カテゴリー「映画(2019年)」の2件の記事

2019年1月13日 (日)

1月6日~1月12日の週に観た劇場映画

1月6日(日曜)~1月12日(土曜)の週は、8本の劇場映画を観ました。年末年始は通常中だるみ状態になりますが、それでも注目できる作品がありました。

320_95こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話 ⇒身障者の自立と介助ボランティアという難題をテーマにした、北海道札幌市在住のノンフィクション作家・渡辺一史(愛知県名古屋市出身・1968~)の著書「こんな夜更けにばななかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち」(2003)の映画化 主人公・鹿野靖明(1959~2002)を演じるのは北海道江別市出身の大泉洋(1973~) 鹿野は11歳(小学校6年生)の時に進行性筋ジストロフィーと診断され20歳までの寿命と言われる 彼は23歳の時に障碍者施設から飛び出し自立を決心 自立するために自ら介助ボランティアを募集し、彼らを鍛えながら20年間の自立生活を送る その陰には「いつも自分にかかり切りだった母親を自分のくびきから解放し、彼女自身の人生を送ってほしい」との強い気持ちが… 不遜で、要求が多くて、ボランティアを悩ますが、決して憎めない明るい性格の主人公を大泉が適役として熱演 鹿野は2002年42歳で亡くなるが、彼の介助ボランティア500人はいまだに彼の母親のもとに集まるそうだ 昨年2018年6月にオール北海道ロケで撮影されたようだ 鹿野は札幌に住んでいたので札幌市内がメイン 観てすぐに分かったのは北大キャンパス(中央ローンと50年間以上も現役のクラーク会館)、三角山、旭山公園など 市内のロケ地は西区(昔の琴似町)中心に中央区、北区、豊平区、白石区、清田区、南区など広範囲にわたり、住宅内での撮影には、鹿野が実際に住んでいた西区山の手団地(身障者用車椅子住宅)を使ったようだ 札幌以外ではラストにとても美しい風景・映像を観せてくれる美瑛町が登場
320_96迫り来る嵐(中) ⇒本格的な中国版フィルム・ノワールが登場 中国山東省威海市出身のドン・ユエ(董越・1976~)監督の初長編 2017年の第30回東京国際映画祭でワールド・プレミアされ話題を呼んだ 2008年に主人公が出所するシーンで始まり、1997年長寧市(多分架空の街)の国営製鋼所の敷地内での連続女性殺人事件に戻る 工場の警備係の主人公は警察と協力・反目しながらも犯人探しに集中 1997年は英国が中国に香港を返還した特別な年であり、都市化と産業構造の変化の波で都市近郊の工場でリストラも発生 雨降りのシーンが多く、画面は黒っぽくとにかく暗いのは当時の中国の雰囲気を表現か 登場人物全員がタバコをとにかく吸い続け、当時の中国の市民生活や文化も垣間見える 終盤主人公が仕掛ける罠が自分自身をも絡めとっていく姿を描く 原題は「暴雪将至 The Looming Storm」(中・英)で邦題どおり
ヴィヴィアン・ウエストウッド 最強のエレガンス(英) ⇒英国の人気ファッション・デザイナーのヴィヴィアン・ウエストウッド(1941~)を3年間にわたり追ったドキュメンタリー パンク・ロックのデザインから始まり、ファッションの一大ブランド・アイコンになり、そして環境・人権活動家にもなる姿を描く 原題は"Westwood: Punk, Icon, Activist"=「ウエストウッド:パンク、アイコン、活動家」か
ホイットニー アイ・オールウェイズ・ラブ・ユー(英) ⇒世界最高の売上げを誇る歌手の一人である、米国のホイットニー・ヒューストン(1963~2012)のドキュメンタリー作品 英国人監督が製作したので、なぜか英国製 暴動が起きるような黒人街の米国ニュージャージー州ニュー・アークで生まれたホイットニーは、母シシー・ヒューストン(1933~)がゴスペル歌手、従姉のディオンヌ・ワーウィック(1940~)も歌手という音楽一族のもとに生まれ、幼少期から英才教育を受ける 1985年に全米メジャー・デビューした後はヒット曲を連発 1992年にケヴィン・コスナー(1955~)と共演した初主演映画「ボディ・ガード」の主題歌「オールウェイズ・ラブ・ユー」が世界的に大ヒットし絶頂期を迎える 「オールウェイズ・ラブ・ユー」(1973)は米国ポップ・カントリー音楽の大御所・シンガーソングライターのドリー・バートン(1946~)の27曲目のシングルで、そのカバーだったことは知らなかった しかし、本作ではホイットニーのお陰で暮らしている兄弟姉妹や父親が周りにいつも入れ替わり沢山存在 マサチューセッツ州ボストン出身のR&B歌手ボビー・ブラウン(1969~)と絶頂期の1992年に結婚してからいろいろな問題が… 観た後の感想だが、歌唱のシーンがやや少なく、インタビュー場面が多く、低予算のB級作品かという感じ 原題は単に"Whitney"
アイ・フィール・プリティ! 人生最高のハプニング ⇒人生は外見ではなく、心の持ち方で変わることを暗示し、全ての人々に希望を与えるかもしれないファンタジー・コメディ作品 ある意味ではやや平凡なテーマに陥りそうだが、米国ニューヨーク市出身の人気コメディエンヌであるエイミー・シューマー(1981~)がヒロインを熱演 原題は"I Feel Pretty"、あえて和訳すれば「可愛く感じること」か

22年目の記憶(韓) ⇒2014年韓国製の本作が実話に基づくものだとは、日本人の筆者としてはなかなか想像しにくい 最近中国の卓球界が仮想の日本女子選手を育成して、彼女らを練習台とするという話を聞いたことがあるが、それに似たことかも… 1972年7月4日に韓国パク・チョンヒ(朴正熙・1917~1979)大統領と北朝鮮のキム・イルソン(金日成・1992~1994)国家主席との間で、平和的な祖国統一を目指す南北共同声明が発表され、南北首脳会談の機運が高まった 韓国では大統領がそのためのリハーサルを行えるように、売れないが秘密厳守できる役者を探しキム・イルソンのコピーとして育成 選抜・育成法は超過激なもので、その部分が本作の核でもある 1972年の南北首脳会談は世界情勢が変わり行われなかったが、すべてが忘れ去られつつあった22年後の1994年に、キム・ヨンサム(金泳三・1927~2015)大統領の時に再び会談の機運が高まり、リハーサルが行われようとしていた 実際の会談はキム・イルソンが死去したため中止になった 原題は"My Dictator"=「私の独裁者」で、邦題の意味は分からなくはないがやや行き過ぎか
クリード 炎の宿敵 ⇒6作製造されたシルベスター・スタローン(1946~)脚本・主演の映画「ロッキー」シリーズ(1976~2006)のスピンオフ作品であった「クリード チャンプを継ぐ男」(2015)の続編 今回もスタローンが脚本を担当し、トレーナー・コーチ役で出演 相変わらずボクシングの試合シーンは迫力があるが、やや予定調和的な内容で物足りないかも 原題は"Creed II"=「クリードⅡ」
ヒューマン・フロー 大地漂流(独) ⇒中国北京生まれの現代美術家アイ・ウェイウェイ(1957~)が製作・監督したドキュメンタリー作品で、世界中で発生している難民の実情を緻密に追っている 世界の難民は6,500万人を超えており、本作ではギリシャ・レスポス島のシリア・イラク難民、バングラディシュのロヒンギャ難民、ドイツでの難民施設、米墨国境地帯での難民など、時間をかけ淡々と紹介されるので、かえって説得力がある アイは2008年の四川大地震で多数の児童が死亡した責任問題を追及したため、中国当局に弾圧・拘束されたことから現在はドイツに住む 原題は単に"Human Flow"で、あえて和訳すると「人間の流れ」か

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2019年1月 6日 (日)

1月1日~1月5日の週に観た劇場映画

1月1日(火曜)~1月5日(土曜)の週は、4本の劇場映画を観ました。新年早々は、隣国韓国との係わりを理解するのに役立つ2作品を拝見しました。

シシリアン・ゴースト・ストーリー(伊・仏・スイス) ⇒イタリア・シシリア(島)の美しい自然と少年少女の切ない愛が、台詞が少ない映像中心で描かれる 1993年にイタリアのシチリアで実際に起きた「ジュセッペ・ディ・マッテオ少年誘拐監禁事件」を基に、イタリア人作家マルコ・マンカッソーラ(1973~)が書いた短編を、やはりシチリア出身の2人の監督が映画化 作品中の最後のテロップにあるが、結局少年は殺害されて酸で溶かされたらしい 原題は"Sicilian Ghost Story"で、邦題どおりだが、あえて意訳すると「シシリア幽霊物語」か
ワイルド・ストーム ⇒タイトルから嵐と闘う人々を描く作品かと思ったら、ハリケーンを利用して米国FRB(連邦準備制度:中央銀行)の使用済みドル紙幣粉砕処理工場から現金6億ドル(約600億円)を強奪しようとする話であった 実在の施設かどうか分からないが、確か米国アラバマ州にあるとしている、使用済みドル紙幣をシュレッダーにかけて粉砕する工場を、ハッキング・潜入して強奪する強盗犯を描く 生き延びたFRB職員と気象学者らがあらゆる方法を駆使して戦う ハリケーンそのものやハリケーンの被害を表現するVFX映像は凄い 原題は"The Hurricane Heist"=「ハリケーン強盗」でこの方がずっと分かりやすい
共犯者たち(韓) ⇒本作と次の「スパイネーション 自白」(韓・2016)、これら2つの韓国ドキュメンタリー作品を観て、いかに筆者が韓国の社会・政治について無知だったかを思い知らされた 本作「共犯者たち」では、保守派のイ・ミョンバク(李明博・1941~)第17代大統領(任期:2008~2013)とパク・クネ(朴槿恵・1952~)第18代大統領(任期:2013~2017)が行った、約9年間にわたる言論弾圧・報道支配が描き出される 韓国全土をカバーする2大放送ネットワークがいずれも政府系の公営放送・MBC(設立:1961)と公共放送・KBS(設立:1973)だというのも驚き (株)MBC(韓国文化放送)は公益財団の放送文化振興会が7割の株式を所有し、KBC(韓国放送公社)は政府100%出資 イ・ミョンバク政権は2008年の発足直後にBSE問題で輸入禁止していた米国産牛肉を輸入再開したが、メディアの疑問報道などにより国民の支持を失いかけたことにより、MBCとKBSに政治介入・人事介入し言論弾圧 一連の弾圧で2012年にMBCを解雇されたチェ・スンホ記者らが調査報道を行うニュース打破を設立し、チェ本人が監督し本ドキュメンタリーを製作 日本の報道姿勢に対する警鐘にもなっている 昨年2017年政権交代しリベラル派・左派のムン・ジェイン(文在寅・1953~)が第19代大統領(任期:2017~5年間予定)が誕生したためか、チェ・スンホがMBCの社長に選任されている 原題は"Criminal Conspiracy"=「刑事陰謀」か
320_94スパイネーション 自白(韓) ⇒本ドキュメンタリー作品を観て、韓国では考え方の優先順位が『個人自分自身の成果・利益>家族の利益>属する団体・派閥の成果・利益>国益>正義』であるということがよく分かった 本作は前出の「共犯者たち」(韓・2017)と同様にニュース打破のチェ・スンホが監督し、妹の自白だけで韓国在住の脱北者をスパイとして起訴する国家情報院の欺瞞・証拠捏造を炙り出す 韓国の警察機関や検察機関いかに恣意的で、自分たちの成果を上げるためには平気で嘘をつき、自白強要し、仕舞いには証拠捏造・偽造するかを明らかにする 国家情報院は前身が韓国中央情報部(KCIA)であり、パク・チョンヒ(朴正熙・1917~1979)第5~9代大統領(任期:1963~1979)時代の1975年から拷問も含め手段を選ばずスパイ捏造を平気で行っていたようだ 本作では中国、タイや日本など外国でも取材を行い、中国・地方政府公文書の偽造問題などの裏付け取材を敢行 筆者が冒頭に示した優先式(不等式)をよく見れば「韓国海軍駆逐艦による日本哨戒機(海上自衛隊)へのロック・オン事件」などに対する、韓国政府・社会の反応の仕方がよく理解できると思う 原題は"Spy Nation"で邦題はそのままだが、意訳すると「スパイだらけの国」か

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品 製作国の表示がないものは米国か日本の作品

| | コメント (0) | トラックバック (0)