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2019年8月25日 (日)

8月18日~8月24日の週に観た劇場映画

8月18日(日曜)~8月24日(土曜)の週は、6本の劇場映画を観ました。不思議にも、日・米製作の作品が含まれていませんでした。

ピータールー マンチェスターの悲劇(英) ⇒ピータールーの虐殺は英国の歴史的な事実 今からちょうど200年前の1819年8月16日の英国マンチェスターのセイント・ピーターズ・フィールドで発生した、普通選挙を求めた民衆を弾圧し多数を殺傷した事件 英国のマイク・リー監督(1943~)が映画化(兼脚本) 演劇出身の監督だからか、脚本に頼らずにリハーサルでの即興演技を基に映像制作していくらしい 1819年の英国では、ナポレオン戦争(1803~1815)終結後の高失業率と冷害による農作物不作に苦しんだ民衆が、厳しい徴税に対し普通選挙を要求する運動が発生 7万人もの人々が集まった集会でこの悲劇が起こり、15人以上が殺害され600人以上が重傷を負ったといわれる この事件は、ピーターズ・フィールドとワーテルロー(英:ウォータールー)の戦い(1815)をかけて「ピータールーの虐殺」として新聞紙面トップに掲載された 英国の普通選挙を実現するための闘争はこの後長期に及び、約100年後の1918年に男子に1928年に女子にそれぞれ認められた 本作中には集会をTranquility(静かさ、平静、安穏)に行うという表現が登場するが、これが今の香港の情況に通じているように思う アマゾンが製作に参加 原題は単に"Peterloo"=「ピータールー」
鉄道運転手の花束(セルビア・クロアチア) ⇒不思議な印象を残した作品だった いったい何年前のバルカン半島・ユーゴスラビアのことなのだろう すべて手動で運行管理・制御する旧式鉄道の運転手の物語 手動ゆえにいくつもの人身事故が発生し、何人もの人を轢き殺してしまう ゆえに精神的に不安定になるが、地域の人々との交流が救いとなる そこに鉄道自殺を考えた孤児院を抜け出した少年が登場 少年は結局養子となり、後継運転手と育つが、なぜか人を轢き殺さないと一人前にならないと感じる 原題は"Dnevnik mašinovođe"(セルビア・クロアチア)="Driver's diary"(英)=「運転手の日記」だろうか
3f03b5933f31a5c1_20190904150601ブレス あの波の向こうへ(豪) ⇒筆者はサーフィンをできないが、サーファーの気持ちが少しは理解できるような気がした 映像を観ていると、自らサーフィンしているように思えた サーフィンが特技である、オーストラリア・西オーストラリア州パース近郊出身の小説家ティム・ウィントン(1960~)の小説「ブレス(Breaath)」(2008・邦訳2013)が原作 大ヒットした米国TV刑事ドラマ・シリーズ「メンタリスト」(2008~2015)で主演したサイモン・ベイカー(1969~)が初監督映画化(兼主演・制作・脚本) ベイカーはオーストラリア・タスマニア州(島)の出身で、サーファーとしても一流なので本作主役に最適 物語はサーファーを目指す2人の少年が主人公に出会い、いろいろな意味で成長していくという話 最終的には、2人は道を違えるが、残った1人にはアフェアーもあって大人に脱皮 2人の少年俳優も現役サーファーらしいので、俳優陣がある程度サーフィンを実演したのだろうが、エンド・クレジットには多数のスタント・マンやスタンド・インの名前も挙げていた 原題は単に"breath"=「ブレス、息、呼吸」
北の果ての小さな村で(仏) ⇒トランプ米国大統領が最近デンマークから不動産として購入したいと持ち掛けて話題になったグリーンランドに関する物語 グリーンランドは1721年からデンマークの植民地だったが、1953年のデンマーク憲法改正により同国の一地方となった 北極海と北大西洋の間に存在する世界最大の島で、日本の約5.7倍の大きさだが、人口はわずか5万数千人 2頭の子熊を連れた白熊の母子ファミリー、見渡す限りの大氷原を走る犬ぞり、極光すなわちオーローラなどの映像はただただ美しかった 子連れの白熊は、やはり生活の知恵から、動物種の一定数の保護のために、殺さない グリーンランドの教育現場と実生活を、実住民をドキュメンタリーのように撮影して丁寧に紹介してくれるが、監督がフランス人なのでフランス作品 原題は"Une année polaire"(仏)="A polar year"=「極地の1年」
89f9019d2445dac7_20190904150601風をつかまえた少年(英・マラウィ) ⇒東アフリカの内陸国マラウィで実際にあった話とのこと 2001年に数千人規模の餓死者を出した大旱ばつが発生し、通学を始めたが学費が払えなくなった主人公ウィリアム・カムクンバ(マラシタ村出身・1987~)が、学校の図書館にあったエネルギー関係の本から触発されて風力発電機を試作し灌漑を可能にしたという実話 カムクンバとジャーアリストのブライアン・ミーラーが取りまとめたドキュメンタリー小説「風をつかまえた少年」(2010)が原作 「それでも夜は明ける」(2013)など多数の作品に出演している、ナイジェリア系英国人俳優キウェテル・イジョフォー(ロンドン出身・1977~)が初監督(兼脚本・主人公の父親役で出演) 日本の約1/3の国土を持つマラウィは19世紀末から英国の保護領だったが、1964年に独立 2001年当時は2%程度の国民しか電気を利用できなかった カムクンバは父親の自転車を分解して風車を造り、自転車のライト用発電機(ダイナモ)を利用して発電し、それで起動したポンプで井戸から水を汲み上げて灌漑に使用 こんなことで発電ができ、そして灌漑が可能となるなら、なぜ旧宗主国の英国は早く手助けしなっかたのだろうか こういった、アフリカ諸国に対する旧宗主国である英国・仏国の対応と比較すれば、韓国に対する35年間の旧宗主国・日本の対応は、確かに沢山の罪を犯したのだと思うが、近代化・文明化には大きく寄与したのではないか… カムクンバは、奨学金を得て、2010~2014年に米国ダートマス大学で学び、環境学の学位を取得 原題は"The Boy Who Harnessed the Wind"=「風を利用した少年」でほぼ邦題どおり

Girl ガール(ベルギー) ⇒最近はLGBTに関する作品が実に多い ベルギーはLGBT先進国であり、1996年1月に生れた一卵性双生児の男子の一人がトランスガールとして成長し、外科手術も受けて現在プロのコンテンポラリー・ダンサーとなっている この実話に触発されたベルギー人のルーカス・ドン監督(1991~)が本作を製作(兼脚本) 本作では主人公の男子青年が女子バレエに挑戦するという創作物語になっており、主役は実在のトップ・バレエ・ダンサーが演じている バレエのレッスンを手持ちカメラで撮影した映像が結構延々と続くので、目が回りそうであった タクシー運転手の父親との父子家庭であり、カウンセラー、ホルモン療法、手術などの話も登場 最後は衝撃的な行動に… 原題も"Girl"=「女子、少女」

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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