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2019年5月19日 (日)

5月12日~5月18日の週に観た劇場映画

5月12日(日曜)~5月18日(土曜)の週は、10本の劇場映画を観ました。スーパーヒーロー・ファンタジー・アクション作品にいいものがありました。

ドント・ウォーリー ⇒米国オレゴン州生まれの風刺漫画家ジョン・キャラハン(1951~2010) 彼は8歳の時に女性教師から受けた性的虐待がきっかけで、12歳からアルコール乱用になり、さらに21歳の時に自動車事故で下半身麻痺となり電動車椅子生活 27歳の時に禁酒しアル中を脱却し風刺漫画家生活に入る 彼の自伝小説"Don't Worry, He Won't Get Far on Foot"=「心配無用、彼は徒歩では遠くに行けない」(1989・邦訳なし)をガス・ヴァン・サント監督(ケンタッキー州出身・1952~)が映画化 俳優ロビン・ウィリアムス(イリノイ州出身・1951~2014)が1994年にこの映画化権を獲得していたが、彼の死去で主演をホアキン・フェニックス(米国プエルトリコ出身・1974~)に代えて製作 ロケ地はキャラハンが後年実際に住んでいたオレゴン州ポートランド市とカリフォルニア州ロサンゼルス市など アマゾン作品で、原題はキャラハンの自伝小説と同じ
RBG 最強の85才 ⇒「ビリーブ 未来への大逆転」(2018・日本公開2019)で詳しく描かれた現米国最高裁判事のルース・ベイダー・ギンズバーグ(Ruth Bader Ginsburg:RBG・1933~)に関するドキュメンタリー 彼女はニューヨーク市ブルックリン区の貧しいユダヤ人家庭に生まれたが、コーネル大、ハーバード大、そしてコロンビア大で苦学し、その後男女平等を確保するための裁判に取り組んだ 米国女性の権利保障・拡大は彼女によって達成されたと言ってもかまわない 娘のジェーン・ギンズバーグ(ニューヨーク州出身・1955~)のインタビュー中心に進行するが、民主党系の元大統領のジミー・カーター(ジョージア州出身・1924~)、ビル・クリントン(アーカンソー州出身・1946~)、そしてバラク・オバマ(ハワイ州出身・1961~)の3氏も登場 原題は単に"RBG" 女性で3文字で呼ばれる人物は珍しいらしい
320-20190524t233314566シャザム! ⇒DCコミックスの新しい形のヒーロー 終盤の場面には初代ヒーローのスーパーマンの影も 基本的には勧善懲悪のファンタジー・アクション作品だが、親子兄弟の断絶・母子家庭の問題・家族愛・養子里親家庭の課題などファミリーを扱う作品にもなっている 1974年の米国ニューヨーク州北部をドライブする70年代風大型セダンの疾走映像から始まり、舞台は現代のペンシルベニア州の州都フィラデルフィアに移る VFXの技術者は割と少なく100人規模 続編も匂わすような終わり方 原題は"Shazam!" この名は神話伝説の神々の名前から採っているという話もあるが、もう感動詞(感嘆詞)にもなっているというような指摘もある
僕に、会いたかった ⇒島根県立隠岐島後高校(隠岐・中ノ島・海士町)の有名な島留学制度を基軸に、隠岐・西ノ島・西ノ町の漁港で働く、海難事故で記憶喪失になった漁師の日常、そして彼らを取り巻く島民たちとの交流を描く 「たたら侍」(2017)など地元島根県の作品にこだわる錦織良成監督(出雲市出身・1962~)が製作(兼脚本) 「たたら侍」と同様に本作でもEXILE HIRO(五十嵐広行・広島県竹原市生れ横浜市出身・1969~)がエグゼクティブ・プロデューサーを務め、彼が会長のLDHが配給 主役の漁師役はEXILE TAKAHIRO(田崎敬浩・山口県下関市生まれ長崎県佐世保市出身・1984~)が、その母親役を松坂慶子(東京都大田区出身・1952~)が、そして東京から島留学の女子高生役を山口まゆ(東京都出身・2000~)がそれぞれ演じる ロケ撮影は、2018年3月末から4月中にかけて西ノ町と海士町で行われた 西ノ島の景勝地・魔天崖・赤尾展望台・鬼舞展望所をカバーし、隠岐島前高校、浦郷漁協、あすか食堂(あすか軽食喫茶)なども使われた
轢き逃げ 最高で最悪の日 ⇒水谷豊(北海道芦別市出身・1952~)が監督製作した2本目の長編映画作品 脚本も彼の完全オリジナルとのこと 企業内での派閥争い、嫉妬する同僚の駆引き、娘を亡くした父親の必死の捜査などいろいろ工夫されている しかし、やや必然性が感じにくいプロットもあるような感じが… ラスト・シーンが手紙なのはやはり泣かせる 舞台の街は神倉市となっているが、ロケ撮影はほとんど神戸市で行われた模様 北野エリア、元町、南京町、三宮、神戸大学、小磯記念美術館、アジュール舞子、ポートアイランドなどが使われたようだ 轢き逃げ事件現場の「喫茶スマイル」前の坂は東灘区住吉山手9丁目あたりの坂らしいが、喫茶店そのものは合成のようだ

ある少年の告白 ⇒米国人作家ガラード・コンリー(アーカンソー州出身)の原作小説"Boy Erased: A Memoir"=「消された少年:回想録」(2016)の映画化 牧師の息子で同性愛の少年は、両親によって州認可の矯正施設に入所させられる そこでは非人間的でかなりひどい扱いを受ける 米国では未だ30数州でこの種の矯正施設が認可されているそうだ キリスト教は同性愛に厳しいが、神道や仏教はそれほどでもないのでは… 原題はやはり"Boy Erased"=「消された少年」
320-20190524t233439891アベンジャーズ エンドゲーム ⇒こちらはマーベル・コミックのヒーローたちが集結した「アベンジャーズ」シリーズ3作品(2012・2015・2018)に続く実写版第4作で、完結編 サノスとの闘いにより半数のスーパーヒーローたちを失ったアベンジャーズは、タイム・トラベルを利用して全員を復活させようとする 3時間の長尺だが、全てのヒーローたちが登場する超大型アクション編なため、余り厭きることはない 結局アイアン・マンとブラック・ウィドウ(ナターシャ)は死に、キャプテン・アメリカは老人となる しかし、しっかり近日公開の「スパイダーマン ファー・フロム・ホーム」につないでいる 3時間のVFXを製作するためには1,500人くらいの技術者が必要だったようだ 原題も"Avengers: Endgame"
幸福なラザロ(伊) ⇒20世紀末になってもイタリアの片田舎で違法に搾取される労働者たち その中で貧しくても、お人好しで幸せなラザロ 農場主の悪事が発覚しても、どこまでも真っすぐで、そのままで幸せなラザロ まるで現代のイエス・キリスト 最後は中上流の普通の人々に理解されなかったか… 原題は"Lazzaro felice"="Lazarus happy"で邦題どおりか
320-20190524t233513298僕たちは希望という名の列車に乗った(独) ⇒ドイツ人のディートリッヒ・ガルストカ(1939~2018)が自身の実体験を書いたノンフィクション小説「沈黙する教室 1956年東ドイツ 自由のために国境を越えた高校生たちの真実の物語」(独語原題"Das schweigende Klassenzimmer: eine wahre Geschichte über Mut, Zusammenhalt und den Kalten Krieg"="The silent classroom: a true story of courage, cohesion and the Cold War"=「沈黙する教室:勇気と結束、そして冷戦に関する実話」2006・邦訳2019) 「アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男」(独語原題:"Der Staat gegen Fritz Bauer"="The state against Fritz Bauer"=「国家対フリッツ・バウアー」2015・日本公開2017)のラース・クラウメ監督(伊生まれ独在住・1973~)が製作(兼脚本) 第二次世界大戦(1939~1945)後の米ソ冷戦・東西冷戦時の隠れた実話がまだまだありそうだ 1956年10月のハンガリー動乱の犠牲者に対し2分間の黙とうを捧げたため、東独政府を敵に回した進学高校のクラスを描く 社会主義政府が高校生たちに対して、彼らの親たちも巻き込んだ、いかにも陰湿で独善的で欺瞞に満ちた扱い・処分を行ったかが描かれる 舞台は当時東独のスターリンシュタットで、ポーランドとの国境の街 現在はアイゼンヒュッテンシュタットと改名されている 原作小説の舞台は実は別の街シュトルコー 1956年末には4人以外のクラスの級友全員がベルリン経由で西独に脱出し、そこで高校卒業資格取得試験を受けた この時はまだ東西ベルリンを隔てる壁は建設されていなかったそうだ 本作製作にもアマゾンが参加しているようだ 原題は単に"Das schweigende Klassenzimmer"(独)="The silent classroom"=「沈黙する教室」で、邦題はかなりな意訳
あの日々の話 ⇒劇団「玉田企画」が2016年と2018年に公演した同名舞台劇を、主宰する玉田真也監督(兼原案・脚本、石川県出身・1986~)が映画化 舞台劇らしく基本的にカラオケ・ボックスの部屋だけでのストーリー展開で、台詞と仕草・表情で全体を盛り上げる 大学生のサークルの二次会で起こりそうな期待とハプニングを描く ほぼすべてカラオケ・ボックスの部屋のセットで撮影した模様 終映後のトークショーに本作の玉田監督と現在大ヒットしている「愛がなんだ」(2018)の今泉力哉監督(兼脚本、福島県出身・1981~)が登場 舞台と映画の違いなどが話された後、今泉監督の第9作目の「愛がなんだ」の話に 筆者はこの作品と今泉監督のイメージの違いにやや驚く 福島県人的な感じもする 彼は9月公開の、伊坂幸太郎(千葉県出身・1971~)の原作小説(2014)を映画化した作品「アイネクライネナハトムジーク」をしきりに宣伝

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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