988~)が映画化(兼脚本) 西はイランの首都テヘラン生れで、エジプト・カイロそして大阪府和泉市育ち 温泉旅館の息子である11歳の少年が思春期を迎え、そこに謎の美少女が転入してくる 彼女との係わりの中で、次第に大人になっていく様をファンタジー的に描く タイトルの「まく子」は子供たちが落葉を空に向かって撒くことからか… ロケ地は主として群馬県中之条市であり、北方向の道路の行止りにある四万(しま)温泉の旅館・温泉街、廃小学校、加えて渋川市内も使われたようだ
320-20190407t095457677新宿タイガ ⇒新宿で劇場映画を鑑賞していると、たまにタイガーマスクのお面を被って、ピンク色中心のド派手な衣装をした人物に出会う それが新宿タイガーで、本作はそのドキュメンタリー 新宿タイガーの本名は原田吉郎(1948~)で、長野県出身 上京後大学2年で中退し、40年間以上新宿で朝日新聞の新聞配達員をしながら、美女と映画とロマン(夢)を求めて自由に暮らす 実家は弟に任せて、新宿ゴールデン街で女優達と飲み、劇場映画を年間数100本観るそうだ 一つ質問があるのは、新宿タイガーはなぜいつも生ビールばかり飲んでいるだろうか…
ふたりの女王 メアリーとエリザベス(英) ⇒原題は"Mary Queen of Scots"=「スコットランド女王メアリー」であり、"Queen of Scots"は親しみを込めた呼び方らしい 原題にあるように、本作は史実に基づいたスコットランドのメアリー女王(メアリー・ステュアート:1542~1587、在位:1542~1567)を中心とした話 1561年にメアリーが夫のフランス国王が死去したため、フランスからスコットランドに帰国したところから話が始まる イングランドでは自身の離婚のためにカトリックを捨てプロテスタント(英国国教会)となった国王ヘンリー8世(1491~1547、在位:1507~1547)の次女が弟と姉の死により王位を継いでいた これがイングランド女王エリザベス1世(1533~1603、在位:1558~1603) エリザベス1世は父ヘンリー8世が再婚した侍女アン・ブーリン(1501頃~1536)の子(庶子)だったため、ヘンリー8世の姉の直系の孫であったメアリーが王位継承権を主張することから、常に両女王は緊張関係にあった 政略結婚、政権奪取のための殺人などの権謀術数に加えて、プロテスタントとカトリックの争いもありスコットランドは混沌となる 1568年にメアリーは結局エリザベスの庇護の下に走るが、1587年に処刑される エリザベス1世は生涯独身だったため、その死後スコットランド国王であったメアリーの嫡子がイングランド国王ジェームズ1世(1566~1625、在位:1603~1625)となった これ以降イングランドとスコットランドは国王を同一とする連合体制となった ジェームズ1世の子孫が現在の英国王室まで続いている 英国王室の歴史は欧州大陸の各国とも密接に関係しており複雑 また当時は天然痘など不治の病が流行っていたため、国王も含めて人々は概して早世 エリザベスは天然痘に罹ったが奇跡的に治癒したらしい
320-20190407t095221089金子文子と朴烈(パクヨル)(韓) ⇒実在の日本人・金子文子(1903~1926)と朝鮮人・朴烈(パクヨル・1902~1974)の史実に基づいた作品 文子は神奈川県横浜市生まれだが、両親に見捨てられ9歳から16歳まで母方祖父母の養子として朝鮮半島で惨めに暮らす 彼女は帰国後1920年に上京し、1922年に朴烈に出会う 朴烈は本名が朴準植(ジュンシュク)で、大韓帝国慶尚北道で生まれ、1919年の三・一運動(日本からの朝鮮半島独立運動)後来日し、社会主義・無政府主義(アナーキズム)を信奉 両人は意気投合、契約結婚し、大正時代の言論統制が厳しい時代に無政府主義の不遜社(ふていしゃ)を結社 しかし、1923年9月1日に関東大震災が発生し情況が一変 皇居に押し寄せる民衆の不満をそらすため、日本政府、水野練太郎内務大臣(1968~1949)は在日朝鮮人が井戸に毒を混入していると吹聴 故に1年間で自警団が日本全国で数千人以上の朝鮮人を殺害したとされる またさらにこれを目くらますために、治安警察法により朴烈らの仲間を逮捕 文子も自ら逮捕され、2人は皇太子(後の昭和天皇・1901~1989)を爆弾で暗殺する計画があったとし、大逆事件となった 1926年3月に裁判では2人はともに死刑となるが、公判では日本人は自分で考えて自分で選択・決断していないと天皇制を批判 しかし、結局皇室からは恩赦の要請があり同年4月に2人は無期懲役に減刑 文子は獄中で原因不明のまま同年7月に獄死 2人を弁護した人権派弁護士・布施辰治(宮城県出身・1880~1953)がいたことにも言及したい 文子には後に出版された歌集と自伝があり、文子と布施には大韓民国建国勲章が叙勲された 朴烈は戦後1945年に釈放され朝鮮半島に戻った(彼には転向に次ぐ転向の批判あり) 史実では、1894~1895年の日清戦争で日本が清国に勝利したため、李氏朝鮮は清国から独立し1897年に大韓帝国となる 1910から1945年まで朝鮮半島は日本の植民地(日韓併合)となったが、その間に朝鮮半島の三・一運動や日本の関東大震災後の混乱などで、多くの朝鮮人が迫害・虐待され殺害されたのではないだろうか 朝鮮半島の人々がこれらに対し日本を恨むのは理解できなくもないが、1636~1637年の丙子の乱以降1895年まで清国の冊封国として250年以上酷い扱いを受けてきたことには無関心なのは理解しがたい この間李氏朝鮮の国王が毎年清国の使者に対し三跪九叩頭の礼(さんききゅうこうとうのれい:土下座し3回地面に額を打ち付ける礼を3度行う儀礼)を行い、朝鮮は清国に毎年多額の朝貢や女性の姓奴隷を贈っていたとされる 太平洋戦争(1941~1945)末期の1945年8月に米国が広島と長崎に核爆弾攻撃をして、両者合わせて20万人前後の人々(日本国民と朝鮮人民)が虐殺されたことについて、日本及び日本人が真剣に継続的に米国批判・攻撃しないことと同じかもしれない それにしても北朝鮮は大正時代から戦前の日本によく似ていると思う 言論統制がよく効いているし、優生保護法も完璧に施行されているのではないか…
ウトヤ島、7月22日(ノルウェー) ⇒2011年7月22日に治安が安定した北欧の福祉国家として知られるノルウェーで卑劣で悲惨なテロ事件が発生 午後3時7分にオスロ中心部の政府庁舎前で白いワゴン車積載の爆弾が炸裂し8人が死亡 同一犯人が午後5時6分にオスロから約40km離れた小島・ウトヤ島に上陸し銃乱射 ノルウェー労働党青年部のサマー・キャンプに参加していた10代の若者たちなど69人を射殺 本作ではウトヤ島での乱射シーンを72分間のワン・カットで描く 島の森林の中を逃げ回る若者たちの視点で撮影されており、銃撃者の姿が一切見えないのが恐怖を増幅する それにしてもこの混乱の中でなぜこんなにも携帯電話に頼るのか… 原題は"Utoya 22. juli"(ノルウェー)で邦題どおり

サンセット(ハンガリー・仏) ⇒「サウルの息子」(2015)で一躍有名になった、ハンガリー首都ブタペスト出身のネメシュ・ラースロー監督(1977~)の長編第2作(兼脚本) 第一次世界大戦前夜の1913年に両親の残した高級帽子店で働くためブタベストに来たヒロインが、実兄もからんだ、対貴族の殺人事件、テロ、暴動に巻き込まれる 春眠のため緊張が続かず 原題は"Napszallta"(ハンガリー)="Eventide, Evening"=「夕方、夕暮れ」
ROMA ローマ(墨・米) ⇒原題も"Roma"だが、メキシコの首都メキシコシティのコロニア・ローマというらしい地区に住む白人一家と家政婦(メイド)たちの1年間(冒頭と終盤に同じ楽団が道路を行進するので1年が経過したと想定)を描写 話題を呼んだ作品「ゼロ・グラビティ」(2013)のアルフォンソ・キュアロン監督(メキシコ・メキシコシティ出身・1961~)が監督・製作・脚本・撮影・編集の5役 今年2019年の第91回アカデミー賞作品賞候補 全編白黒(モノクロ)で、先住民系メイドの一人が主人公のよう 年代は1970年から1971年らしく、英国の歌手メリー・ホプキン(1950~)が歌う「悲しき天使」(1968)が流れていた メイドがプレイボーイの男に妊娠させられたり、街中のテロ・暴動に巻き込まれたり(カラーだと目を背けただろう)、メイドが死産したり、一家の女の子が海岸で溺れかけたり、一家の主人が家を出たり等々、いろいろなことが起きる しかし、メイドも含め母親を中心とした一家はしぶとく再出発

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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2019年3月24日 (日)

3月17日~3月23日の週に観た劇場映画

3月17日(日曜)~3月23日(土曜)の週は、10本の劇場映画を観ました。B級作品にも面白く、興味深いものがありました。

たちあがる女(アイスランド・仏・ウクライナ) ⇒アイスランドの独身女性環境活動家が、待望の養子縁組が成立し米国に渡ることになったことで、地元のアルミニウム精錬工場と原発に最後の決戦を挑む 彼女が走り回る広漠たるアイスランドの自然が印象的 最後には彼女はついに逮捕・投獄されるが… 彼女が決意した行動に移る時にはトリオの楽団が現れてリズム演奏するのも面白い 原題は"Woman at war"=「戦争状態の女」か
320-20190324t093118075ラストタンゴ・イン・パリ 4Kデジタル・リマスター版(伊・仏) ⇒1972年にイタリアのベルナルド・ベルトルッチ監督(1940~2018)が製作(兼脚本) 彼が昨年亡くなったことから、4Kデジタル・リマスター版で緊急追悼上映 ベルトリッチ監督は「ラストエンペラー」(1987・伊・英・中)で第60回アカデミー賞(1988)で作品賞、監督賞、撮影賞など9部門を席捲したことで有名 フランス・パリで妻を自殺で亡くしたホテル経営者の中年米国人男性と結婚を控えた独身フランス女性の間の短期間のアフェアーを描く 「ゴッドファーザー」(1972)のマーロン・ブランド(ネブラスカ州出身・1924~2004)が主役 アナル・セックスを想起させるシーンもあり、撮影は大変だったらしいし そのためかイタリアでは公開後4日目に上映禁止になったり、日本では一部カットになったりしたそうだ 原題は"Last Tango in Paris"=「パリでの最後のタンゴ」か
イップ・マン外伝 マスターZ(香・中) ⇒久々に香港発の本格的中国拳法・マーシャルアーツ主体の作品を観た 1960年代の香港で、拳法の主流派争いに負け拳法を封印した主人公と麻薬密売犯罪組織との争いを描く 原題は「葉問外傳 張天志 Master Z: Ip Man Legacy」(中・英)=「葉問を外れた伝記 張天志 イップ・マンの遺産:マスターZ」か
サッドヒルを掘り返せ(西) ⇒映画のロケ地・聖地巡礼からロケ地発掘・復元にまで至った話に関するドキュメンタリー作品 問題の映画作品はマカロニ・ウエスタン(英語ではスパゲッティ・ウエスタンと言うそうだ)の傑作「続・夕陽のガンマン」(伊・1966) この作品の監督はセルジオ・レオーネ(伊・1929~1989) 原題は"Il buono, il brutto, il cattivo"(伊)="The Good, The Bad and The Ugly"=「善玉、悪玉、卑劣漢」だが、邦題はなぜか当初「続・夕陽のガンマン 地獄の決斗」 米国と日本での公開は翌年1967年 「続・夕陽のガンマン」の最後のクライマックス・シーンがサッドヒルという広大な墓地での三角決斗 このサッドヒルのロケは1966年夏にスペインの首都マドリッドの北方約250kmにあるブルゴス郊外のミランディージャ渓谷で行われた 2014年に4人で始めたサッドヒルの発掘・復元作業は欧州中から賛同者を得て、当時数百人のスペイン軍兵士によって造られた5,000基の墓標のうち2,000基を復元 2016年に現地でロケ撮影50周年記念イベントが催され、音楽担当のエンニオ・モリコーネ(伊・1928~)や主演のクリント・イーストウッド(1930~)がビデオ・メッセージを寄せた 原題は"Sad Hill Unearthed"=「サッド・ヒル発掘」
君は月夜に光り輝く ⇒京都府出身の小説家・佐野徹夜(1987~)の処女作「君は月夜に光り輝く」(2017)の映画化 「君の膵臓をたべたい」(2017)の月川翔監督(1982~)が若手人気俳優永野芽衣(東京都・1999~)と北村匠海(たくみ・東京都・1997~)を主演に起用 発光病という架空の不治の病にかかり、外出できないヒロインが、いろいろと屋外での代行を頼むというのが大筋 スマホを使ってライブ中継するという今風の道具も登場 ヒロインの病室が一流ホテルのスイート・ルーム位の広さ・設備なのが少し違和感 男同士でロミオとジュリエットを演じるのは新鮮 昨年2018年10月から11月にかけて撮影が行われたロケ地は各地にわたっており、学校は栃木県足利市、病院は富山県射水市、葬儀は東京都江東区、遊園地は練馬区のとしまえんと稲城市のよみうりランド、モールは江東区お台場のヴィーナス・フォート、バンジージャンプは茨城県常陸太田市の竜神大吊橋などか

クロガラス1 ⇒時間つなぎで観た、エイベックス製作のB級作品 東京・新宿歌舞伎町でホストクラブがらみの金にまつわるトラブルを、有料で解決する解決屋の何でもありの活動を描く それなりに面白い 2.5次元舞台俳優の崎山つばさ(千葉県出身・1989~)の初主演作品らしい 2.5次元俳優とは2次元の漫画、アニメ、ゲームなどの原作のキャラクターを、3次元の舞台で演じる俳優のことのようだ
九月の恋と出会うまで ⇒石川県金沢市出身のSF・推理小説家・松尾由美の同名原作小説(2007)を映画化 主演は高橋一生(東京都・1980~)と川口春奈(長崎県出身・1995~) 基本的にはハッピー・エンドの話だが、タイムトラベルを扱っているので、1年間の出来事が入り組みながら進行するので、少々複雑であり時々訳が分からなくなる ロケ撮影は昨年2018年春に、埼玉県飯能市をメインとして、神奈川県横浜市・相模原市・藤沢市・茅ヶ崎市、東京都港区・江東区などで行われたようだ
サタデーナイト・チャーチ 夢を歌う場所 ⇒米国ニューヨーク市の教会にLGBT(性的少数者)の人々を支援する土曜日の集会があることは知らなかった 本作は新鋭監督が自身も参加したそういう活動を基に、ニューヨーク市ブロンクス区を舞台に母子家庭で育つ黒人少年の性的少数者としての苦悩をミュージカル仕立てで描く 原題は単に"Saturday Church"=「土曜日の教会」
バンブルビー ⇒映画「トランフォーマー」シリーズ(これまで5作・2007~2017)の最新作 バンブルビーがなぜ地球に来たかを明かす 主役の少女を、筆者の大好きな作品「トゥルー・グリット」(2010)で一躍有名になったヘイリー・スタインフェルド(カリフォルニア州出身・1996~)が演じる 残念ながら相変わらす空中戦ばかりで、何が何だか… エンド・クレジットに登場するVFX担当は200~300人で少ない方か 原題は"Bumblebee"=「マルハナバチ(丸花蜂)」
320-20190324t092557596▼▼Bの戦場 ⇒「B」とは「BUSU(ブス)」のこと 本作はブスへの福音か救済か 原作があり、ゆきた志旗(しき・埼玉県在住以外は詳細不明)のコミック「Bの戦場」シリーズ(2016~2019・6巻)がそう 映画化は吉本興業の100%子会社KATSU-doが製作 吉本がらみのためか、辛辣な表現が満載だが、ユーモアもお笑いもオチも散りばめてあり、真剣に面白い 「絶世のブス」(「霊長類最強のブス」という表現もあった)の主人公に吉本の2人組女性お笑いコンビ「ガンバレールヤ」のボケ担当よしこ(愛知県豊田市出身・1990~)を起用 彼女はホテルのベテラン・ウェディングプランナーで、2人のイケメン男性に好意を寄せられる 結婚式・披露宴の企画・実施に関してもいろいろなドタバタ、トラブルもありあきさせない ロケ地は、メインのホテルが埼玉県さいたま市にあるホテル・ブリランテ武蔵野 他に所沢市の西武園ゆうえんち、神奈川県横浜市、東京都立川市・中央区など

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2019年3月17日 (日)

3月10日~3月16日の週に観た劇場映画

3月10日(日曜)~3月16日(土曜)の週は、4本の劇場映画を観ました。

320_20190318t160518252運び屋 ⇒本作は2011年に米国で摘発された、メキシコ最大の犯罪組織(カルテル)がメキシコからミシガン州デトロイトまで麻薬密輸した事件を題材にしている 87歳の高齢者が大量のコカインを運んでいたことから、米国では大ニュースになったそうだ 米国カリフォルニア州サンフランシスコ出身のクリント・イーストウッド(1930~)が監督・製作・主演の3役をこなした 彼が監督・製作・主演を兼ねるのは10年振り 本作では2005年に主人公(イーストウッド)がイリノイ州ピオリアで家族を顧みずデイ・リリーの栽培にうつつを抜かすところから始まる 2017年にデイ・リリー農園の経営が行き詰まるが、ひょんなことから運び屋の仕事に係わる 大金を手にした主人公は在郷軍人クラブの再開に手を貸し、盛大なパーティの主人公に 2回目の運び屋の時にはボロ・トラックがリンカーンの新車ピックアップに代わっている 9回目が成功した後には、メキシコにあるカルテルの親分の大豪邸に招かれる さすがに10回目には米国FDA(食品医薬局)に摘発される FDAの捜査員を「アメリカン・スナイパー」(2014)、「アリー スター誕生」(2018)のブラッドリー・クーパー(1975~)が演じる 主人公は退役軍人なのでカルテルの連中にも気後れしないところや下ネタ連発も見物 原題は"The Mule"=「ラバ」 「ラバ」は雄のロバと雌の馬の交雑種で主に荷役用の家畜であることから、「運び屋」という意味になるようだ ロバと馬はウマ科ウマ属までが同じでも種が違うので、その交雑種のラバは不妊種だそうだ 最近イスラエル人の歴史学者ユヴァアル・ノア・ハラリ(1976~)著の「サピエンス全史」(2011)を読んでいるが、ホモ・サピエンス(人類)とネアンデルタール人はロバと馬の関係と同じらしい ヒト科ホモ(ヒト)属だが種が異なるため、両者の交雑種は産まれないか、産まれても不妊とのことだ
きばいやんせ!私 ⇒鹿児島県南大隅町の御崎祭りがメイン・テーマ 不倫でメインMCを外された東京のテレビ局女性アナウンサーが幼少時代に住んだことのある南大隅町でキャリアを再構築 「百円の恋」(2014)や「嘘八百」(2018)で名コンビを組んだ武正晴監督(愛知県出身・1967~)と脚本の足立伸(鳥取県出身・1972~)が再タッグ 「きばいやんせ」は鹿児島弁(方言)で「頑張って、頑張りなさい」という意味らしいが、京都弁の「お気張りやす」と同じ意味かもしれない 九州最南端の佐多岬を含む南大隅町でのロケは昨年2018年3~4月に行われた模様
320_20190318t160530437シンプル・フェイバー ⇒米国ニューヨーク市郊外の、多分コネチカット州西部の街で、普通は親友にはならない間柄の2人の母親ステファニーとエミリーが、子供たちの関係からママ友になったことから始まる、真にお洒落なサスペンス・ノワール ステファニーは料理ブログ動画で生活する母子家庭の母親で、エミリーはニューヨーク市のファッション会社広報部長のキャリア・ウーマン 好意の増幅が増していくところに、普通の小さなトラブルがだんだん大きな疑惑を生み、最後には思いもしない展開に ステファニーを筆者も好きな、「ピッチ・パーフェクト」シリーズ(2012・2015・2017)のアナ・ケンドリック(メイン州出身・1985~)が、エミリーをブレイク・ライブリー(カリフォルニア州ロサンゼルス市出身・1987~)が演じる 178cmと長身のライブリーと小柄なケンドリックの組合せも面白い 原題は"A Simple Favor"で、意訳すると「ちょっとしたお願い」か
キャプテン・マーベル ⇒マーベル・コミックとその親会社ディズニーの作品 アヴェンジャーズ・シリーズの1作らしい 相変わらず皆が空・宇宙を飛びまくっている 本作は公開を控えている「アヴェンジャーズ エンドゲーム」(2019)に継続されるようだ どう考えても本作などの製作は、1,000人以上も抱えているVFXスタッフの雇用維持のためのように思える

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2019年3月10日 (日)

3月3日~3月9日の週に観た劇場映画

3月3日(日曜)~3月9日(土曜)の週は、6本の劇場映画を観ました。グリーン・ブックはさすがに見応えのある作品でした。

320_20190314t022835818 ★★★グリーン・ブック ⇒本年の第91回アカデミー賞(2019年)作品賞、脚本賞そして助演男優賞を獲得 1962年米国ニューヨーク市から始まった実話を基にしているが、さすがに最後まであきさせずに観続けられる感動作になっている もちろん白人の視点から描かれており一方的だ、米国における黒人差別の過酷さが充分に描かれていないなどの批判はある 監督はドタバタ喜劇映画作品を得意としてきたファレリー兄弟の兄ピーター・ファレリー(ペンシルベニア州出身・1956~) 主役トニー・“リップ”・バレロンガ(1930~2013)をヴィゴ・モーテンセン(ニューヨーク市出身・1958~)が、共演のドクター・ドナルド・シャーリー(1927~2013)をマハーシャラ・アリ(カリフォルニア州出身・1974~)が演じる 1962年ニューヨーク市のカーネギー・ホールの上階に住み、大活躍中の天才黒人ピアニスト・ドン・シャーリーがまだ合法的な黒人差別が残る米国南部への演奏旅行をあえて企画 ブロンクス区在住で、ナイトクラブの用心棒だったトニーを、クラブが改装のため閉鎖中の間、運転手・同行者として雇う そういう意味では、最終盤のトニーの自宅でのクリスマス・イブのシーンまで米国南部を巡るロードムービーにもなっている モーテンセンは「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ(2001・2002・2003)の出演で知られているが、前作主演の「はじまりへの旅」(2016)の破天荒で野生人的な役より、本作の少し腹がだぶついているが直情的で荒っぽい役の方がより合っている アリは第89回アカデミー賞(2017)作品賞を獲得した「ムーンライト」(2016)で同賞助演男優賞を受賞しているが、本作で再び助演男優賞を授与された トニー・バレロンガの実子ニック・バレロンガ(ニューヨーク市出身・1959~)が脚本を担当している 無学のトニーに妻への手紙の書き方を指導するところ(伏線になっている)、公民権法(1964年)前夜の南部で同法を推進していたジョン・F・ケネディ第35代大統領(1917~1963)の実弟で司法長官だったロバート・ケネディ(1925~1968)が登場するところ、南部アラバマ州バーミンガムの公演会場でレストランに入場させてくれなかった2人が黒人専用のレストラン・バー・ライヴハウスで食事をし飛入り演奏をするところなどが、特に印象に残った 原題も"Green Book"で邦題どおり グリーン・ブックとはニューヨーク市の郵便集配人だったヴィクター・H・グリーン(黒人・1892~1960)により1936年から1966年の間に毎年出版されていた黒人が利用可能な施設を記したガイドブックのこと
空の瞳とカタツムリ ⇒若者たちの友情、性、潔癖症などについて、モラトリアム的な雰囲気を描いているのかもしれない 2人の主役女優縄田かのん(大阪府・1988~)と中神円(東京都・1992~)には、先が分かっていても知らないように演技するリアリズム演技が求められたらしい 体当たり演技をした2女優は終映後のトークショーに登壇し、劇場出口でのお見送りをしてくれたが、2人とも170cm近くの長身だった 映画館のシーンは群馬県高崎市にあるところでだったそうだ
ナポリの隣人(伊) ⇒イタリア・ナポリ生れで弁護士から小説家に転身したロレンツォ・マローネ(1974~)の原作小説"La tentazione di essere felici"="The temptation to be happy"=「幸せになる誘惑」を、ジャンニ・アメリオ監督(伊・1945~)が映画化 本作の原題は"La tenerezza"(伊)="The tenderness"=「優しさ、慈愛」で少し変えられている 本作の主役は元弁護士の老人で、原作者の名前ロレンツォのまま登場 妻を亡くした老人が娘や息子との関係に悩むなか、隣家に引っ越してきた一家との関係に心の安らぎを見出すが…
移動都市 モータル・エンジン ⇒英国ブライトン出身のSF小説家フィリップ・リーヴ(1966~)の同名原作小説(2001)の映画化 最終戦争で荒廃した地球上で、巨大で強力な移動都市が弱小都市を補食するという話だが、筆者はなかなか付いていけなかった 原題は"Mortal Engines"で原作どおりだが、直訳すると「殺人・補食機関」か
320_20190314t025522331岬の兄妹 ⇒大阪府出身の片山慎三監督(1981~)の初長編作品 数々の助監督経験を基に、1人で監督、脚本、製作、編集までこなした、意欲的な作品 2人とも障碍を持つ兄妹が必死に生きる姿を執拗に追う 兄は左足が不自由で、妹は発達障碍 妹は必然的に兄が嫌う売春的行動に走るが、女としての悦びや生活の糧などの現実がちらつく 自治体からの社会福祉関係の支援業務は、意識的に物語から除外しているようだ 独立系として製作しているため、10人程度の少数チームで三浦半島突端の三崎漁港を中心に四季折々にロケ撮影を敢行 片山監督は完成までに約2年を費やしたそうだ タイトルは当初「三崎の兄妹」だったそうだが、パソコンの誤変換で「岬の兄妹」が出てきてこの方がいいとなったらしい ロケ地は神奈川県三崎市の他に横須賀市、川崎市か

デッドエンドの思い出(韓・日) ⇒東京都文京区出身の小説家・吉本ばなな(旧筆名:よしもとばなな・1964~)の同名原作小説(2003)の映画化 韓国の女流監督チェ・ヒョンヨン(1988~)の初長編作品(兼脚本) 韓国の元アイドルと日本の若手男優を主役として起用し、ぼぼ全編名古屋市内でロケ撮影 驚きと悲しみから話は始まるが、その後は終始ほのぼのとした雰囲気に 原題は"Memories of a Dead End"=「行き止まりの思い出」で、邦題どおり

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2019年3月 3日 (日)

2月24日~3月2日の週に観た劇場映画

2月24日(日曜)~3月2日(土曜)の週は、8本の劇場映画を観ました。不思議な作品に出会いました。結構「春眠暁を覚えず」の状態になりました。

ファースト・マン ⇒米国NASA(米国航空宇宙局)のアポロ計画の下、1969年7月にアポロ11号で人類最初の有人月面着陸に成功したニール・アームストロング船長(1930~2012)の半生を描く 米国の大学教授(歴史)ジェームズ・R・ハンセンの原作伝記小説「ファースト・マン:ニール・アームストロングの生涯」(2005)の映画化 「セッション」(2014)と「ラ・ラ・ランド」(2016)のデイミアン・チャゼル監督(ロードアイランド州出身・1985~)が主役に「ラ・ラ・ランド」でも組んだライアン・ゴズリングを起用して製作 アポロ計画はジョン・F・ケネディ大統領(1917~1963・任期:1961~1963)が主導したもので、1961年から1972年にかけて実施 今とは比べものにならない未熟なコンピューターや宇宙船で、宇宙飛行士の優れた操縦技術により6回の有人月面着陸を成功させた 訓練中などで様々なトラブルが発生し何人もの宇宙飛行士の命が失われた 撮影は主にジョージア州アトランタのオープン・セットで行われたが、テキサス州ヒューストンのケネディ宇宙センターとカリフォルニア州のエドワーズ空軍基地も使われた 原題も"First Man"
THE GUILTY ギルティ(デンマーク) ⇒スウェーデンの新鋭監督グスタフ・モーラー(1988~)の初長編作品 全編ほぼ電話受付の緊急指令室(日本の110番的なものか)だけのシーンで、電話を介した会話だけで物語が展開するサスペンス作品 事情があって電話受付の仕事に回されている警官と誘拐されたとする主婦との会話から意外な事実が 原題は"Den skyldige"(デンマーク)="The guilty"=「犯人」
十二人の死にたい子供たち ⇒「天地明察」(2009・映画:2012)の冲方丁(うぶかた・とう)(岐阜県出身・1977~)の同名原作ミステリー小説を「人魚の眠る家」(2018)の堤幸彦監督(三重県生れ・1955~)が映画化 筆者には進行が平板だったので、途中から記憶が曖昧 ロケは群馬県藤岡市にある公立藤岡総合病院の廃病院 この病院は2017年暮に移転したので、通電し設備もそろったままの幸運なロケ地で2018年冬に撮影された模様
320_20190303t093930201ビール・ストリートの恋人たち ⇒原題は"If Beale Street Could Talk"で、邦題は意訳されているが、直訳すると「もしビール・ストリートが話せたら」か 米国の小説家ジェイムズ・ボールドウィン(ニューヨーク市ハーレム出身・1924~1987)の同名原作小説(1974・新和訳本2019出版あり)の映画化 ビール・ストリートはテネシー州メンフィス中心街にある通りで、アフリカ系米国人の音楽・ブルースの聖地 本作はニューヨーク市のハーレムが舞台で、19歳のヒロインと22歳の青年の純粋で瑞々しい恋愛を描くが、同時に当時の白人警官の黒人に対する差別的・犯罪的な扱いや、黒人がいかに住居を借りるのが難しかったかが登場する 「ムーンライト」(2016)で第89回アカデミー賞(2017)作品賞・脚本賞を獲得した黒人監督バリー・ジェンキンス(フロリダ州出身・1979~)が製作(兼脚本) 本作ではヒロインの母親役を演じたレジーナ・キング(カリフォルニア州出身・1971~)が第91回アカデミー賞(2019)助演女優賞を受賞 ボールドウィンはキング牧師ことマーティン・ルーサー・キング・ジュニア(ジョージア州出身・1929~1968)とともに公民権運動にも参加した 本作製作陣には、米国IT企業大手のオラクルの創業者ラリー・エリソン(ニューヨーク市出身・1944~)の娘で、アンナプルナ・ピクチャーズ創始者のミーガン・エリソン(カリフォルニア州出身・1986~)、そしてプランBエンターテインメントの所有者・ブラッド・ピット(オクラホマ州出身・1963~)が製作総指揮者として名を連ねている
劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズ ⇒アニメではあるが、ランキング上位で人気があるようなので鑑賞 ストーリーは他愛ないと思うが、「もっこり」などが度々登場しかなりエッチ 2、3度缶ビールを飲むシーンがあるが、ブランドはいずれもサントリー・プレミアム・モルツ アニメにもプロダクト・プレイスメントがあるのだろうか 終盤の戦闘シーンは新宿遊園(新宿御苑のもじりか)が舞台だが、かようにも破壊していいものか…

320_20190303t093848208 ▼▼翔んで埼玉 ⇒恐らく結構な製作費をかけたと思うが、出来上がりは壮大なB級作品 「バタリロ!」シリーズ(1978~)で有名らしい新潟市出身の漫画家・魔夜峰央(1953~)の同名原作漫画(1982・1983)の映画化 現在は神奈川県横浜市に住む魔夜が、新潟市から一時埼玉県所沢市に転居し、結果編集者の近くに住むことになり、追い詰められて制作した作品らしい 原作に現代の内容を加えて、現在の感覚に近い作品としている 埼玉県を徹底的に揶揄し罵倒する流れとなっているが、逆に自虐ネタとして面白くかえって埼玉県礼賛にもなっているか 監督は、「テルマエ・ロマエ」シリーズ(2012・2014)と「今夜、ロマンス劇場で」(2018)の武内英雄(千葉県出身・1966~) エンド・クレジットに流れる、実は埼玉県春日部市生まれのはなわ(1976~)の主題歌「埼玉県のうた」(2019)は爆笑もの 終映後若者中心の観客席からは拍手が沸き上がった ロケ撮影は、昨年2018年4月~5月に東京都、神奈川県、茨城県、群馬県、埼玉県、栃木県など広域首都圏各地でだったようだ
あの日のオルガン ⇒久保つぎこ(神奈川県出身・1943~)の原作小説「あの日のオルガン 疎開保育園物語」(2018)を、平松恵美子監督(岡山県出身・1967~)が映画化(兼脚本) 日に日に空襲が激しくなる太平洋戦争(1941~1945)末期の1944年に、東京都品川区の戸越保育園が独自に他1ヶ所の園とともに保育士11人、未就学児童53人の集団疎開を検討 埼玉県蓮田市に無人の荒れ寺を見付け、そこに集団疎開 疎開保育園を開園し、未就学児童53人全員の命を守ったことを描く ご存じのとおり1945年3月10日に米軍爆撃機が東京を大空襲・爆撃 多数の未就学児童を含む約10万人の人々が亡くなった ロケ地は京都太秦の松竹撮影所、京都府亀岡市の丹波国分寺などのようだ
Noise ノイズ ⇒2008年6月8日に発生した東京の秋葉原無差別殺傷事件に直接・間接に影響を受けた若者たちの苦悩と闇を描く 父子家庭における父親と娘の関係、DV、地下アイドル活動、JKリフレ(筆者はこれが何かは知らなかった)、母子家庭における青年の社会への反抗・反乱、芸能プロ・スカウトの異常さ(体の要求)など、現在の秋葉原を巡る様々な裏事情が登場 監督・脚本・編集・企画・製作を兼ねる若手の松本優作(兵庫県出身・1992~)が2015年から準備を始め、2017年に本初長編作品を完成 ロケ撮影はリアル秋葉原中心で行われた模様 聴覚障碍者に音を振動として届けるオンテナという上映方法も実施 終映後、松本監督、音楽のbenvox、撮影監督の岸健太郎(兼出演)、そして出演の來河侑希の4人がトークショーに登場

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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