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2019年6月の5件の記事

2019年6月30日 (日)

6月23日~6月29日の週に観た劇場映画

6月23日(日曜)~6月29日(土曜)の週は、5本の劇場映画を観ました。上場企業の株主総会シーズンで、映画鑑賞の時間が限られました。

さよなら、退屈なレオニー(加) ⇒原題は"La disparition des lucioles"(仏)="The disappearance of fireflies"=「蛍の消滅、消失」で、珍しいカナダ・フランス語のカナダ製作品 昨年(2018年)の第31回東京国際映画祭「ユース」部門で「蛍はいなくなった」のタイトルで上映されたそうだ 大人になってからの生き方がまだ定まらない、17歳の少女のひと夏の成長を描く 筆者は緊張が続かなかった
X-MEN: ダーク・フェニックス ⇒現在はディズニー傘下のマーベル・コミック原作の「X-MEN」シリーズ(2000~)の第7作 筆者には同じマーベル・コミック原作の「アヴェンジャーズ」シリーズ(2008~・これまで計23作か)との区別が余り付かないが、観て楽しければいいかとっも思う 「X-MEN」はやはり現在ディズニー傘下の20世紀フォックスが製作に係わっていることが明らかな違いか 両シリーズとも、抱えている何百人もの画家や何千人ものVFX技術者などを雇用するために製作し続けるのだろう 原題は単に"Dark Phoenix"で、直訳すると「暗い・闇のフェニックス・不死鳥・驚異」か
320-20190709t130542651劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん ⇒筆者はオンライン・ゲームはやらないが、息子が学校の同級生たちと楽しんでいるのを横から観たことがある 未だにやっていると思うが、30歳前後の独身で一応会社勤めをしている、本作の主人公と同じようなものだと思う そういう意味で何となく身につまされる気がする 原作はマイディー(詳細不明)のブログで、2017年に同名で書籍化され、さらに同年にテレビ・ドラマ化もされたとのことだ 本劇場版では、主人公を坂口健太郎(東京都出身・1991~)が、その父を吉田鋼太郎(津京都出身・1959~)がそれぞれ演じている FFXIVのオンライン・ゲームそのものの画像も、全編の1/3程度登場するが、大画面にもかかわらず鮮明 ゲーム製造会社のスクエアエニックスがサーバーを撮影スタジオに準備したようだ リアル・ロケ撮影は静岡県の富士山麓の街、小山町あたりで行われたらしい
アラジン ⇒ディズニーのアニメ映画作品「アラジン」(1992)の実写映画化 ディズニーは次々とオリジナルのアニメ作品の実写映画化を図っており、多分その内すべてがそうなるであろう 実写映画化されると、衣装やセットがとても豪華であり、最新のVFX技術とも相まって、リアル感に富んだ、共感されやすい作品になる したがって、観客層が一気に拡がり、収益拡大につながることが多い カラオケでもよく唄われる主題歌「ホール・ニュー・ワールド」も健在 沙漠のロケは、ヨルダン南部のワディラム沙漠地帯で行われた模様 原題も"Aladdin"
320-20190709t130623204ザ・ファブル ⇒漫画家・南勝久(大阪府岸和田市出身・1971~)の同名原作連載コミック(2014~)を江口カン監督(福岡県出身・1967~)が実写映画化 主演にカリ、ジークンドー、USA修斗などのインストラクター資格を有する、格闘技オタクの岡田准一(大阪府枚方市出身・1980~)を据えている フランスからアクション監督・スタントマンのアラン・フィグラルツ(1962~)を招聘し、斬新で見応えのある連続アクション・シーンを実現 原作コミックの舞台は大阪であるが、ロケ地は主に茨城県、栃木県、神奈川県、東京都などの首都圏 終盤最高の盛り上がりとなる連続アクション・シーンは茨城県のごみ処理場跡地でロケ撮影された模様

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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2019年6月23日 (日)

6月16日~6月22日の週に観た劇場映画

6月16日(日曜)~6月22日(土曜)の週は、9本の劇場映画を観ました。なかなかの力作がありました。

320-20190705t162421532▼ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた ⇒米国ニューヨーク市ブルックリン区レッドフックでレコード店を経営する父とロサンゼルスの医大への進学を目指す娘の物語 レッドフックはマンハッタン区、ブルックリン区、スタテン・アイランドそしてニュージャージー州ジャージー・シティに囲まれたアッパー湾に面している 妻の事故死により父子家庭となった、元バンドマンの父は娘に音楽の才能を見出してとても喜ぶ 終盤に2人がレコード店で行うライブは素晴らしく驚く 2人とも俳優であり歌手でもあるので当然か 結末は甘い夢の話ではないことが救い 原題は"Hearts Beat Loud"で、直訳すると「複数の心臓が音量大きく鼓動する」か
ハウス・ジャック・ビルト(デンマーク・仏・独・スウェーデン) ⇒数々の怪作・奇作・アダルト作品などの問題作を連発している、デンマークの映画監督ラース・フォン・トリアー(1956~)が製作(兼脚本) 過激な描写を使って連続殺人鬼(シリアル・キラー)の12年間にわたる5件のインシデント(事件)を描く 舞台は1970年代の米国ワシントン州らしく、映像も古びて観えるように工夫しているようだ エピローグでカタバシスし地獄で裁かれるのが救いか… 原題は"The House That Jack Built"=「ジャックが建てた家」
メン・イン・ブラック インターナショナル ⇒ソニー製作の、コミックをベースとするSFコメディ作品4作目 ニューヨークに本拠を置く機密組織MIB(メン・イン・ブラック)に女性エージェントが加わり、ロンドンに舞台を移し活躍 筆者にはX-MENシリーズと区別が付かないが、観ていて面白ければいいか… 沙漠のシーンはモロッコのマラケシュ付近でロケか 原題も"Men in Black International"
The Crossing ザ・クロッシング Part II(中) ⇒国共内戦と台湾へ向かう客船「太平輪」の沈没を扱った、ジョン・ウー監督(中国広州市生まれ香港出身・1946~)の作品の第2部 本作では、いよいよ上海を出航した「太平輪」が1949年1月27日夜に台湾籍の貨物船と衝突し、45分後に沈没した事故(史実)を描く 灯火管制していたにもかかわらず、乗組員は春節のお祝酒で泥酔して見張りを怠ったことが原因としている 北大西洋で発生したタイタニック号沈没事故(1912年4月14・15日)に比されるが、中国人の男たちは浮輪や板切れを奪い合ったり、子供から救命具を剥そうとしたりと、とても醜く、紳士的とは思えない 確かに死亡者数は約1,000人と同等 翌朝(28日)オーストラリアの軍艦が34人を救助したという 1948年の台湾ではもう赤狩りが行われていたことは知らなかった 和服でおかっぱ頭で登場する長澤まさみ(静岡県磐田市出身・1987~)はとても本人とは思えなかった 前半と比べて後半はやや冗長か 原題は「太平輪 彼岸 The Crossing 2」=「太平輪 向こう岸 (いろいろな)交差その2」か
旅のおわり世界のはじまり(日・ウズベキスタン) ⇒「散歩する侵略者」(2017)や「ダゲレオタイプの女」(仏・ベルギー・日・2016)の黒沢清監督(神戸市出身・1955~)が前田敦子(千葉県出身・1991~)を主役に起用して製作(兼脚本) 女性レポーターと3人の撮影クルーがウズベキスタンで苦闘する姿を描くとともに、電話で日本の恋人としか話ができない主人公の孤独を匂わせる 2018年7・8月にウズベキスタンで約1ヶ月のロケ撮影を敢行したらしく、特にタシケントのナヴォイ劇場や市場が印象的

悪い女はよく稼ぐ ⇒B級作品のようだが、進行のテンポも良く、「コンフィデンスマンJP」(2019)にも負けない詐欺コメディ作品 テレビ刑事ドラマ「太陽にほえろ!」のスタッフ・キャストが大集合して製作したらしい 東京都築地・人形町、横浜、神奈川県箱根(ホテル)、栃木県(ゴルフ場)、米国グアム・アトランタ、パリなどでロケ撮影 借りられる会場などを当て込んで脚本を書く柏原寛司(ひろし・東京都中央区日本橋出身・1949~)はさすが 終映後主演の長谷直美(東京都大田区出身・1956~)らが登場するトークショーがあったためか、84席の劇場はほぼ満員
泣くな赤鬼 ⇒小説家・重松清(岡山県津山市出身・1963~)の短編小説集「せんせい。」収録の同名原作短編小説を映画化 高校の野球部の鬼監督と野球部員の11年(2007年~2018年)を隔てた心の交流を描く ロケ撮影はすべて群馬県内で、高崎市、前橋市そして安中市
320-20190705t162450665クリムト エゴン・シーレとウィーンの黄金時代(伊) ⇒1897年にオーストリア・ウィーンで画家グスタフ・クリムト(墺・1862~1918)を中心に結成された新進芸術家グループ・ウィーン分離派(オーストリア造形芸術家協会)の活動史について解説したドキュメンタリー これはワルツ・音楽の都であったウィーンで19世紀末に起こった、エロスと精神について新たな美を追求する活動であり、フランスの印象派の活動には遅れていたが、絵画だけではなく建築、美術工芸、デザインなども含めた大きな運動であったようだ クリムトの弟子で、彼を崇める画家エゴン・シーレ(墺・1890~1918)も独自の創作活動を並行して展開 同時期にウィーンで活躍した精神医学者のジークムント・フロイト(墺・1856~1939)や作曲家・指揮者のグスタフ・マーラー(墺・1860~1911)などとも相互に影響し合っていたらしく、エロスと精神が当時の活動のテーマであったことは不思議ではない 筆者はウィーンでしばらく滞在したいと考えていたので、本作は観光のいい勉強になった 原題は"Klimt & Schiele - Eros and Psyche"=「クリムトとシーレ エロスと精神」
320-20190705t162507048誰もがそれを知っている(西・仏・伊) ⇒とてもよく練られ、美しく構成された家族サスペンス作品 「ゴーン・ガール」(2014)を彷彿とさせる緊張感で全編を引っ張る 願わくば結婚式後のパーティの描写がもう少し短くてもよかったのではないか… 金がありそうなところにはなくて、貧しそうに見えてもコツコツと働いているところに金がある、というのは世界共通か 「セールスマン」(イラン・仏・2016)のアスガー・ファルハディ監督(イラン・1974~)が製作(兼脚本) ウディ・アレン監督(1935~)の「それでも恋するバルセロナ」(米・西・2008)で共演し、2010年に結婚したペネロペ・クルス(西・1974~)とハビエル・バルデム(西・1969~)が共演 原題は"Todos lo saben"(西)="Everybody knows"=「誰もが、皆が知っている」か しかし、観客は誰も知らない

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2019年6月16日 (日)

6月9日~6月15日の週に観た劇場映画

6月9日(日曜)~6月15日(土曜)の週は、7本の劇場映画を観ました。今年も話題作がどんどん公開されています。

320-20190616t202712346長いお別れ ⇒認知症というものは、長い時間をかけて患者を見送ることだとよく分かった 時間が長いだけに、ただ悲しむだけではなく、いろいろ発生する事件をも余裕で受け止めて、笑い飛ばすことも必要だと感じた 原作は小説家・中島京子(東京都出身・1964~)の同名原作小説(2015) アルツハイマー型の認知症を患った父親が、徐々に父でも夫でもなくなっていく家族の10年間を描く 中島の実父がアルツハイマー型の認知症を2004年に発症し2013年亡くなった経験を基にしているそうだ 本作では、2009年春から2016年に亡くなるまでの7年間としていたと思う 中島が直木賞(第143回・2010年上半期)を受賞した「小さいおうち」(2010)も山田洋次監督(大阪府豊中市出身・1931~)により映画化(2014)されている 本作の監督(兼脚本)は「湯を沸かすほどの熱い愛」(2016)で一躍有名になった中野量太(京都市出身・1973~) 家族の住宅は東京都狛江市の多摩川沿いにある設定だが、セット・ロケ地は千葉県野田市らしい その他のロケ地は狛江市多摩川緑地公園、野田市ノア・森の遊園地、神奈川県川崎市はるひ野駅、栃木県足利市などか
エリカ38 ⇒昨年亡くなった樹木希林(東京都出身・1943~2018)が盟友浅田美代子(東京都出身・1956~)のために企画した作品 浅田が主演だが樹木もその母親役で出演 樹木の本当に最後の遺作ではないか 2017年4月にタイで逮捕された山辺節子(熊本県益城町出身・1955~)の実話詐欺事件がモデル 山辺は企業へのつなぎ融資を騙った詐欺だが、本作では国際協力に関した資金詐欺でネズミ講(無限連鎖講)の雰囲気もある 本当の富裕層にはカリスマ性のある人物が語る感動する話には1,000万円程度のお金を提供することには何の問題もないようだ 企画・製作にチームオクヤマの社長でKATSU-doの会長である奥山和由(愛媛県生まれ東京都出身・1954~)が携わった 監督(兼脚本)は日比遊一(名古屋市出身・1964~) ロケ地は東京都内各地と栃木県、茨城県、埼玉県、千葉県、そしてタイ
The Crossing ザ・クロッシング Part I(中) ⇒「レッドクリフ」(Part 1:2008・Part 2:2009)のジョン・ウー監督(中国広州市生まれ香港出身・1946~)が第二次世界大戦(1939~1945)後の国共内戦(1946~1950)や中台関係の歴史的事実を基に製作したいと考えていた作品らしい 原題にある「太平輪」は当時の中華民国の客船名 1949年1月に約1,000人の国民党系の人々を乗せて、上海市から台湾の基隆市に向けて夜間航行中、無灯火だったため舟山群島海域の白節山付近で貨物船と衝突・沈没 生存者わずか50人という大惨事となった 本作は2部作であり、第1部(2014)では中国大陸における国共内戦で国民党側が敗戦していく様を描き、第2部(2015)では太平輪の沈没事故を中心に描く模様 2部併せて製作費76億円といわれ、日中韓の中堅俳優を起用し大きなスケールの作品としている 中国製であるが、筆者が観てもやや台湾寄り・西側寄りの編集になっているので、台湾では大ヒットしたが中国では大コケしたらしい 原題は「太平輪 乱世浮生 The Crossing 1」=「太平輪 混沌とした人生 (いろいろな)交差その1」か
パラレルワールド・ラブストーリー ⇒東野圭吾(大阪市生野区出身・1958~)の比較的初期の作品である同名原作小説(1995)の映画化 原作がそうなのだろうが、現実、記憶、幻覚、幻想、創られた記憶等々が入り交じって分かりにくい 監督は森義隆(埼玉県所沢市出身・1979~)で、宇多田ヒカル(1983~)の「嫉妬されるべき人生」が主題歌 ロケ地は埼玉県、東京都、神奈川県など首都圏各地
スノー・ロワイヤル ⇒2014年のノルウェー・スウェーデン・デンマーク合作のブラック・コメディ・アクション作品「ファイティング・ダディ 怒りの除雪車」(日本では劇場未公開)を製作したハンス・ぺテル・モランド監督(ノルウェー・1955~)自身が米国でセルフ・リメイク 主演はリーアム・ニーソン(北アイルランド出身・1952~) 息子の死の復讐を誓う、模範市民賞受賞の除雪作業員が、誤解に基づく込み入った情況に巻き込まれながらも目的遂行 クエンティン・タランティーノ(テネシー州出身・1963~)ばりの派手なアクションは見物 舞台は米国コロラド州内のスキーリゾートの設定だが、ロケ撮影はカナダのアルバータ州で行われた模様 原題は"Cold Pursuit"=「寒冷の中での追跡」かつ「冷酷な追跡」か 邦題は「007」シリーズからの連想か

320-20190617t015929616ホワイト・クロウ 伝説のダンサー(米・露・仏) ⇒ソ連生まれの天才バレエ・ダンサーであるルドルフ・ヌレエフ(1938~1993)が1961年5月にフランスのブルージュ空港で西側に亡命に至る経緯を描く シベリア鉄道の列車の中で生まれたヌレエフは、中央アジアのタタール系であり、幼少期からダンスに目覚め、1955年17歳の時にウファから出てレニングラード(現サンクトペテルブルグ)のワガノワ・キーロフ・バレエ学院に入学 名教師プーシキンに師事した後、1958年にキーロフ・バレエ団(現マリインスキー・バレエ団)に入団 わずか3年後の1961年に初の海外公演でフランス・パリに滞在し西側の自由・文化に触れ心底楽しむが、KGBの監視によりソ連に強制帰国させられそうになったため緊迫の亡命を図る BBCが製作に係わっているため構成は緻密 監督は英国の名優レイフ・ファインズ(1962~)で、多数の現役プリンシパルたちが出演しておりバレエ・シーンは見所 封切後1ヶ月以上経っているが、小劇場ながら満員で年配女性観客が多い 原題も"The White Crow"=「白いカラス(反逆児)」
アナと世界の終わり(米・英) ⇒英国の青春学園ゾンビ映画を一風変わったミュージカル仕立てにした作品 英国は実にゾンビ映画が好きなようだ 歌と音楽を楽しみながら観ればいいと思う ロケ撮影はスコットランドで行われたらしく、寒い時季だったようで屋外の撮影には苦労した模様 原題は"Anna and the Apocalypse"=「アナと黙示録」

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2019年6月 9日 (日)

6月2日~6月8日の週に観た劇場映画

6月2日(日曜)~6月8日(土曜)の週は、7本の劇場映画を観ました。出来のいい作品が多かったように思いました。

パリの家族たち(仏) ⇒題は"La fête des mères"(仏)="Mothers Day"=「母の日」 フランス・パリに住む様々な女性が幸せを求めて必死に生きる様を描く群像劇 女性大統領まで登場するが、女性の地位向上も目指しているのかもしれない 「母の日」の由来は米国にあるそうだ 1905年5月9日に社会活動家であった母をフィラデルフィア亡くしたアンナ・ジャーヴィス(1864~1948)が、母親が生きているうちに感謝する機会を設けるべきとの運動を起こしたことから、5月の第2日曜日が母の日となったようだ
オーファンズ・ブルース ⇒最近学校の卒業製作が正式上映されることが増えた 本作も工藤梨穂監督(福岡県出身・1995~)の京都造形芸術大学映画学科の卒業製作 孤児院出身で健忘症のヒロインのひと夏を描くが、筆者には不条理劇のように観えてよく分からなかった 終映後「あみこ」(2018)の山中瑤子(長野県出身・1997~)と「小さな声で囁いて」(2019)の山本英(あきら・広島県出身・1991~)が加わったトークショーがあったが… 若さを武器に、大学からわずかな卒業製作費用(確か20~30万円)を得て、キャストもスタッフも仲間内ボランティアですませて、本作を製作したのには感心
320-20190616t013350643ゴジラ キング・オブ・モンスターズ ⇒「アベンジャーズ エンドゲーム」(2019)でスーパーヒーローたちが勢揃いしたように、本作では怪獣たちが総出演 ゴジラ、キング・ギドラ、モスラ、ラドンを始めとして、他に14体が登場 エンド・クレジットのキャストの項目で、ゴジラたちがHimselfと表示されていたのが面白かった 本作は米国のレジェンダリー・ピクチャーズ(カリフォルニア州バーバンク)が東宝と提携して製作する、ゴジラとキングコングが登場するモンスターバース・シリーズの第3作目 第1作目が「GODZILLA ゴジラ」(2014)、第2作目が「キングコング 髑髏島の巨神」(2017)で、次作第4作目に来年公開予定の「ゴジラVSコング」(仮題)が控えている 監督(兼脚本)は「スーパーマン リターンズ」(2006)や「X-MEN: アポカリプス」(2016)の脚本を担当したマイケル・ドハティ(米国オハイオ州コロンバス出身・1974~) 本作では怪獣の姿形には東宝の監修が入っているらしく我々には親しみやすい VFXに1,000人単位のスタッフを使えるだけあって、製作費は2億ドル(約220億円)とも言われる 前項「オーファンズ・ブルーズ」の製作費数10万円と対照的 レジェンダリー・ピクチャーズは2016年1月に中国の大連万達(ワンダ)グループ(北京市)に35億ドルで買収されており、そのせいか中国関連の場所・人物も登場 本件買収にからみ万達グループは中国政府から銀行融資を絞られるという制裁を受けている それから戦闘兵站場面で、あのオスプレイらしき機体が大活躍しているのは、それだけ機動性が高いということか 原題は"Godzilla: King of the Monsters"=「ゴジラ:怪獣たちの王」24日
320-20190616t013301428さよならくちびる ⇒ハルレオという女性デュオの解散ツアーをロード・ムービー風に描く ハルを門脇麦(米国ニューヨーク州生まれ東京都出身・1992~)が、レオを小松菜奈(東京都生まれ山梨県出身・1996~)が、そしてローディ(バンドのスタッフ)を成田凌(埼玉県出身・1993~)が演ずる 2018年7月14日に静岡県浜松市、15日に三重県四日市市、16日に大阪市西天満、18日に新潟市、21日に山形県酒田市、22日に青森県弘前市、そして最後に24日に北海道函館市と回る ロケ撮影も似たような予定で進んだようだが、すべての場所に行った訳でもなさそう 東京都、埼玉県、栃木県などでもロケ撮影された模様 楽曲は秦基博(宮崎県日南市出身・1980~)が「さよならくちびる」を、あいみょん(兵庫県西宮市出身・1995~)が「たちまち嵐」と「誰にだって訳がある」を提供 門脇と小松が本当に歌っているそうだが、かなり上手で結構感動してしまう 監督(兼原案・脚本)は「黄泉がえり」(2003)の塩田明彦(京都府舞鶴市出身・1961~) 門脇麦の顔を観ると、「愛の渦」(2014)での肢体を思い出してしまう
貞子 ⇒作家・鈴木光司(静岡県浜松市出身・1957~)のホラー小説「リング」(1991)から始まるシリーズを次々と映画化(1998~)して一大ブームを引き起こした中田秀夫監督(岡山県出身・1961~)が、鈴木のシリーズ最新作品「タイド」を原作内容にとらわれず映画化した作品 ややマンネリ化しているせいか、余り怖くなかった感じ ロケは埼玉県や東京都大島町(大島)などで行われた模様 廃墟の撮影には栃木県の某大谷石採石場跡地が使われたらしい

320-20190616t013221260町田くんの世界 ⇒人間社会や日常生活ではなかなか観られず、感じられない無償の愛が描かれていたと思う 現代のキリストのようでもあり、現実社会へのアンチ・テーゼのようでもある 最後は恋愛に目覚めた新人俳優2人のファンタジーになってしまったのが少し残念 原作は漫画家・安藤ゆき(大阪府出身)が少女漫画雑誌に連載している同名原作コミック(2015~) ファンが多いためか、ピンクの応援グッズを持参した若い女性の応援団が… 監督は「舟を編む」(2013)の石井裕也(ゆうや・埼玉県さいたま市出身・1983~)で、新人2人の周りを中軸・ベテラン俳優で固めたのは流石 VFXにはエンド・クレジットに数10人の名前が ロケは昨年2018年夏に主に栃木県佐野市、宇都宮市、鹿沼市などで行われた模様 劇場出口でぴあの映画初日満足度出口調査に遭遇し、思わず高い点数を口走ってしまった
僕はイエス様が嫌い ⇒新人監督・奥山大史(ひろし・1996~)の初長編作品 ミッション系小学校に通い始めた、東京出身の少年の戸惑いを描く 大学同窓会の懇親会の後だったのでやはり緊張を維持できず 東京から転校する田舎町には群馬県中之条町を使った模様

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2019年6月 2日 (日)

5月26日~6月1日の週に観た劇場映画

5月26日(日曜)~6月1日(土曜)の週は、5本の劇場映画を観ました。インドネシアの若手女流監督の作品に驚かされ、また日韓でも大量のVFXを投入した作品が製作されていることをしりました。

嵐電 ⇒京福電気鉄道嵐山線(通称「嵐電」)は京都に残る唯一の路面電車 本線は四条大宮から嵐山まで運行し、支線の北野線は帷子(かたびら)の辻から北野白梅町(はくばいちょう)まで走る 映画産業の最盛期には沿線に多数の撮影所があったらしいが、今でも東映と松竹の大規模撮影所が残る この嵐電にまつわるラブ・ストーリーをオムニバス風に、幻想的に描くが、ややインパクトが弱い 監督は「ゲゲゲの女房」(2010)の鈴木卓爾(静岡県磐田市出身・1967~)で、現在京都造形芸術大学准教授 嵐電の主要駅やその付近でロケ撮影
神と共に 第一章:罪と罰(韓) ⇒人間は死後49日間に7つの地獄の裁判を受け、すべてを無罪で通過すると現世に生き返るという話 7つの地獄とは、殺人地獄、怠惰地獄、裏切り地獄、不義地獄、ウソ地獄、暴力地獄そして天倫地獄の7つ 韓国の大ヒットWebコミックの映画化らしい 神々の話としながら、閻魔大王、輪廻転生、49日など仏教やヒンドゥー教の概念を大幅に取り入れている 俳優たちはほとんどクロマキー合成用の緑色の背景の前で演技したようで、大部分のシーンはVFXで製造 100人単位で米国のVFX会社も製造に参画した模様 引続き第二章も公開予定 英語原題は"Along with the Gods: The Two Worlds"=「神々と共に:二つの世界」で、邦題はかなりの意訳
アメリカン・アニマルズ ⇒2004年に米国ケンタッキー州レキシントン市にあるトランシルヴァニア大学の図書館で発生した、12億円以上の価値のある複数の希少本の強盗事件(実話)を基に製作された作品 4人の学生が破天荒な窃盗に挑む話であり、盗難本の売却のためにニューヨーク市やオランダのアムステルダム市も訪れる 時々実行犯人の本人そのものが登場し、コメントするのがユニーク 絵の上手い犯人の一人が鳥の画集を盗もうとして、結局鳥の絵描きになったのは皮肉か… 原題も"American Animals"=「米国の動物、人でなし」
320-20190610t184505667マルニナの明日(インドネシア・仏・マレーシア・タイ) ⇒噂に違わず強烈な印象を残すナシゴレン・ウェスタン 本作が30歳代のモーリー・スリヤ女流監督(インドネシアの首都ジャカルタ市出身・1980~)の製作とは… ナシゴレンはインドネシア風のチャーハン(焼飯)のことで、当然ながらマカロニ・ウェスタンへのオマージュ インドネシアの家父長制社会への批判やウーマン・リブ(女性の地位向上)などの狙いもありそう 第1幕「"Robbery" 強盗団」、第2幕「"The Journey" 旅」、第3幕「"Confession" 自首」そして第4幕「"The Birth" 出産」の4幕構成 ロケはインドネシア東部のスンバ島で行われた模様 英語原題は"Marlina the Murderer in Four Acts"=「4幕構成のl殺人者マルリナ」か
空母いぶき ⇒漫画家かわぐちかいじ(本名:川口開示・広島県尾道市出身・1948~)の同名雑誌連載原作コミック(2014~)の実写映画化 原作では中国人民解放軍が尖閣諸島や与那国島を制圧することになっているようだが、本作ではさすがに配慮したか某国が沖縄南方に位置する架空の波留間諸島を制圧したことから物語は始まる ミサイルと迎撃ミサイルの撃合い、戦闘機同士の空中戦、ミサイルや魚雷への迎撃など、かなりリアルな戦闘模様の映像が流れる 撮影ははぼ東映東京撮影所(練馬区大泉)内で行われた模様で、海上シーンや戦闘シーンは大部分がVFXか ロケは、他に茨城県つくば市、群馬県前橋市、長野県諏訪市、静岡県熱海市でも行われたようだ

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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