9月8日~9月14日の週に観た劇場映画
9月8日(日曜)~9月14日(土曜)の週は、8本の劇場映画を観ました。想像を絶する作品、意表を突く作品、観応えのある作品が多くありました。
・トリプル・スレット(タイ・中・米) ⇒原題も"Triple Threat"だが、直訳すると「3拍子揃った人、3分野に優れた人」らしいが、本作では「3人の驚異の男」くらいだろう 3人を演じるのは、トニー・ジャー(タイ・スリン県・1976~)、イコ・ウワイス(インドネシア・ジャカルタ出身・1983~)そしてタイガー・チェン(中国四川省成都市出身・1975~) 3人はそれぞれムエタイ、シラットそしてカンフーの達人 ストーリーはともかく、3人と英・米俳優陣との過激な連続アクション・シーンは見物
▼フリー・ソロ ⇒原題も"Free Solo"で、「フリー・ソロ」とは地面から垂直に切り立った高さ数百mの岩壁を、非常時の命綱となるロープや安全装置を一切使用することなく、自らの手と足だけを頼りに登攀する、最も危険な究極のクライミング・スタイル 米国カリフォルニア州サクラメント出身の世界的フリー・クライマー、アレックス・オノルド(1985~)がおよそ1年間の準備期間を経て、2017年6月にヨセミテ国立公園(カリフォルニア州)にそびえ立つ、高さ約975mの花崗岩でできた断崖絶壁エル・キャピタンをフリー・ソロで登攀するまでを追ったのが本作 詳細な現地調査、現地でのトレーニング、恋人との時間と感情を排する難しさ、100%準備完了で安全だと思えること等々も観せる フリー・クライミングで一緒に登攀し、美しく、危険で、素晴らしい映像を撮影した撮影監督ジミー・チン(ミネソタ州出身・1973)の手腕も見事 本作は今年の第91回アカデミー賞(2019)の長編ドキュメンタリー賞を受賞
・チャーリー・セズ マンソンの女たち ⇒米国ではチャールズ・マンソン(オハイオ州シンシナティ出身・1934~2017)が率いたカルト集団「マンソン・ファミリー」が犯した連続殺人事件はとても有名 カリフォルニア州に実在したこの集団のメンバーは女性が多く、マンソンは聖書の黙示録を独自に解釈して彼女らを洗脳していたようだ 黙示録は一種の終末思想であり、日本のオウム真理教の情況ともよく似ている 1969年夏にマンソンの指示によりファミリーのメンバーは自ら手を下して、ハリウッド女優のシャロン・テート(テキサス州ダラス出身・1943~1969)をお腹の中の胎児とともに殺害したのは全米にショックを与えた 多分マンソンが獄死したのを契機に、終身刑で獄中生存中の女性メンバーに焦点を当てた本作を製作したのではないか マンソン・ファミリーの事件は、クエンティン・タランティーノ監督(テネシー州ノックスヴィル出身・1963~)が製作した「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(2019)の主要テーマでもある 原題は"Charlie Says"=「チャーリー曰く」か
▼メランコリック ⇒予算300万円の自主制作B級作品だが、物語の展開は意表を突いており、なかなか見応えがあった "One Goose"という、皆川暢二(ようじ・神奈川県出身・1987~)、田中征爾(福岡県出身・1987~)そして磯崎義知(鹿児島県出身・1988~)の3人からなるユニットが製作 皆川が製作と主演、田中が監督・脚本・編集、そして磯崎が出演とアクション演出をそれぞれ分担 第31回東京国際映画祭(2018)日本映画スプラッシュ部門で田中が監督賞を受賞 「ジムノペティ」風の音楽で静かに始まったが、東大出のフリーターの主人公が銭湯のアルバイトを始めたところから物語は一気に展開 高校の同窓会、そしてそこから始まる恋など観客に馴染みのありそうな話題も登場 銭湯の風呂場で人間を短時間に解体できるのか、銭湯のボイラーで解体した人体を短時間で焼けるのか、人体焼却時の臭いの問題、等々ウソ臭い点は気になる また、途中から妙な連帯感が生まれ、最後は超ハッピーなシーンになるが、最後までフィルム・ノワールでいった方が良かったのでは… ロケ撮影は、2017年冬の10日間の夜間に、千葉県浦安市猫実にある銭湯「松の湯」、東京都大田区糀谷の居酒屋「ごち糀谷」などで、超特急で行われた模様
・カーマイン・ストリート・ギター ⇒米国ニューヨーク市カーマイン・ストリート42番地にある「カーマイン・ストリート・ギターズ」というギター工房の1週間を追ったドキュメンタリー 工房はマンハッタン南部のグリニッジ・ヴィレッジにあり、近隣の地区の建築廃材を再活用したギター造りに特徴 約200年前に伐採された木材が発見されており、特にバウリー地区で使われていたパイン(松)を使ったバウリー・パインのエレキ・ギターが有名 携帯もネットも使用しない職人・店主が運営する非日常の世界に、頻繁に有名ギタリストが訪れる 原題も"Carmine Street Guitars"
▼シークレット・スーパースター(印) ⇒インドではまだこのような家父長制、男尊女卑、女児の間引きなどの旧弊が残っているのだろうか それとも物語の持って行き方のためだろうか 偏屈で暴力的な夫の行為は今ではドメスティック・ヴァイオレンス(DV)だ しかし、現代的にユー・チューブで歌手としての才能を見い出された娘は、母と共に現状から抜け出し成功に向かう 最後はとても感動的だった 製作・出演を兼ねるインドの俳優アーミル・カーン(ムンバイ出身・1965~)の歌と踊りは最近の流行か… 原題も"Secret Superstar"で、直訳すると「秘密の超スター」か
・天気の子 ⇒そろそろかと思って観た 原作・脚本・監督を兼ねる新海誠(本名:新津誠・長野県小海町出身・1973~)の絵はとても美しいと思うがが、話としてはやや平凡ではないか… だからか緊張が続かなかった 雨の日が連続して、東京の半分が水に浸っても、生活ができているというのが想像しにくい エンド・クレジットを凝視すると、数百人以上のクリエーターが係わっているようだ
・かぐや様は告らせたい 天才たちの恋愛頭脳戦 ⇒くだらないと思ったが面白かった 確かに惚れた方、先に告白した方、恋焦がれた方が弱いというのは真理かもしれない 新潟県佐渡市(佐渡島)出身の赤坂アカ(男性・1988~)の同名原作連載漫画(2015~)の実写映画化 今年(2019年)TVアニメ化もされた 舞台は一流高校の生徒会室が中心、家は貧しいが頭脳明晰で優秀な男子生徒会長と富豪家の出身の女子副会長の恋のバトル King & Princeの平野紫耀(しょう・名古屋市出身・1997~)と橋本環奈(福岡県出身・1999~)が共演 監督は「チア☆ダン 女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話」(2017)の河合勇人(愛知県刈谷市出身・1969~)で、脚本は「翔んで埼玉」(2019)の徳永友一(1976~)が担当 「房総半島(内房)の花火大会は午後9時までやっている」という件(くだり)があるが、調べてみると午後8時50分までとか午後8時30分までとかの花火大会が確かにあった ロケ撮影は今年(2019年)3~4月にお台場(東京都港区)、江の島(神奈川県藤沢市)、明星大(東京都日野市)、東京農工大(東京都府中市)、横浜市などで行われた模様
(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品
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