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2020年7月の3件の記事

2020年7月23日 (木)

★劇場映画「劇場」(日・2020・136分)を観て

8fd8aade403f5b437月17日公開の劇場映画「劇場」を観た 残念ながら劇場での鑑賞ではなく、アマゾン・プライム・ビデオでのオンライン・ネット鑑賞となった(追加料金なし) 本作は本来ならば4月17日に松竹系の全国280館での公開予定だった コロナ禍により日本政府が緊急事態宣言を4月7日に発令しれたため公開延期となっていた 公開延期となった大作も目白押しの中、本作については配給辞退の松竹に代わり製作幹事社の吉本興業が自主配給することとし、いろいろと公開方法・時期を探っていたようだ 結果、先週17日に渋谷のユーロスペースなど全国20館のミニシアターで劇場公開されるとともに、アマゾン・プライム・ビデオでの同時世界独占配信が実現した

劇場公開にも拘った行定勲監督(1968~・熊本県出身)など製作側と製作費用をリクープ(recoup・回収)したい製作委員会側、両者の意向を上手く両立させた解決策と考えられる 劇場映画作品を劇場公開と同時にオンライン配信を行うのは日本では初めての試み アマゾン・ジャパン社が独占配信権にいくら支払ったかは分からないが、筆者の想像ではこの種の作品の製作費用を回収するためには5~10億円ではないかと想像する アマゾン・プライムの広告宣伝も兼ねていると考えれば結構イケてるかもしれない また行定監督も、字幕(サブタイトル)を付加すれば、鮮度が高いうちにすぐに世界市場に配信できるというオンライン・ネット配信の利点に気付いたそうだ これは本のネット通販でロング・テール(リアル市場では手が届かない物品・サービスと市場・消費者をつなげるマーケティング)のビジネス・モデルを成功させたアマゾンの手法そのものかもしれない

本作の原作は、吉本興業所属のお笑い芸人で、2015年発表の中編処女小説「火花」で同年の芥川賞を受賞した、ご存じ又吉直樹(1980~・大阪府寝屋川市出身)の第2作目小説「劇場」 「火花」では売れないお笑い芸人をモデルにしたが、本作では売れない演劇人(劇作家・演出家・舞台俳優)をモデルにしている 「火花」ではコンビの男同士の友情がテーマだったが、本作では主人公を無償の愛で支える聖女との恋愛がテーマ 行定監督は主人公に山﨑賢人(1994~・東京都出身)をヒロインに松岡茉優(1995~・東京都出身)を起用 松岡の雰囲気は初主演作「勝手にふるえてろ」(日・2017)のヒロインに似ていると思った どうでもいいことだが、松岡は左利きのようだ

行定監督が助監督として仕えたこともある岩井俊二監督(1963~・仙台市出身)のコメント「創作に取り憑かれた男の〝おろか“と、その男と同棲してしまった不運な女が余すところなく描かれる 当事者の自分には痛みなくして観れない映画であった 創作の道とは魔道であり、〝魅道“である」が、短くして本作の本質を言い当ててると感じる 本作の主舞台である東京・世田谷区下北沢あたりで活動する演劇人たちは、これは自分たちのことを描いた作品だという者たちが多いそうだ コロナ禍に見舞われた今年、彼らの生活はどうなっているのだろうか 本作では東京23区での生活は、まだまだ当然のように密だし、誰もマスクを着けていない

前述したが、本作の舞台は又吉も住んでいたらしい下北沢が中心 ここは多くの売れない舞台俳優が、アルバイトをしながら暮らす街として知られている もう1ヶ所杉並区高円寺が登場するが、ここは売れないミュージシャンが多数アルバイトをしながら暮らす街だ 劇中劇も数回登場するが、学校の演劇以外は下北沢の劇場を実際に使用してロケ撮影したとのこと 筆者も訪れたことのある劇場の映像が登場 最後の「ロケ⇒セット⇒劇場」と撮影場所が移り変わり、主体が客体に変化するような撮影のテクニックには感心した また季節の移り変わりは夏から秋・冬・春を経て1年間となっているようだが、いつどうロケ撮影したのかには興味ある その他のロケ地は、東京都・渋谷区・新宿区・台東区・三鷹市、茨城県など

(注)★はお薦め、▼は特定のマニア向け作品

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2020年7月12日 (日)

中国共産党とその私兵・中国人民解放軍についての書籍3冊を読んで

最近中国共産党とその私兵・中国人民解放軍について勉強している 中国国民が幸せになるのならば、その政治体制については余り関心がない しかし、その影響が外国にも国際的にも悪影響を与えるものならば許しがたい その上、中国国内にも自由、基本的人権や民主主義が存在しないならば…
矢板明夫(1972~・中国天津市生まれ・残留孤児2世)、石平(1962~・中国四川省生まれ・2007日本帰化)、藤井厳喜(1952~・東京都出身)3氏による著書3を冊読んだ 3氏ともガチガチの反中・親台派だから、台湾を高く評価するが中国共産党についてはボロボロに書いている これらの記述すべてが事実・真実とは決して思ってはいない また当面中国や香港を訪れるつもりはない
3冊を通じていろいろなことが書いてあるのだが、今まで余りお目にかからなかった事項を何点か紹介したい
◆今年は60年に1回中国で大事件や大動乱が起きる庚子(かのえね・コウシ)の年(ややこじつけもありそうだが…)
2020年 今年
1960年 中国共産党主席・毛沢東(1893~1976)がソ連からの借金をすべて返済するための大躍進政策(大飢饉が発生し3,000~4,000万人が餓死)
1900年 北清事変(義和団の乱等とも・8ヵ国連合軍に西太后《1835~1908》の清朝が惨敗)
1840年 アヘン(阿片)戦争(英国に清国が負け香港を割譲)
◆1936年の西安事件により蒋介石(1887~1975)の国民党軍による毛沢東の紅軍(共産党軍)の討伐が中止され(第2次)国共合作成立 満州事変(1931~33)により故郷を追い出された張学良(1901~2001・張作霖の息子)の東北軍(国民党側)が西安に駐屯しており、長征により延安まで逃げ延びた紅軍の策略により張学良が西安で蒋介石を拘束 1964年に毛沢東は日本の中国侵略のお陰で生き延びたと語ったという
◆外国人記者として初めて延安に入ったエドガー・スノー(1905~1972・米)が1937年に「中国の赤い星」を上梓 軍紀が厳しく、上下関係なく寝食を共にする紅軍を好意的に書いたため、当時欧米が共産党寄りに これは共産党の宣伝上手に乗せられたもので、実際は軍閥があり上下関係も厳しく略奪もあったらしい 特に幹部たちは長征に付き添った農村出身の妻と離婚し、共産主義に憧れてやってきた若い女性たちと次々と結婚したという 毛沢東は4回、朱徳(1886~1976)は6回、劉少奇(1898~1969)も6回、そして葉剣英(1897~1986)は何と9回も妻を換えているとのこと
◆鄧小平(1904~1997)が1978年に開始した改革開放路線により国防費が削減された それに伴い人民解放軍の特権はだんだん失われ民間との所得格差も広がったため、代わりに軍ビジネスが盛んになった それは闇ビジネスや上から下までの汚職(賄賂)に発展し役職は金で買うものになった 部隊を故意に定員割れとし余剰の物資を転売、部隊の管理牧草地を農牧民に無断転貸、管理牧草地で農牧民に冬虫夏草を採取させピンハネ等々は普通に行われているらしい そう考えると南シナ海の基地建設も空母建造も軍のどこかで金が抜かれているのかもしれない
◆中国では退役軍人が年金などの待遇改善を求めるデモが頻発しており、それに自分たちの将来の姿を投影する現役軍人の士気をとても下げている また自分たちの先輩軍人を取り締まることができないという矛盾を抱える
◆バラク・オバマ前米国大統領(1961~)には中国系カナダ人と結婚した異父妹や中国人と結婚した在中の異母弟がいたので中国共産党は御しやすかったが、ドナルド・トランプ現大統領(1946~)は大統領収入が1ドルなのでビジネスマンのくせに個人的な損得では動かない 娘イヴァンカ(1981~)の夫ジャレッド・クシュナー(1981~)にビジネスを持ちかけたが、クシュナーは機密情報からは遠ざけられた
◆台湾は中国国内で工場等のビジネスを行っているので、武漢ウイルスについては2019年12月から武漢市の病院に問合せ調査をし、31日には武漢市からの直行便の乗客全員への検疫を強化 2020年1月12日に衛生福利部(日本の厚労省)から専門家2人を派遣 中国政府が武漢市を封鎖した前日22日に武漢市と湖北省からの団体旅行受入れを中止し、26日に湖北省からの入境を禁止し、さらに31日には中国からのすべての観光ツアー客を帰国させ、ついには2月6日から中国人の入境を全面禁止とした
◆中国共産党の幹部が異なることを言う時は党内で深刻な権力闘争が起きている可能性が高い 李克強首相(1955~)が5月28日に全国人民代表大会の記者会見で「中国には月収1000元(約1万5000円)の人が6億人もいる」と明かし、中国国民の約半分は貧困状態にあると示し、また6月1日には同首相は国内の雇用問題を解決するために、「露店経済」を推奨(露店経済は現在紛糾中) 中国には現在2憶人の失業者がいるという話もある 中国国防大学教授の戴旭(1964~)や「超限戦」(1999・中・邦訳2001)の著者・喬良(1955~)が習近平(1953~)政権に批判的・抑制的な言説をしている 習近平の属する太子党派と李克強の属する共青団(中国共産主義青年団)との間で相克があるのかもしれない
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2020年7月 2日 (木)

6月30日付けBBCニュース・ジャパンの記事「インフルエンザの新型、中国で発見 『世界的流行も』と科学者」は中国共産党のプロパガンダかも

皆さんは、6月30日付けBBCニュース・ジャパンの記事「インフルエンザの新型、中国で発見 『世界的流行も』と科学者」をどう受け止めましたか。中国は情報の透明性を高めて、世界の国際防疫の一員として隠蔽なく誠実に責任を果たそうとしているのでしょうか。
小生はとても人が悪いのですが、米国やオーストラリアにおける中国共産党の国家ぐるみのプロパガンダについて、多くの信頼できる書物を読んだので、とてもそう信じられませんでした。
「中国共産党は本件インフルエンザ・ウィルスについて、隠蔽なく速やかにすべての情報を世界、特に米国に公開しました。この新型H1N1ウィルスはブタからヒトには感染するが、ヒトからヒトへの感染はまだ確認されていない」というここまでのくだり(件)は、新型コロナ・ウィルス(武漢ウィルス)の最初のいきさつ(経緯)によく似ていませんか。
「ヒトーヒトの感染も確認され、この新型インフルエンザ・ウイルスは世界的なパンデミックを引き起こす可能性もあったが、中国の高度な防疫システムが効果的に機能し、ウィルスの封じ込めに成功した」と続くのではないでしょうか。
中国共産党は、このプロパガンダによって、中国は透明性が高い国家であり、隠蔽などには全く係わりがなく、国際社会の責任ある一員として振舞っていると主張するのではないでしょうか。
これが杞憂であることを願います。

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