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2019年9月22日 (日)

9月15日~9月21日の週に観た劇場映画

9月15日(日曜)~9月21日(土曜)の週は、7本の劇場映画を観ました。話題作が多く、別の意味でも問題になった作品がありました。

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド ⇒米国のクエンティン・タランティーノ監督(テネシー州ノックスヴィル出身・1963~)の9本目の長編作品(兼脚本) 9本には「キル・ビル」2部作(2003・2004)が含まれているので実質10本かもしれない 少し話はそれるが、これら9本の中で筆者が一番好きなのは「ジャンゴ 繋がれざる者」(2012)かな タランティーノ監督は自作にカメオ出演することで有名だが本作には登場しない 本作は1969年ハリウッド黄金時代の光と闇を描いており、前半は時代の流れで売れなくなった西部劇スターとその専属スタントマンの苦悩の話 それぞれレオナルド・デカプリオ(カリフォルニア州ロサンゼルス出身・1974~)とブラッド・ピット(オクラホマ州出身・1963~)の2大スターが初共演で演じる 2人のモデルはバート・レイノルズ(ミシガン州出身・1936~2018)とハル・ニーダム(テネシー州メンフィス出身・1931~2013)だといわれる 後半は「チャーリー・セズ マンソンの女たち」(2018)でも描かれた、チャールズ・マンソン(オハイオ州シンシナティ出身・1934~2017)が率いたカルト集団「マンソン・ファミリー」との接触を描く 1969年初めに主人公たちの隣に引っ越してきたロマン・ポランスキー監督(パリ出身ポーランド人・1933~)とその妻でハリウッド女優のシャロン・テート(テキサス州ダラス出身・1943~1969)との出会いも描く ただし、全米にショックを与えた、1969年夏にマンソン・ファミリーがテートをお腹の中の胎児とともに殺害する事件は登場しない 当時のハリウッドあたりの街並み、自動車、ファッション、国道101号等々の再現は見事で、相当の予算を費やしたと思う 本作は少々長いので全編緊張が続かないかもしれない 最後の1時間位のアクションで充分だとも思う 原題は"Once Upon a Time... in Hollywood"で、直訳すると「昔々…ハリウッドで」か
09d42e0f7ad5c951荒野の誓い ⇒本格的な西部劇作品だった インディアン戦争終結期の1892年の米国ニュー・メキシコ州にある騎兵隊本部から話は始まる 歴戦の英雄(大尉)が死期を迎えたシャイアン族の酋長を故郷モンタナ州の熊の渓谷まで送り届けるという、やや不快なミッションを与えられる 背景には先住民との融和をさらに図るという、ワシントンDCにある合衆国政府の意向があった 馬でニュー・メキシコ州からコロラド州(フォート・ウィンスロー)とワイオミング州を経てモンタナ州へ向かうという、道なき道を進む、一種のロード・ムービーともいえよう 途中でコマンチ族により家族を皆殺しにされた開拓一家の夫人を拾う その後、苦しく、悲しい様々な闘い、争いを乗り越える 先住民の服装・文化そして言語を研究し正確に再現しているようだ また、スタンド・カラーのシャツと襟付きのチョッキを着て、ジャケットの一番上のボタンを留めるという、当時の男性のスーツ姿も拝める 本作は、脚本家ドナルド・スチュアート(ミシガン州デトロイト出身・1930~1999)の原案を「クレイジー・ハート」(2009)のスコット・クーパー監督(ヴァージニア州出身・1970~)が映画化(兼脚本) 「アメリカン・ハッスル」(2013)や「バイス」(2018)のクリスチャン・ベール(英国ウェールズ出身・1974~)と「ゴーン・ガール」(2014)のロザムンド・パイク(ロンドン出身・1979~)が共演 シャイアン族の酋長役には「ダンス・ウィズ・ウルヴズ」(1990)にも出演していた、純血チェロキー族のウェス・ステューディ(オクラホマ州出身・1947~) 原題は"Hostiles"で直訳すると「敵対者ら、仇ら」か
記憶にございません! ⇒舞台にTVドラマに大活躍の三谷幸喜(東京都世田谷区出身・1961~)の8本目の映画作品(監督兼脚本) 三谷作品らしく主演の中井貴一(世田谷区出身・1961~)をはじめとして男女の実力派俳優陣が勢揃い 本作も面白く、娯楽としては申し分ないとは思うが、全体を貫く一本の骨太の筋がないように感じる ゆえに、薄っぺらい、上っ面の笑いになっていないかが気になる 撮影は昨年(2018年)猛暑の夏に行われたようで、首相公邸はフジ・テレビ(港区)のスタジオに、首相官邸は東宝スタジオ(世田谷区)に大きめのセットを造った模様 ロケ地も多く、東京都新宿区、中央区、台東区などに加え、ホテルに港区の虎ノ門ヒルズ・アンダーズ東京、病院に埼玉県羽生市の総合病院、ゴルフ場に茨城県かすみがうら市の千代田CCなどを使用したらしい
9cdd359a0d99a234僕のワンダフル・ジャーニー ⇒3度生まれ変わる犬のナレーションが良く、泣かされてしまった 犬の輪廻転生があるかどうかは分からないが、犬好きの方には絶対お薦め 米国ミシガン州の田舎とニューヨーク市が舞台 米国の作家W・ブルース・キャメロン(ミシガン州出身・1960~)の小説"A Dog's Journey"=「犬の旅路」(2012・邦訳:「僕のワンダフル・ジャーニー」2019)が原作 彼の前作小説"A Dog's Purpose"=「犬の目的」(2010・邦訳:「野良犬トビーの愛すべき転生」2012)は「僕のワンダフル・ライフ」(2017)として映画化されており、本作はその続編ともなっている 次作小説"A Dog's Promise"=「犬の約束」(2019)も出版予定とのことで、続々編の映画作品も期待される 本作の原題も"A Dog's Journey"だが、邦題は前作同様かなりの意訳
アス ⇒「ゲット・アウト」(2017)(監督兼脚本)で第90回アカデミー賞脚本賞(2018)を獲得し、一躍世界的に有名になったジョーダン・ピール監督(米国ニューヨーク市出身・1979~)のオリジナル作品(兼脚本) 米国カリフォルニア州サンタ・クルーズのリゾート海岸と遊園地が舞台 バカンスを楽しみに来た、裕福な黒人4人家族が襲われる恐怖の一夜を描く 1986年頃の携帯電話がない時代の設定 満たされないクローンたちが、ドッペルゲンガー的に登場し人を襲う 当時から分断されつつあった米国社会を暗喩しているようだ 原題も"Us"=「私たち」

プライベート・ウォー(英・米) ⇒英国サンディ・タイムズの女性ジャーナリスト・マリー・コルヴィン(米国ニューヨーク市出身・1956~2012)が、片目の失明などのPTSDに苦しみながらも、紛争地域の最前線を取材を続けた実話に基づく作品 彼女に関する米国の作家マリー・ブレンナー(テキサス州サン・アントニオ出身・1949~)の同名原作の映画化 コルヴィンは、2012年2月にシリアのホムスでシリア政府軍の無差別空爆の取材中に死亡 紛争地帯の撮影はヨルダンの沙漠地帯を使った模様 原題も"A Private War"
211008a07bf9112e台風家族 ⇒市井昌秀(富山県射水市出身・1976~)監督のオリジナル脚本による製作 夫人で女優の今野早苗(栃木県出身・1978~)とのユニット「市井点線」で同名小説(2019)も出版 銀行強盗、遺産相続(争族)、葬儀屋事業の継承、ユーチューバー、認知症、振り込め詐欺、時効の問題等々、現代社会にお馴染みの話題が勢揃い これらをコミカルに描く ペットボトルから作った風車が数回登場するのが印象的 主人公の鈴木家の長男を演じるのはは草彅剛(愛媛県生まれ・埼玉県春日部市出身・1974~)で、次男は新井浩文(青森県弘前市出身・韓国籍・1979~) 現在公判中の新井の事件により、今年6月の公開が延期され9月からの限定公開となっている 新井の演じる起業家風の実業家が一番まともに観えるのが不思議 終盤の台風が到来するシーンですべてが明らかに… ロケ撮影は昨年(2018年)6月末~7月末の猛暑の中、栃木県佐野市・栃木市を中心に、東京都足立区・世田谷区・渋谷区、茨城県高萩市などで行われた模様 栃木県では空調のない家屋で撮影したため、暑さで大変だったようだ

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

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